リーンの葬儀…あの勇者が詫び状と詫びの品を持ってやって来た。ミトが約束通り、皇女を返還した。
「あんた、元勇者だろ?なんで、あんな魔王に仕えているんだ?」
勇者が妙な事を言う。俺のジョブに魔王は無いんだけど。
「はぁ?サイテーのロリコン勇者には言われたく無い」
勇者と元勇者の間で、バトルが起きそうだ。
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リーンの葬儀…まぁ、茶番だけどね。だって、リーンは俺の隣にいるんだし。棺が運ばれて来て、両国の首脳陣が、棺の周囲に群がっている。司祭が祈りを捧げている。なんだかなぁ…
無事に式典は終わった。オーユゴック公爵の控え室へと向かった。
両親を前にして、涙するリーン。そんな娘を優しく労う彼女の両親。
「アルジェント卿、君には感謝しきれない恩を受けた。困ったら、いつでも頼ってくれ給え」
公爵様からお言葉を貰い、頭を下げる俺。
「セーラ、リーン…二人共死んでしまうとは…」
世間的に死んだことになっているので、もう、家族とは生きられない二人。
「毎日が楽しいです」
「セーラと暮らせて、幸せです」
笑顔を家族へ向ける二人。
「アルジェント卿、二人に、アルジェント姓を使わせてくれないか?」
「問題ないですよ。オーユゴック卿。俺にとっては二人は家族ですから」
「ありがとう…」
コンコン!
誰かがやって来た。応対するメイド…
「なんで、リーングランデが生きているんだ?!」
空気を読めないトルマだった。大声で驚いたせいで、ヤジ馬が押し寄せて来た。
「これはどういうことですかな、オーユゴック卿!」
空気を読まないムーノ男爵が声を荒げている。大事になりそうである。
「神の起こした御業のおかげですよ。トルマもムーノ卿も、神を信じていませんね」
動じずに、堂々としているオーユゴック卿。さすがだ。
「アルジェント卿、私を末席に加えて下さい」
今朝まで奴隷だったメリーが、俺に頭を下げた。これに響めくヤジ馬達。
「あなたの偉業…しかと目で見ました。お願いです…婚姻関係にならないでも良いです。末席に置いて下さい」
まぁ、婚姻関係はもう無理だし。正妻の座は変わらないし。たぶん、永久空席だけど。
「俺は偉業なんかしていないよ。あの勇者に付いて行けば良い」
「アリサさんから訊きました。彼は…でも、アルジェント卿は、アリサさんのことを考えてあげましたよね?」
あれかな?アリサがアリサの内に殺してあげてくれってヤツかな?
「凡人や、偽善者からは出ない言葉です。悪びれた奥の行い…私にも手伝わせてください」
ざわめくヤジ馬達。スポーツ紙の1面を、飾りそうなことを言う皇女メリー。
「俺は俺の基準で動く。それでも良いのか?」
たぶん、俺には人間としての理性は無いかもしれない。
「えぇ、覚悟の上です」
そうだ、この際だから…
「1つ条件をいいか?」
「なんなりとお申し付けください」
「英雄研究の第一人者だと自負しているムーノ卿を、サガ帝国で引き取ってくれないかな?」
「わかりました。喜んで♪」
ジャマ者が排除できそうだ。
「貴様!国外追放か?!」
「ムーノ市の予算では、研究費は出せません」
知り合いの衛兵達にムーノ卿を連れて行ってもらった♪
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「で、なんで、リーングランデとセーラが生きているんだ?!」
トルマが、オーユゴック卿に喰い付いている。
「神の御業だと言っただろ?」
「神?何を言っているんだ?セーラもリーングランデも葬儀をしたじゃないか。神に導かれて、魂は天へ昇ったはずだ」
ヤジ馬から「そうだそうだ」という声が聞こえる。
「俺が呼び戻した」
これ以上は我慢出来ない俺は、矛先を自分へ向けさせた。
「貴様かぁ…神を冒涜したのは」
「冒涜はしていない。彼女達と暮らしたいから、呼び戻しただけだ。それの何が悪いんだ?」
「天に召されたんだぞ!それを呼び戻すって…貴様は何の権利があるんだ?」
「トルマ…冷静に考えろ!俺にはそういう能力がある。それが権利がある証拠だろ?神への冒涜って騒ぐのは、能力が無いから、嫉みだろ?」
ぎくっとしたトルマ。ビンゴか…
「蘇生能力があるのに、目の前で愛する家族が殺されたのであれば、蘇生させるだろ?流石に俺も天寿を全うしたヤツを蘇生はしないよ」
「殺された?」
「なんだ、知らないのか?情報通のトルマでも、知らない事があるんだな」
「誰に殺されたんだ?」
「二人共魔王に殺されたんだ」
シーンと静まり返る室内、廊下…俺は、ジョブチェンジをして、恐怖心を煽った。
「トルマが妙なことを言うから、呼んだのでは無いのか?」
空気がドンヨリしていく。
「魔王が来た!」
ヤジ馬達が我先にと逃げていく。ジョブを侯爵に戻した。時間を掛けると、あのクソ勇者がやって来るとまずいから。
「アルジェント卿…すまない。我が家系の問題に巻き込んでしまって」
オーユゴック卿が俺に謝ってきた。
「何を言っているんです?義祖父さん♪」
うん?俺の両腕をセーラとリーンが抱き締めた。
「「ありがとうございます」」
ステレオで聞こえる姉妹の声。
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家に戻り、まったり…メリーが奉仕中である。自ら首輪を嵌め、リードを俺に渡してきた。俺のエム奴隷にでもなったのか?
