人気のない暗い路地。辺りには人一人寄りかかれそうな木箱が数箱とタバコを蒸かす金髪の青年。
蜂の巣にでも顔を突っこんだのかと言わんばかりに顔が腫れあがり冷たい地面に正座している少年三人。
右手の人差し指と中指にタバコを挟み地面に灰を落とす青年が目の前に正座している三人の少年を見下ろしながら尋ねた。
「ふう・・。さてお前らに聞きたい事があるんだが」
数分前。
「おい!なんだここは!!」
サンジの目にしたものは言葉通り有り得ない物だった。
まずサンジが今いる場所。それは街だった。
中世の街並みを再現したのかと言わんばかりのレトロな建築物。
先ほどまで自身が所属している麦わら海賊団の船。サウザント・サニー号に乗っていたはずなのにいつの間にかに陸に上陸していたのだ。
そしてもう一つ不可解な現象がある。
それは時間帯。
船にいた時の時間帯は夜であった。
しかし今はどうだ。空には雲一つなくサンサンと輝く太陽が自分の事を空から見下ろしているではないか。
「敵か?人を移動させる能力者か?だけど時間がおかしい。なんで一瞬で夜から朝になってんだ?それに敵だとしても何で俺の目の前に現れない?」
混乱するサンジ。そして辺りを見回しているとさらに不可解な現象を目の当たりにする。
「なんだここ!!ミンク族・・トカゲ?ゾオンの能力者か?でも普通の人間もいるな」
街を行く人々・・・・いや人という言葉が合う生き物は街を闊歩する者の中で半分ほどしか当てはまらないだろう。
街を闊歩する者の中には人間以外にもサンジがゾウという島で出会った動物を擬人化したような生き物もいる。しかしこれには驚かない。何故なら自分の仲間に文字通り擬人化した生き物がいるからだ。
そういう理由で街行くミンク族(仮)を見ても大して驚きはしない。
しかし驚いたのは、
「何見てんだよ」
「なああんた?あんたは能力者か?」
「のうりょくしゃ?何言ってんだお前。じゃあな」
目の前を通りかかったトカゲの形をした生き物にサンジは声を掛けた。
「能力者じゃないのか?あいつらもミンク族・・いやでもミンク族はチョッパーみたいに全身に毛が生えてるんだよな。何かの種族か・・・いやでもビッグマムの島にはあんなトカゲみたいな奴いなかったし・・・どういうことだ・・?」
ますます混乱が激しくなるサンジ。
「まあそれは置いておこう。今大事なのはここがどこなのかだ。」
冷静に考えようと近くの人気のない路地に入り置いてあった木箱に腰をかけるサンジ。
「ここは新世界。それは間違いない。問題なのはルフィ達がいる場所とどれくらい離れているかだ。」
冷静に考えた結果。まず一つわかったのはここは新世界のどこかの島だということ。
「多分俺とルフィ達は大した距離は離れてない。そう仮定しておくか」
サンジはそう予想する。
理由は1つ。悪魔の実の能力の限界。
サンジを襲ったこの空間転移能力。
今可能性で考えられるのはおそらくトラ男のように物体を別の場所に移動させる能力を持つ能力者。
もしそうならばトラ男と同様自身の能力を干渉させる範囲には制限があるはず。
ならば自身が乗っていた船と今自分がいるこの場所とは大した距離は無いとサンジは導き出した。
そしてもう一つの謎が解けた。
ここは新世界。
新世界の気候というのはおそらく世界でもトップに入るであろう航海術を持っている仲間の航海士ですらわからないものがあるという。
そう考えたサンジは今空に太陽が昇っている事に疑問を抱かなくなった。
「とりあえず謎は解けたな。まず初めにここがどこかを調べる。そして俺をこの島に連れて来た奴をぶっ飛ばす。そんで仲間の元へ戻る。それだけだ」
木箱から降りて路地から出ようとした時、
「おい。テメーなに一人でブツブツ言ってんだ?」
「痛い思いをしたくなきゃ出すもん出しな」
「さっさとしろ」
サンジの目の前に三人の男がいた。
一人は細い体をして右手にナイフを持っている男。
もう一人は小太りでサンジと同じくらいの背をした男。
最後の一人は一時的にサニーゴに乗船していたモモの介と同じくらいの背の男。
薄ら笑いを浮かべながらサンジをバカにする不良三人。
サンジはポケットから煙草を取り出しジッポライターで火をつける。その二秒後。
「ふう・・・さてお前らに聞きたい事があるんだが。」