ミツクニ公爵のお屋敷のリホームが終わり、引っ越しをした。2世帯と言うが、同居と変わらない。それぞれの世帯ごとに区切られてはいないのだった。2世帯とわかるのは、それぞれに専用の応接間が有り、それぞれの執務室があることくらいだ。
「厨房が広すぎて、落ち着きません」
って、ルル。今までは備え付きのキッチンだったからな。
「いっぱい肉が入りそうですね」
って、業務用の冷蔵庫を見つめるリザ。
ちょっと大きめのママレンジっぽい物で、ミーアとアリサはホットケーキを作っている。
それぞれが新居を実感していた。だけど、平穏な時間は続かない。ミトの方へ客が来たようだ。
「先輩、何もやらかしていないですよね?」
客に応対に行く前に俺に確認したミト。
「してないよ~」
「それならいいけど…」
濡れ衣だって…やることも無いし、テンちゃんに奉仕をしてもらう。テンちゃんといかがわしいプレイをする。
「ズルい…テンちゃん…」
うん?ノックもせずにミトが入って来た。
「何かようか?」
「あぁ、ちょっと、服を着てから、来てくれるかな?」
服を着て、ミトの応接間に向かう。知らない男女がいる。誰だ?
「彼が、私の側近のアルジェント侯爵です。アルジェント君、彼がサガ帝国の勇者のハヤト・マサキ様、彼女は、サガ帝国のメリーエスト・サガ皇女よ」
先輩の好きそうな爆乳娘と、短髪の男…両方ともストライクゾーンには入らない。
「こいつからは、魔の臭いがプンプンしますが」
勇者は剣に手を掛けている。いつでも斬れるようにしていた。爆乳娘は杖を手にしている。
「えぇ、諸事情で呪いをうけていますから」
俺の魔の部分を呪いと表現したミト。
「諸事情といいますと?」
「諸事情です。今回の件とは関係無いですよ」
爆乳娘がミトに食い下がっている。
「いやっ!」
「貴様!メリーに何をした?」
勇者が剣を抜いた。
「何もしていませんよ。剣を納めて下さい。この爆乳が身体から無くなってもいいなら、かまいませんけど」
見えざる手で胸の感触を味わっている。
「貴様…」
「ダメ…そこは…」
爆乳娘が乱れていく。こういう刺激を感じた事が無いのか?
「くそっ!」
勇者は剣を鞘に収めて、床に置いた。
「で…お話は?」
爆乳娘は恍惚な表情で果てている。
「この地に魔王が来るらしい。なので、共闘して欲しい」
俺はミトを見る。
「わかりました。私の配下2名を、魔王との戦いの折に、参戦させます」
と、ミトが勇者に伝えた。
「強いのか?」
「二人共転移者でチーターですからね♪勇者ではありませんが」
二人共?俺と先輩か?
「そうか…わかった」
俺が分からないことがある。なので、質問した。
「待て!俺達は、リーングランデの穴埋め要員か?」
「そうだ…」
「リーングランデを見殺しにしたのか?」
「いや、犬死に近い…俺達の着いた時には、既に…」
「そうか…なぁ、殺し合おうぜ♪」
「ダメ!」
ミトが俺に抱きついた。
「ダメ…ねぇ、落ち着いて…」
落ち着けだと?リーンを犬死にさせたんだぞ!
