俺の目の前に怯えた顔の少女が3名…首に首輪を嵌められていたので、首輪を外して上げた。彼女達の身体は震えていた。顔は青ざめていた。俺は、そんなに凶悪な顔なのだろうか…
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何をすべきか歩いていると、馬車の荷台に首輪を嵌められた少女達が見えた。ふと、人肌が恋しくなっていた俺は、彼女達を『強奪』した。少女達が消えたことで、あたふたする荷台にいる男共。
俺は強奪した少女達を舐める様に見た。
そして、冒頭へ…
彼女達のステイタスを見ると
「蜥蜴 蜥蜴人族 所属:アール ジョブ:奴隷」
「犬 犬人族 所属;アール ジョブ:奴隷」
「猫 猫人族 所属:アール ジョブ:奴隷」
に、なっていた。奴隷なのか…ジョブを『強奪』するとどうなるんだ?
「蜥蜴 蜥蜴人族 所属:アール ジョブ:召使い」
「犬 犬人族 所属;アール ジョブ:召使い」
「猫 猫人族 所属:アール ジョブ:召使い」
と変化。こっちの方が人道的かな。未だに俺に怯えているし。
「お前達は自由だ。もう奴隷になるなよ」
手の平でバイバイして、その場を静かに去った。どうせ、俺には女運は無いのさ…って、更に自分を追い込む俺。どこかいい死に場所が無いかな?
「見つけた!」
見付かった…誰に?
声の主を見ると…ゼナだっけ?
「なんで、お礼をしようと思っているのに、立ち去るんですか?」
「大勢の女性は苦手なんだよ~」
「えっ?3名も女の子を連れているのに?」
「えっ?」
振り返ると、先程の少女達が、怯えた顔で俺に付いて来ていた。
「お前達は、もう自由だ。お前達は好きに生きろ!俺はどこかで死ぬ!」
その場を立ち去ろうとすると、ゼナに腕を掴まれた。
「何で、死んじゃうんですか?お礼をしたいのに…」
涙を目に溜め込んだゼナ。
「お礼はいいよ。もう、うんざりだよ。人生、うまく行かないなぁ」
「今度は私がアールさんの役に立ちます。だから、死なないでください」
「あの…ご主人様…私達も…一緒に…」
震える声で蜥蜴が、声を掛けてきた。
「俺が恐いんだろ?だから、付いて来ないで良い。好きに生きてくれ」
「そうもいきません。奴隷から解放してくれたのに…」
えっ!俺に抱きついて来た蜥蜴。犬と猫も抱きついて来た。
「こんな少女達を残して死ぬんですか!生きて下さい!できる限りの支援はしますから…お願いします」
って、ゼナの家へ連れて行かれた。
「ここで、お待ちください」
って、ゼナが部屋を出て行った。
「お前達に名前を付ける。蜥蜴はリザ、犬はポチ、猫はタマだ。いいな!」
怯えた顔だけど、何故か尻尾が嬉しそうに踊っている。なんでだ?あっ!ジョブが、殺戮者になっていた。これが原因か?他に何があるんだ?選択ウィンドウを開くと、なんか一杯ある。どれにするかな。一般人は無いのか?モブとかは?これも無い。空気は?無いなぁ…これでいいかな。浪人…
彼女達の表情が和らいだ気がする。これにして置こう。って、レベルは500有る。なんだかなぁ。テストに受からない自信が漲るレベルである。もっと、普通のは無いのか?戦士とか魔法使いと賢者とかの普通のジョブが無い。マニアックすぎる。調教士って言うのはテイマーかな?これにしてみるとレベルは300。これでいいかな。
って、少女達が正座をしている。そっちの調教か…。もっと、この子達とフレンドリーになりたいんだよ~!勇者レベル1を押してしまった。彼女達は、笑顔で俺を見て居る。なら、これでいいか。勇者ってタイプでは無いんだけど…
「お待たせしました…あれ?アールさん、雰囲気が変わりましたねぇ」
なるほど、ジョブによって、雰囲気が変わるのか。そうなると纏うオーラが変わるってことかな?
