俺のヒーローアカデミア ピースキーパー   作:色埴うえお

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第二種目、騎馬戦!

「安定感バッチリね、頼もしいわ凡戸ちゃん」

「それほどでも! 作戦上手くいくと良いねぇ」

「このチームなら大丈夫さ」

「ん」

 

 チーム決めの時間は終わり、津上ら蛙吹チームはフィールド外周で騎馬を組んでいた。フォーメーションは前騎馬が凡戸、右が津上、左が小大、そして騎手が梅雨だ。

 凡戸の優れた体格は梅雨がその背に貼り付いても身じろぎひとつしない安定感があり、後ろ騎馬担当の津上や小大は片手をその背中や腰に添えているだけでかなりの自由度を確保できている。

 

 他のチームも次々と騎馬を組んでおり、会場全体がスタートの合図を固唾を飲んで待っていた。

 

 

『いくぜ残虐バトルロイヤル、カウントダウン!! 3……2……1……START!!』

 

 スタートの号令に合わせてフィールドへと飛び込む。津上たちの騎馬が1番最初にやることは――――

 

「作戦通り、大外を回るよ~! 津上くんよろしくねぇ!」

「うん!」

 

 他の騎馬には目もくれず、4人はフィールドの外周ギリギリを走り出す。その間津上は右手を地面に伸ばし削って(キープして)いく。

 削り取った破片はサッカーボール大の大きさに分けて、小大へと渡す。

 

「小」

 

 破片を受け取った小大はそれを個性で小さくし次から次へとポケットに仕舞っていった。

 

 

 津上ら蛙吹チームの作戦は、まず弾を増やす事からスタートした。大小様々な形に地面を削り小大の個性で縮小して保持、それを終えたら次は凡戸の接着剤を粘性や速乾性に変化を持たせてキープしていく。そんな事をフィールド中心での激しい攻防を横目に数分間続けた。

 

『試合は既に5分以上が経過、最初っから濃いぃ戦闘が続いてるが、ここらで現在の保有(ポイント)を確認しよう!』

 

1位 緑谷チーム 1000万320P

2位 物間チーム 1345P

3位 鉄哲チーム 960P

4位 轟チーム  615P

5位 拳藤チーム 535P

6位 蛙吹チーム 335P

   ・

   ・

   ・

 

『ってあれ、A組緑谷チーム以外パッとしねえぞ! どうしたどうした!』

 

 実況を受けてちらりと見た成績表は、蛙吹チームにとって()()()()の内容を表示していた。

 というのも、試合前の打ち合わせでB組の中に第一種目でA組の能力を観察し第二種目以降での逆転を画策している人が少なからず居る事を聞いており、序盤のB組優勢(こうなること)は予想していた。

 だからこその潜伏しての準備であり、それが終われば作戦は次の段階へと移行する。

 

「狙いは2位の物間のところで良いんだよねぇ?」

「ええ。彼らの個性は騎手がコピー、馬の人たちのは空気凝固に旋回、それと黒いところに潜り込むものだったかしら」

「ん」

 

 最後の確認を終えたところで「行きましょう」という梅雨の掛け声と共に物間チームの騎馬に直進していく。

 

 

 

 物間チームを射程に捉えた津上らは、相手全員が気付く前に攻撃を開始する。

 梅雨は舌でハチマキを狙い、津上は相手の足元に向けてキープしていた接着剤を風と共に射出、凡戸は多量の接着剤で進行を妨げ、小大は上空に向けて小さくした瓦礫をふわっと放り投げた。

 

円場(つぶらば)防壁(ガード)!」

「手数が多すぎだっつーの!」

 

 なんとか反応して見せた物間チームの前騎馬・円場だったが、空気を固めるその個性で防げたのはハチマキ狙いの梅雨の舌だけで、津上が放った足元への接着剤は正確に騎馬の足を捉えた。

 

「物間、足を取られた! 凡戸の接着剤(個性)だ!」

「チィッ! 凡戸、小大、君たち敵であるA組と組むなんてプライドはないのかい?」

 

 物間の物言いに蛙吹チームの全員は一様に不快感を示した。特に津上は(ヴィラン)を親に持つ自分以外は全員間違いなくヒーローだと、感情のまま言い返しそうになっていた。

 しかしその愚行を挟むのは状況が許さなかった。

 

