青春学園中等部の立役者   作:O.K.O

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それでは第13話、行ってみましょう。


第13話

「ゲーム、不二。ゲームカウント1-0」

 

「うぉぉ!またつばめ返しだ!不二先輩、立川のサービスゲームを勢いそのままにブレイクしたぞ!」

 

「す、すげぇ……。あんなの取れるわけねぇよ……」

 

最初のゲーム、不二はつばめ返しにより悠のサービスゲームをブレイクすることに成功する。

ギャラリーも不二のプレーに圧倒されている様子だ。

 

「不二の必殺技、トリプルカウンターの1つ、つばめ返し。相手のトップスピンがかかったショットに対し、スライスの超回転をかけることでボールがバウンド時に全く跳ねなくなってしまう。こんなにも早く、この技を見れるとは思ってもみなかった」

 

乾が自身のメガネに手をかけ単調に述べると、それに大石が反応した。

 

「これは驚いたな……。乾の言う通り、このタイミングでトリプルカウンターを出したことはほとんどなかったんじゃないのか?」

 

「あぁ。だが、あれが出た時点で、不二の試合の勝率は98%だ」

 

「んー……やっぱり、不二との対戦は厳しいか?」

 

「それはそうだろう。不二はウチの実質No.2でその実力は折り紙付き、いくら河村に勝ったとは言え、あの1年が不二に勝つ確率は約2%だ」

 

大石と乾は、今回の悠の試合に難色を示していた。

一方、別の場所ではリョーマと桃城が話し合っていた。

 

「へぇ……桃先輩、不二先輩って強いんすか?」

 

不二のつばめ返しを見たリョーマは、視線をコート上から離すことなく桃城にそう尋ねる。

 

「強いも何も、手塚部長に続き青学No.2の実力者だ。青学の天才とも呼ばれてる。悔しいが、俺も不二先輩に勝ったことねーよ」

 

「……まだまだだね」

 

「なっ……お前なぁ……」

 

リョーマの言い草に桃城はやれやれと言った様子だ。

 

「でも、本当にこのまま不二先輩が勝つかな?」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「俺は()()()がこのまま終わると思えないっす。勘ですけど」

 

「ほぅ……その意見に関していえば、同意見だな」

 

そう言い放つリョーマと桃城の表情は、どこか楽しんでいる様子で口元には微かな笑みが浮かべられていた。

 

-----

 

次は不二のサービスゲーム、不二は先程ブレイクに成功したものの、全く安心していなかった。

 

(正直、トリプルカウンターの1つ、つばめ返しはまだ取っておきたかったが……立川の手の内を見るためには、こうするしかない。タカさんと彼の試合を見ていたのは僕と英二の2人、あの試合で彼から何かを感じたのは確かだ)

 

「……不二先輩、つばめ返し……さすがですね」

 

「立川、このまま行かせてもらうよ」

 

(攻撃は最大の防御。立川、君には早く手の内を見せてもらうよ)

 

そうして不二はボールを取ると、トスを上に上げるのではなく、下にリリースした。

 

「っ?!」

 

悠は驚きの表情を浮かべるが、時すでに遅しである。

不二はトスを下に落とすと、アンダーカットでサーブを放った。

すると、ボールはサービスコートに入ると同時に、打球が悠の手元で()()()

 

「その打球、消えるよ」

 

「ふぃ、15-0!」

 

次の瞬間、ギャラリーが一気に沸き立つ。

 

「うぉぉ!な、なんだ今のサーブ?!」

 

「すげぇ!!立川の手元でボールが消えたぞ?!」

 

乾と大石も驚愕の表情である。

 

「な、なんてキレのいいカットサーブだ……」

 

「……乾、今のサーブの仕組みが分かるのか……?」

 

大石の問に、乾はコクりと頷く。

 

「あのカットサーブ、打球が手元で急激に外側へ向かって逃げていて、あたかもボールが消えたように見える。そして、あの急激な変化を可能にしているのは、あれだ」

 

そうして乾は不二の方へと視線を向ける。

その視線の先には、横回転をかけてボールをリリースしている不二の姿があった。

 

「なるほど、トスとサーブを放つ際の回転で、二乗の変化を生み出しているってことか……。さすが不二……」

 