『落ち着けよ!私だって、我慢しているんだからな!このクソ勇者に対して…』
ミトからメッセージが届いた。そう言えば、女は皆女優って、誰かが言っていたなぁ。
「お前、リーングランデの知り合いか?」
勇者に訊かれた。
「彼女の妹の婚約者だ」
「何?神託の巫女の婚約者だと?!有り得ない…」
「そうか?俺にしてみたら、仲間を助けられない勇者の方が有り得無いぞ!」
『ダメだって…』
ミト…スルーする。俺は不死王へジョブチェンジした。空気が一変していく。どこか冷たく重苦しい空気になっていく。
「貴様…やはり、魔なる者か?」
剣を手にして、鞘から抜き、俺に切っ先を向けた。
「なぁ、人質を取られていて、その態度…終わったと思わないか?」
皇女の方を振り向いた勇者。皇女は全裸で、大の字の体勢で宙に浮いている。
「真下からヤリで突くとどうなるかな?臍で曲がって、左胸から出てくるか?」
「止めろ…くそっ!」
剣を床に投げ捨てた。
「おい!リーングランデに詫びろ!」
「何…」
「お前の無力さを詫びろ!」
「…」
「おいおい…犠牲は憑き物なんて、月並みの言葉はいらないぞ!しょうがないなぁ…リザ!」
「はい…」
リザがヤリを手にして、入室してきた。
「あの女の股間を真っ直ぐ貫け」
「えっ…わかりました」
戸惑うリザ。
「止めろ…お前…」
勇者がリザに襲い掛かるが、見えざる手で、勇者をなぎ倒す。
「止めろ…おい!」
リザの手にした聖槍ロンギヌスの切っ先は青い光を纏っているが、リザが念を込めると魔刃状態となり紫色に染まっていく。
「やめてくれ…俺は皇女もリーングランデも護れない愚か者だ…くそっ!」
床を叩いて悔しがる勇者。
「リザ、下がっていいぞ」
「はい…」
どこかほっとしたようなリザ。
「じゃ、お帰りだな♪」
勇者と皇女を迎賓館へ強制転移させた。そしてジョブを侯爵に戻した。
「まったく…先輩、気持ちは分かるけど、やりすぎだよ~」
って、ミト。
「私の為に、悪役にならないでも…」
リーンが俺に抱きついてきた。
「ただ、許せなかったんだよ。仲間を護れないのに、猛者を手配するってことがさぁ」
「ご主人様らしいわねぇ♪」
ホットケーキの皿を持っているアリサに言われた。そう、俺らしくが俺のテーマだよ♪
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都市核を使って、防御態勢を整えていく。魔なる者の出入りは俺以外、出来ないようにしたのだが…魔は人間の悪意によって、産まれる者らしい…
ジュレちゃん達が、焼き肉パーティーを開くと言う。奇跡の料理人が、焼き肉のタレを持参して、来てくれるそうだ。奇跡の料理人って、先輩だよな?何やっているんだ?王都に来てからも、料理の腕を披露しているそうだ。貴族達の胃袋を掴み、人脈を広げているようだ。
『アール…警戒強化だ。パーティーに殺人鬼がいる』
焼き肉パーティーの開始時間後に、先輩からメッセージが届いた。殺人鬼だって?どうやって、関所を突破したんだ?
仲間達に武装をしてもらい、パトロールへ出た。俺は、ジュレちゃんの家の方角だ。そんな俺の前に、見慣れない見回りの兵士達が現れた。重装備に魔法使いが数名。パトロールとか見回りって装備では無い。これから戦って装備である。
「おい!お前達、どこの部隊の者だ?!」
「貴様こそ、どこの馬の骨だ?おい!やっちまえ~!」
ジョブをチェンジをすると、勝負は一瞬で着いた。リッチを舐めるなよ♪怪しい集団を見つけ次第、魂へと還元していく。そして、ジュレちゃんの家に到着した。シガ八剣の数名が、既に瀕死である。殺人鬼は先輩とヤリ合っている。取り敢えず、瀕死のシガ八剣を回復させて、ジュレちゃんを蘇生した。
「アルジェント卿…今宵はいつもより一層禍々しいですな…」
俺のオーラに飲まれ、顔面蒼白のジュレちゃん。
「あぁ、もう、こんなんで死ぬなよ~。ジュレちゃんを殺せるのは俺だけだよ、いいね!」
「はっ!努力したします」
そして、先輩の元へ。
「アール、漸く到着か?」
「先輩!空にいるのを頼めますか?」
ワイバーンに載って、爆撃している奴らがいた。
「わかったよ」
先輩の相手と対峙した俺。
「うん?貴様…何者だ?」
「俺?聖属性のリビングデッドだよ♪既に死んでいるので、死ぬ心配も無い。殺し合おうぜ♪」
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「化け物め~」
殺人鬼が逃げ惑っている。人間からの攻撃なんか、痛くも無い俺。
「飽きてきたよ。そろそろ終わりだ」
瞬動術で殺人鬼の懐に入り、心臓を握り潰した。絶命する殺人鬼。
殺人鬼を屠ると、空気が鳴動した感じがした。メインディッシュのお出ましだな♪って、都市核の防御をどう破るんだろうと見物していたら、ソイツは空間を破って出て来た。都市防御の意味がまるで無い。空間を破るってチートだろ?
