ふふふふ。
暗い湖に鮮やかに浮かび上がる古城。
びば!ホグワーツ!
ここまで辿り着くのに、ちょーっと会ってはいけないあの人達に会いまくり、なんなら今も勝手に動く小舟の中でその中の一人と並んで古城を見ているわけだけども!
やっと!やっと!やっと着いたーーー!!
なんだが、すごくすごく長かった気がする。
学校に来るまでの時間がいろいろありすぎて濃すぎたせいなんだろうけど!
「すっごいねぇ!ふわははははぁっ!」
「アヴァロン、落ち着いて!そんなに乗り出しちゃったら小舟から落ちちゃうよ!」
「すごーい!すごーい!」
「アヴァロン?ねぇ、聞いてる?大丈夫!?」
「ひゅー!」
「・・・・やれやれだなぁ」
「やだなぁ!ルーピンくん!楽しみなよ!ホグワーツはきっと何度見ても素晴らしいに違いないけど、最初のホグワーツの感動は今だけなんだから!」
「・・・僕まで君みたいにはしゃいだら、二人して舟から落ちちゃうだろうけどね」
「・・・・それは、困るね」
「でしょう?」
緩く笑む姿は11才の容姿と相まって天使の様だ。最初のコミュ障っぷりはどこへやら、ずいぶんとリラックスしている様子だ。
「でも、楽しいでしょ?」
「うん、まぁ、はしゃいでるアヴァロンを見てるのが楽しいかな」
「おいっ!」
どういう意味だ、それは!
全く、失礼な話である。
しかし、そんなことなど些末なことよ!
ゆっくりと古城へと到着する小舟から降りたらローブの裾を直したりして、憧れのホグワーツで組分けなのだから!
「アヴァロン、ローブ捲れてるよ。」
「え、ごめん」
「女の子なんだから、身だしなみはしっかりしないと」
「お母さんか」
「こんな大きな子供はまだいらないよ」
苦笑混じりにいわれるが、気にしないのだ!紆余曲折を経て小舟を降りたらいよいよ大広間だし!
小舟から降りるのをルーピンに手伝ってもらったら、お別れだ。
奴はRで私はAだからね!
「じゃあね、ルーピンくん!
ホグワーツを楽しんで!」
「お別れみたいに言わないでよ、授業とかで会うんだから。
アヴァロンこそ、ホグワーツを楽しんでって、言うまでもないか」
「もちろん!」
大きく手を振って、大広間目掛けて駆け出してく。
私の予定では、悪戯仕掛け人たちと幼なじみコンビとはかかわる予定はないので、合同授業で会えば挨拶するくらいの当たり障りの無さでひとつ。
大広間の前には麗しの女神、マクゴナガル先生が厳粛な雰囲気を出しながらお待ちかねである。
「さぁ!一年生の皆さん、アルファベット順にならび、着いてきてください!」
「マクゴナガル先生!お久しぶりです!」
「はい、ミス・アヴァロン、お久しぶりです。
しかし、今は静かに速やかに並びなさい。」
「はい!」
ああ!厳格な貴女が素敵です。
組分けには組分け帽子を使うこと、組分け帽子に寮を言われたら速やかに移動すること。
マクゴナガル先生が、厳しい声で話す度に隣の気の弱そうな子がびくびくしてるが、あの美しさで厳しく言われる良さがわからないなんて、まだまだ子供だよね!
一部の業界では、ご褒美だっていうのに。
そんな至福の時が終わればいよいよ大広間への入場だ。
映画とは違う、3Dとも違う。本当に本物の魔法で飾り付けられた夢の空間!
マクゴナガル先生に言われた通り、きっちりアルファベット順に並びゾロゾロと行進し、大きな扉をくぐった先には・・・・。
まさに夢の様な光景が広がっていた。
頭上に浮かぶキラキラした蝋燭、テーブルには輝く食器!
そして、天井には満天の星空!!今生の田舎のおじいちゃん家を思い出す、そんな、素晴らしい星空だ!
おじいちゃん家で見る星空とあまり変わらないのでは?
とか思った瞬間、夢が醒めた気にもなったが、これは私が悪い。
だって、辺りを見渡せば、みんな見蕩れて上を向いてポカーンと大口開けてるからね。あ、これは可愛いな。
それに、私が星空にあまり感動出来ないのは田舎の中の田舎に住んでるおじいちゃん達のせいだし。いや、星空キレイで空気美味しくていいんだけどね。
どうせ、スマホないから電波なくてもやってけるし。
だから!けっして、私が年を取ってるから感動出来なくなってるってことじゃないし!違うからね!
なんだか虚しくなってきたので、前を向けばいつの間にか古ぼけてくたびれたとんがり帽子が椅子に置かれていた。例の組分け帽子さんですね、わかります。
しかし、想像以上に古ぼけている見た目だ。
別にパッチワークとかしてある訳じゃないけど、実物の骨董感って、実際に見ないとわからないもんなんだなぁ。
劇中で大きな意味を持つ小物だし、感動と言えば感動なのだが埃っぽそうという考えが先に来ちゃう見た目だ。
外見イギリス人だが中身が日本人のせいでイギリスの入浴事情は大変辛い。理由も事情もわかるけど、辛い。
なので、あまり汚れたくはないんだけど、帽子、キレイかなぁ。
なんて、思いながら眺めていれば、くたびれて折れ曲がってただけだと思ってた場所がぱくりと割れて声高らかに歌い出した。
私はきれいじゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私はホグワーツ組み分け帽子
私は彼らの上をいく
君の頭に隠れたものを
組み分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を
グリフィンドールに行くならば
勇気ある者住まう寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く誠実で
苦労を苦労と思わない
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ
かぶってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!
高らかに歌いきった帽子がまたぱくりと口を閉じれば、辺りは拍手喝采、私も痛いくらいに手を叩くよ!
汚い帽子とか言ってサーセンでした!
興奮するなとか、無理じゃないかな!?
帽子「さて、今年はどんな組分けになることやら」