「お城でパーティーだって」
ミトが入って来た。基本、俺の部屋は誰もノックをしない。って、言うかドアすらない。
「何のパーティー?」
「『奇跡の料理人』が腕を振るうらしいわよ」
「俺は行かないよ。食わないで生きていけるようだから」
「歯が退化するわよ」
「そうだな」
7完徹の時にもそう思ったし。毎食、栄養ゼリーだったものなぁ。
「食べたい物って無いの?」
「ミトのフルコース♪」
「私?ゼナとセーラでは無いの?」
「ミトの味が忘れられない」
真っ赤になるミト。
「お前…また、今度だな…」
え?食えるの?
「気が向いたら…」
「そうか…」
「早く支度をして!」
「ミトを食っていいの?」
「パーティーへ行くのよ!爵位持ちなんだから、参加決定よ!」
えぇぇぇぇ~!
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着慣れない正装…両手に華…片手にセーラ、もう片手にはアーゼ…食い物に釣られて参加したアーゼ。アーゼをエスコートする為に、俺の参加は決まったらしい。
「ダーリン♪元気ないわねぇ。食べている?」
「まぁ、そこそこ…」
目の前には色とりどりの料理が並ぶ。うちの肉食軍団は、唐揚げに群がっていた。うちの甘党軍団は、デザートに群がっている。アーゼもだよ…必然的に俺も甘味三昧である。
パーティーの主役は『奇跡の料理人』サトゥー・ペンドラゴン士爵である。群がる食通貴族達。
「おい!お前がアルジェント卿か?」
見た事の無い寅女に声を掛けられた。
「ルスス!何をしているの?」
メリーが声を上げた。そうなると、
「クソ勇者の奴隷か?」
「おい!マサキはクソ勇者では無い!私達は奴隷では無い!」
『強奪』で衣服を奪った。全裸になったことに気づかないルススって女。中々良いプロポーションですね♪先輩好みかも。
「ルスス…何で全裸?」
狼女が指摘した。
「何言っているんだ、フィフィ…いやぁぁぁぁぁ!」
フィフィって言うのか。狼女の衣服も『強奪』した。
「フィフィ…お前もだぞ!」
「なんでよ~!」
パニクる勇者の従者達。
「どうします?」
デッカい肉の塊を手にして、リザがやって来た。
「どうもしないよ。パーティーでいざこざはマズい」
「ご主人様らしいなぁ」
って、アリサ。そう俺らしく。それが大切だ♪
パーティーが終わり、まずアーゼを送ってから、会場から女体を2つテイクアウトしてきた。どうするかな?取り敢えず観賞かな?首輪を嵌めて、部屋の隅に固定した。
ベッドに横になり、2つの女体の生態観察をしていると、メリーが奉仕をしにやってきて、勝手に奉仕をしている。
「メリー様、何をなさっているんですか?」
フィフィの言葉をスルーしているメリー。まぁ、口に含んでいるんだ。しゃべれないと思う。
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翌朝になったのか。身体が揺さぶられている。寝落ちしたようだ。
「おい!朝だよ…起きろよ…」
後輩氏だ。
「後10分…」
「はぁ?寝落ちなんかするからだよ…たまには違う刺激にするか」
違う刺激?鞭で打つのか?蝋燭を垂らすのか?このドエス女は…
うん?両腕に柔らかい物が当たっている。なんだ、これは?指先には湿った物が触れている。これは確かに新しい刺激である。なんだ、これは?恐る恐る瞼の開くと、フィフィのルススだった…
「これ…どんな状況?」
「メリーに触発されて…二人も、先輩の方の末席にいれるからね」
なんか、仲間が増えていくような…
食事…朝から『奇跡の料理人』が腕を振るっている。漸く、離れに引っ越して来たそうだ。
「それで、今後の予定だけど、迷宮都市セリビーラを目指します」
あぁ、ミトの古い知り合い、たぶん老婆がいるんだったな。
