デスマーチから始まる失恋
眠い…
とても眠い…
完徹7日目…限界だと思います…
「どう?終わった?」
通称メタボ氏がやって来た。プログラマが二人も失踪って、どんだけブラックなんだ?俺はプログラマーとして入社はしていない。テスターとしての入社だ。出来上がったゲームをテストプレイして、バグや改善点を見つけ出すのが仕事なんだけど…
プログラムが多少できたせいで、失踪した二人の仕事が押し寄せて来た。通称後輩氏…かわいい子だったなぁ。通称佐藤さん…良き先輩だった。その二人が失踪って…ブラックすぎるでしょ?
「終わったはずです。2本ともテストも終わり…見落としが無ければ…」
俺の意識はそこまでだった…
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目の前に設問が浮かんでいる。
『最強のスキルは何?』
強奪だと思う…金、物、人などを奪い取る事が出来、所有権を自分に移せるから…
『最強の術は何?』
転移術…一度でも行ったことのある場所なら、どこへでも一瞬で行けるから…
『最強の魔法は?』
どこかの小説で見たウルティマウエポン…相手の弱点属性の魔法をフルバーストで撃ち込めるから…
『最強の武器は?』
これは難しい…何をもって最強とするかだが、聖剣エクスカリバーと魔剣ダークエクスカリバーの2本使いなら、大抵の敵に対処は出来ると思う…
『最強の防具は?』
矛盾ってやつだな。そうなると、総ての攻撃を透過出来るスルーアーマーかな。ソロの場合は。チーム戦だと仲間に被弾するので、フルカウンターアーマーとセットが効果的かと
『使い魔にするなら?』
まぁ、性欲を処理してくれる使い魔かな?性欲だけは、抑えきれない場合があるし…
『以上、設問は終わります。今後の参考にしますね♪』
俺はジェットコースターに乗せられたのか、一気に落下していく。ここはどこだ?口から胃袋が出そうだよ~。脳ミソが耳から流れ出しそうだよ~。
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ひんやりする風を感じる。床の上に寝ているようだ。7完徹はダメだって…栄養ゼリー食ばかりで、歯が退化していく気がしたもの。起き上がると、知らない場所にいた。あれ?ブラックな会社は?夜逃げしたのか?それにしては広いホールのような場所だ。食い物無いかな…
目覚めた場所を彷徨う。目の前に女性が寝ている。全裸だし…溜まっているんですが、そんな無防備な恰好で…いいんですか♪
近寄って見ると、後輩氏の面影がある女性。だけど、俺の知っている後輩氏より熟成されている年齢である。たしか大卒くらいだったはずだが、三十路前後って感じだ。
俺も全裸になり、肌を合わせた。彼女の肌はひんやりしていた。まるで死体…死んでいるのか…左胸に耳を当てる。耳の穴に乳首が入り、気持ちが良いが、心拍音は聞こえない。唇を重ねて見る。ここも冷たくて気持ちが良い。
彼女の中もひんやりしている。これって、屍姦になるのかな?まぁ、良い経験である。7完徹で俺は、どこか壊れたかもしれない。
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心地良い揺れが眠気を産み、うたた寝を繰り返す。遠くで誰かの声がする。
「…てよ…ねぇ~」
耳の穴に気持ちの良い物がある。人肌を感じ、眠気を誘う。
「後10分…」
仮眠室かな…後輩氏が起こしに来てくれたようだ。
「ねぇ、起きてよ。君は誰?ねぇ~!」
彼女の声が聞こえる。
「お願いだから…起きて…」
俺の舌に彼女の舌が触れた。彼女の口の中で絡み合う。俺の唾液が彼女の中へ…彼女の声は聞こえなくなった。
あっ!生理現象だ。目覚めの時に起きるアレ…まだ若いと実感できる現象である。
「もぅ~、ダメだよ。起きてって!」
彼女の声は半泣きだった。
「出ちゃうよ~くぅ…」
俺は寝ぼけている。現況にある切迫感がまるで分からない。
「出さないで…そこで…お願いだから…」
ドスン!
背中に衝撃を感じた。背中に、ひんやり感…床の上にいるようだ。意識が薄れていく。
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暖かい何かで意識が覚醒していく。薄い緑色の光りに包まれていた。
「ゴメン…死なないで…」
後輩氏の声…俺…完徹7で死に直面しているのか。死ねば、安眠できるかな?
「あっ!意識が戻ったんだね。ねぇ、起きてよ~」
「後輩氏…後10分…」
いつものように声を捻りだす。仮眠室で寝ている俺を、よく起こしに来てくれた後輩氏。
「え?ボクを知っているの?その言い方は…アール先輩?」
あぁ、俺の名前は田中一郎である。某アニメキャラから、通称アールと呼ばれていた。
「後10分…仕事するから…」
「もう仕事はいいんだよ。そうか…ダブルでごめんなさい…」
俺の唇に柔らかな物が重なった。暖かな水滴が俺の顔に降ってきた。大粒の雨か?
