ミトを訪ねて、ラムちゃん似のテンちゃんがやって来た。
「ミト…会いたかったよ~。目覚めたらいないんだもの…」
彼女の種族はホムンクルスだ。
「テンちゃん…ごめんごめん」
平謝りのミト。
「あれじゃ、テンちゃんっていうより、ラムちゃんですよね?」
って、アリサは俺と同意見のようだ。
「やはりテンちゃんは、ガッチャンみたいでないとなぁ」
「そうですよね~」
そんな会話をしている俺とアリサに、苦笑いを浮かべるミト。ミトも話に付いて来ているようだ。
「うん?何…何故、魔なる者がいるんだ?」
ラムちゃん似のテンちゃんが、俺の前に来た。
「そうか、ミトを拐かしにきたんだな。許さない!」
いきなりの鉄拳制裁…痛くは無いが、脳ミソが揺れる…あのジェットコースター感覚が蘇る。
『スキル:見えざる手を覚えました』
それは、脳ミソが揺れる怠惰な司教のスキルではないか…早速使い、テンちゃんの手足を拘束し、胸などを悪戯した。
「え…何をしているんだよ~。やめてよ~」
涙目になるテンちゃん。
(自主規制…)
5分後、全裸で体液塗れになって、床に転がるテンちゃん
「何したの…」
ミトが俺を見て居る。
「新たなスキルが手に入ったから、使ってみた♪」
「どんなスキル?」
「『見えざる手』だよ」
「まさか、脳ミソが揺れる怠惰な司教の?」
「あんな感じだよ」
これの意味がわかるミトとアリサが怯えている。まぁ、見えない手で手足を拘束されたら、恐いよね…
「イメージ的には千手観音かな…」
「え?千本も手があるの…」
何かを想像したのか、ミトの耳が朱い。
「で、そのラムちゃん似のテンちゃんは誰?」
「私の勇者時代の相棒で、天竜のテンちゃんの思念をコピーしたホムンクルスよ」
「えっ!それって、昔話にある、天竜に跨がった勇者が、魔王を倒したって話しに出てくる勇者?」
リリオが訊いた。
「あぁ、それって、私よ♪」
ミトが嬉しそうに答えた。
「一体何歳だ…」
頬がぴくつくリリオとイオナ…そんな昔の話なのか…まぁ、昔話レベルだしなぁ。
「はぁ~い、そこ♪女性に歳の話はダメよ~!」
そうだろうな…
意識が戻ったテンちゃんに、ミトが俺のことを説明した。
「お前、バカだろ?都市核のマナを直接受け取るって…」
呆れた表情で俺を見るテンちゃん。体液塗れての全裸の女性に言われてもなぁ…
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ミトが宰相に呼ばれ、ガードにゼナ隊がついて行った。俺は、暇なので、アーシアと共にお散歩である。リザ達はジュレちゃんに鍛錬をして貰っていて留守。セーラとルルは料理の腕を磨いているようだ。ナナとアリサには、ミーアの相手を頼んで有る。
お城の敷地にある桜の大木…巨木か?いや、老木かもしれない。まぁ、ちょっと気になり見に来たのだ。
幹の傍に、桜色の髪の毛の少女が佇んでいた。顔色は良くない。こういう場合、桜の精なんだろうな。
「元気無さそうじゃん」
驚いた表情で俺を見る少女。
「私が見えるの?」
「見えるから、話し掛けたんだが…」
「そうだよね…最近。根っこからマナの吸い上げ量が減っているんだよ。このままだと、立ち枯れかな…」
立ち枯れ?どこかで、似たような事を…あぁ、赤兜か。ダンジョンの起動にマナを横取りされていたんだっけ?よく覚えていないけど。そうなると、ここにもダンジョンが起動しているのか…
「アーシア、マナの横取りが無いかを調査してくれ。横取りを見つけたら、そのラインをシャットダウンだ」
「了解」
「え…どうして、ダンジョンコアが一緒にいるの…」
俺を怯えて見ている桜の妖精?
「まぁ、諸事情だよ。話すと長いが…」
「横取りを見つけました。お城の地下に地下迷宮を見つけました」
お城の地下にあるのか…
「入り口を見つけてくれ」
「了解です」
「もう1つ、あの桜の樹へマナの供給ラインを増設出来るか?」
「出来ます…出来ました」
桜の妖精の顔色が良くなっていく。
「貴族の屋敷に入り口があります」
不法侵入するか…って、兵士達に取り囲まれた。こいつら、何?
「おい!貴様!ここは、『聖桜樹』の禁域だぞ。許可無く入るとは怪しいやつめ!」
俺とアーシアに剣やヤリの切っ先を向けてきた。どうするかな?
