デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

1 / 86
06/05  誤字を修正


1章
デスマーチから始まる失恋


眠い…

 

とても眠い…

 

完徹7日目…限界だと思います…

 

 

「どう?終わった?」

 

通称メタボ氏がやって来た。プログラマが二人も失踪って、どんだけブラックなんだ?俺はプログラマーとして入社はしていない。テスターとしての入社だ。出来上がったゲームをテストプレイして、バグや改善点を見つけ出すのが仕事なんだけど…

 

プログラムが多少できたせいで、失踪した二人の仕事が押し寄せて来た。通称後輩氏…かわいい子だったなぁ。通称佐藤さん…良き先輩だった。その二人が失踪って…ブラックすぎるでしょ?

 

「終わったはずです。2本ともテストも終わり…見落としが無ければ…」

 

俺の意識はそこまでだった…

 

--------

 

目の前に設問が浮かんでいる。

 

『最強のスキルは何?』

 

強奪だと思う…金、物、人などを奪い取る事が出来、所有権を自分に移せるから…

 

『最強の術は何?』

 

転移術…一度でも行ったことのある場所なら、どこへでも一瞬で行けるから…

 

『最強の魔法は?』

 

どこかの小説で見たウルティマウエポン…相手の弱点属性の魔法をフルバーストで撃ち込めるから…

 

『最強の武器は?』

 

これは難しい…何をもって最強とするかだが、聖剣エクスカリバーと魔剣ダークエクスカリバーの2本使いなら、大抵の敵に対処は出来ると思う…

 

『最強の防具は?』

 

矛盾ってやつだな。そうなると、総ての攻撃を透過出来るスルーアーマーかな。ソロの場合は。チーム戦だと仲間に被弾するので、フルカウンターアーマーとセットが効果的かと

 

『使い魔にするなら?』

 

まぁ、性欲を処理してくれる使い魔かな?性欲だけは、抑えきれない場合があるし…

 

『以上、設問は終わります。今後の参考にしますね♪』

 

俺はジェットコースターに乗せられたのか、一気に落下していく。ここはどこだ?口から胃袋が出そうだよ~。脳ミソが耳から流れ出しそうだよ~。

 

--------

 

ひんやりする風を感じる。床の上に寝ているようだ。7完徹はダメだって…栄養ゼリー食ばかりで、歯が退化していく気がしたもの。起き上がると、知らない場所にいた。あれ?ブラックな会社は?夜逃げしたのか?それにしては広いホールのような場所だ。食い物無いかな…

 

目覚めた場所を彷徨う。目の前に女性が寝ている。全裸だし…溜まっているんですが、そんな無防備な恰好で…いいんですか♪

 

近寄って見ると、後輩氏の面影がある女性。だけど、俺の知っている後輩氏より熟成されている年齢である。たしか大卒くらいだったはずだが、三十路前後って感じだ。

 

俺も全裸になり、肌を合わせた。彼女の肌はひんやりしていた。まるで死体…死んでいるのか…左胸に耳を当てる。耳の穴に乳首が入り、気持ちが良いが、心拍音は聞こえない。唇を重ねて見る。ここも冷たくて気持ちが良い。

 

彼女の中もひんやりしている。これって、屍姦になるのかな?まぁ、良い経験である。7完徹で俺は、どこか壊れたかもしれない。

 

-------

 

心地良い揺れが眠気を産み、うたた寝を繰り返す。遠くで誰かの声がする。

 

「…てよ…ねぇ~」

 

耳の穴に気持ちの良い物がある。人肌を感じ、眠気を誘う。

 

「後10分…」

 

仮眠室かな…後輩氏が起こしに来てくれたようだ。

 

「ねぇ、起きてよ。君は誰?ねぇ~!」

 

彼女の声が聞こえる。

 

「お願いだから…起きて…」

 

俺の舌に彼女の舌が触れた。彼女の口の中で絡み合う。俺の唾液が彼女の中へ…彼女の声は聞こえなくなった。

 

あっ!生理現象だ。目覚めの時に起きるアレ…まだ若いと実感できる現象である。

 

 

「もぅ~、ダメだよ。起きてって!」

 

彼女の声は半泣きだった。

 

「出ちゃうよ~くぅ…」

 

俺は寝ぼけている。現況にある切迫感がまるで分からない。

 

「出さないで…そこで…お願いだから…」

 

ドスン!

 

背中に衝撃を感じた。背中に、ひんやり感…床の上にいるようだ。意識が薄れていく。

 

------

 

暖かい何かで意識が覚醒していく。薄い緑色の光りに包まれていた。

 

「ゴメン…死なないで…」

 

後輩氏の声…俺…完徹7で死に直面しているのか。死ねば、安眠できるかな?

 

「あっ!意識が戻ったんだね。ねぇ、起きてよ~」

 

「後輩氏…後10分…」

 

いつものように声を捻りだす。仮眠室で寝ている俺を、よく起こしに来てくれた後輩氏。

 

「え?ボクを知っているの?その言い方は…アール先輩?」

 

あぁ、俺の名前は田中一郎である。某アニメキャラから、通称アールと呼ばれていた。

 

「後10分…仕事するから…」

 

「もう仕事はいいんだよ。そうか…ダブルでごめんなさい…」

 

俺の唇に柔らかな物が重なった。暖かな水滴が俺の顔に降ってきた。大粒の雨か?

