千文字の物語を書き連ねる事にする。

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第1話

 今からこの文を含めた千文字の物語を書き連ねる事にする。

 

 

 どんな物語にするか、まずはそこからだ。物語を作る時は、物語の本筋から作らなければ。

 

 どんな物語にするか。

 

 

「僕、小説家になりたいな」

 私がそんな事を考えていると、ふと若い少年が声を掛けてくる。

 小説家になりたい少年の物語か。これは面白いかもしれない。

 

 

 

 君はどんな物語を書きたいんだい? 

 

 

 

「ハッピーエンドの物語さ!」

 物語を作る上で必要なのは登場人物だ。所謂キャラクターである。

 

 この物語の登場人物は、ハッピーエンドの物語が書きたい少年だ。

 なるほど、ハッピーエンド。ハッピーエンドか。

 

 

 

 ハッピーエンドってなんだい? 

 

 

 

「死人が出ない奴かな! 皆が幸せで終わる物語だよ」

 つまり人が死なない物語か。

 

 しかし、それは不可能だ。

 私がそう説明すると、少年は首を横に傾ける。

 

 

「にんげんである以上、結局最期は死ぬのさ」

 私の言葉に少年はまた首を傾げて、最期まで書かなければ良いと反論を重ねた。

 

 なんと愚かな事か。この少年は何も分かっていない。

 

 

 

 いいかい? 

 物語の登場人物は生きている。それは、君がそこに生きているのと変わらない事さ。

 しかしこの物語は、千文字目を書き連ねた時に終わりだ。その後は何も残らない。

 

 するとどうなるか? 

 簡単さ。君は死ぬ。この物語がどんな終わり方をしようが、ハッピーエンドだろうが、バットエンドだろうが君は死ぬ。

 

 なぜなら物語が終わった後、君の物語は紡がれないから。

 

 末永く幸せに暮らしました? 

 そんな物語が何処にある。この物語は千文字以上紡がれない。千文字目で君の物語は終わりだ。

 

 

 ハッピーエンドなんてありはしない。

 

 

 終わった瞬間物語の登場人物は死ぬのさ。

 

 

 

 

「ただの大量殺人だよ。物語の創作は」

 物語の登場人物は、物語が終われば全員死ぬ。どんな物語を書こうが、どんな終わり方をしようがそこは変わらない。

 

 

「くだらない戯言だと目を背けるのかい? この人殺しめ」

 物語の途中で筆を置く事も、物語を書き下ろした紙を燃やす事も、登場人物を殺した事と同じだ。

 

 

 ハッピーエンドなんてない。ハッピーなエンドなんてありえない。終わりはバッドでしかない。

 

 

「なら僕は物語を書き続ける。書き続ければ終わ───

 面白い発想ではある。物語を紡ぎ続ければ登場人物は死なない。

 

 だがそれは無理だ。なぜなら物語を紡ぐものもいずれは死ぬのだから。

 だからこの物語ももう終わりである。そろそろ千文字だ。

 

 

「いや、そういえば。私も登場人───




ぴったし1000文字。

作品の中にメッセージを込めてみました。別にこの作品、物語の創作を否定するものではないのです。
物語の考察とかが好きな人は、是非考察してみて下さい。答えあわせは下にあります。






そんなの面倒って方に、ちょっとした答えを書いておきました。

まず、物語の中に簡単なメッセージが仕組んであります。そちらの紹介。
登場人物二人の鍵括弧の台詞、一番初めの文字を上から順番に繋げると、一つの文になります。画面をスクロールするのが面倒な方の為にこちらに台詞の冒頭を用意しました。文字数調整の為カットしてあります。

「僕、小説家
「ハッピーエ
「死人が出な
「にんげんで
「ただの大量
「くだらない
「なら僕は物
「いや、そう

最初の文字を繋げると「僕ハ死にたくない」になりますね。

しかしこれは、登場人物である『僕』だけの台詞でもなく、登場人物である『私』だけの台詞でもない。
ではこのメッセージは誰からの物なのか? 答えは簡単、この物語を書いた奴です。えぇ、この後書きを書いてる僕ですよ。

この物語を書く事すら、物語だとしたら。なんて考察が出来るようになってます。




もう一つ。
その考察と並べて、なぜこんな物語を書いたのか。

創作を否定するような物言いを『私』はしますが、この作品に込められたメッセージは創作の否定ではなく、ただ「僕ハ死にたくない」という言葉でした。
物語を作る事すら物語なら、物語の登場人物を殺しているのは誰なのだろうか。神すらも物語の登場人物だとしたら?


そんな、物語を作るという事を色々な方に考えて欲しかった。ただそれだけの物語です。出来るのなら、色んな人の考えを聞きたい。



それじゃ私の答えは?
そうですね、私は物語の登場人物は生きてると思っています。そして作中で語られるように、物語が終わりを迎えた時、物語が紡がれなくなった時、彼等彼女等は死にます。
ただ、それはきっと私も同じで。私自身も人生という物語を生きているんです。私の人生のモットーは、出来るだけ後悔しないように生きる事。

死ぬ時に後悔したくない。

だから、登場人物達にも物語が終わった時に後悔して欲しくない。登場人物達が最期に後悔しないように、物語を最後までしっかり書きたいなって。


つまり何が言いたいかと言うと、これが結局の答えなんですが。


出来るだけ作品をエタったり消したりしないで欲しいな。ただ、それだけです。


所でこの後書きも丁度1000文字だったりします。

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