ミトと共に王様に呼ばれた。
「あのですね…爵位の件なのですが…王祖様が勝手に授けるのはちょっと…」
それはそうだ。あぁ言う物は本来、王様が授ける物である。
「まぁ、暫定的な処置だよ♪」
ミトはどこ吹く風。王様の前でも強気である。
「ですので、私の方から、正式に授けたいと思うのですが…」
ミトの前では弱気な王様。
「うんうん、それで、どうなるのかな?」
王様の裁定をワクワクして待っているミト。
「王祖様は、ミツクニ公爵として、活動して構いませんが…アルジェント男爵は、何故ゆえ降格されたのですか?」
降格?出世街道では無いのか?
「あれ?爵位の順番を間違えたかな?」
ミトが苦笑いしている。
「子爵の方が男爵より上位なんですが…」
王様がミトに言いづらそうに伝えている。
「なるほど…そういうことだよ、アルジェント君♪」
まぁ、俺に実害は無いので、問題は無い。
「で、ですね…アルジェント卿は、ムーノ市の都市核と契約されていますよね?」
あっ、問題はそこか…
「返却すれば良いのかな?」
「いえいえ、そのままでかまいません。ニナ執務官からも、アルジェント卿を外さないでくれと懇願されております。そこでなんですが、都市核を持つと言うのは、領地を持つということで、その資格は伯爵以上に有ります。ですので、アルジェント卿が子爵とか男爵では問題が有るんです」
それは特進なのか?
「なので、アール・アルジェント卿は、ミツクニ公爵付きの侯爵とします。いかがですか、王祖様…」
あぁ、ミトへの最大限の譲歩って感じかな。王様も大変だな、自分よりエライ王祖が生きているって…
「良いんじゃないかな?アルジェント君が、困らないようにしてくれれば良い」
ミトは涼しい顔である。
「もう1名のペンドラゴン卿だが、あれは、ペナルティー中なんで、士爵のままで良い」
「御意!」
王様でも「御意」って言うんだ。いや、言わせてしまうミトがすげぇ♪
「後は、何か問題有るかな?」
「あぁ、私の方から良いですか?」
宰相が手を挙げて発言をした。
「うむ♪」
「で、ですね。現状、アノ辺りはムーノ男爵領と地図では表記されていますので、そのまま行政区もムーノ男爵領としますが、正式名称はアルジェント侯爵領となります」
「その辺りは、執務をされる者に任せるよ。ボクが口を挟むことでは無い」
「あぁ、ご理解、ありがとうございます」
王様と宰相がミトに頭を下げている。
「そうだ。ムーノ男爵はどうなるのかな?」
宰相に質問をした俺。
「完全なお飾りで権限は何もないです。まぁ、訪れた貴族達をもてなす程度の権限しか無いですね。執務官のニーナの方が爵位が上位ですから。まして、ニーナはアルジェント卿の言葉以外、耳を貸さないでしょうし」
鉄血って頑固ってことかな?
「じゃ、カリナは一般人?」
「う~ん…ペンドラゴン卿次第でしょうね。士爵夫人って線もあるでしょうから」
なるほど…
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ミーアとともにボルエナンの森へ…ミーアをエルフの里に置いて、俺はアーゼの元へ。
「聞きましたよ!なんて、無茶をするんですかぁぁぁぁ~!」
泣きながらタックルしてきたアーゼ。大きな胸が一瞬プロテクターに見えたのは内緒だ。
「でなんだけど…人間で無くなったらしいんだけど、婚約はどうなる?」
「うん?問題無いよ。寧ろ、好都合だよ♪人間は寿命が短いからねぇ~」
なるほど…
「リッチになったんだけど…」
「うん、ルールブックを調べたよ。でねぇ、不死者と結婚しちゃダメって書いてなかったよ♪そもそも神様も不死者だし」
あぁ、そうだね。簡単に自己蘇生するそうだ。この世界の神様は…
「だから、ノープロブレムだよ♪」
問題が無いらしい。次に問題になりそうな、セーラのことを話した。
「うん♪それも問題ないよ。むしろ嬉しいかな。ダーリンがもてるって、嬉しいよね♪」
そういうものなのか…
「1000人くらい子供を孕ませれば、神様と同格になるらしいから、一人3人産み落とすとして、300人くらいは問題ないよ」
産み落とす?卵を産む訳ではないのだが…
「300人は無理だろ…俺の記憶力では、名前は覚えきれない」
「うん♪そういうと思ったよ。でも、問題は無いから。私はダーリン一人だから♪」
こんな俺にベタ惚れ…有り得ない。連敗街道を歩んでいたんだし。
「困ったり、悩んだりしたら、気軽に来てね♪」
アーゼと一夜を共に過ごした。
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ミーアをアリサに預け、ニナの元へ向かった。
「侯爵就任、おめでとうございます。アルジェント卿の配下として嬉しいです」
って…えっ?配下?
