「ねぇ、なんで…私のスマホが有るの?」
ミトに訊かれた。
「スマホ?どこかで拾ったような…」:
「どこで?ねぇ、想い出して…お願いだから!」
必死に訊いて来たミト。どこだっけかな?あぁ…そうだ…
「夢の中で拾ったんだ。だけど、なんで、有るんだ?」
「夢?どんな夢?」
う~ん…思い出して見るが、うっすら、断片的にしか想い出せない。
「あっ!そうだ…そうだった…兄ぃからのメールを読んでいて…気づいたら、この世界にいたんだ…ねぇ、私は見付かったの?!」
コイツ、俺の夢の断片も見えるのか…
「埋めた…後輩氏の神社の奥にある、石の鳥居が3つ連なった先にあった森にね」
「そんな鳥居は無いよ…」
無い?じゃ、夢だからか…
「赤い鳥居の先に踊り場みたいなのがあって、ベンチは無かったかな?」
「それはあった」
「じゃ、うちの神社だけど…あっ!まさか…ねぇ、転移して欲しい場所があるんだけど」
ミトから座標情報が送られてきたので、そこへ転移した。ここは…セーリュー市近くの街道の脇のようだ。
「あった…これ…だ」
ミトの見つけた物を調べると『壊れた転移門』とポップアップ表示された。肉眼で確認すると3つの石鳥居が3つ横倒しになっていた。あっ!これって…
すると、この先の森だ…俺とミトは、倒れた巨石の脇を通り、森に入った。確か…木々に囲まれて…場違いのチューリップが一輪咲いている場所を見つけた。ここだ…チューリップを大切に掘り起こし…穴を掘っていくと…『田中一郎』と書かれたキャリーバッグが出て来た。これだ…ゆっくりと、地上へと出し…チャックを開いた。
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目を真っ赤に腫らしたミトが巨石の上に座り、あの森を眺めていた。
「先輩…ありがとう…だけど、なんで、チューリップ?」
「家で育てようと思って買ったんだけど、半年ほど家に帰れなくなってねぇ」
「そうか…私と兄ぃがいなくなったから…」
夕日がきれいだ…隣にはミト…う~ん…恋人同士でないのが辛いところだ。
「先輩を召喚した者が、あの夢を見せてくれたんだろうね。私と兄ぃの退路を断つ為に…」
そうなると、俺はここに、以前来た事があるってことだ…あの時の少女が、俺を召喚したのか?何の為に…いや、違う。俺が約束したからか…たぶん、俺ももう…退路は断たれているんだろう。
「帰るか?」
「どこへ?」
あの日へ…帰れないけど…
「迎賓館だ。イネちゃんの部屋でもいいけど…」
「イネちゃんの部屋にするか♪」
では…
「また、ですか…私のベッドのコピーを何個も作りましたよねぇ~」
「イネちゃんを抱き枕にして…」
「えぇぇぇぇ~!そんなこと、今日が初めてじゃないですかぁぁぁぁぁ~!」
イネちゃんを押し倒して、上に載ると睡魔がお迎えに…
「重いです…退いて下さい…もっと大人になったら、お願いしますぅぅぅぅ~」
遠くでイネちゃんの声が…
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身体が揺さぶられている。
「お~い、起きろよ~」
後輩氏の声…仕事はしたく無いんだけど…
「後10分…」
「う~ん、イネちゃん♪」
「私はお子ちゃまですよ~」
「じゃ、ゼナちゃん、お願い…」
「え…えぇっと…」
ゼナの困ったような声だ…
「おい!ゼナを虐めるなよ!」
「おっ!起きた…奇跡だ…」
って、ミト。服を脱ごうとしているゼナ。
「お前…ゼナに何をさせようとしたんだ?」
「全裸で抱き締めれば、起きるって…」
「余計に安眠しそうなシチュエーションだぞ♪」
「試す?」
「いや、ゼナを困らせる訳にはいかない」
困ったって顔で俺を見るゼナ。どうして?
「私では力不足ですか…」
「そうじゃないんだよ、ゼナ…」
えぇぇぇ~!逆効果か…
「お前、本当にゼナちゃんが好きだな♪」
って、ミト。悪いか?
「悪くないよ。さて、帰るか。イネちゃん、ゴメンね」
「約束…護ってくださいね」
約束?何?
「イネちゃんが成人したら、アルジェント君が抱くんだよ~♪」
なんてことを約束したんだ?
「ほら!早く転移して♪食事の時間だ」
わがままなミト…腰にはスマホから外したストラップが付けられていた。
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後日訪れたら、あの鳥居の残骸の石で、お墓が出来ていた。お墓の前には、あのチューチップが植えられており、墓石には、
『鈴木一郎 妻光子 ここに眠る』
と、シカ語と日本語で刻まれていた。
なんか、また振られた感がするんですが…