あのあとから、必死だったなぁ。
英語の勉強…。
幸いにも、前世のツルツル脳味噌とちがい、ニューボディの若くてピチピチな生まれたての脳味噌、こいつは凄い。最高だぜ!
なんせ、物凄く記憶力がいい。
ちょっと気合いを入れて記憶をすれば、一週間の献立どころか、半月まで余裕で覚えてられる!
たとえ、母の母乳、粉ミルクオンリーの二者択一の献立だとしても!!途中で飽きて覚えるの止めたとしても!
これは転生特典なのかも!!!
と、献立覚えて調子に乗った半月後、どんなに出来が良くても中身が私じゃ宝の持ち腐れ感凄いのに気付いた。
そもそも、いくら聞き取りに慣れてきたとはいえ、ママンとパパンの会話を覚えてられたって、単語も知らなきゃ、文法もわからない。
この身体はまだまだ幼いから、ミルク飲んで寝て、ミルク飲んで寝てミルク飲んで寝てミルク飲んで寝てたまにバタバタして、ミルク飲んで寝て。
過去最高にニートしか出来ない。
それでも、笑いかけられたら笑い返して、お腹空いたら唸ってみせてと、一般的な赤ちゃんとしての日々を過ごしてはみるものの。
あれ?これって不味くないか?
今はまだ1才になったばかり。
喋れなくて当たり前。
動けなくて当たり前?
だが、しかし。
子供って喋れるようになるのって、何歳?
ハイハイって、いつからしたら一般的?
普通の赤ちゃんの成長過程が全くわからない!!!
え、これ、知恵遅れとか、障害とか疑われたりしないだろうか。
せっかく生んでくれて愛してる家族に申し訳なくないか!?
早く行動出来ても気持ち悪いだろうし、遅すぎても心配かけるだろうし…。
誰かぁ~~~~~~~っ!?!?!
赤ちゃん一般マニュアルください!
「これで貴女も今日から立派な赤ちゃん!」みたいな!
運営さーーん!!!
結局、私は神童路線よりも知恵遅れ路線を進むこととなる。
何故って?
英語、ワカラナイカラネ!
動けたり感情表現問題ないのに、何故か喋れない。
精密検査して、完全に健康体なのに、何故か喋れない。
しかも、言葉の意味、通じてない時もある。
何故って?
中身の人(私)が英語ワカラナイカラだよね!
それはもう、心配をかけまくった。
両親は善良ってか、普通にいい人で、私を一度も責めたりはしなかった。
自分達に問題があるんだろう。
何かストレスを与えてしまっているんじゃないだろうか。
そんなこと言ってる本人達が原因を探ろうと、顔色悪くして、目の下に隈まで常駐させて、それなのに、私たちがいけないのって、私に涙ながらに謝ってくれて。
ソーリーとかうろ覚えしかわからないバカですみません!!!
両親にそこまでさせて、そこまで愛されて、一念発起しない子供なんているだろうか?いや!いない!!!
必死だった。
それはもう、必死だった。
歩けるようになったら、即絵本にかじりつき、子ども番組の読み聞かせを聞きまくり。
物を指差してはママに「あれは?なに?」と手振り身振りだけで、聞きまくり。今思えば、これはうざかったろうに、一つ一つ丁寧に教えてくれたっけ。
兎に角勉強、勉強、又勉強。
この脳味噌は記憶力が通常の人より遥かに高性能。
考える頭は残念な私だけど、つめ込みつめ込み。
ひたすら、英語に馴染む訓練をし続けた。
傍目にはブツブツなんか呟いたり、本やテレビにかじりつく、明らかにおかしな子供だったかもしれない。
しかし、幼子の行動は大抵は不可思議な物。
両親の初めての子供ということもあり、私の奇怪な行動は特に不審感を与えなかったらしい。
そんな過程を経て、私は2年かけて英語を完璧にマスターするに至った!!
やったーー!!!
おめでとう、私!ありがとう私!
遅いとか言うな!
かなり大変だったんだからな!辞書とかないし!そもそも読めたらおかしいし!
私が初めて英会話を両親と成立させたのは、私が3才の時。
一言二言ではあったが、最新の注意を払い、もにょもにょ会話を試みたのである。
発音が日本語英語にならないように。
テレビでみた乳幼児たちのように幼く。
一音節で、ポツポツと。
あのときの両親の幸せそうな顔といったら!!
どれだけ心配させたか、どれだけ歯痒い気持ちをさせたか、どれだけ怖がらせただろうか!
ああ、私って、愛されてる!!!
申し訳なく思いながらも嬉しくて、大声で泣きわめいてしまった。
両親も泣いていたし、まぁ、似たもの親子って、ことで。
後から判明したが、私があまり表情も変わらず泣きもしなかったのも、不安にさせていた要因だったらしい。
日本人特有の薄いテンションと気遣いで泣かなかったのが、とんだ惨事を巻き起こしていたらしい。
本当に申し訳ない。
英語を覚えるのって、歳取れば取るだけ難しいですよね。