青春学園中等部の立役者   作:O.K.O

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更新ペースを安定させたいけど、なかなか難しい……。
おまたせしている方々には申し訳ないです。

それでは第22話、行ってみましょう。




第22話

青学対不動峰の決勝戦直前--

 

「ふぅ……なんとか間に合いそう」

 

私、烏野冥は学校での練習を終え、男子テニス部の地区予選会場に来ていた。

危ない危ない、1本後の電車に乗っていたら決勝戦を見逃しちゃうところだった。青学男子の試合はレベルが高いから、いつも勉強にさせてもらってるんだよね。

まあ、今回はそれだけじゃないんだけど……。

 

「悠、試合出てるかな……」

 

私は今回のレギュラーメンバーに選ばれた、1人の幼なじみの顔を思い浮かべた。

ほんと、びっくりしちゃう。あの悠が河村くんと不二くんに勝って青学レギュラーのジャージを着てるんだもんね……。

校内戦の悠、かっこよかったなぁ……。悠のことは小さい頃から一緒だったけど、あんな表情もするんだ……。

 

「って何考えてるの私!?そう、今日はいつも通り応援、そして勉強に来ただけ!普段と変わらない!」

 

私はそう自分に言い聞かせるように頭をぶんぶんと左右に振る。

もぅ……なんで悠のことになるとこんなのになっちゃうんだろう……。最近は特にそう、もっと他のことにも目を向けなきゃ。

それに、1年の悠が決勝戦っていう大事な舞台に出れるかは分かんないし……。うん、そうだよ。1年生の悠が出てるとも限らない。

あれ?でも不二くんに勝ったくらいなら試合に起用されてもおかしくない……。そうなると、悠も決勝戦に……。

 

「ってまた何を考えているの!出ても出なくても、やるべきは青学の応援!しっかりしなさい烏野冥!」

 

そうして私は自分の目を覚ますように、両手で頬をパチンと叩く。

そんな私に、誰かが背後から声をかけてきた。

 

「あ、あの……もしかして冥先輩ですか……?」

 

「え?!あ、はい!って桜乃ちゃん?!」

 

声の主へと振り返ると、そこにはキョトンとした表情を浮かべるテニス部の後輩、竜崎桜乃ちゃんが立っていた。

私の反応に桜乃ちゃんは驚いたのか、小動物のように肩をビクリとさせる。

 

「きゅ、急にすいません!何か考え事、されてました……?」

 

「え?!いや、なんでもないよ!?……それよりごめんね、急に大きい声出して驚かせちゃったね」

 

いけない、後輩を驚かせちゃうなんて……。というか、桜乃ちゃんほんと可愛いなぁ。見ててなんというか……この先輩として守りたくなっちゃう感じ、誰かわかってくれないかなぁ。

 

「いえ、大丈夫です!それより先輩も試合の応援ですか?」

 

「先輩もってことは、桜乃ちゃんも?」

 

「はい。ちょっと見学に……」

 

なるほど。桜乃ちゃんも頑張ってるなぁ。

私も負けてられないや。

 

「桜乃ちゃん、偉いね。あれ?そう言えばいつも一緒にいる朋香ちゃんはどうしたの?」

 

「朋ちゃんは弟の面倒を見ないといけないみたいで……なので今日は私一人です」

 

そういうことかぁ、あの子お姉ちゃんって感じするもんね。よし、それなら……。

 

「じゃあ桜乃ちゃん、良かったら一緒に試合見に行こっか」

 

「え、良いんですか?!」

 

「ふふ……そりゃあもちろん。あ、でも決勝のコートどこだったかなぁ。桜乃ちゃん知ってる?」

 

「あ、それなら確かあっちのはずです」

 

そうして私は桜乃ちゃんの誘導の元、決勝戦が行われているというコートへ向かう。

 

この時、私は1つ大事なことを学んだ。それは桜乃ちゃんが超方向音痴であるという事だ。

 

-----

 

「ちょっとこの相手は予想外……」

 

俺はネットを挟み、何やら話し合っている2人を見る。

伊武神尾ペア、原作ではあまり描写されなかったペアだけど、恐らくここに向けて仕上げてきたはずだ。あのペアがどういう攻撃を仕掛けてくるか、正直全く予想がつかない。

勿論、シングルスであれば不二先輩の方が強いと思う。だが、今回はダブルス、シングルスにはない要素が多々ある。俺と不二先輩は初の組み合わせなのだ。うまく穴をカバーし合えるかどうかが不安なところではあるが……。

 

「立川、改めてよろしくね」

 

「はい、頼りにしてます」

 

まあ何やかんや言いつつも、ペアがあの不二先輩ならどうとでもなる気はしている。言葉通り、頼りにしまくることにしよう。

もう間もなくで試合が始まろうという中、ギャラリーの声が聞こえてくる。

 

「おいおい、青学のダブルス1……あれ不二じゃないか?」

 

