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久しぶりにヒカルの元へ…久しく会わない間に、色々と変わっていた。
アールが侯爵となり、ムーノ男爵領の実質的な太守になっていた。更に、アールの婚約者は3名もいるらしい。う~ん、侯爵様にもなると、嫁に困らないようだ。
羨ましがっていた俺を、ヒカルは叱責した。
「兄ぃ…なんで、大事な時にいてくれなかったんだよ~。先輩は、もう人間では無いんだよ」
俺に泣き崩れるヒカル。俺がカリナやトルマ達と楽しく暮らしていた間に、アールは命を捧げて、一人の女性を魔王の手から救い出したそうだ。
「俺なら命をロストするようなドジは踏まないな」
「だったら、そういう時にいてよ!」
元勇者の拳骨を頬に受けた。痛い…痛すぎる…何故…殴る…
「後、これ…」
え?スマホを手渡して来たヒカル。この世界にスマホが有るのか?これ…俺のだ…仕事場で使っていたヤツ…記憶が甦って来た。机の下に潜り込み、スマホでヒカルからの最後のメールを見ていて…
「このスマホはどうしたんだ?」
「アール先輩からの贈り物だよ…先輩は私と兄ぃを弔ってくれていたんだ…」
弔った…それは、退路が無いってことでは…おい…
「先輩は。私達のやり残したことを、私達の代わりにしてくれていたんだよ」
そうなのか…仕事も…かっ…
「なのに、なんで、先輩がピンチの時に、傍にいないのよ~!」
怒りのポイントはそこか…そう言われてもなぁ。
「お前こそ、なんで、傍にいなかったんだ?」
「いたかったよ。でも、神殿を護れって…先輩に指示されて…」
「傍にいなかったヤツに言われたく無い。そもそも、俺に知らせたか?」
「あっ!知らせていなかった…」
「じゃ、俺を責めるのは筋違いだよ。結局、アイツが弱いから、人間を辞めただけだろ?」
「そうだよ…先輩の能力は全部で10個ないもん。私や兄ぃよりも遥かに少ないんだよ」
「俺に助けを求めない、アイツに非があるんだ」
無表情スキルで乗り越える。理責めなら勝てそうだ。だけど…俺は金で解決出来ないくらいの負い目を負った気がする。
「そうだよ。非が私と先輩にある。だけど…」
いきなり、ヒカルから座標情報が送られて来た。そこへ二人で転移した。森の中に、真新しい墓があった。チューリップが一輪植えられていた。墓石には…はぁ?なんだ?
『鈴木一郎 妻光子 ここに眠る』
と、シカ語と日本語で刻まれていた。
「これって、お前が建立か?」
「悪いか?」
涙目のヒカル。う~ん…
「俺の遺体が埋まっているのか?」
墓を調べると、『ミイラ一体、骨多数が埋葬』と表示さえれた。
「ミイラ化した兄ぃと、骨の欠片になった私が埋まっている」
探査情報と同じだ。じゃ…ここに俺が…
巨石に座り、森を眺めている。もう、あの過労死の世界へ戻らなくて良いようだ。だけど…
「兄ぃは料理人として活躍するんだね。じゃ、もう会わない方がいいかな」
「なんで、そうなるんだ?お前の専属料理人として、雇えよ♪」
「う~ん…先輩がいるよ」
「それはネックだな。俺とアールだったら、どっちを取る?」
「兄ぃに決まっているでしょ♪」
アールはいつだって、救われないなぁ…女性運の無さ、可哀想に。
「だって、先輩はもう人間では無いから…」
うん?選択基準はそこか?
「戻せないのか?」
「睡眠中は、心臓が止まっているよ…」
「ダメだな…もう…」
「だけど、不死王だから、どうやっても死ねないんだよ。って、既に死んでいるからだけどね」
未来永劫、そのままだな。聖属性だもんなアイツ…聖属性の不死王って…無敵じゃないのか?みんなが死んでも、アイツは生き残るんだろうな。ぼっちで生き残るって、どうなんだ?
「身体再生能力はあるし、痛点が無いらしいし…どうするんだ、先輩は…」
最悪では無いか…倒せないのか…倒せないなら、
「封印するか…」
「してみなさいよ。先輩の仲間がだまっていないと思うけどね」
それが厄介だ。そこそこ強いからな、アイツの仲間は…
「じゃ、今後の身の振り方を考えて置いてね…」
そうだな…恵まれているようで、救われないアールのアシストは必要かな…