花妖怪の君と過ごした最高の日々   作:『向日葵』

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花妖怪の君に言い訳した日

「ねぇ蓮花。貴方の部屋にあったこの『本』、一体何?」

「............」

 

ふへへっ。全世界の皆、おはこんばんわ。さて突然ですが、只今私こと神谷蓮花は、史上最大の危機に瀕しております。原因は、幽香さんが持っている一冊の本。

 

『同居人に○○な事をする本』

 

......うん。もう、あれだね。明らかに、僕の所有物だねあれは。

しょうがないよ、男の子なんだもの。全世界の男の子諸君ならば、きっと僕の気持ちを理解してくれるはずだ。そうだとも。僕はそう信じてるだとも。

 

......ふぅ。

 

よし。そろそろ現実逃避はやめようか。そんな事をしたって、僕の秘蔵コレクションが見つかったという事実に変わりはないんだから。

それよりも今は、この状況をどうするかが大事だ。下手な言い訳をすれば、イコール死に繋がる。僕はこんな所でBADENDになんかなりたくない。

 

「絶望に浸っている所悪いのだけれど、いい加減答えてくれないかしら?この本は、なぁに?」

「ぐっ......そ、それは......」

 

ちくしょう幽香さんめ、さては今の状況を楽しんでいるな?そうじゃなきゃ、そんなにニヤニヤ出来ないよ。

いたいけな男子高校生の傷をえぐるなんて、酷い!

と、とにかく何か言わないと......。

 

「ち、違うよ幽香さん。その本は、君が考えているような本じゃない」

「へぇ。だったら、教えてくれるかしら?この本が、一体何なのかを」

「そ、それはだね......」

チィっ。どうする?この状況を脱するには、どうすればいい!?

考えろ。考えるんだ僕......。

......よしっ。これならいけるはず。

 

「その本は、幽香さんが来る前に友人が置いていった物さ!」

 

お、おおっ。完璧だ。完璧すぎる言い訳だ。でも本当は僕に友達なんていない。その現実を直視すると泣きたくなってくるが、我慢だ我慢。本を返してもらうまでの辛抱なのだから。

この言い訳ならば、流石の幽香さんも......。

 

「花達に聞いたら、貴方が『やっと買う事が出来たぜひゃっほーい!』とか言ってたそうだけど?」

「オー・マイ・ゴット!!」

 

ぬぬぬっ。幽香さんめ、まさか僕の育てた花達に事情聴取をするとは。そしてなんでその事を話すんだ、僕の花達よ。なんかこう、裏切られた気分だよ!

 

「......ねぇ蓮花。この子達、口々に貴方のことを『変態』って言ってるんだけれど......?」

「もう泣きたい......」

 

幽香さんから伝えられる真実に涙ぐむ僕。裏切られた気分じゃなくて、本当に裏切られたね。

と言うか、どうして皆そんな事言うの?僕は健全な男子高校生だよ?そんな、女性の体についてについて興味なんて......興味、なんて......あり、ます。

 

「と、とにかく幽香さん。その本をこっちに渡すんだ」

「嫌よ。返して欲しければ、どうしてこんな本を持っていたのか、説明なさい」

 

くっ。やはりそうくるか。

考えろ。考えるんだ僕。前のような失敗はしない。今度こそは、完璧かつ完全な言い訳を......。

 

......よしっ!これなら!

 

僕は幽香さんの顔を真っ直ぐと見て、なるべく真剣な顔をし、思い付いた最大の言い訳を口にする。

 

 

「幽香さんが可愛すぎるのがいけないんだ!つまり、幽香さんが悪い!!」

 

 

―――人はそれを、『罪の擦り付け』と言う。

 

......と言うか、これが僕の思い付く最大の言い訳だとしたら、僕の頭は一度病院に診てもらった方がいいのだろう。きっと治るはずだ......きっと。

ち、違うんだ。これはきっと、幽香さんに本の事がバレて焦っていたせいなんだ。普段の僕なら、もっとマシな言い訳を思いつくはず。

 

......っていや、それより今は謝らないと!

 

「ご、ごめん幽香さん!僕が悪いのに、君が悪いだなんて言ってしまって......」

「............」

 

......? あれ?

何故か、幽香さんからの反応がない。

僕の声が聞こえなかったのだろうか?よし、ならば今度こそ。

 

「本当にごめん幽香さん!」

「............」

「え?あ、あれ......?ゆ、幽香さーん?」

 

おかしい。やはり幽香さんさんからの反応がない。

幽香さんは、何故か顔を俯かしたまま、何も喋らない。心なしか、体が震えているようにも見える。

 

「ゆ、幽香さん......?」

「―――ふぇっ!?な、何かしら?」

 

怪訝に思った僕が幽香を心配して話しかけると、今度は反応してくれた。......可愛らしい悲鳴のオマケ付きで。

幽香さんもその事に気付いたのだろう。顔を真っ赤にして、何故か僕を睨んできた。......何故に?

 

「う、ううっ。大妖怪たるこの私が、あんな悲鳴をあげるなんて......あ、貴方のせいよ。貴方が可愛いとかなとか言うから......」

 

そして幽香さんは、これまた何故か独り言をし始めた。しかも、相変わらず顔は真っ赤。

熱なのかなぁ......?いやでも、幽香さん若干ニヤついてるし......。

 

むぅ、分からん。

 

 

 

 

 

まあ何やかんやありながらも、今日も一日平和でしたとさ。

え?無理やり終わらすな?な、何のことかなぁー?

 

 

 

 

 

 

―――夏休み終了まで、残り三日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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