 

-------

 

完全に目覚めた俺は、保存食をパクついていた。後輩氏に、何が起きて、ここはどこなのかを訊いた。どうも、過労死した者が転生する世界らしい。後輩氏も失踪では無く、徹夜続きの後、うたた寝したら、この世界にいたそうだ。

 

「じゃ、ここは異世界なの?」

 

頷く後輩氏。

 

「で、俺は君にケリ飛ばされて、頭をかち割って死にかけたの?」

 

物凄く申し訳無さそうに、頷く後輩氏。

 

う~ん…

 

「で、なんで、裸で寝ていたんだ?」

 

「ボクはこの世界で役目を終えて、イチロー兄ぃが来るのを待っていたんだよ。仮死状態でね」

 

イチロー兄ぃとは、俺ではなく、通称佐藤先輩のことだ。本名は鈴木一郎なんだけど、何故か、入社した時には通称佐藤さんと呼ばれていた。

 

「で、仕事はどうなったの?」

 

「後輩氏と佐藤さんの分は、バグ取り、テストプレイを終えて、メタボ氏に渡したよ…7完徹だった…」

 

「あぁ、過労死だね。それは…」

 

俺に手を合わせて拝む後輩氏。合掌されても…

 

「で、どうすればいいんだ?ここで、後輩氏と身体を合わせまくる生活?」

 

「え?ダメだって。ボクの身体はイチロー兄ぃの物だよ♪」

 

「えっ?そんな関係だったんだ…」

 

ショックである。彼女に好意を抱いていただけに…異世界に来てまでの失恋…ちょっと堪える。ヨロヨロと立ち上がり、服を着て、この場から去ろうとする俺。

 

「どこ行くんだよ?そんな恰好じゃ死んじゃうよ。ここ雪山だから…」

 

死んじゃう?それもいいや。もう…彼女の言葉をスルーして、出口を探す俺。

 

「ダメだって!」

 

背中に彼女の乳房の触感…気持ちいい。だけど、佐藤先輩の物だし。

 

「失恋したんだ…死んでもいいよ」

 

「えっ?失恋?って…ボクを?」

 

俺は彼女の言葉をスルーして、出口から出た。おっ!寒い。まぁ、心も寒いし、問題は無いなぁ。更に出口を目指す。

 

「行っちゃダメだよ。行かないで!」

 

ボクの正面から抱きつく後輩氏。

 

「全裸で寒いだろ?コレ着て、中に入って、佐藤先輩を待てよ」

 

着ていたシャツを脱いで、彼女に掛けて、彼女を先程の部屋へ、強制転移させた。あれ?なんで、転移術が使えるんだ?まぁ、いいか。

 

外へ出ると、一面の銀世界だった。身を切る冷たさ。凍死っていいよね。眠るように死ねるって話だよね。俺は、道無き道を進み、斜面から転がり落ちた。

 

-------

 

人肌を感じる…誰だっけ?ここはどこだ?俺を暖めようと、誰かが全裸で抱きついて居る。全身を使って、俺の身体をマッサージしているようだ。

 

「ごめんね…やっと会えたのに…ごめんなさい…」

 

誰かの謝る声が聞こえる。誰だっけ?遠い昔に聞いた覚えが有るような無いような…

 

「ボクで良ければ…ボクを愛してください。半端者ですが…だから、戻って来て!」

 

俺の身体の一部に変化が…それに気づいた彼女の身体がピクッと反応した。

 

「良かった…意識が戻って来たんだね。アール先輩、起きて!」

 

唇に柔らかい物が重なり、暖かい大粒の涙が落ちてきた。

 

「ここはどこ?」

 

「ここは神殿だよ。フジサン山麓にある神殿なんだよ」

 

神殿?

 

「君は女神?」

 

「違うよ~!記憶が混濁しているのかな~。ボクです。高杯光子です♪」

 

あぁ、後輩氏か…って、

 

「佐藤先輩の物なんだよね?」

 

「違います。ボクの片思いです。でも、ボクを愛してくれるなら、ボクもアール先輩を愛するように努力します。だから、ボクを愛して下さい」

 

彼女はこの世界に来て、既に数十年も経っているそうだ。俺的には失踪後6ヶ月位なのだけど…

 

「もう一人にしないでください。死のうとしないでください。お願いします。出来ることは何でもしますから」

 

こんな俺に奉仕をしてくれる後輩氏…ごっさんです♪

 

-------

 

この世界のことをレクチャーして貰った。この世界において、彼女は英雄らしい。シガ王国の王祖ヤマトで、ミト・ミツクニ公爵であるそうだ。色々突っ込みを入れたいが…それは、そっちに置いておこう。

 

「じゃ、ミトと呼べば良いのかな、後輩氏?」

 

「そうしてください、アール先輩♪」

 

で、能力、装備品、アイテムの使い方を学んだ。フルダイブ型のVRMMOのような操作らしい。

 

ストレージと呼ばれる無限な倉庫があり、ゲットした物はそこへ一度収納されるらしい。

 

「ストレージ内は空だ」

 

装備品などは、装備可能欄から選択っと…武器は聖剣と魔剣と聖魔剣がある。防具は、スルーアーマーとフルカウンターアーマーの2つ。どこかで聞いた名称だな。あれ?どこだっけ?