「私は、シガ33杖の一人、『桜守り』のアテナだ!逃げられないぞ」
「おい!何事だ!」
あぁ、知り合いが来てくれた。
「ジュレちゃん、コイツが戦えって言うんだよ。殺していいかな?」
「あっ!アルジェント卿…おい!アテナ、お前、なんて人になんてことを…」
ジュレちゃんが、アテナって杖使いに、俺のことを説明している。
「えぇぇぇぇ~!ミツクニ公爵様の側近…ご無礼を…」
面倒だから、スルーだな。
「ジュレちゃん、お城の地下に迷宮があるみたいだけど、情報ってある?」
「あぁ、随分昔にあったらしいです。廃れた迷宮の上にお城を立てて、マナをお城に供給させたとか…」
それは効率がいいが…
「その迷宮なんだけど、再起動をしようとしているようだ。資料があったら、直ぐに用意してくれるかな?」
「はっ!アテナ、アルジェント卿の指示だ。直ぐに資料を探し、持ってこい!」
「はい!」
名誉挽回したいのか、張り切るアテナ。
「ジュレちゃん、シガ八剣と俺の仲間達に、武装の準備をさせてくれ」
「わかりました」
久しぶりに殺戮が出来そうだ♪
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迎賓館に戻ると、リザ達が武具を装備していた。
「ミト、城を護れ!ナナはミーア達の盾になれ。リザ、ポチ、タマは来てくれ!」
「今、兄ぃを呼んでいるよ」
って、ミト。
「奇跡の料理人は要らない。その代わり、テンちゃんを借りるよ」
「それはいいけど…弄ぶなよ!」
「あぁ、今夜はミトで千手観音プレイだ♪」
「はぁ?」
真っ赤な顔のミト、妄想しましたね。あんなこと、そんなこと、こんなことを…
アテナの持ち込んだ資料で、入り口を特定した。貴族の家に2つ、お城の地下に1つだ。
「じゃ、俺はお城の地下から攻める。ジュレちゃん達は、貴族の家を頼む」
「了解してました。おい!行くぞ!」
「俺達も行くよ♪」
アーシアに道案内をしてもらう。
「アーシア、迷宮核の元へ連れて行ってくれ。ここも貰う♪」
「了解です」
自分の制御下に置くのが、一番の安全策である。一緒に来たいって言われたら、アーシアみたいになって貰えばいいし。次はソーナ・シトリー似のホムンクルスがいいかな♪
お城の地下に着いた。どこから入るんだ?アーシアが、迷宮核と交信をして、秘密の入り口を開き、そこから侵入した。
アーシアによると、この迷宮は廃れていたので、所有者がいないらしい。なので、既に俺の名義で登録したそうだ。マスターズルームに行かないでもいいのか?
更に、今怪しいことをしている連中は、この迷宮の所有者になる魔王か悪魔を呼び出す儀式の準備をしているそうだ。
「アーシア、俺達を儀式会場へ転移させてくれ」
「了解です」
迷宮の所有者は、迷宮内なら、どこにでも転移する権限を持っているのだった。その為、俺達は儀式会場へ転移出来た。そこには、黒ずくめの人間がうようよいた。うん、血の臭いがする。会場の中央にある杯からするようだ。
「リザ、タマ、ポチ、テンちゃん♪コイツらを殲滅だ!」
「了解です」
「了解?」
「了解なのです♪」
「殲滅か?」
俺も殺戮者へチェンジ…あれ?出来ない…魔神レベル1になったようだ。まぁ、いいか…人間を屠りながら、杯に近寄っていく。で、手を伸ばして、杯を手にした。響めく黒ずくめの輩達。あれ?手にしちゃダメなのか?
杯の説明を見ようとすると、『聖杯』という文字がポップアップした。あぁ、これが聖杯なのか。中には旨そうな血が並々と入っていた。ソレをぐっと、一気飲み♪う~ん、旨い♪もう一杯って感じだよ。
「何!聖杯を手にして、中身を飲んだって…」
俺を恐怖の対象に見立てる黒ずくめの集団。お前らが用意したんだろ?
「近寄るな!」
はぁ?何で?黒ずくめのリーダー格を追い詰める。あれ?レベルが上がっている。なんでだ?