「配下って?」
聞き間違えたのかと思い、聞き直した。
「今まで私より爵位が低かったでは無いですか。それでは、配下にされませんから♪これで、公式に表明できます」
って、俺の配下になったと言い張るニナ。
「まぁ、ニナにまかせるよ。そっち系は疎いから」
「まかせてください。執務系、事務系はプロですから♪」
いい笑顔を俺に向けるニナ。
「で、立て直し具合はどうかな?」
「ムーノ男爵がネックですね。公金を使い込む始末です」
今まで通りの税金では無い、緊縮財政なのが分からないらしい。
「勇者研究の一人者と称し、その手の資料を公金で購入して、勇者博物館なる物まで、建設するようです。住民達は反対なんですけどね」
反対だろうな。魔族に洗脳されていたとは言え、高額な税金を納めさせた悪代官だし。
「俺も反対だよ。勇者研究か…サガ帝国には現役の勇者がいるんだったよな?」
「えぇ、そうです」
「国外追放させるか…執務にジャマだし。宰相に相談してみるよ」
「お願いします」
「足り無い予算の予算資料を纏めておいてくれ。緊急性のある件は優先的に金の工面をするから」
「申し訳ありません」
「しょうがないよ、税収が少ないんだし、税率を低くって命じたのは俺だし」
「あなたが上司で良かったです。これからもがんばりますので、たまには見回りに着て下さいね♪」
「あぁ」
ニナと軽く口づけをして、次の目的地へ…なんか、働いている感が満載である。もう死ぬ事はないはずだけど…
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「先輩…ギブミー金♪」
サトゥー先輩の元へ…まだ、トルマの家にいた。
「あぁ、金で済むなら、金で解決するさ」
って、お金持ちの先輩。
「カリナの親の浪費のせいだからね。旦那としては出すのは当然だよね?」
「おい!旦那になった訳では無い」
「そうそう…カリナは一般人になったからな」
先輩の隣にいて、先輩に甘えている巨乳娘に伝えた。
「え?どういう意味だ?!」
「そういう意味だよ。お前の親父は名ばかりの男爵になった。権限は貴族をもてなすことだけだ」
「そんなはずは無い。太守だぞ!」
太守とは都市核の管理者のことである。
「悪いなぁ。太守は俺だ!」
「嘘を言うな!」
剣を抜き、俺に切っ先を向けてきた。
「じゃ、確認してみな♪」
俺は迎賓館へ転移した。
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疲れた…寝室へと向かう。ベッドに横になると、すぐに睡魔が迎えに来た…
「終わったか?」
メタボ氏の声…あぁ、寝てしまったようだ。どこまで報告書を書いたっけ?
「取り敢えず、ここまで書けました。で、佐藤先輩と後輩氏はその後、どうなりました?」
俺の手渡した報告書を見ながら、
「出社しないんだよ。二人共帰った形跡が無いらしいし…二人で駆け落ちかな?」
駆け落ちかぁ…いいなぁ…
「アール君は、その心配は無いので安心だよ♪」
まぁ、駆け落ちをする相手がいない。もう半年くらい家に帰った記憶が無い。たまには、帰るかな…
佐藤先輩のデスクに立ち寄った。デスクの下に仮眠ルームを作っていた先輩。そこをなにげ無く覗くとミイラ化した先輩がいた。ここにいたのか…誰も気づかなかったのか?俺がそのミイラを手に取っていたのに、誰も見ようとしない。いや、気づいていたんだ。だけど、見ない振りをしていただけだろう。タダでさえ忙しいのに、厄介ごとはゴメンって感じなんだろうな。
俺は先輩のミイラを、大切にキャリーバックに詰めて、会社を出た。以前、後輩氏に彼女の家の場所を聞いていた。その記憶を頼りに、彼女の家へ向かった。石段がつづら折りになって続いている小高い丘。途中には、赤い鳥居が立っている。キャリーバックを大切に持ち上げて、石段をゆっくりと昇っていく。鳥居を潜ると、平地になっていた。ベンチもある。そこに腰を下ろして、しばしの休憩。ふと、後を見ると、斬り断った崖だった。そして、ふと目に入ったのは、崖の底にある骨らしい物。
