2095年4月3日日曜日 魔法大学付属第一高校
俺は二人の幼馴染みと共に入学式会場である講堂に向かっていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、ダリイイイィィ」
「やめてよシロ。回りの人が見てる」
「ほのか、これはもう病気。諦めよ」
はい、皆さんもお分かりの通り光井ほのかと北山雫が俺の幼馴染みです。出会ったのが八歳の頃でかれこれ8年くらいの付き合いになる。
「入学式なんてよ、堅苦しくて詰まらんってのが定番だ。快楽主義者には苦痛でしかないんですよ」
「もう、折角目出度い日なのに~」
「でもここは魔法科高校。一般人なんて居ないんだからシロも少しは退屈しないんじゃない?」
「まあ、それもそうか」
原作知識は宛にならんと大まかな所しかもう覚えていない。まあ、もしもの時はコイツらさえ守れれば良いや。
講堂に入ってみると既に多くの生徒が座っていた。にしても…
「こりゃあ見事に別れてやがるな」
「そ、そうだね」
「時間もないし早く座ろ」
こりゃ当分はつまらねえ生活が続くかと思った。が、良い意味で新入生総代が予想を裏切ってくれた。「皆等しく」、「一丸となって」、「魔法以外にも」、「総合的に」等々際どいフレーズのオンパレード。こりゃあ明日からでも楽しめそうだ。
「何だかシロが上機嫌」
「ホントだ。何かあったのシロ?」
「あの総代の答辞、「皆等しく」とか「一丸となって」とか「魔法以外にも」とか「総合的に」とか際どいフレーズ盛りだくさんだったろ?あんなのをあの場で言う女が総代を勤めるんだ。こりゃあ当分退屈せずに済みそう、いや愉快な学校生活になりそうだと思ってな」
((ああ、司波さん御愁傷様))
これからの学校生活を思いケタケタと笑っていると窓口に着いたので3人でIDを受け取る。
「私、A組。二人は?」
「俺もだ」
「私も!すごい、同じクラスだ!」
ほのかは余程嬉しい様だ。俺としても二人を守りやすくなるから大歓迎だ。
「これからどうする?」
「取り敢えず帰ろうぜ。潮さんがパーティーするって言ってたろ?」
「そうだね、おじさん張り切ってたし。あ、」
「?どうしたほのか?」
「あれ」
ほのかの視線の先を見ると新入生総代と監視対象がいた。
「(司波達也…)新入生総代じゃねえか。男の方は彼氏か?」
「何で…」
「「?」」
「何であの人が
「落ち着けほのか、どうしたんだ?」
「何で、何で…!?」
って聞いちゃいやしねえ。はあ、面倒かけんなよな…
「ほのか!」
「っ!?」
俺は無理矢理ほのかの視界に入り少し大きな声を出す。昔から興奮したときや錯乱したときにほのかに対して有効な手だった。
「正気に戻ったか?」
「う、うん…ごめんね。あと、その」
「?」
ほのかが慌て出したので不思議に思っていると視線を感じ横を見る。案の定、雫だったわけだがなぜか不機嫌そうだ。ここはほのかに呆れる所だと思うんだが…
「雫?」
「…ふん」
「おいおい雫さん、俺なんかしました?」
「知らない」
「ええ~…」
「(か、顔が…シロの顔があんなに近くに)」
拗ねる雫に顔を赤くしイヤイヤと首を振るほのか。カオスだ。