「試合は完全に不二のペースだ」

 

「ゲーム、不二。ゲームカウント2-0」

 

そうして、消えるサーブにより悠はボールに触れることのないまま、このゲームは不二がキープした。

完全なる不二の試合ペースに、乾と大石は不二の勝利を確信していたが、2人の近くで試合を見ていた手塚は静かに思案する。

 

(果たして、このままゲームは終わるのだろうか……。確かに、不二は珍しく前半から飛ばしている……が、それにしても、不二のペースのまま行き過ぎている。まだゲームは序盤、立川……あいつはまだ何かしらの手札を持っているはず)

 

そうして手塚はチラりとリョーマの方へと視線を向ける。

 

(あの越前をストレートで破ったその実力、見せてもらうぞ)

 

手塚は、集中力を高めている悠の姿をしっかりと瞳に映していた。

 

-----

 

「不二先輩、飛ばしてるな……」

 

まさか、つばめ返しだけじゃなく、消えるサーブまで出してくるとは思ってもなかった。あのサーブ、予想以上に変化が大きい……。

変化の軌道を()()していたけど、つばめ返しと同様、回転量が半端じゃない。

あれは変化してからじゃ、まともにボールをラケットの芯で打てないな……。

そうして、あれやこれやと考えていると、ふとギャラリーの話し声が俺の耳に入った。

 

「こりゃあ不二先輩の勝ちで決まりだな」

 

「あぁ、立川にはちょっと期待したのになぁ。結局、ちょっと上手いくらいのやつだったってことか」

 

おぉ?これは何やら俺の敗戦ムードが漂ってますねぇ。

まあ、先輩方には好き勝手言ってもらって……。

 

「悠、頑張って……」

 

すると、視界の端に両手を握る冥の姿が映り、俺は背中に電撃が走った。

……なんか、こういう状況って燃えるよな。

そうだ、冥もこの試合を見てる。恥ずかしい試合なんてできねぇよ!

そうして、俺はサーブの構えをする。

 

「不二先輩、ここから先、簡単に点は取らせませんよ……ふっ!」

 

「っ?!」

 

「ふぃ、15-0!」

 

俺の渾身のスカッドサーブがノータッチエースとなる。

 

「で、でたぁぁ!あれって確か、河村先輩との試合で使ってた……」

 

「なんだよあれ?!バケモンサーブじゃん!」

 

「な、なんてスピードなのよ……」

 

「すごい……立川くんもまだ、負けてない」

 

堀尾や小坂田、竜崎達も驚いた様子だ。

 

「まだまだ行きますよ……ふっ!」

 

「30-0!」

 

「またいったぁ!不二先輩が動けてないよ!」

 

スカッドサーブの威力は絶大、このサーブ一発で試合の流れを一気に引き寄せる。

 

「おい乾……あのサーブ、お前のより早いんじゃないか……?」

 

「あの1年……データの取り甲斐がありそうだ」

 

大石先輩と乾先輩もスカッドサーブに驚いた様子だ。

そうして、俺はスカッド4本でこのゲームをキープすることに成功する。

 

「ゲーム、立川。ゲームカウント1-2」

 

「……ようやく、君の本気が見れるってとこかな」

 

「不二先輩……。トリプルカウンター、打ってくださいよ」

 

「……僕は、負けないよ」

 

さぁ、次は不二先輩のサーブ。

あの消えるサーブは手元で急激な変化をする……なら!

そうして不二先輩はアンダーカットサーブを放つと、俺は即座に前に詰めた。

 

「変化する前に叩けばいい!」

 

そうして、俺はバウンド直後にボールを捉えるスーパーライジングで、不二先輩の消えるサーブのリターンに成功する。

 

「立川のやつ、不二先輩のサーブを返したぞ?!」

 

しかし、俺のライジングによるリターンを読んでいた不二先輩はすでに捕球体勢に入っていた。

 

「君ならそうすると思っていたよ」

 

「なっ?!」

 

次の瞬間、不二先輩は()()()()()()がかかった俺のリターンをつばめ返しで返球、そのまま不二先輩のポイントとなる。

 

「15-0」

 