ゼナに案内されたのは、ベッドが4つ有る部屋だった。
「ここをお使いください。食事は…う~ん…一緒には無理ですが…」
悩むように、絞り出すような声でそう言われた。元奴隷が一緒だからかなって、自己納得した俺。
「寝る場所があればいいです。食事はどこかでします」
「あぁ、コレを渡さないと…」
身分証…『アール 人間 所属:マリエンテール士爵』となっている。
「所属が士爵になっていますが…」
「あぁ、形式上のものです。私の命の恩人って父に話したら、このような身分証を作ってくれました」
嬉しそうに話すゼナ。彼女が嬉しいならいいか。
「わかりました。頂きます」
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ゼナはセーリュー伯爵領軍の兵士だそうで、明後日までローテが入っているので、今日と明日は相手が出来ないと、申し訳無さそうに出て行った。仕事は大事だよ。過労死しない程度にはねぇ。
彼女達のベッドの上には、彼女達用の服があった。こんな物も用意してくれたのか…ゼナに感謝だ。3人に真新しい服に着替えて貰った、そして、
「で、リザ達は、何を食うんだ?」
「え…希望を言って良いのですか?」
「言ってくれないと、分からない」
「そうですよね…あの…肉が欲しいです…」
肉かぁ…リザード族の死体ならあるんだが…共食いだよな…う~ん…
「何の肉が良いんだ?」
たぶん、犬と猫もダメだろうな。
「いえ…あ…牛の肉…食べてみたいです」
牛の肉…高そうだな。金がいるな…リザ達を奴隷にした奴らを思い浮かべて、金を『強奪』した。ストレージを見ると、金種別に入っていた。アイツらの財布は捨てておくか。佐藤先輩が作ったクレーターへ強制転移させた。あそこを、ゴミ箱にするかな?リザード族の死体も強制転移だ。この先も食わないと思うから。
ストレージから、適当にお金を出し。
「これだけ有れば、買えるか?」
って、リザに訊いた。
「えぇ、買えます」
「じゃ、買い物に行くよ」
ゼナの家の勝手口から出た。まぁ、使用人みたいな者だし。両手にポチとタマが群がって、手を恐る恐る繋いできたので、掴み返してあげた。
「リザ、迷子になるなよ」
って、俺のシャツを掴んでいるリザ。まぁ、腕は2本だけだから…
屋台からの良い香りに彼女達の尻尾が踊り出した。彼女達の尻尾の振りが激しそうな屋台で4人分を買って、みんなで買い食いをした。
「食べていいんだ。冷めるとマズくなるぞ」
マズくなるって言葉に反応して、口に運ぶ少女達。嬉しそうだ。あった、肉屋だ。牛肉のブロックを3つ買い、
「リザ、これをどう食べるんだ?」
「生で食べたいです…」
物凄く恥ずかしそうに言うリザ。生で食うのか。街の外れの人気の無い場所で、3人に、ブロック肉をあげると、豪快に食べていく。これは人の目を気にする食べ方だな。想像はしていたから、人気の無い場所にして正解である。
「いたぁ~!」
背中に誰かが貼り付いた。この胸の感触は…ミトだ。振り返ると、隣に佐藤先輩もいた。
「ハネムーンか?」
「違います!」
「婚前旅行か?」
「違うって!」
「だって、想い人なんだろ?」
「えぇぇぇぇ~、なんで言うんだよ~!」
え?言っちゃマズかったのか?
「おい!ヒカル…そうなのか?俺は胸がこ~いうのが好きなんだよ~」
って、巨乳好きを説明している佐藤先輩。
「そう言うと思ったよ~。なんで言っちゃうんですかぁぁぁぁ~!警戒されるでしょ?」
なんかウザいカップルだな。二人を纏めて、ミトの神殿に強制転移した。これで、当分、来られないだろう。ミトには転移術が無いし♪
「残念♪兄ぃが転移術を持っています♪」
って、直ぐに戻って来たミト。くそっ!
「で、何の用だ?」
「なんで、立ち去っちゃったのよ~!」
「想い人が想い人に会ったんだよ。それは立ち去るだろ?」
「えっ!アール…お前…ヒカルのことを…」
佐藤先輩が驚いている。
「だって、かわいいじゃん♪」
絶句する佐藤先輩、真っ赤になるミト。リザ達が俺の背中に隠れている。警戒しているようだ。
「リザ、この二人は安全だ。警戒はしなくていいぞ」
「はい…」
「えっ!どうしたの?3人も…」
ミトと佐藤先輩にリザ達との経緯を話した。
「チートだな、アールは」
「私から言わせると、兄ぃの方がチートだよ!」
佐藤先輩のステイタス…レベル310でジョブは商人?トルネコのような商人か?