先輩は銀色の仮面を付けて、戦っている。正体がバレないようにか?奇跡の料理人が、隠密同心では都合が悪いのかな?
って、ここで問題が発生した。リッチは空に浮かべないようだ。どうする?空中に敵がいるんだけど…ジョブリストと睨めっこをする。空に浮かべるジョブってなんだ?
先輩、ミト、サガの勇者が浮遊している。勇者なら浮かべるのか…確かあったな、探すけど見付からない。あれ?俺の勇者ジョブはどこへ消えたんだ?
ジョブ履歴を見る。あぁぁぁぁぁ~、上位ジョブに変化している。これって、どうなんだ?俺は、魔神へジョブチェンジした。
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空に浮かべるって、ジェットコースター感が満載であった。気持ちわりぃ~。乗り物酔いのような魔神酔い状態である。戦える気力が萎えていく。
『お兄ちゃん、一緒に戦おうか?』
脳裏に響く声。酔い止めの薬が欲しいかな。
『無いよ、そういう物は…』
そうか…無いのか。凹む俺。
『凹まないで…どうするかな…』
なぁ、3本鳥居の先にいた子だよな?
『うん♪お兄ちゃんがいてくれるから、もう寂しくないよ』
そうか…俺を殺してくれ!
『やだよ~♪今度こそ、お兄ちゃんと…』
そうだな、ずっと待っていたんだものな。そんな彼女からの贈り物を受け取った。それを、『ヘアーランス』を発動した。月から黒い物が魔王に向けて放たれていく、それは徐々に大きくなり、魔王の身体を貫いた。灰へとなっていく魔王。
「何…有り得ない…」
あれ手応えが違う?魔王では無いようだ。これって、魔族か?
「魔神が人間の味方だと…」
灰になったはずの魔族が復活した。厄介だな。いや、違う…コイツも空間を破って出て来た。別の固体か…魔王は一体だけど、魔族は集団ってことか。
『お兄ちゃん、月の光が導いてくれるよ♪』
『「月の女神の手鏡」を手に入れました』
これを使うのか?鏡を月に向け、角度を変えると、レーザービームのような物が出て行く。これをあの空間の割れ目にセットして。『ヘアーランス』を発動した。灰になっていく魔族。空間が破れ…破れた空間が爆裂していく。
空に浮かんでいる奴らが俺を見つめている。その内の一体が、俺に迫ってきた。
「魔王か?貴様、許さない!」
青い鎧を着たサガ帝国の勇者だった。
「《歌え》アロンダイト!」
聖剣が俺を襲うが、効果は無い。聖属性に聖剣って…意味無いだろうに。
『サガ帝国神皇流剣術』
技名を叫ばないと使えないのか?不便なヤツだな?俺も聖魔剣を手にした。そして、瞬動術で、クソ勇者の背中に貼り付き、首筋に刃を走らせた。吹き上がる血柱。月明かりに照らされている。
「あぁ、殺しちゃったのか?」
ミトが声を掛けてきた。
「だって、襲ってくるんだもの」
「お前、再生するんだろ?受け流せばいいじゃん」
って、テンちゃん。
「ウザいんだもの、コイツ」
「で、どうするの、これ?」
って、先輩。どうしようね…
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侯爵にジョブチェンジして、クソ勇者の遺体の傍らにて、善後策をみんなで考える。
「棺に入れて送り返すのは?」
「蘇生はしないとダメだよ~」
って、ミト。
「また、襲われる自信があるんですが…」
「そこが問題よね~」
「身ぐるみ剥いで、棺に入れて、強制転移でいいんじゃないの?」
って、先輩。あぁ、聖剣とか聖鎧と聖盾はボッシュートすれば、もう、戦え無いか。
「先輩の案にしますか」
『強奪』して、棺に入れてから、『蘇生』して、サガ帝国へ『強制転移』させた。これで終わったかな?
