青春学園中等部の立役者   作:O.K.O

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こんにちは、O.K.Oです。
たくさんのお気に入り登録、感想、評価本当にありがとうございます。お陰様でお気に入り登録2000を超えましたm(_ _)m

この作品で多くの方々に楽しんでいただけるよう頑張りますので、今後ともこの作品を、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

ついで、河村先輩の設定ですが、筆者の勘違いによりミスがあったことが判明したので文面を少し修正しました。
物語に影響はございませんが、気になった方はご確認くださいm(_ _)m

また、この回の最後に主人公の容貌等の記載も入れておきますので気になった方はどうぞご確認ください(^^)

それでは第9話、行ってみましょう。




第9話

さてさて、ついにこの時が来ましたよ。

え?何がって?決まってるじゃないですか、お待ちかねの原作レギュラー陣との試合ですよ。ずっと楽しみにしてたんだ、ワクワクドキドキが止まらねぇよ。

俺がコートの中のベンチで靴紐を結んでいると、金網越しに冥が話しかけてくれた。

 

「相手は3年の河村くん、先輩達が引退してから今最もレギュラーに近い人だよ、強いことは間違いない……けど、今までの悠の3試合を見る限り、実力は負けてないよ」

 

「あぁ……」

 

やっべ、手の震えでうまく靴紐が結べない……。

 

「だ、大丈夫?!手、震えてるよ?!」

 

「ありがとう冥、でも大丈夫」

 

そうして俺は靴紐を結ぶと立ち上がる。

 

「武者震いってやつだ」

 

「悠……頑張って!」

 

俺はそのまま冥の声援を背に、ネット際で待っている河村先輩の元へと向かう。

 

「立川、よろしくね。3年の河村隆だ」

 

「よろしくお願いします。ところで先輩、ラケットをベンチに忘れてますよ」

 

「あ!またやっちゃった……」

 

そう言って河村先輩は恥ずかしそうにベンチにラケットを取りに行った。

この場面だけを見ると、河村先輩という人物はひ弱そうに見えるが、あの人の本領はラケットを持ってから……。

 

「バーニング!オラオラ、注目の1年だとか強いだとか知らねぇが、レギュラーになるのはこの俺だ!カモーン!」

 

「で、出た!河村先輩のバーニング状態!」

 

「何回見ても思うけど、あの人ラケット持った時とそうじゃない時の差が激しすぎるだろ……」

 

「立川もこの変わりようにはビビってるだろうな……」

 

「いや、見てみろ。……あいつ、笑ってやがる……」

 

ほ、本物のバーニングだ!やべぇ、本当にこんな感じなのか……。

クク……面白くなってきた!

 

「おいおい、おチビちゃん!そんなニヤけたツラしてられんのも今のうちだぜー!」

 

「河村先輩、いい試合にしましょう……フィッチ?」

 

-----

 

トスの結果、第1ゲームはリターンゲームとなった。

 

「河村先輩のサーブからか……」

 

河村先輩は自慢のパワーを駆使したテニスをしてくる。そこまで筋力が付いていないこの体でどう太刀打ちするか……。

 

「オラオラ、行くぜー!バーニング!」

 

「っ!」

 

1ポイント目、河村先輩のファーストサーブがワイドに入った。意表を突かれた俺はラケットに当てて何とかコートには返球するが、俺の体はコートの外に出されてしまう。

 

「グレイト!」

 

その隙を見逃さず、河村先輩が強烈なストロークで最初のポイントを取った。

 

「15-0」

 

「うぉぉ!最初のポイントは河村先輩だ!」

 

「いきなりバーニングサーブかよ!何度見ても強烈っ!」

 

「でも、立川のやつ、あのサーブを返したぞ?!あれ初見で返せるか普通?!」

 

なるほど、あれがバーニングサーブってやつか。速いな……。

 

「不二くん、河村くんのサーブってあんなに速かったの……?」

 

「うん、タカさんの筋力は青学1だからね。ただ、それを初見で返した立川君もすごい。でも……タカさんのバーニングサーブはそれだけじゃないよ」

 

だがタイミングは取れた。次は返してやる!

そうして俺は河村先輩のバーニングサーブに対し前に突っ込み、スーパーライジングの構えをする。

 

「あれは、1試合で見せたライジングショット!あのテンポでカウンター攻撃をすれば悠の流れに……あ!」

 

しかし、俺がスーパーライジングで放ったボールは失速し、ネットにかかってしまう。

 

「30-0」

 

ちっ、これじゃ()()()無理か……。ライジングでは返せないってことね……面白い!

 

-----

 

先のポイント、悠がライジングで自らミスをしたことに冥は驚きを隠せずにいた。

 

「悠がネット?!今日1回もしてなかったのに?!」

 

「ありゃー、立川それは厳しいな。残念無念また来週ってね」

 

「菊丸くん?」

 

試合の合間の空き時間で暇をしていた菊丸が、悠の試合を見にきた。

 

「あ、冥にゃん。今日試合見に来てたんだ。好きだねー、立川のこと」

 

「っ?!こ、これは幼馴染として応援に来てて!」

 

「ニヘヘ、ほいほい。ならそういうことにしとこう」

 

冥は菊丸の不意打ちに顔を赤くした。

菊丸はというと、普段めったに見ることのない冥の慌てた様子に満足したのか、そこで攻撃の手をやめる。

 

「もう、からかわないで!で、菊丸くんは今の悠のミスの理由がわかるの?」

 

「まーね。立川のやつ、まさしく冥にゃんが言った通り、テンポが早いライジングで攻めようとしたんだろうね。でも、あれじゃタカさんのバーニングサーブは返せないよ」

 

「ど、どういうこと?」

 