「不二先輩が読んでるぞ!立川のやつ、盛り返したと思ったら、また不二先輩のポイントだ!」

 

なるほど……消えるサーブからのつばめ返し……。やっぱり、天才の名は伊達じゃないってことか。

だけど……そのつばめ返し、次のポイントで封じさせてもらいますよ。

そうして俺は、次のプレーのイメージをしつつ、ラケットを構えるのであった。

 

-----

 

「……そういうことか。さすが不二、といったところだな」

 

乾が自身のノートにメモを取りつつ、唐突に呟いた。

 

「乾……どういうことだ?」

 

現状を把握出来ていない大石が乾に問いかける。

 

「不二のあのカットサーブは、あくまで囮に過ぎない。あのサーブをリターンするにはボールが変化し始める前、すなわちあの1年のようなライジングで打つ必要がある。しかし、ライジングはどうしても打点が低くなるから、トップスピンの回転をかけないと相手コートにボールが入らないんだ」

 

乾の説明に、大石は納得したような表情を見せる。

 

「なるほど……それで、トップスピンがかかったライジングのリターンをつばめ返しで決めるって流れか……。不二のやつ、本気だな」

 

「……だが、あの1年も想像以上にやるようだ。特にあのサーブ……」

 

「サーブだけではない」

 

「……?手塚?」

 

乾の言葉に、後ろで試合を見ていた手塚が口を挟んだ。

 

「乾、大石。立川のプレーを見ておけ。ここから不二は気の抜けない展開になる」

 

「手塚?!それはどういう……」

 

大石は言葉を続けようとするが、ギャラリーの大歓声にその声は打ち消された。

 

「す、すげぇ!!なんだ今のは?!」

 

「立川やべぇぞ!」

 

「なっ……乾!一体何が……」

 

大石は乾の方を見ると、乾は冷や汗を浮かべていた。

 

「大石……手塚の言う通りだ。データが、必要だ」

 

「乾……?」

 

「大石、コートを見ておけ」

 

手塚の言葉に、大石がコートの方に視線を向けると、そこにあった光景に大石もまた驚愕の表情を浮かべたのであった。

 

-----

 

「不二先輩……つばめ返し、封じさせてもらいますよ」

 

「トリプルカウンターは、そう簡単に破れないよ」

 

(つばめ返しを封じる……やはり立川、君は面白い!)

 

不二は悠の宣言に、テンションが高ぶるのを感じていた。

 

(行くよ……)

 

そうして不二は、消えるサーブを放つ。

 

「ふっ!」

 

対して、悠はライジングのリターンを不二に攻略されたにも関わらず、またもライジングでリターンした。

 

「立川のやつ、懲りずにライジングでリターンしたぞ!」

 

「あいつ、つばめ返しが来るのわかってるだろ?!ヤケになったのか?!」

 

(立川、君の目……何を考えているか分からないけど、つばめ返しは破れない!)

 

そうして不二は悠のトップスピンがかかった打球に、超回転のスライスをかけた。

 

「いったぁ!つばめ返しだ!」

 

スライス回転のボールが、悠のコートに向かっていく。

すると、悠は前に出て、その打球に突っ込んでいった。

 

「つばめ返しって、スライスの超回転をかけた打球ですよね……なら……!」

 

「っ?!」

 

(立川、まさかノーバウンドで…?!)

 

不二の予感は的中する。

次の瞬間、悠はノーバウンドでボールに触れると同時に、()()()()()()の回転をかけた。

 

「……ふっ!」

 

「立川のやつ、ノーバウンドでつばめ返しを返しやがった!」

 

「いや、でも不二先輩がもう捕球体勢に入ってるぞ!」

 

(……本当につばめ返しを返すとは……思った通り、君はすごい。でも、ここまでだ……っ?!)

 

そうして、不二は前に出た悠に対し、ロブを打とうとラケットを構えた。

しかし、悠の打球は不二のつばめ返しのように、()()()()()()()()()()()

 

「ベータドライブ……つばめ返しは打たせない」

 

試合中盤、いよいよ流れが変わろうとしていた。




まだ不二VS悠の試合は続きます。

ちなみに、ベータドライブは小説オリジナルの技です。
ここからお待ちかね、オリジナル技が出ていきますよー!
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