「新世界じゃないだと!!」
人気の無い路地裏。
そこでサンジは顔が腫れあがった細身の青年の胸倉を掴み至近距離で怒鳴り散らしていた。
「ほ、ほんとうです・・・その・・しんせかい?・・ってのがなんなのかもわからないんです」
口の中が切れているのかいまいち発音がはっきりしない事にサンジは苛立ちを覚える。
そしてサンジは手を離し、その細身の青年の隣に行儀良く正座していた二人に視線を移す。
「「ひいっ!!!」」
サンジに睨まれれこの細身の青年の仲間は互いに抱き着く。この二人も同様に元の顔がどんな顔かわからない程に腫れあがっていた。
「おいテメーら。今から俺が言う言葉に知ってる単語があったら言え」
「「「は、はい!!」」」
サンジに完全に恐怖したチンピラ三人はサンジの目の前で正座して震えながらサンジの言葉を待つ。
「グランドライン、新世界、悪魔の実、海軍、海賊、白髭、四皇、天竜人。この中で知ってる単語はあるか?」
サンジはタバコを加えながら自分のいた世界で誰でも知っていそうな単語を口にする。だが、
「わ、悪いんだが・・・どれも知らない。」
小デブのチンピラがそう言い残りの二人も同意するように首を縦に振る。
「なんだと・・・嘘じゃねーだろうな?」
「ほ、本当だよ!!その、あくまのみ・・?そんな食べもの聞いたことねーし、かいぐん、かいぞくってのも聞いたことがねーよ!!」
サンジは驚愕した。新世界に住んでいる人間なら自分が言った単語を必ず一つくらいは知っているはずだ。それにこの大海賊時代と言われている時代に海賊という言葉すら知らない人間なんているのだろうか?
「・・・・・・」
ーーーー嘘はついてねーみたいだな。
三人の顔を見てそう判断するサンジ。
「じゃあ次の質問だ。ここは一体どこだ?」
口から煙を吐きながら聞く。そしてそれに答えたのは背の小さいキノコ頭のチンピラ。
「こ、ここはルグニカ王国っていう国だ。し、知らないのか?」
「ルグニカ王国?」
聞いたことない国名に頭に疑問符を浮かべる。
「あ、ああ。神龍と契約したっていう国で世界の最も東にあるデカい国だ。」
「東・・・」
顎髭を触りながら思考を巡らす。
「(どういうことだ・・?イーストブルーに戻っちまったってことか?でも俺がまだイーストブルーにいた時にルグニカ王国なんて国聞いたことなかったぞ?・・・・仮にここがイーストブルーだとしても移動距離は果てしないものだ。これが悪魔の実の能力だとしても能力の限界を超えてるぞ?・・・・)」
首を捻り目を瞑りながら考えるサンジを三人のチンピラは見る。
「おい、今なら逃げれるんじゃなか・・・?」
「ああ。こいつがアホ面している間にさっさと逃げよう」
「ああ。逃げよう逃げよう」
三人は小声でこの場から逃げる事を話し合うが、
「聞こえてるぞ」
「「「え?・・」」」
その瞬間。サンジの左足が小デブの顔面にめり込む。
サンジの足と小デブの顔面が衝突した時、ベキッと音が一瞬響きそのまま吹き飛ばされた小デブは路地の壁に激突。その衝突した勢いで壁が崩れて煙が舞った。
「アホ面にアホ面って言われたくねーわ」
「「・・・・・・」」
残った二人のチンピラは自分の驚きの許容量が超えたのか口を開けながらただ蹴られた仲間を見るだけであった。
「まあいいや。知りたい事は結構知れたしな。後お前ら金持ってるか?」
煙が止み蹴られた仲間を見る二人。
白目を剥きながら顔の半分が壁の中にめり込み残った半分の顔は血だらけになった仲間の姿を見て顔が青くなりガタガタと震え出す。
「おい!!」
「ひゃ、ひゃい!!!」
「気色悪い声を出すな胸糞悪い。甲高い声を出していいのはレディーだけだ!!」
「は、はい・・・すみません」
完全に委縮したチンピラはすでにもう逃げるという選択肢も無くしただサンジがこの場から立ち去ってくれるのを願うばかりだ。
「もう一度聞くぞ、お前ら今、金持ってるか?俺は手持ちが無いんだ。しばらくこの国にいるだろうからな。宿代が欲しいんだ。」
知っての通りサンジは女には激甘だが男にはとことん容赦ない。しかも自分に絡んできたチンピラだ。付け加えるならナイフをチラつかせるという行為も相まってかサンジはこのチンピラたちには容赦がない。
そして残った二人はポケットから財布と思われる袋を取り出し中から数枚の硬貨を取り出した。
「こ、これが俺たちの全財産です」
二人がサンジに渡したのは12枚の硬貨。その内の2枚は金貨で残りの10枚は全て銀貨だった。
「ん?これベリーじゃねーな。なんだこの金?」
「え?ベリー?なんですかそれ・・・」
サンジはまたもや驚く。ベリーとはサンジがいた世界では世界共通の金として使用されている通貨。
そしてサンジはある一つの仮説を生み出した。
「まさかここは・・・・俺がいた場所とは違う世界なのか・・?」
違う世界。それは比喩などではなく自分のいた世界とは全く別の世界の事。
違う次元に来てしまったという表現なら伝わるだろう。
もし本当に自分が元いた世界とは全く別の世界にいるのだとしたら。海賊や悪魔の実などといった言葉を知らないのも納得がいく。
「(しかしどういうことだ・・・?もしここが本当に別の世界だとしてもだ。誰が俺をここに連れて来たんだ?目的は何だ?どんな能力者の仕業だ?でも悪魔の実の能力だとしてもありえねーぞ。こんな違う次元に移動させる能力なんて・・・・それとも俺の知らない未知の能力とかがあるのか・・)」
サンジは考える。そして答えは出た。
「しゃーねー。兎にも角にもまず寝床を探さねーと。あと金と情報収集だ。」
考え過ぎて頭が疲れたのか一旦ここに来た原因を置いておき再び仲間の元に戻る為の最善を尽くす事にした。
「よし。俺はもう行く。お前らは倒れてる仲間の介抱でもしてろ」
サンジはそう言うとチンピラの隣を通り路地を抜けるのであった。
あと2話分書き溜めしてるんですけど載せようか迷ってます。