冥の疑問に、今度は不二が答えた。

 

「タカさんのバーニングサーブは速さもそうだけど、球威もすごいんだ。体の重心が浮いてしまうライジングでリターンすると、その球威に押されてネットにかけてしまうだろうね。かと言って、1ポイント目のように当てるだけのリターンになると、次のプレーでタカさんが決める」

 

「なるほど……え?ってことは、悠はもうライジングが打てないってこと?!」

 

「うん、そういうことになるね」

 

「つまり立川ピンチってわけだ。やっぱりタカさんには勝てないかなぁ」

 

「悠……」

 

しかし、河村の勝利を予感する菊丸と不安がる冥とは対照的に、不二は少し違った考えを持っていた。

 

「英二、そうでもないと思うよ。むしろ、ここからが勝負」

 

「え?不二、どういうこと……っ?!」

 

3人の眼前には、悠が河村のバーニングサーブを()()()()()姿が映っていた。

 

「え?!悠、河村くんのサーブをなんなくリターンしてる!」

 

「ど、どういうこと?!」

 

「立川君がライジングショットでミスをした時、彼はどこか納得したような表情をしていた……。恐らく、ライジングショットは彼にとってただの小手調べ程度の意味しかなかったんじゃないかな」

 

「ま、マジ……?」

 

「その証拠に彼の球、しっかり重心を落として打っている事で今までの試合の球威と段違いだ。恐らく、今まで抑えて打ってたんだろう……」

 

「ほ、ほんとだ……リターンのことばかり考えてて分からなかったたけど、スピードと威力が明らかに違う……」

 

悠のボールは明らかに回転と威力を増していた。しかし、それでも河村は変わらず重く強烈な球を返している。

 

「でも不二、いくら立川の球が重いからってタカさんには勝てないよー。タカさんの筋力は半端じゃないもん。ラリーが続けば続くほど、立川不利だよ」

 

「あっ!」

 

その時、悠が白帯にボールを当て、ネットしてしまう。

 

「40-0」

 

「ほら、今みたいにタカさんの球威に押されてネットに……」

 

「違う、英二……」

 

「え?違うって、どういうことだよ」

 

(立川君、これほど他人の試合でゾクゾクしたのは久しぶりだよ……)

 

「不二くん……?」

 

冷や汗をかいている不二に、菊丸と冥は戸惑ってしまうのであった。

 

-----

 

「オラオラ!グレイト!」

 

(ぐっ……立川のやつ……あいつの球、どんどん威力が増してきてる……)

 

「うぉぉ!すげぇラリー!立川もあの球打てるのはすげぇけど、やっぱり河村先輩の球やばいよな!」

 

「そうだよな、さっきも立川、力負けしてネットかけてたし、やっぱり河村先輩が勝つんじゃね?」

 

(……違う!そうじゃない!さっきのミス……あいつは俺の球を完璧に返すためにタイミングを測ってた……。運良くそのタイミングがズレたことでネットにかけてくれたが、今もどんどん威力が増してる!どこにそんな力が……)

 

そして、立川はめいっぱい腰を落とし、体をバネのように使ってボールを放った。威力が増したフォアハンドのスピードボールが河村の懐をえぐるようにくい込んでくる。

 

(っ!体全体で受け止めることで、俺のボールの威力に対応しているのか!……ぐっ……押し負ける……!)

 

「ぬぉぉぉ!ヒート!」

 

そうして河村が放ったボールはネットの白帯に当たり、立川側のコートへと落ちた。

 

「ゲーム、河村。ゲームカウント1-0」

 

「うぉぉ!やっぱ河村先輩すげぇ!まず1ゲーム取った!」

 

「最後のネットインも痺れるよな!」

 

(危ない……今の、ラッキーだった……)

 

「ヘイヘイ、おチビちゃん、こんなもんか?!カモーン!」

 

河村は腕の痺れは無視し、立川にラケットを向け、あくまで強気で言い放つ。

 

「くっ……河村先輩の球重すぎますよ……。でも……」

 

そうして悠は楽しそうに言葉を続けた。

 

「今、めちゃめちゃ楽しいです」

 

「いい度胸だ小僧!勝負はこっからだ、ヒート!」

 

-----

 

「ちくしょう、最初のゲーム取られたか……」

 

河村先輩の打球重すぎだわ……!さすが、原作レギュラーメンバーは半端じゃないな……。この小さい体じゃ、筋力的に体全体で打たないと返せねぇよ。

でも、河村先輩の打球の威力のおかげで、俺のボールの威力もその分上乗せされてる。タイミングも取れてきたし、もう打ち負けねぇ!

俺のサーブゲーム、飛ばさせて頂きますよ!

 

「行きますよ……サーブ、今までのやつとは違いますからね」

 

「カモーン!へなちょこサーブ、打って来やがれ!」

 

そうして俺はトスを上げると、小柄な自分の体をめいっぱい使って、1番距離が近いセンターのコースへとサーブを叩き込んだ。

 

「っ?!」

 

「千石さん……参考にさせてもらいましたよ……」

 

「ふぃ、15-0……」

 

さぁ、逆襲の時間だ。

 

 

 

 




・立川悠の容貌
黒髪黒目、容姿は(テニプリの世界では珍しく)かっこいいともブサイクとも言えない中性的な顔立ち。
身長は163cmとテニプリの主要メンバーに対し比較的小柄で、リョーマの次に小さい。ちなみに冥の身長が162cmと、ほぼ横並びの大きさで毎日登校しているが、本人曰く、その1cmは絶対に譲れない差らしい。
普段はどこか気の抜けたような雰囲気である。
ただ、冥が言うには真剣になった時の顔つきは普段と180度変わり、かっこよくなるようだ。

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