Reゼロから始める黒足のサンジ   作:ランホーク

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月下

腸狩りのエルザを撃退したサンジ達はラインハルトの所為で壁と天井が8割方無くなった盗品蔵に留まっていた。

 

 

「そういえばラインハルトはどうしてここがわかったの?」

 

エルザとの戦いの所為か高級な布で作られた服を汚したエミリアがラインハルトに聞く。

 

「エミリアちゃん。それは多分そこにいる子が教えてくれるぜ」

 

 

サンジはタバコを吸いながらある方向に視線を向ける。それに釣られてエミリアが振り返る。

 

「あなた・・・」

 

「よ、よお・・・」

 

生き残っていた盗品蔵の壁に半身を隠しながらこちらを除くフェルトの姿がそこにあった。

 

「彼女が助けを求めながらこの近くを走っていてね。そこに偶然近くにいたのが僕だったというわけさ」

 

フェルトの代わりにラインハルトが答え、エミリアは納得する。

 

「それにしてもエルザを相手によく無事だったね。サンジ」

 

「まあな」

 

ラインハルトの問いにサンジは適当に返すが、

 

「本当はあのエルザよりサンジの方がすごーく強かったのよ」

 

「それは本当かい?」

 

エミリアの言葉に疑りの感情を宿しサンジを見るラインハルト。

 

「さあな。そんな事よりこの後どうすんだ?」

 

無理矢理話題を逸らすサンジにエミリアは困惑顔。

 

ラインハルトは肩をすかして笑みを見せる。

 

「それもそうだね。もう夜も更けたしそろそろお開きにしようか」

 

ラインハルトのこの言葉と同時にサンジは倒れているロム爺の元へ向かう。そしてロム爺の容態を見ているのかサンジはロム爺の肩を揺らし始める。

 

「ところでエミリア様。彼・・・サンジとは一体どういう関係で?」

 

「サンジとはここで初めてあったのよ。私と一緒であのフェルトって子に何か大切な物を盗られたらしくて」

 

エミリアとラインハルトは自身の4倍の重さはありそうなロム爺を軽々と持ち上げるサンジを見た。

 

「サンジ。君は一体どこから来たんだい?」

 

「あーおれはな・・・・・」

 

バツが悪そうな顔をしながら笑って誤魔化すサンジにラインハルトは少し怪しんだ。

 

「じゃあ質問を変えよう。サンジは今日帰る場所はあるのかい?」

 

「ある。だがしばらくはこの国にいるつもりだ。どこか屋根のある場所を教えてくれると助かる」

 

「それならボクの家に来るといい。食客扱いとして迎えよう。」

 

「ホントか!」

 

ラインハルトの提案は正直言ってサンジにとって幸運以外の何物でもなかった。元の世界に帰る方法を探すには時間がかかるだろうと踏んでいたサンジはしばらくこの国にいる滞在するつもりでいた。だがそれにはまずしばらく生活するための家が必要だ。しかしそんなものあるわけがない。宿に泊まるとしても金が必要になる。

 

働いて金を稼ぐ事は出来ない事はないが、そんなすぐに仕事は見つからない。

 

サンジは超がつくほどの一流コック。どこかレストランなどで料理の腕前を見せればすぐ採用になるだろう。

 

しかし問題が一つある。それは文字が読めない事。

 

看板の文字。メニューの文字。それが読めない人間を雇う場所などあるだろうか?いやないだろう。

 

つまりラインハルトのこの提案はその問題をまとめて解決してくれるものなのだ。

 

「ロム爺・・・」

 

「大丈夫だ。ただ気を失っているだけだ」

 

フェルトはロム爺が心配なのか早足で向かってくる。そしてサンジは一度ロム爺を床に降ろした。

 

「いろいろわりーな。ラインハルト。お言葉に甘えてお前んちで世話になるわ」

 

「ああ大丈夫だよ。」

 

「それにしてもあの二人は一体どうなるの?」

 

エミリアはロム爺とフェルトを見て心配そうな声音でラインハルトに聞く。

 

「職務上、見逃す事は出来ない部類であると考えます。しかし・・・」

 

サンジとエミリアはランハルトの溜めを気にしたのか同時にラインハルトの顔を見た。

 

 

「生憎今日は非番なので」

 

 

笑いながらそんな事を言うラインハルトにエミリアとサンジは笑みを浮かべた。

 

「悪い騎士様ね」

 

 

そしてエミリアはフェルトに近づき聞いた。

 

「そのお爺さんは貴方の家族?」

 