「え?!うわ、ガチじゃん……。不動峰も実力ありそうだけど、相手があの不二じゃきついだろうな」

 

おうおう、不二先輩も有名人じゃないですか。

こういう些細なところだけど、青学は強豪校なんだって再認識できるよね。

 

「いや、そうでもなさそうだぞ?不二のペア、あれ1年っぽくね?」

 

「ほんとだ……。青学どういうつもり?」

 

「オーダーミスかもなぁ。まっ、俺なら間違いなくあいつを狙い撃ちだな」

 

「ははっ、誰でもそうだろ!」

 

1人の言葉を皮切りに、他校のギャラリーの嘲笑が聞こえる。

 

「俺、割と舐められてます?」

 

「言わせておけばいいよ」

 

不二先輩は苦笑いである。

 

「はぁ……いつもの事ですけど……。吠えづらかかせてやりますよ」

 

「ふふっ……頼もしいね」

 

「第2試合ダブルス1、前へ!青学、不二立川ペア!不動峰、伊武神尾ペア!」

 

徐々に試合への闘志を高めている所に、審判のコールがかかった。

俺を含めた4人はネット際へと集まると、早速神尾さんが口を開く。

 

「あの青学の不二さんと試合できるなんて光栄だ。でも、まさか1年がペアとはなぁ」

 

そう言うと、神尾さんが見下ろすように視線を俺の方に向ける。

あれ?これ神尾さんに挑発されてる感じか?

 

「ふふっ……お手柔らかに頼むよ」

 

俺の代わりに、サラリと神尾さんの挑発を不二先輩が躱す。

 

「ふっ……まあいいぜ」

 

「神尾……早くやろう」

 

「ああ、ちゃっちゃと終わらせよう」

 

神尾さんと伊武さんがポジションに着いた。

俺と不二先輩も同じように自分のポジションへと移動する。

それぞれの最初のポジションは、俺が前衛、不二先輩が後衛、伊武さんが前衛、神尾さんが後衛といった感じだ。

サーブ権はトスの結果、不動峰側となった。

 

「ザ・ベスト・オブ1セットマッチ、不動峰トゥサーブ、プレイ!」

 

「おーし、神尾、深司、頼んだぞー!」

 

「不二、立川、リラックスしていけー!」

 

審判のコールにより、青学サイド、不動峰サイドから声援が上がる。

 

「ふぅ……リズムに乗るぜ!」

 

そう言うと、神尾さんがファーストサーブを放った。

 

「ふっ!」

 

不二先輩がそれをフォアハンドでクロスへとリターン、俺は神尾さんの球を捕まえようとポーチに出た。

 

「よーく見えるぜ」

 

そこに、俺の動きを読んでいた神尾さんが若干山なりの軌道でストレートへと返球する。

 

「立川、うまく仕掛けたけど神尾に読まれてる!」

 

「すません不二先輩!」

 

「大丈夫」

 

しかし、不二先輩は俺の動きに合わせストレートへと走り込む。

そこからは狭いアレーでのラリー展開だ。

 

「すげぇ……あんな狭いところであの二人ラリーしてるぞ……。不二先輩はともかく、神尾って人うめぇ……」

 

「そうだね……あれじゃ前衛はポーチに出ても届かないよ」

 

これはちょっと割り込めないな……。モーションはかけてるが、神尾さんがコースを変えてくれない。

ん……?伊武さん次仕掛けるか?だけど……ちょっと出るのが早いか?

 

「上手いね……でも」

 

「神尾、すまそん」

 

さっすが不二先輩!ナイスボール!

伊武さんが大きくポーチに出たところ、不二先輩が逆クロスにスピードボールを放った。

 

「不二、ナイスボール!」

 

青学サイドも盛り上がる。

完璧なウィナー……っ!いや、まだだ!

 

「ったく、深司……リズムに乗るぜ♪」

 

完璧な不二先輩のボールだったが、そこにもう神尾さんが走り込んでいた。

 

「うそ!あれに追いつくの?!」

 

「マジかよ?!完璧な逆クロスのボールだったのに!」

 

俺はミドルに寄せていたポジションをストレートへと戻そうとするが、神尾さんは俺の動きとは逆に、逆クロスへのショートクロスを放つ。

 

「おらよ!」

 

「っ!逆?!」

 

そして、そのボールは綺麗に決まり、得点を許してしまった。

 

「15-0」

 

「いいぞ神尾!ナイスボール!」

 

「不二先輩、申し訳ないです」

 

「いや、僕こそ申し訳ない。まさかあれを取られるなんてね。やられたよ」

 

ふぅ……神尾さんの脚力は原作通りのものだってことか。正にスピードチートだな。

しかし……伊武さんのポーチが若干早かったが……考えすぎか?