 

魔法、スキルはそれぞれの欄からの選択か、ネーム詠唱だけでオーケーらしい。持っているのは強奪、転移術、瞬動術、蘇生コンポ、二刀流、ウルティマウエポンのようだ。

 

レベルは1…ジョブは勇者…ジョブの欄をクリックすると、他には殺戮者って言うのがあったので、それに変更するとレベルが999となった。これってカンスト?

 

ミトに訊いてみた。

 

「え?勇者だとレベルが1で、殺戮者だとレベル999…う~ん、そういうタイプは初めてだなぁ。まぁ殺戮特化なんだろうね」

 

ちなみにミトはジョブが勇者だそうだ。勇者と殺戮者のコンビ?どうなんだ、これ?

 

「どこかの街に行く?」

 

「だな。ここだと死にたくなる」

 

「死んじゃダメだよ!いいわね?」

 

「努力はするよ」

 

--------

 

ミトと共に、シガ王国の王都にやって来た。暖かな日差しが心地良い。

 

「ここが、ミツクニ公爵のお屋敷だよ。あれ?鍵が変わっている。そうか、ボクの次に継承した者がいるようだ」

 

ここには住めないらしい。

 

「お金はあるから、どこかに家を買おう!って、いっても身分が怪しいけどね」

 

苦笑するミト。まぁ、王祖ってくらいだから、死んでいてもおかしくない年齢だろう。こんな30手前の小娘が王祖って、おかしいはずだ。

 

「アール先輩も身分が無いし…どうするかな…知り合いを頼るか…」

 

知り合いがいるのか?

 

 

竜の谷という場所を訪れた。ミトが竜神様と知り合いらしく、竜神様を訪ねたのだった。神様を頼って家が貰えるのかな?って、空気に緊張が漂い始めた。何かが来る。

 

「ミト!」

 

「えっ?上!空から何か降ってくるよ!」

 

アンゴルモア大王でも降ってくるのか?いや、流星群が降ってきた。竜達が危ない。瞬動術で龍達から、距離を置き、強奪で流星群の軌道を変えた。って、俺に向かって降り注ぐ流星群…咄嗟にスルーアーマーを装着した。俺の周囲が抉れていく。足場も崩れ、クレーターに吸い込まれて行く。いや蟻地獄に落ちていくような感覚か?

 

終わったから?いや、第二弾が降ってきた。これも強奪だ!ミトが危ない!豪快に俺に振り注ぐ流星群。これって、誰かがやっているんじゃないのか?終わった頃、術者を強奪した。15歳くらいの少年が現れた。

 

「てめぇ~か!あの流星群を振らせたバカは!」

 

「いや、悪気は無い」

 

「お前の行為で、俺の彼女と竜達が消えるところだったんだよ!」

 

「アールさん、大丈夫でしたか?」

 

ミトがやって来た。少年はミトを見て…唖然としている。

 

「アール?まさか…ヒカルか?」

 

「えっ?まさか、イチロー兄ぃ?」

 

頷く少年。泣き付くミト。元の鞘に戻ったようだ。俺は女性運は無いんだと思う。この場から静かに立ち去る俺。

 

-------

 

行く宛ても無くフラフラと…全マップ探索…今居るエリアにはミトはいない。って、赤い点が無数にある場所がある。赤い点は敵対者だとミトが言っていたようだ。そこへ向かった。

 

小高い丘から覗き込むと、リザード族と人間が戦っていた。人間の方は緑色の点で示されている。俺にとっては中立ってことのようだ。俺にとって知り合いとか仲間は青い点で表示されるらしい。どうするかな?殺戮者としての技量を試してみるか。フルカウンターアーマーを装着して、二刀流でリザード族に斬り込んでいく。

 

気持ちの良いくらいリザード族を狩れる。殲滅させるか。うん?マップ情報に負傷者が表示されていた。瀕死(女性)とある。助けて上げようっと♪殲滅作業を放り出し、女性の元へ瞬動していく。いや、待て。そうだ♪リザード族の心臓だけを強奪♪これで、殲滅かな?

 

瀕死の女性は、腹部を切られていた。蘇生コンポってなんだろうか?コレを使ってみる。

 

『蘇生必要無し…腹部を修復…造血…体力を回復…終了』

 

と表示された。

 

「ありがとうございます。あの私…ゼナ・マリエンテールと申します。あなたは?」

 

「アールです」

 

「何か、お礼を…」

 

「身分を明かす物を無くして困っています。どうにかなりますか?」

 

「あぁ、この戦乱だと、無くしますよね。わかりました。お役に立ちたいです♪」

 

「ゼナ!大丈夫か~?」

 

ゼナさんの仲間達が来たようだ。俺は静かにこの場を去った。一対一なら良いが、大勢の女性は苦手であるから…

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。