「解除」

「もっ、物……」「上!」

「なにっ!?」

 

 小大が個性を解くと、予め投げておいた瓦礫は元の大きさになり、上空から物間チームを襲う。コンクリート塊の雨だ、当たればただでは済まない。

 それを物間はさっきコピーした爆破で迎撃する構えだ。

 

「残念だったね、この程度なら爆破でとうとでもっ……!」

「やべっ、円場、横!」

 

 視線が上に集まっている隙に津上たちは素早く横に回り、再び梅雨の舌が物間のハチマキを狙って放たれる。唯一気がついた物間チームの左後騎馬・回原(かいばら)が円場に合図を送るも防御は間に合わず、僅かな差で梅雨の舌が機先を制した。

 

「クソッ、ギリ間に合わなかった!」

「残念、首の方は取れなかったわ」

 

 しかし、取れたハチマキは物間が最初から着けていた頭の305Pのもの、物間が持っているハチマキの中で最も低いポイントだ。

 

「いやナイスだよ円場、ひとつ取られたけど一番安いヤツだ。首のハチマキ(こっち)を死守すれば勝ちは確実」

 

 落石を防いだ物間チームだったが、相変わらず接着剤に足を取られておりその場に釘付けになっていた。

 

「動けないなら動けないでやりようは有るんだよ!」

 

 物間は円場の個性をコピーし、物間と2人で空気の壁を何重にも重ねて要塞を構築していく。

 一枚ならばともかく、津上たちが持っている遠距離攻撃では、全てを貫く事は出来そうにない。

 

『こっちでも動きが有った! 蛙吹チームの鮮やかな連携攻撃にポイントを一部奪われた物間チーム。防戦一方だが、その守りは堅牢!』

 

 動けない事に開き直った物間チームの防御は時間が経てば経つほど堅さを増していく。

 凡戸が妨害しようと放った接着剤はことごとくが空気の壁に阻まれ、物間チームを取り囲む形で接着剤の池が完成した。

 

「うー、悪手だったかも、ごめん」

「僕らの防衛陣の強化にご協力ありがとう凡戸! やっぱり持つべきものは仲間だね」

「物間ちゃん、いい性格ね。気にしなくていいのよ凡戸ちゃん、少なくともこれで相手の動きは完全に封じたわ」

 

 膠着状態になったので、漁夫の利を狙う他のチームによる横槍を警戒しつつ津上が攻略の糸口を探していると、不意に小大に肩を叩かれた。

 

「棒」

 

 左手を差し出している小大の言葉の意味を津上はすぐに理解した。棒状のものが欲しいというそのオーダーに対し、津上はすぐさま地面を指先で引っ掻くようにキープし、それで出来た棒状の破片を小大に手渡した。

 それを受け取った小大は棒を地面と垂直に持ち個性を発動する。

 

「大」

 

 ペンくらいの長さだった棒は小大の個性を受けてどんどん太く大きくなっていく。地面に付くほどの大きさになった後も小大は個性を止めることなく、棒はどんどん巨大化していく。

 

『蛙吹チームの目の前で石柱がグングン成長中! 一体何をするつもりだ?』

 

 10メートルほどの巨大な柱になったところで巨大化が止まり、小大は3人に目配せする。

 

「ん」

「小大ちゃん、思ってたよりも乱暴なのね」

「え、まさか」「まさかねぇ」

 

 目測でしかないが、物間チームとの距離と眼の前の柱の長さは一致しているように見える。そしてそのバランスは確実に物間チームの方へと傾き続けている。

 言い忘れたが、小大の個性はもののサイズを変更する際、そのサイズに比例して重量も増減する。

 

「物間……アレやばくねえか」

「いやまさか、そんな事するわけ」

「傾いてるって、絶対こっちに向かって傾いてる!」

「喋ってないで早く接着剤を剥がすんだよ!」

「やってるわ! 円場、防壁でアレを止められねえのか!」

「あんなもん防げるか! そうだ爆破、爆破しろ!」

「もう時間切れだよ!!!!!」

「俺だけ逃げていい?」

 

 蜂の巣をつついたような騒ぎを起こす物間チームを他所に柱は無慈悲にゆっくりと倒れていく。

 

「えっ、大丈夫なの!?」

「ん」

 

