ゼナの困惑 Part2
私達ゼナ分隊全員が、この街の軍部指令に呼び出された。
「お前達に特別な指令だ。アール士爵を探し出し、このセーリュー市の迷宮の難易度を下げて貰うのだ」
はぁ?今更、アールさんに会えない…それに…
「アールさんは…士爵では無いです。男爵に昇進されています」
と、情報を訂正した。
「何?どうして、ゼナが知っているんだ?」
軍部指令のいかつい顔が、私に迫る。
「どうしてって…この前、アールさんの身分証を見ましたから」
「ほぉ~♪そうか、ゼナの知り合いであったか。ならば話は早いな。直ぐに設定を変えて貰ってこい!」
だから…会えないって…
「会えません!だって…私…彼からのプロポーズ…断ったから…」
軍部指令の前であったけど、涙が止まらない。
「おい…断ったのか?なんでだよ、ゼナ?相思相愛だっただろ?」
リリオが私を優しく抱き締めてくれた。
「うっ…だって、軍籍なんだよ、私。男爵様の妻にはなれないよ~」
リリオの胸に顔を埋めて、号泣した私。
「そうか、相思相愛か♪ならば、そのプロポーズを受けよ!そして、彼をこの街の名誉男爵に据えるのだ。いいな、ゼナ!」
「断ったんですよ~。今更、無理です!」
「無理って言葉は聞こえぬ。いいな、必ずや、この特別指令をこなせ!以上だ。そうか、相思相愛か、意外に早く決着するな。ははは♪」
ご満悦で、私達の前から去る軍部指令…
「酷い…」
イオナの呟き。
「無理だよ…私、彼の心を踏みにじったんだよ~」
リリオに訴える私。
「そうだな…でも、どうにかしないと…う~ん…そうだ。彼に頼むんだ、あの軍部指令をどうにかしてくれってさぁ♪」
「頼めないよ~」
「頼めるよ。男って単純だから、元カノの頼みは聞いてくれるものさ♪」
悪人顔のリリオ…大丈夫なのか?
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翌日、私達ゼナ分隊4名で、アールさんと出逢う旅へと旅立った。
「どこへ向かうの?」
リリオに訊いた。アールさんがどこにいるかがわからない。
「取り敢えず、セダム市だな。補給するとしたら、立ち寄っているはずだ」
「ね、身分証を見たなら、なにか手がかりを覚えていないの?」
ルゥに訊かれた。そうだ…源泉を持っていた。迷宮を2つ持っていた…ミツクニ公爵の配下だった…
「彼…ミツクニ公爵の配下だった…」
「はぁ?おい…隠密じゃないのか…それって…」
って、イオナ。隠密じゃ無いって言っていたけど…涙が込み上げてくる。あの時の嬉しさと怖さが入り交じった感情が甦ってきた。
「彼…迷宮を2つ持っていた…」
「完全制覇を2つも…化け物クラスだぞ…」
って、リリオ。今考えるとそうだよね。完全制覇しないと、マスターズルームっていう迷宮核がある場所に辿り着けない。彼は2箇所で、それをやり遂げたのだ。
「やっぱ…会えないよ~」
馬車の荷台の隅っこで丸まって、号泣する私。無理だよ。どのツラ下げて会えばいいのよ~あんな哀しそうな顔を彼にさせてしまった。私は悪い女である。
「ゼナ…お前は兵士なんだ。命令は絶対なんだぞ。お前は彼の隣よりも、軍籍を取ったんだ。わかるだろ?」
そうだ…軍籍を抜くことも出来たはずだ。彼の隣にいたいなら。でも、私は軍籍であることを理由にしてしまった。
「とにかく、会って、お前の本心を伝えろよ♪」
優しい眼差しで私を見つめてくれたリリオ…そうだね。伝えないと始まらないか…