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翌朝…身体が揺すられる。眠すぎる…働き過ぎたな。反省しよう。
「おい!起きろよ~」
後輩氏の声…完徹明けのような、身体のだるさである。
「後10分…」
「またかよ~。じゃ、お前だ!やれ!」
後輩氏が誰か命令している。誰にだ?後輩氏より下っ端はいないはずだが…
下腹部に有り得ない刺激…なんだ、これは…プロの仕事か?暖かな室に収まる。血流量が上がっていく。
喘ぎ声…肉の叩き合う音…誰かが俺の上に倒れ込んできた。物凄く大きなクッションが間にあるんだが…ゆっくりと瞼を開くと、俺の上にメリーエスト皇女がいた。
「これ?どういう状況だ?」
「コイツを奴隷にした。首輪嵌めさせてあるよ」
嵌まっているねぇ。あっ!中に発射。ミトにバレないように無表情で押し切る。
「おい!無表情でも、心が丸見えだぞ」
そうだったね。忘れていたよ。
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皇女は全裸で首輪を嵌めていた。リーンを怯えた表情で見て居る。
「なんで、コイツ、全裸なんだ?」
「奴隷だもの♪」
って、ミト。俺が寝た後で、迎賓館に泊まっていた皇女を拘束し、奴隷にしたそうだ。
「二度と襲われないようにするには、これしか無いでしょ?」
いや、既に二度ほど襲われていますが…皇女はお口で奉仕してくれている。
「で、落としどころは?」
「あのクソ勇者の棺に投げ文してある。詫び状と詫びの品と皇女は交換って♪それよりも、昨夜のあれは何?」
「あれって?」
「月から黒い髪の毛のような物が伸びて来て、魔王を貫いたでしょ?あと、謎のレーザービームもさぁ」
「あれ、魔王じゃないぞ。たぶん魔族だ」
「そうなの?やたらに再生力があったじゃない」
あぁ再生では無いんだけど、メンドーなのでスルーだな。
「で、あれは月の女神様からの贈り物だよ♪」
「はぁ?女神?月の?どういう関係なの?」
「よくわからないんだ。記憶が曖昧で…ただ、あの石鳥居で、俺に会いに来たのは、彼女だよ」
「そうなのか…そうなると、アコンカグラが召喚術を教えた女神って、その子かもねぇ」
「難しい歴史の研究はミトに任せるよ。しかし、コイツ、プロのような仕事をしているんだが」
俺の溜まっている物を取り出してくれている皇女。
「勇者とそういう関係か?」
「あの勇者はロリコンだよ」
って、アリサ。
「だって、私のことを『マイ・ハニー』って呼ぶんだよ」
アリサが王女だった頃に一目ぼれしたが、アリサの国が敵に滅ぼされ、アリサが奴隷にされたのに、助けに来なかったらしい。それなのに、アリサへの愛は変わらないそうだ。
「アイツはサイテーのロリコンだよ!」
アリサもミト同様に、勇者に対して激怒していた。