「これが最後の一箱」
サンジは新品のタバコの箱を開けてそう呟いた。
「この世界にはタバコがあるのか?なかったら死活問題だぞ。」
意外な所で恐怖を感じるサンジは新しく開けた箱から一本取り出し火をつけて吸い出す。
「大事に吸わねーと」
タバコを吸いながら街を歩くサンジは商店街のような通りに入りそこで売られている物を見ていく。
「異世界の食材はどんなものかと期待したが、前の世界と至って変わらねーな。、」
前の世界でも使っていた食材を見て少し落胆するサンジ。この世界にしかない食材があるのなら持ち帰って仲間に食わしてやりたいという気持ちがあったのだろう。しかしそれ以前にまず帰り方を見つけなければならないというのに結構サンジはこの世界に来た事については楽観した様子があった。
「よう兄ちゃん!うちのリンガ買っていかねーか?」
「リンガ?」
サンジに声を掛けたのは顔に刀傷を負った年齢30代後半といった所の店主。その店主の店は果実を中心にいろいろと並べられている。体は戦士かと突っ込みたくなるほどに鍛えられていてサンジは何故果物屋など経営しているのだろうと疑問に思った。
「これは・・・リンゴだな」
「リンゴ?なんだそりゃ?これはリンガだ」
店主はリンゴを手に持ちサンジに見せつけてそう言う。
「そうだな・・・なあオッサン。一つくれ」
「まいど。銀貨一枚な」
サンジは先ほどチンピラから奪った金を取り出しそこから銀貨を一枚手に取り店主に渡す。
そして受け取ったリンガ?という名の果実をサンジはそのまま齧り付く。
「おいおい。店前で食ってんじゃねーよ兄ちゃん」
サンジはその言葉を無視して味を確かめた。
「(リンゴだな。)」
味はそのままリンゴだった。
味や形や匂い。それはそのままリンゴだったが名前だけが違うという事にサンジはあまり疑問を抱かなかった。いきなり異世界に連れて来られたサンジにとって物の名前が違うというのは大した問題でもないのだろう。
「しかしな・・・・・」
サンジは店の看板を見てそう呟く。
「読めん」
そう。看板に書いてある文字が読めないのだ。
「(なんだこの字?ロビンちゃんなら読めるか・・・いやここは異世界。ロビンちゃんでも読めないかもしれないな。文字は読めないが言葉は通じる。こりゃ一体どういうことだ)」
「おい兄ちゃん。もう用がねーならどっか行ってくれねーか。商売の邪魔だ」
「あーわかったよ」
サンジは邪魔と言われ少し不機嫌になりながらその場を立ち去る。そして買ったリンゴ・・・この世界ではリンガ。を食べながら歩きそのリンガが芯のみとなった時にサンジは道端で泣いている一人の女の子を見つけた。
きっと迷子だろう。親と逸れたのか。それとも散歩をしていて人混みに流され知らない場所にたどり着いたのか。
見た感じ女の子の歳はまだ二桁も行ってないだろう。正真正銘の子供だ。
黄緑色の髪を肩にまで揃えた可愛い女の子。将来は有望だなと心の中で密かに思うサンジ。
しかし若すぎる為サンジは仲間の航海士や考古学者のような反応にはならない。
なってもヤバいのだが・・・。
「・・・・・・はあ・・・・ったくこれじゃ俺は海賊じゃなくてただのお人好しだな」
ほっとけなくなったサンジはその泣いている女の子に話かける為に近づく。そして、
「おい嬢ちゃん。もしかして迷子か?「お母さんと逸れちゃったの?」」
「「え?」」
そして邂逅を果たした。
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