 小大はそう返答するがどう見ても直撃コースであり、津上は物間チームの心配をせざるを得なかった。小大の顔をちらりと見るがいつも通りの無表情、いや、いつもよりも冷酷なように見えた。

 もしかして小大は物間に対してただならぬ感情を抱いているのはないかと思わせるほどに、その表情は無だった。

 

「解除した方が……「凡戸ちゃん、津上ちゃん、準備して」

 

 そろそろ解除した方が良いのではという提案は梅雨に遮られた。

 しかし、準備と言われたところで一体何の準備かは見当もつかない。

 

「準備って、何の?」

「突撃よ」

 

 突撃して石柱の下敷きになった死体からハチマキを剥ぎ取るのかと一瞬思ったが、そんな事を梅雨がするわけがないと思い直し、津上はとりあえず言われた通りにいつでも走り出せるよう姿勢を整えた。

 

 石柱の方は今にも物間チームを押しつぶさんと迫っており、会場のそこかしこから悲鳴が上がり始める。何ならフィールドからも上がっている。

 

『物間チームこの窮地を切り抜けられるのか! てゆーか、切り抜けてくれねえと雄英体育祭終わっちまうぞ!』

 

 実況であるプレゼント・マイク迫真の言葉が会場にこだまする。あまりに芝居ががっているせいか今正に起きようとしている悲劇から現実感が薄れていくようだ。

 

 

 そして無慈悲にも何重にも貼られた空気の壁が砕ける音と共に、ズドンと石柱は倒れた。

 

 固まりかけの接着剤が飛び散り、土煙が巻き上げられる。物間チームの命運がどうなったかを多くの人間が息を飲んで見守り会場に一瞬の静寂が訪れた。

 

 

 

 その静寂を切り裂いたのは短い言葉。

 

「解除」

 

 小大が個性を解除すると石柱はたちどころに消える。凶器が消えたことで完全犯罪が成立……というのは冗談で、石柱が消えた後で現れたのは、津上たちの騎馬と物間チームをまっすぐ結ぶ道だった。

 倒れた石柱は空気の壁を砕くとともに、溜まっていた接着剤を押しのけ道を作り出したのだ。

 

「行きましょう!」

 

 梅雨が凡戸の背を叩いて直進の指示を出す。それに加えて小大に押された凡戸は慌てて動き出し、津上はそれに引っ張られるように走り出した。

 

 

 道を抜け物間チームのところへたどり着くと、そこには腰を抜かしてへたり込む3()()。黒色支配は少し離れたところで顔を引き攣らせていた。

 

 石柱はその大きさを完全に計算され物間らには一切の怪我は無かった。小大が無口であるため知られていないが、小大は個性のお陰か見ただけで物の大きさや距離を正確に測定でき、これを狙ってやっている。

 

「手に入れたわ、行きましょう」

 

 梅雨が茫然自失の物間から全てのハチマキを素早く奪い、残っていた空気の壁や進行方向に溜まっている接着剤を津上がキープで消しながらその場を離れていく。誰一人として物間チームに対して拘束や妨害をしていこうとは言い出さなかった。

 

 

「これで1680P! 暫定2位だ」

「後は陣地を作って守りを固めるだけだねぇ」

「それだけ狙われるってことよ、3人とも気を緩めないで」

「ん」

 

 完璧と言っていい勝利に浮かれる津上と凡戸とは反対に、梅雨は冷静に周囲を警戒し続けていた。

 そしてその懸念通り、陣地を構築する間もなく津上たちの前に新たな対戦相手が現れる。

 

「梅雨ちゃん、爆豪くんが突っ込んでくる!」

 

 後方からナイフのような目をした爆豪が敵意剥き出して突っ込んできていた。

 それに対し梅雨が選択したのは逃走だ。爆豪チームがポイントを持っていない以上、戦うメリットは存在しない。

 

 

「個性の確認よ、あそこのメンバーの個性は爆破、硬化、酸の生成、テープよ。凡戸ちゃんは前を警戒しつつそのまま逃げて頂戴」

「りょ~かい」

 

「梅雨ちゃん後ろだ!」

 

 梅雨が凡戸に指示を出すために視線を反らしたその隙を狙って、追ってきていた爆豪チームの騎馬から爆豪が単身()()()来た。

 津上は叫ぶや否やキープしていた瓦礫と接着剤を発射し迎撃を行う。

 

「当たるかよ!」

 