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完全に目覚めた俺は、保存食をパクついていた。後輩氏に、何が起きて、ここはどこなのかを訊いた。どうも、過労死した者が転生する世界らしい。後輩氏も失踪では無く、徹夜続きの後、うたた寝したら、この世界にいたそうだ。
「じゃ、ここは異世界なの?」
頷く後輩氏。
「で、俺は君にケリ飛ばされて、頭をかち割って死にかけたの?」
物凄く申し訳無さそうに、頷く後輩氏。
う~ん…
「で、なんで、裸で寝ていたんだ?」
「ボクはこの世界で役目を終えて、イチロー兄ぃが来るのを待っていたんだよ。仮死状態でね」
イチロー兄ぃとは、俺ではなく、通称佐藤先輩のことだ。本名は鈴木一郎なんだけど、何故か、入社した時には通称佐藤さんと呼ばれていた。
「で、仕事はどうなったの?」
「後輩氏と佐藤さんの分は、バグ取り、テストプレイを終えて、メタボ氏に渡したよ…7完徹だった…」
「あぁ、過労死だね。それは…」
俺に手を合わせて拝む後輩氏。合掌されても…
「で、どうすればいいんだ?ここで、後輩氏と身体を合わせまくる生活?」
「え?ダメだって。ボクの身体はイチロー兄ぃの物だよ♪」
「えっ?そんな関係だったんだ…」
ショックである。彼女に好意を抱いていただけに…異世界に来てまでの失恋…ちょっと堪える。ヨロヨロと立ち上がり、服を着て、この場から去ろうとする俺。
「どこ行くんだよ?そんな恰好じゃ死んじゃうよ。ここ雪山だから…」
死んじゃう?それもいいや。もう…彼女の言葉をスルーして、出口を探す俺。
「ダメだって!」
背中に彼女の乳房の触感…気持ちいい。だけど、佐藤先輩の物だし。
「失恋したんだ…死んでもいいよ」
「えっ?失恋?って…ボクを?」
俺は彼女の言葉をスルーして、出口から出た。おっ!寒い。まぁ、心も寒いし、問題は無いなぁ。更に出口を目指す。
「行っちゃダメだよ。行かないで!」
ボクの正面から抱きつく後輩氏。
「全裸で寒いだろ?コレ着て、中に入って、佐藤先輩を待てよ」
着ていたシャツを脱いで、彼女に掛けて、彼女を先程の部屋へ、強制転移させた。あれ?なんで、転移術が使えるんだ?まぁ、いいか。
外へ出ると、一面の銀世界だった。身を切る冷たさ。凍死っていいよね。眠るように死ねるって話だよね。俺は、道無き道を進み、斜面から転がり落ちた。
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人肌を感じる…誰だっけ?ここはどこだ?俺を暖めようと、誰かが全裸で抱きついて居る。全身を使って、俺の身体をマッサージしているようだ。
「ごめんね…やっと会えたのに…ごめんなさい…」
誰かの謝る声が聞こえる。誰だっけ?遠い昔に聞いた覚えが有るような無いような…
「ボクで良ければ…ボクを愛してください。半端者ですが…だから、戻って来て!」
俺の身体の一部に変化が…それに気づいた彼女の身体がピクッと反応した。
「良かった…意識が戻って来たんだね。アール先輩、起きて!」
唇に柔らかい物が重なり、暖かい大粒の涙が落ちてきた。
「ここはどこ?」
「ここは神殿だよ。フジサン山麓にある神殿なんだよ」
神殿?
「君は女神?」
「違うよ~!記憶が混濁しているのかな~。ボクです。高杯光子です♪」
あぁ、後輩氏か…って、
「佐藤先輩の物なんだよね?」
「違います。ボクの片思いです。でも、ボクを愛してくれるなら、ボクもアール先輩を愛するように努力します。だから、ボクを愛して下さい」
彼女はこの世界に来て、既に数十年も経っているそうだ。俺的には失踪後6ヶ月位なのだけど…
「もう一人にしないでください。死のうとしないでください。お願いします。出来ることは何でもしますから」
こんな俺に奉仕をしてくれる後輩氏…ごっさんです♪
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この世界のことをレクチャーして貰った。この世界において、彼女は英雄らしい。シガ王国の王祖ヤマトで、ミト・ミツクニ公爵であるそうだ。色々突っ込みを入れたいが…それは、そっちに置いておこう。
「じゃ、ミトと呼べば良いのかな、後輩氏?」
「そうしてください、アール先輩♪」
で、能力、装備品、アイテムの使い方を学んだ。フルダイブ型のVRMMOのような操作らしい。
ストレージと呼ばれる無限な倉庫があり、ゲットした物はそこへ一度収納されるらしい。
「ストレージ内は空だ」
装備品などは、装備可能欄から選択っと…武器は聖剣と魔剣と聖魔剣がある。防具は、スルーアーマーとフルカウンターアーマーの2つ。どこかで聞いた名称だな。あれ?どこだっけ?