「聖杯の中身はなんだ?」
「汚れない乙女の血…」
セーラか?まさか…いや、セーラは汚れているか…魔王に蹂躙されたし。
「アルジェント卿!殺さないでください!」
ジュレちゃんの声がした。ジョブを侯爵へチェンジした。
「こいつがリーダー格のようだ」
「派手にやりましたねぇ…」
ジュレちゃんの顔は顔面蒼白であった。そんなに酷い死体は無いけど…ほとんど、燃えて灰になっているし。
「ご主人様、三名とも怪我はかすり傷程度です」
リザが戦果報告にきた。リザ達三人に回復術をし、傷を癒やした。次に蘇生コンポで、俺の飲んだ血の供給源を蘇生すると、5人ほどの巫女が現れた。
「ジュレちゃん、誘拐された巫女達だ。事情を訊いて、それぞれの神殿へ返還してくれるかな?」
「御意!」
リザ達を迎賓館へ転移させ、俺とアーシアはマスターズルームへ転移した。
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迎賓館へ戻ると、セーラが泣き崩れていた。
「どうしたんだ、セーラ?ミトに虐められたのか?」
「虐めてないよ~」
って、ミト。
「じゃ、なんで、泣いているんだ?」
「お姉様が…戦死したそうです…」
「なんだ…セーラ、その程度のことなら、泣くな♪」
セーラの頭に手を載せ、セーラの記憶から、セーラの姉を蘇生した。
「チートだろ…お前…」
ミトが驚いている。いや、ゼナ達もだ…
「お姉様…目を開けて下さい」
セーラは驚いている暇は無いようだ。
「ここは…なんで、セーラがいるんだ?」
「お姉様…良かった。本当に良かった」
セーラは、全裸の姉に縋り付いて泣いている。俺の蘇生って、全裸でしか蘇生が出来ないらしい。
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「リーングランデ・オーユゴックです。この度は、私の事、妹の事…ありがとうございました。よろしければ、アルジェント卿の末席にお加えください」
セーラの姉、リーンが、俺の配下になりたいそうだ。まぁ、ストライクゾーンなので、許可した。セーラも姉といたいようだし、当のリーンは死んだことになっているし。いや、実際に死んだけどね。
「リーン、籍は俺の方でいいけど、ゼナ達とミトの護衛が、主な任務だ」
「わかりました」
「じゃ、一仕事終わったから、寝るよ…」
「セーラ、お願い」
ミトの声…セーラに支えられて、ベッドへイン♪
唇に柔らかい物が…
「おはようございます♪」
瞼を開くと笑顔のセーラがいた。
「おはよう…」
起きてから30分くらいは、誰かと一緒に朝の運動をして、血行を徐々に良くしていく。睡眠中に心臓が停止するって、不便である。この不死の身体になってから、起床後、1時間は殺戮以外では使い物にならないらしい。
リーンには、ミトから俺の扱い方の説明がなされたようだ。
「妹の為に…すみません」
俺に頭を下げているリーン。
「気にするな。セーラも俺も生きている。いや、俺は…とにかく、深く考えないようにしている。こうして、みんなと生活出来ているし♪」
「ありがとうございます」
恩義、忠義に厚そうな女性だな…
しかし…良いことをしたのに、窮地に追い込まれるのは、どうしてだ?
「リーングランデの葬儀はシガ王国、サガ帝国の共同で行われるのだ」
って、王様。セーラが王様の孫であるならば。リーンも同じである。そして、一般市民を含む大量の人の目の前で、リーンは魔王と対峙して死んだそうだ。そして、リーンはサガ帝国の勇者の従者と来ている。記念式典向きな死亡事案である。
「生きているのが、まずいのだよ。王祖様、どうすれば良いですか?」
「生き返りました。チャンチャンで、お終いじゃダメ?」
「私個人的な心情は、それで良いのですが…」
「じゃ、予定通り葬儀をすれば良いじゃん。リーングランデとリーンは別人にすれば良いんだし♪」
俺の提案に、みんなの目が点に…
「あぁ、さすがはアルジェント卿ですね。それでいきましょう♪」
って、宰相。ナイスアイデアだったのか?
「あと…アルジェント君、何か言うことがあるのでは?」
ミトが改まった言い方で俺に訊いて来た。
「何を?」
「やらかした件だよ」
やらした?あれかな?
「聖杯に並々と注がれた汚れ無き乙女の血を一気飲みした件?」
「お、お、お前…そんなことも、やらかしていたのか…」
物凄く驚いているミト…、王様と宰相も顔面蒼白である。
「でも飲んだお陰で、蘇生はしたよ。あの5名の巫女がそうだよ」
「なるほど…怪我の功名か…うん?聖杯?それはどうした?」
「汚れていたから、浄化して、俺の物にしたけど…」
ストレージから取り出した聖杯…青白い光を放っている。
「う~ん…それを素手で持てる、先輩はスゴいと思うよ」
「え?持てないの?」
「人間程度では、神々しさで身を焼かれるはずだ」
あぁ、だから、あのリーダーは俺を恐怖の対象として見ていたのか。聖杯をストレージへしまった。
「そうそう、聖杯を自分の物にしたら、蘇生コンポ時に魔力の低下がなくなったよ。スキルへ昇格したみたい」
「それは、聖杯の力だよ。そうか。あの蘇生コンポって、元々聖杯の機能だったんだ」
何かに納得しているミト。
「ソレくらいだよ。やらかしたのは…」
「はぁ?ちょっと、待て!ダンジョンコアの所有者になった件は?」
「あぁ…所有者無しだと、魔王の発生源になるだろ?だから…」
「契約したのか…先輩、3つ目だよ。全制覇でも狙っているの?」
「狙ってはいないよ。うん、偶然だよ♪」
「そういうことだ、王よ!」
「なるほど…安心しました。アルジェント卿なら、問題はありません」
なんの問題だ?
「変なヤツが契約すると、碌なことが起きないって事だ。アルジェント君は斜め上を行くから、問題は違う方向へ行くから、安全だってことだ」
斜め上…
「深く考えると、知恵熱でるぞ~♪」
って、嬉しそうなミト。