 爆豪は爆破の反動で空中で方向転換、津上の攻撃を容易く回避する。

 再度接近してきた爆豪の進行方向を遮るように空気の壁を出して足止めを行って、一度距離を取る。空気の壁に乗っていた爆豪は瀬呂のテープによって回収された。

 

「だから勝手に突っ込むなって!」

「飛ぶときは言えよ! 俺が外したらペナルティだぞ!」

「ん時は自力で飛ぶわ! さっさと次だ!」

 

 悪いのか良いのか分からない絶妙なチームワークだが、爆豪の跳躍や瀬呂や芦戸の個性は遠距離攻撃も可能であり、物間チームの時のように遠距離から一方的なアドバンテージを押し付けることは出来そうなく、それゆえの逃走だった。

 

 追われながら小大が破片をばら撒いて妨害を行っていくも、切島の剛脚でそれを踏み砕いて直進して来るためさほど効果は得られない。凡戸の接着剤も芦戸の溶解液や爆破で飛び散らされ同様だ。

 梅雨の舌は爆豪に掴まれた場合のリスクを考え安易には振るえない。

 

「弾切れ」

 

 そうして逃走劇を続けていると、とうとう小大の持っていた破片が底をついた。津上のキープしていた分を渡すが、津上も似たような状況だったので焼け石に水だ。凡戸も個性の過剰使用で脱水状態の兆候が現れていた。

 

「補充を……」

「オラァ!」

「だめか、反応が早すぎる!」

 

 津上が補充のために地面に手を伸ばすとすぐさま瀬呂のテープや爆豪が飛んで来るためそれもままならない。

 その一方爆豪の方は、体が温まってきた事により爆発の規模がどんどん上昇している。より早く、より力強く。

 

「やっと追いついたぜ!」

 

 興奮気味の切島の言葉が示すように、とうとう2チームは互いの手が届く距離まで近づいた。

 

 そこから始まるのは爆轟による怒涛の猛攻撃だ。

 今までの逃げはこの状況を避ける為の作戦であり、こうなってしまっては抜群の戦闘センスをもつ爆轟による蹂躙を誰もが予想した。

 

――――が、そうはならなかった。

 

 騎手である梅雨は、ハチマキを目掛けて伸びた爆豪の右手を体を屈めて回避し、追い打ちの左手は腕で軌道をずらす。

 さらなる追撃に対しては足を凡戸の肩に貼り付けて全身を大きく反らしリーチの外へと動き難を逃れる。

 

 接触から数分、梅雨は爆豪の攻撃からハチマキを守り続けている。自身の個性のお陰で騎馬の背中や肩に貼り付ける身体的自由度の差を活かして、爆破の熱や衝撃を分泌した粘液で和らげて、ハチマキに触れられても粘液で滑らせて、ありとあらゆる手を使ってギリギリではあるが防御に成功している。

 

『だぁーー惜しい! 爆豪、ハチマキに触れるもぬるぬる滑って獲得ならず! なんて粘り強さだ蛙吹チーム!』

 

 押し合いへし合い、両チームとも声を出す余裕はほとんど無かった。

 

 長い間続いた均衡状態は、前騎馬の凡戸が切島の体当たりと爆破の余波で体勢を崩した事をきっかけに終わり、体勢を崩した梅雨の顔目掛けて爆豪の左手が襲いかかった。

 

「させるか!」

 

 その攻撃を防いだのはやはり津上だ。爆豪の左手を右手で掴み、爆破しないよう手のひらのニトロ状の液体だけを意識して個性を発動し続ける。

 防げた事で油断した津上が目にしたのは、爆豪のしたり顔。

 

「黒目! しょうゆ顔!」

 

 その合図で――――呼び方には不満が有るようだが、芦戸と瀬呂の両者が個性での攻撃を開始した。それらを防げるのは津上の右手だが、その右手は爆豪の左手に掴まれている。

 

 そんな状況下でも梅雨は冷静に回避を試みたが、とうとう爆豪の右手が首元のハチマキを掴み取った。

 

 頭のハチマキを狙った追撃の構えの爆轟に対して津上は右手を強引に振り払い、キープしていた爆豪の個性を使って爆豪チームごと押し返した。

 

『爆豪執念のポイント奪取! さあ分からなくなってきたぞ! スコアの反映は少しだけ待ってくれよな!』

「次! デクと轟んところだ!」

 