魔法、スキルはそれぞれの欄からの選択か、ネーム詠唱だけでオーケーらしい。持っているのは強奪、転移術、瞬動術、蘇生コンポ、二刀流、ウルティマウエポンのようだ。
レベルは1…ジョブは勇者…ジョブの欄をクリックすると、他には殺戮者って言うのがあったので、それに変更するとレベルが999となった。これってカンスト?
ミトに訊いてみた。
「え?勇者だとレベルが1で、殺戮者だとレベル999…う~ん、そういうタイプは初めてだなぁ。まぁ殺戮特化なんだろうね」
ちなみにミトはジョブが勇者だそうだ。勇者と殺戮者のコンビ?どうなんだ、これ?
「どこかの街に行く?」
「だな。ここだと死にたくなる」
「死んじゃダメだよ!いいわね?」
「努力はするよ」
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ミトと共に、シガ王国の王都にやって来た。暖かな日差しが心地良い。
「ここが、ミツクニ公爵のお屋敷だよ。あれ?鍵が変わっている。そうか、ボクの次に継承した者がいるようだ」
ここには住めないらしい。
「お金はあるから、どこかに家を買おう!って、いっても身分が怪しいけどね」
苦笑するミト。まぁ、王祖ってくらいだから、死んでいてもおかしくない年齢だろう。こんな30手前の小娘が王祖って、おかしいはずだ。
「アール先輩も身分が無いし…どうするかな…知り合いを頼るか…」
知り合いがいるのか?
竜の谷という場所を訪れた。ミトが竜神様と知り合いらしく、竜神様を訪ねたのだった。神様を頼って家が貰えるのかな?って、空気に緊張が漂い始めた。何かが来る。
「ミト!」
「えっ?上!空から何か降ってくるよ!」
アンゴルモア大王でも降ってくるのか?いや、流星群が降ってきた。竜達が危ない。瞬動術で龍達から、距離を置き、強奪で流星群の軌道を変えた。って、俺に向かって降り注ぐ流星群…咄嗟にスルーアーマーを装着した。俺の周囲が抉れていく。足場も崩れ、クレーターに吸い込まれて行く。いや蟻地獄に落ちていくような感覚か?
終わったから?いや、第二弾が降ってきた。これも強奪だ!ミトが危ない!豪快に俺に振り注ぐ流星群。これって、誰かがやっているんじゃないのか?終わった頃、術者を強奪した。15歳くらいの少年が現れた。
「てめぇ~か!あの流星群を振らせたバカは!」
「いや、悪気は無い」
「お前の行為で、俺の彼女と竜達が消えるところだったんだよ!」
「アールさん、大丈夫でしたか?」
ミトがやって来た。少年はミトを見て…唖然としている。
「アール?まさか…ヒカルか?」
「えっ?まさか、イチロー兄ぃ?」
頷く少年。泣き付くミト。元の鞘に戻ったようだ。俺は女性運は無いんだと思う。この場から静かに立ち去る俺。
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行く宛ても無くフラフラと…全マップ探索…今居るエリアにはミトはいない。って、赤い点が無数にある場所がある。赤い点は敵対者だとミトが言っていたようだ。そこへ向かった。
小高い丘から覗き込むと、リザード族と人間が戦っていた。人間の方は緑色の点で示されている。俺にとっては中立ってことのようだ。俺にとって知り合いとか仲間は青い点で表示されるらしい。どうするかな?殺戮者としての技量を試してみるか。フルカウンターアーマーを装着して、二刀流でリザード族に斬り込んでいく。
気持ちの良いくらいリザード族を狩れる。殲滅させるか。うん?マップ情報に負傷者が表示されていた。瀕死(女性)とある。助けて上げようっと♪殲滅作業を放り出し、女性の元へ瞬動していく。いや、待て。そうだ♪リザード族の心臓だけを強奪♪これで、殲滅かな?
瀕死の女性は、腹部を切られていた。蘇生コンポってなんだろうか?コレを使ってみる。
『蘇生必要無し…腹部を修復…造血…体力を回復…終了』
と表示された。
「ありがとうございます。あの私…ゼナ・マリエンテールと申します。あなたは?」
「アールです」
「何か、お礼を…」
「身分を明かす物を無くして困っています。どうにかなりますか?」
「あぁ、この戦乱だと、無くしますよね。わかりました。お役に立ちたいです♪」
「ゼナ!大丈夫か~?」
ゼナさんの仲間達が来たようだ。俺は静かにこの場を去った。一対一なら良いが、大勢の女性は苦手であるから…