「移動は馬車で移動で、各人の連携を鍛錬しながら、ゆったりと旅をしていきます」
転移で一発だろうに。
『馬車でないとダメだよ!』
ミトからメッセージ。相変わらず。俺の心は読んでいるミト。
旅の準備をする。馬車はミトが1台、先輩が1台、俺が3台の計5台で移動するそうだ。先輩の馬車はチートで、機械仕掛けの馬だそうで、御者がいらない仕様だそうだ。まぁ、先輩とカリナが乳繰り合っている馬車の御者のなり手はいないのが、現状のようだ。
「ミトのストレージに藁をいれてくれ」
「了解」
俺のストレージは肉が多い。肉の消費量は多いから。まぁ、現地調達でもいいんだけど。あと、ハチミツとか砂糖とかメイプルシロップとかの甘味料も多い。ミーアとアリサがいるから…
「俺様、参上!」
クソ勇者がやって来たが、誰も相手をしない。
「メリー、どういうことだ?」
メリーは黙々と作業を熟していた。
「フィフィ、ルスス…お前達まで、どうして?」
二人は、リザ達と一緒に、馬のケアをしてくれていた。
「リーングランデ…あのな…」
リーンはセーラと黙々と作業をする。
「おい!貴様!アリサを返せ!」
どうしてそうなるんだ?そこはリーンを返せだと思うが、アリサ大好きなクソ勇者は、アリサが目に入ると、脳がアリサ一色になるようだ。
「あのちっこいの二人も寄こせ!」
タマとポチのようだ。ミーアはいいのか?
「なぁ、ウザいんだけど…消えてくれないか?」
俺がキレ始めたと判断したのか、ミトとセーラが走り寄った。
「ダメですよ、アールさん」
だけど、ゼナが真っ先に抱きついて来た。俺は心をクールダウンさせていく。ゼナは巻き込みたく無いから。
「なぁ、頼むから消えてくれないか?」
リーンが俺の前に立ちはだかった。俺からクソ勇者が見えないようにだ。
「私達のご主人様にケンカを売るな!これ以上売るなら、私達が相手をするよ♪」
聖槍ロンギヌスを手にしたリザが、聖なるナイフを手にしたルル、ポチ、タマが…俺に抱きついて居るゼナ以外の仲間達が、得物を手にして、クソ勇者を取り囲んだようだ。
「ねぇ、これ以上、ジャマをすると、外交問題にするよ!」
ミトがキレている。苦笑いしている先輩。
「外交問題だと?何の権限があるんだ?元勇者のくせに!」
「ふん♪その程度の知識なんだ…ボク、この国の王祖なんだよ♪お前が、ケンカを売っているアルジェント君は、ボルエナンのハイエルフ様が正妻だよ。オツムの弱い君でも意味は分かるよね?ふふふ♪」
「え…アイツの正妻って…ハイエルフ様なのか…」
うん?アーゼが一番強力な切り札なのか?
「あと、アルジェント君は、公にはしていないけど、都市核を1つ、迷宮核を3つ持っているんだよ。意味分かるよね?」
「何…コアを4つも…」
「その気になれば、サガ帝国は消えるよ。クソ勇者君、君のせいでね♪」
えっ?コアって、そんな事も出来るのか?
『出来るよ。サガ帝国へ、マナが流れ込まないようにブロックすれば良いんだよ』
って、ミトからメッセージが届いた。キレた振りか?俺の心を読む、冷静さが残っているし。
「待て!国を滅ぼすのはルール違反だぞ!」
「何のルールかな?ケンカにルールは無いよ。まして、相手は勇者だ。なりふりは構わないと思わないか?」
「わかった。アリサだけ、返せ!」
クソ勇者の気配が消えた。
「アルジェント卿、どこへ強制転移させました?」
ミトにはバレていた。
「揺り篭の迷宮…あそこの守護者は勇者程度では勝て無いよ」
「何を配置したんですか?」
メリーに訊かれた。
「トライヘキサ…その前室にはマンティコア…後、勝てそうも無い魔物を、全部、ぶち込んで有る」
それらの魔物の存在を知っている者達の顔は、苦笑い気味である。
「ご主人様らしいわ。これで、あのクソ勇者も、改心してくれるといいわね」
って、アリサ。たぶん、アリサが一番キレていたんだろう。