 爆豪は自チームのハチマキを取り返せたからか、すぐさま別の標的に向けて移動を開始していた。

 更新された掲示板を確認すれば現在蛙吹チームは725Pで4位、なんとか勝ち抜けできる順位であるが油断できる状況では決してない。

 

『残り時間45秒!』

 

 そして残り時間はあと僅か、攻めるか守るか一瞬で判断しなければいけない。

 

「ポイントを取りに行きましょう!」「死守」

 

 しかし梅雨と小大で意見は真っ二つに割れた。凡戸は「どっち」と焦ってばかりで、自然と判断は津上に委ねられていた。

 

 さきほど掲示板で見た轟チームの保有ポイントは1000万1130Pで、そこから緑谷チームの初期ポイントである1000万320Pを引くと810P、万一その全てが他のチームに渡ったら津上たちは敗退だ。逆に緑谷チームのハチマキだけを奪われても轟の手元には810Pが残るため、蛙吹チームの敗退が確定する。

 津上はすぐさまその結論に達し、判断した。

 

「轟くんだ! 轟くんの持っているハチマキが他に渡らないようにする!!」

「分かったわ」「ん」

「よく分かんないけど、とにかく行けば良いんだよねぇ!」

 

 轟チームのいる場所は氷の壁が張ってあるので容易に分かった。チーム全員迷いなく駆けていき、壁の直ぐ側にたどり着いた。

 

「すぐに貫通させる!」

 

 氷に穴を開けようと手を伸ばす。既に時間は20秒も残っていない。

 氷の中では激闘が繰り広げられているようで、轟チームのポイントを守るという意味でも猶予は全く無い。

 

「取った! 取ったああああああ!」

 

 穴を空ける間もなく、壁の向こうから緑谷の勝鬨(かちどき)の声が響いた。慌てて見上げた掲示板は更新されておらず、具体的なことは分からないが状況が動いたのは確実だった。

 

「跳ぶわ!」

 

 言うや否や梅雨は真上に跳躍する。上空から舌を使って横槍を入れようとしているのは明らかだった。

 津上はそこで氷に穴を開けるのを中断した。如何に梅雨といえど10メートル近く跳躍して凡戸の上に落下すれば互いに怪我をする可能性が有る。それを防ぐ事のほうが津上にとっては大事だ。

 

「小大さん、俺の上着を大きくして! それを使って梅雨ちゃんを受け止める!」

「ん」

 

 津上が着ていた上着を脱いで渡すと小大がすぐさま個性で巨大化させ、3人がそれぞれその端をしっかりと握って広げた。

 

「取られた! 蛙すゅちゃん!?」

「切り替えろ緑谷! どちらにせよ攻める他ない!」

 

 壁の向こうで再びの動き、上を見上げれば梅雨は攻撃を終えており、その口にはハチマキが一本咥えられていた。

 勝ち誇ったような笑顔を浮かべた梅雨は真っ直ぐ津上たちの方へ落ちてくる。

 

『TIME UP!!!!!』

 

 津上たちが梅雨を受け止めると同時に第2種目は終わりを迎える。

 確かな手応えを感じつつ、津上は結果発表に耳を傾けた。

 

『1位、轟チーム! 2位、まさかまさかの心操チーム! 3位、この結果は少し不満か、爆豪チーム! 4位、蛙吹チーム! 以上4チームが最終種目に進出決定ィィ!!』

 

「やった!」

「ええ」

「やったねぇ!」

「ん」

 

 4人で勝ち取った勝利に喜びあう。

 悔しさを噛み締めている周りの人に全く気が付かないくらい、津上の胸中は達成感と喜びで満たされていた。




騎馬戦のポイント計算やトーナメントの組み合わせを考えながら展開を決めるのが結構大変でした。ただでさえ騎馬戦という表現の難しい競技だと言うのに、それらのせいでエタりかけました。
ちょくちょく原作とスコアの違うチームが居るのは梅雨ちゃんと尾白くんが順位を上げた為です。その他描写されてないところは大体原作のママです。最終的な順位とスコアは以下の通りです。

1位 轟チーム 1000万320pt
2位 心操チーム 960pt
3位 爆豪チーム 955pt
4位 蛙吹チーム 795pt
5位 緑谷チーム 740pt
6位 拳藤チーム 535pt
7位 その他 0pt
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