「で、どこに泊まっているの?」
ミトに訊かれたので、身分証を見せた。
「士爵家に住んでいるの?う~ん、出世したなぁ」
ゼナとのことを話し、
「使用人扱いだよ」
「違うわよ。その場合、所属は士爵家になるの」
「どう違うんだ?俺にはわからない」
「使用人では無く、士爵の配下若しくは家族ってことよ。いずれは、そのゼナって子と…そう考えているかもね」
「まぁ、それなら、それでいいけど」
ゼナもかわいいし♪
「私の立場は?」
「佐藤先輩の物なんだろ?ミトの身体は!」
「ちょっと待て!俺はヒカルに手なんか出したことは無いぞ!」
あれ?
「だから、予約って言うか…」
「予約すらしていないし」
「だから…願望だよ!」
「もう、纏まっちゃいえば?先輩とミトは幼なじみなんだし」
双方の親が認めた幼なじみらしい。
二人の楽しそうな痴話ゲンカを見て居ると、遠くで何かが爆発した。
「ミト!彼女達を頼む!」
俺は瞬動術で、現場へ急いだ。現場ではゼナ達領軍と、あの馬車の男共がいた。
「ここは俺達が貰う!」
リーダー格の男のステイタスがポップアップした。「憑依状態」のような。何が憑依しているのか?男の手から何かが放たれた。その先にはゼナがいた。俺は瞬動術でゼナの前に立ち、フルカウンターアーマーを装備し、それを突っ返した。
「うごっ!」
リーダー格の男の腹部に何かが刺さったようだ。
「アールさん…また助けてくれて…」
「礼は後でいい。警戒しろ。何か憑依しているようだぞ」
「えっ!わかりました」
何だろう?この威圧感。竜神に会った時には感じ無かったけど。聖剣エクスカリバーを手にして、斬り込んだ俺。
バキッ!
憑依していた物が現れて、ソイツの爪と聖剣がぶつかった。ソイツの爪が灰に成っていく。悪魔か…
「何?勇者か!こんな場所にいたのか!」
ジョブを殺戮者にチェンジして、悪魔に襲い掛かった俺。その瞬間、地面が抜けて、落ちていく。また、あのジェットコースター感覚が蘇る。胃袋が口から飛び出しそうだ。脳ミソが耳から溶け出しそうだ。気持ちわりぃ~!
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「ご主人様…目を覚ましてください。ワガママはもう言いませんから…」
誰の声だっけ?どこかで聞いたことがある声だ。
「アール先輩、この子達を残して死んじゃダメだよ~」
子供?俺に子供なんかいたか?誰との子供だ?あぁ、これは夢だな…そうだ夢だ。
「アール先輩!」
あぁ、後輩氏の声だ。
「後10分…」
「生きている?」
「生きているのです」
この子達は誰?
「う~ん…リザちゃん、ゴニョゴニョ…」
後輩氏が何かを誰かに伝えた。後半部分が聞き取れなかったのは、敗因だったかもしれない。
「えっ!ご主人様にですか?」
「何時までもこのままでいいの?」
「ダメです…」
唇に柔らかい物が当たった。誰の唇だ?瞼を開くと、リザがいた。
「ご主人様…お帰りなさい♪」
笑顔のリザがいた。
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3人をミトに任せたのだが、俺が悪魔と共に地面に落ちたと聞いて、俺目がけて、5人で転移したらしい。
「ここって、どこ?」
「地下迷宮だね。それも新しく出来たって感じだよ」
モンスターが出そうだぞ。
「まぁ、レベル310の兄ぃとレベル999のアール先輩がいれば、問題無いレベルかと」
「ミトも元勇者だろ?」
「まぁ、ねぇ♪」
「えぇぇぇぇ~!」
って、佐藤先輩の驚く声。
「兄ぃ、彼女達に、なんか武器は無いの?」
「あぁ、そうだな。君はこれをプレゼントだ」
佐藤先輩がリザに聖槍ロンギヌスを渡した。
「この子達はどうするかな…」
ミトによれば、商人の佐藤先輩は目利きが良いらしい。なので、最適な一品を出せるそうだ。って、創造能力か。それはチートである。
ポチには聖なるナイフを2振り、タマには聖なるブーメランがプレゼントされた。
「さて、地上を目指して行こうか。あの子達の経験値上げもするわよ」
って、ミトが指令塔のようだ。まぁ、元勇者だし♪
「アール先輩は殺戮者以外のジョブにしてください。ボスクラスには働いて貰いますけど…」
働くのか…
「マップ表示は中域でいいかな。全マップ探索は私がするから、道の指示は出します。先輩と兄ぃは罠に注意して」
なるほど役割分担か…
こうして6名パーティーとなった俺達は、地上へ向けて進軍を始めた。