「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
荷物を置いてきたホグワーツの偉大なる教師陣に、あり得ないモノを見るような目を向けられているのをひしひしと感じる。
そして、私たちのことを固唾を呑んで見守るギャラリーたちの視線も。
すべての視線は向かい合い鋭い表情で杖を差し出すオリバンダー氏と、それを恭しく受けとる私とにそそがれていた。
「ミス・アヴァロン。
次はこれだ。
クリの木、ユニコーンの毛、20センチ。使用者によく馴染む」
「は、はい」
周囲の緊張と期待に満ちた眼差し。
その期待に応える為、しっかりと杖を握りしめ、慎重に振り下ろす。
その瞬間、私の視界は真っ白に染まった。
「ぐ、ぐわぁぁぁあ」
「目が!目がああああ」
「ま、眩しすぎる!」
阿鼻叫喚の店内の中、オリバンダー氏から落胆のため息が聞こえ、杖から発生したフラッシュに目を潰された私も一緒にため息をついた。
あぁ、この杖もダメだったのかと。
大きいとは言えない杖店の中、ものすごい光が杖から発生した。そんな大惨事が一応の収束を迎え、辺りが落ち着きを見せ始めた頃、店の入り口にてこの事態を見ていた教師二人が近付いてきた。
「これは一体何ごとですか!!」
「随分とギャラリーが沢山いるようですが?」
こんな暗黒魔法界時代に、沢山の魔法使いや魔女が杖店に集まって、杖選びを固唾を呑んで見ている。
どんな人が見ても疑問を持つのは当然のことだろう。
しかし、二人の疑問に答えたくとも、あまりにも情けない状態に口は重くなるばかり、ついでに視線も下がっていってしまう。
そんな私を見かねたのか、または視界が元に戻ったからなのかはわからないが、オリバンダー氏が二人に説明を開始する。
その行為すら私の心をえぐる訳だが、自分から言う方がダメージが大きいので、ここは視線をそらしつつ、黙らざるをえない。
「実はですな」
オリバンダーさんが口を開くと気遣わしげにこちらを見やる視線が私に集中するのを感じる。
ええいっ!ギャラリー共!そんな目で見るんじゃあない!!
「彼女の杖が見つからんのです」
「・・・・どういうことなんです?」
「それは、また」
二人の訝しげな声に、今度は詳しく説明し始めるオリバンダーさん。
私はそれを遠い目をして見つめる他ない。
「つまり、ですな。
あなた方がここを出て、すぐに彼女の杖選びを始めたのですが、合う杖が未だにみつからんのですじゃ。
こんなことはオリバンダー杖店の長い歴史の中でも初めてのこと。
私も困惑しておりますじゃ」
「まぁ・・・」
「なんと、そんなことが?」
「ぐぅっ!」
困惑する二人の声が胸に突き刺さる。
「ですが、彼女に魔法の才能がないというわけではない。
そうでなければ、たとえ杖を振るったとしても反応すらしませんからな。
わしの見立ても上手くいかず、今は端から順番に試しているところですじゃ」
現状を改めて説明されると、自分が明らかにおかしな子なんではないかと思わずにはいられない。
杖を振りまくり、窓を叩き割り、水浸しにし炎で前髪を焦がし衝撃波的なモノが勝手に出て杖の山を崩壊させてetc...。さっきはフラッシュで目を潰された。
例え魔法の才能があろうとも、ここまで杖に嫌われる奴なんて、普通にいないだろうに。
「・・・すみません」
「ああ!大丈夫じゃ!ミス・アヴァロン!
ここまでやってきたんじゃ!
必ずやわしが君にピッタリの杖を見つけ出してみせるからなぁ!」
「オリバンダーさん!」
二人でガッシリと手を交わすと、店内には拍手が広がり
口々に私達を応援する声がギャラリーから聞こえてくる。
ホグワーツの教師二人も目に涙を滲ませ、力強く頷きながら拍手をしてくれている。
後ろのギャラリー共は、私とオリバンダーさんが杖を選んでいる最中に、さらっと入ってきては、オリバンダーさんが鮮やかにさらっと決めた奴らである。まさに一撃必中。
初めての自分の杖に感動する前に、そのそばで爆発したり、吹っ飛んだりしてる私を見て不憫に思ったのだろう。そばで固唾を呑んで見守り出した。
その子たちの親は私がやらかしたことの後片付けをしてくれたりと、援護は万全の態勢で行われている。
それが、今では増えに増えオリバンダー杖店の中に犇めき合う事態となっているわけである。
頼むから!帰ってくれ!!恥ずか死ぬわ!!
そして、次回!
※すみません、誤字報告にて、物語上でのミスが指摘されました!訂正させてもらいます!
ケンタウロスのたてがみ→ユニコーンの毛
矛盾してて申し訳ない!ご指摘、ありがとうございました!