いずれにせよ、厄介なのは間違いない。どうするか……。

 

-----

 

「今日のアキラ、絶好調ですね。深司も上手く誘えてます」

 

「あぁ、当初の作戦がこれほどまでにハマるとはな。まああれだけ練習していたから当然か」

 

(あの連携でゴールデンペアを倒す算段だったが、結果オーライだ)

 

不動峰サイドのベンチにて、森が橘に話しかけていた。

不動峰メンバーは神尾と伊武のプレーを見て、口元に笑みを浮かべている。

 

「アキラのスピードはいつも通り半端ないですが、深司も深司です」

 

「間違いない。うまく()()()()()()()()()()()()ポーチに出てる」

 

橘はサラリとポーカーフェイスでいる伊武を見やる。

コート上では、またも不二に抜かれる伊武の姿があったが、そこに神尾が追いつき、オープンスペースにボールを放っていた。

 

「40-15」

 

「よっしゃぁ!ナイスボール、アキラ!」

 

(よし、いい流れだ。だが、相手はあの不二……油断は出来ないぞ)

 

この時、橘は不二を特段警戒していた。しかし、まだ得点に絡んでいないもう1人に関しては全くのノーマークであった。

 

-----

 

「うまいな、不動峰ペア……」

 

乾がそう言いつつ、自身のノートにペンを走らせる。

 

「確かに。あの後衛、スピードが半端じゃないな。不二の完璧な決め球をことごとく拾ってる。それどころか、立川と不二の空いたスペースに的確に打っている。前衛も上手い動きだが、ポーチが若干早いのが勿体ないって感じだな」

 

大石も乾の言葉を拾うようにそう述べる。

 

「……ポーチが若干早い、か……」

 

しかし、乾は大石の言葉になにか引っ掛かりを覚える。

 

「乾、何かあるのか?」

 

「いや、確かにあの伊武という2年のポーチは若干早い。そこを見逃さず不二がパッシングショットを通しているのは流石だが……何故、あの2年はそれを修正しない」

 

「うーん……それはあのタイミングが染み付いてるからじゃないのか?って、またあの後衛追いついてる?!」

 

大石の視線の先では、またも伊武が不二に抜かれ、それを神尾がオープンスペースに打ち込む様子があった。

悠もそれに反応し、ボールを拾おうとするが、展開の速さからオープンスペースをカバーし切れていない様子だ。

 

「ゲーム不動峰、ゲームカウント1-0」

 

「惜しい……立川も反応してはいるんだが急に展開が変わるからポジションに戻りきれていない。あの後衛にこのゲームはやられたって感じだな」

 

「……あえて、あのタイミングでポーチに出てるとしたら」

 

乾がぼそりと呟く。

 

「……どういうことだ?」

 

「あえてあのタイミングでポーチに出ているとしたらだ。あの後衛が追いつける足を持っていることは元々知っているはず……それを利用して相手のウィナーとなりそうな、展開を変えるボールを打たせ、逆にオープンスペースを作らせているとしたら……特に、立川と不二は初の組み合わせ、まだ荒があるから余計にオープンスペースが出来やすい」

 

「っ?!……さすがにそれは考えすぎじゃないのか?」

 

乾の考察に大石はまさか、といった表情だ。

 

「だが、現にこのゲームはそれで落としている。恐らく、不二も立川も薄々勘づいているんじゃないだろうか」

 

「おいおい……」

 

不動峰の予想以上の技術に、大石は驚きに染まっていた。

 

-----

 

「どうだい不二、立川」

 

第1ゲームをキープされ、チェンジコートにより俺と不二先輩は一旦ベンチにて竜崎先生の話を聞いていた。

第1ゲームを終えて俺が思ったことはひとつ……やっぱり伊武さんのあの動きは狙ってやっているものだ。

 

「そうですね……立川、君はどう思う?」

 

「してやられたりって感じです。俺の主観ですが、神尾さんのスピードを利用して伊武さんがわざと不二先輩に抜かれるような動きをしているように思えます」

 

「やっぱりそうか……あの動きは僕も何本か打って違和感があった。それに、あれほど抜かれているのにあの前衛は顔色1つ変えない。となると……やはりあれは向こうの罠だね」

 

俺と不二先輩の言葉に、竜崎先生は腕を組み少し考え込むような素振りを見せる。

 

「そうか、それほどまでのコンビネーション……。どうだい?急造ペアでなんとかなりそうかい?」

 

「そうですね……立川、試合前に話したこと、覚えてるかい?」

 

「え?そりゃあもちろん!」

 

不二先輩の言葉に当然と俺は頷く。

当たり前ですよ!早くやりたいです!

 

「ふふっ……次は僕達が攻める番だ」

 

「お、いっちょやりますか!じゃあまず不二先輩、頼みます!」

 

「うん、任せて」

 

「おやおや……期待して見させてもらうよ」

 

そうして、俺と不二先輩は逆サイドのコートへと向かうのだった。

 

 





如何でしたでしょうか。
主人公の活躍をお待ちの方々、もう少しお待ちを。

それと数々の感想や誤字報告等々ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

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