ここに座って、睡魔に襲われたら、崖に吸い込まれて行く…そんな笑えない情景が脳裏に浮かぶ。睡眠不足で眠ってしまった後輩氏…崖に吸い込まれて行く…俺は、崖を降りられる場所を探し、底へ向かっていく。そして、雨ざらしになって、色がはげている後輩氏のスマホを発見した。スマホを見て居て、寝落ちしたのか…その付近に散らばる骨の様な物を広い集めて、先程の平地を目指して昇っていく。
キャリーバックに後輩氏を詰めて、更に上に昇っていく。
「どうした?」
昇り切ると、知らない女の子が話し掛けてきた。
「知り合いを弔いに来たんだよ。どこか、静かな場所はあるかな?」
「うん♪こっちだよ~♪」
彼女に導かれて進むと、大きな石で出来た3連の鳥居があった。そこを潜ると森に出た。俺は、そこに穴を掘り、先輩と後輩氏の成れの果てを埋めた。
「お兄ちゃんは、どうするの?」
「帰って、二人の仕事を終わらせないと」
「そう…いつか…また来てくれる?」
「あぁ、機会が有ればな」
「約束だよ」
俺は笑顔で見送る少女を残して、鳥居を潜り、元の場所へ戻った。
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身体が揺すられる。地震かな?
「夕食ですよ~」
誰かの声…
「おい!昼寝が長すぎるぞ~」
後輩氏の声だ…仕事かぁ…
「後10分…」
「毎回、それかよ~。まったく…では、今日はサプライズゲストにして貰うかな♪」
サプライズゲスト?佐藤先輩はカンベンである。
柔らかな物が唇に…あれ?この感触、どこかで…恐る恐る瞼を開けると、ゼナがいた…
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夕食…サプライズゲストとして、ゼナ分隊4名もいる。
「心臓が止まるかと思ったよ~」
「はぁ?お前、起きてから30分くらいしないと、心臓が動かないだろ?」
って、ミトの指摘。確かにそうだ。死んだように眠るでは無く、俺の場合、死んで眠るであるから…
「なんで、ゼナがいるんだ?」
「えっ!それは…あの時、言えなかったことを言う為です」
涙目のゼナ。
「はっきりと言われたけど…」
「うん…自分の気持ちに嘘を吐いてしまいました。ごめんなさい…」
今更、謝られても…
「プライベートなことは、二人の時に話して貰えるか?頼みがあってきた」
イオナが軍指令から受けた理不尽な命令について話した。
「その軍指令をボコれば良いのか?」
「出来れば、解任かな…」
軍のことは軍に任せるか…
「後で、ジュレちゃんに頼んでみるよ」
「うん?ジュレちゃんって誰?」
イオナに聞かれた。
「えぇっと…本名は…」
「お前は、記憶力が無さ過ぎだよ。シガ八剣筆頭のジュレバーグの事だ」
って、ミトが補足を入れてくれた。
「ジュレバーグ殿をちゃん呼びて…」
ゼナ達が引いている。なんでだ?
「で、命令に逆らうんだ。お前達は戻れないだろ?なぁ、うちに来ないか?」
って、ミト…何を企てているんだ?
「うちとは?」
ゼナが恐る恐る訊いた。俺も恐る恐る聞き耳を立てた。
「ミツクニ公爵付きの兵になって欲しいんだよ。アルジェント卿は、仲間をいっぱい囲っているけど、私の直下は問題有りの爵位持ちが2名しかいない。だから、君達4名を雇いいれたい。この決定にはセーリュー伯爵の異論反論を認め無いとする。どうかな?」
「どうかなって…」
戸惑うゼナ。
「伯爵なら、アルジェント侯爵の方が爵位は上だ。困ったら、アールを頼れば?」
えっ!それは…
「じゃ、反論が無いので決定だ。今日からミツクニ卿配下の部隊だ。で、ゼナはアールの第3夫人候補だ。いいな!」
第3夫人…まさか、300人ほど、作る気なのか…
『協力はするよ♪』
心がミトに駄々漏れていた。
「今更…」
「今からだ。過去なんか、アールは覚えちゃいない。そうだろ♪」
頷いておく俺。
「そうなんですか…」
ゼナが俺の顔を見つめている。
「後、うちには軍籍は無い。だから、ややこしいことは抜きでいい」
ややこしいのが苦手なのは、ミトだと思うけど…