「・・・そうみたいなもんだ・・・私にとってたった一人の・・・爺ちゃんみたいなもんだ」

 

 

「そう・・私も家族は一人だけ。大事な時にスヤスヤと寝てるけど大事な家族」

 

「もっと怒ってるのかと思ってた・・・」

 

フェルトはエミリアの顔色を窺う。

 

「命を救ってもらったんだ。恩知らずな真似は出来ねえ。盗ったものは返すよ」

 

 

 

ーーーーこれで一件落着か。

 

 

 

サンジは心の中でそう呟きながら残り5本となったタバコの箱の中から一本取りだし火をつける。

 

 

そしてフェルトはポケットから3センチくらいの大きさの徽章を取り出しエミリアに渡そうとした時、

 

 

 

 

「これは!!!」

 

 

 

「え!」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 

ラインハルトの後にエミリア、サンジ、フェルトは同時に声を上げた。

 

そしてサンジが見たのはフェルトの手首をがっちり掴んだラインハルトの姿だった。

 

 

「な、なんてことだ・・!!」

 

「おいおい。どうしたんだテメぇ」

 

顔色が急に悪くなったラインハルトにサンジは声を掛ける。

 

 

「君の名前は!」

 

しかしサンジを無視してフェルトに質問攻めを始めた。

 

「ふぇ、フェルト・・」

 

「家名は!年齢はいくつだい!?」

 

 

「家名なんてねえよ。多分15くらい・・・てか放せよ!!」

 

本気で抵抗を始めるフェルトだがラインハルトの手は全く振り解けない。

 

「おいおい。一体どうしたってんだ」

 

「エミリア様。先ほどの約束は守れなくなりました。彼女の身柄は私が預からせてもらいます」

 

「え・・?一体どういうこと?徽章盗難での罰というなら・・・」

 

「それも決して小さな罪ではありませんが目の前の光景を見過ごす罪深さに比べれば些細な事に過ぎません。」

 

そしてラインハルトは無理矢理フェルトを立たせた。

 

「ついてきてもらいたい。すまないがが拒否権は与えられない」

 

ラインハルトがそうフェルトに言った瞬間。それは突然飛んできた。

 

 

首肉(コリエ)シュート!!!」

 

ドォォン!!

 

「「え!!」」

 

突然真夜中に響いた衝突音。咄嗟にエミリアとフェルトが声を上げて反応する。

 

「なんのつもりだい?」

 

「テメェその手を離せ」

 

サンジの右足の蹴りをラインハルトは悠々と右手で防ぐ。

 

「か弱いレディに手を出すクソ野郎は俺が許さねえ。」

 

「すまないがサンジ。これは必要なことなんだ。わかってくれ」

 

サンジとラインハルトは鍔迫り合ったまま話し続ける。

 

「せめて何か理由を聞かせろ。」

 

「悪いが出来ない。」

 

「なんだと」

 

サンジの顔が険しくなる、そしてラインハルトは、

 

「うおっ!!」

 

少し手を押し返した。

 

そのままサンジは一気に吹き飛ばされて盗品蔵の外まで飛んでいってしまった。

 

「すまないサンジ。事は一刻を争うんだ」

 

そしてラインハルトはフェルトに振り返り手をかざした。

 

「うっ・・・」

 

すると一瞬にしてフェルトの意識が消えて眠りについてしまった。

 

「ラインハルト・・・・貴方は一体何をしているの?」

 

「エミリア様。この事は必ず後日ご説明致します」

 

ラインハルトの真剣な顔付きにエミリアは、

 

「わかったわ・・・」

 

その場では何も聞かなかった。

 

「あとはサンジを説得しないと」

 

ラインハルトは一旦フェルトを床に寝かせてサンジが吹き飛んでいった方角に向く。

 

タッタッタッタッタ。

 

「・・・・・・」

 

何者かが地面を連続で蹴っている音がラインハルトに聞こえた。

 

「エミリア様。申し訳ありませんがこの場から少し離れていてください。」

 

「え?どうして・・?」

 

「理由は聞かずに。さあ!」

 

「わ、わかったわ・・・ケンカはダメだからね!!!!」

 

「かしこまりました」

 

そしてエミリアは盗品蔵から足早に出て行き、この場で意識ある者はラインハルトと、

 

悪魔風脚(ディアブル・ジャンブ)・・・・」

 

脚に炎を纏ったサンジ だけだった。

 

 

一級挽き肉(プルミエール・アッシ)!!!」

 

 

 

黒足VS剣聖

 

 

新円の月下の元に戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 






次で一章最終話です!
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