デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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神託から始まる逃亡生活

神託の巫女セーラ…神からの言葉を受け取れる能力を持つ巫女である。神は何故、魔王の出現場所を予告出来るんだ?予告するだけで、倒してはくれないらしい。無責任だろうと思うんだが…

 

うがった見方かもしれないが、神は地上に生きる者達へ、試練として魔王を送り込んでいるのでは無いのか?だから、神と交信の出来る者に、魔王を送り込めるとしたら…

 

どう思う?俺は目の前に少女に訊いた。

 

『どう思うって…答えは自分で見つけないとダメだよ』

 

笑顔の少女。そうなのか…

 

-------

 

「起きて下さい!ご神託がありました。ねぇ、お願いです。起きて下さい」

 

セーラの緊迫した声で目覚めた。

 

「どうしたんだ?」

 

「公都に魔王が降臨します…」

 

また、公都か…迷宮は無かった筈。いや、セーラのいた地下空洞が迷宮の一部だとしたら…

 

俺は起きて、アーシアと共に公都の地下空間へ転移した。そこは様変わりしていた。地下室って感じだったのだが、地下迷宮って感じになっていた。

 

「マスターズルームに行けるか?」

 

「はい。まだ所有者の登録は未だのようなので、マスターを登録しました」

 

マスターズルームと呼ばれる、迷宮核のある部屋に転移した。アーシアに設定をしてもらっている。アーシアの迷宮と同じ設定にである。

 

「怪しい侵入者がいないか、探査をしてくれ」

 

「了解です」

 

結果、まだ侵入者はいないようだ。中層以下においては。上層部には侵入されていたので、飢えたハウンドドッグと肉食スライムを配置していく。

 

中層への入り口手前にはヒドラを3匹設置した。勇者以外には難しいだろうな♪

 

--------

 

アーシアと共に帰宅した。ミト達が右往左往していた。

 

「おい!どこへ行っていたのよ~!」

 

ご立腹のミト。

 

「現地視察だよ。迷宮が出来ていたので、迷宮核を手懐けてきたよ」

 

「はぁ?4つ目か?」

 

先輩が呆れている。

 

「で、どうだったの?」

 

「上層部に怪しい侵入者がいたから、魔物を設置してきた」

 

「そう…これから公都へ向かう。兄ぃと先輩の転移術で、全員を運んで!」

 

馬車移動では無いのか?

 

「緊急性のある事案は、転移術よ!」

 

ミトがキレていた。どうしたんだ?

 

-----

 

数回に分けて、全員を公都へ運んだ。ミト、セーラ、リーン、ゼナ達は神殿へ。先輩は貴族達の元へ行き、情報収集のようだ。俺達は、迷宮の入り口周辺をパトロールする。

 

『リリーが…』

 

ミトからメッセージが届いた。巫女長がどうしたんだ?アーシアと共に、ミトの元へ転移した。

 

「先輩…リリーが攫われたって…」

 

はぁ?まさか…老婆の身体に…

 

「アール様…ダメ!戻って来て…」

 

セーラの声…俺は何かにチェンジしたようだ。

 

「アール…ダメだよ。戻って来てくれ、セーラの為にも…」

 

悲痛なリーンの声。俺はどうなったんだ?俺は…アーシアと共に転移した。リリーの元へ…

 

--------

 

生きている者は誰もいない。一面血の海である。俺の前にはリリーから脱皮したばかりの魔王がいる。リリーはセーラと同じようにボロ布のようになり、部屋の片隅に脱ぎ捨てられていた。

 

「貴様、この前はやってくれたな…だが、復活を遂げたよ。ふふふ♪」

 

魔王からの攻撃…俺の身体を射貫く。だけど、痛くない。狼狽えている魔王。

 

「何…攻撃が効かないだと…貴様、何者だ…」

 

「アーシア、リリーを丁重に確保しろ。後、このヤローをここから出すな!」

 

「了解です!」

 

「はぁ?迷宮核が仲間だと…貴様、何をした?」

 

「俺は不死王リッチ…いや、魔神と言った方がわかるかな?」

 

「魔神だと…なんで、貴様が…なんで、人間の味方をしているんだ?」

 

「俺は魔王も神も許さない!」

 

聖魔剣を手にした。後ずさりする魔王。

 

「死んでアンデッド化なんかさせない。だって、俺は不死王だよ。アンデッドの王だ。その俺が認め無いんだよ。ふふふ♪」

 

「狂っている…貴様、狂っているぞ!」

 

魔王ほどの理性すら無い俺。狂っている?上等だよ♪

 

「リリーにした行為…セーラにした行為…許さない!」

 

爆裂魔法が俺を襲う。身体が爆ぜるが、再生をしていく。

 

「近寄るな!化け物め!」

 

魔王に化け物って言われるって、賞賛の言葉か?ありがたく受け取っておく。

 

「お前の能力って、物理ダメージ、魔法ダメージの99%のカットだっけ?」

 

アイツの魔眼から、即死効果や石化効果の攻撃を受けるが、不死王である俺には意味を為さない。

 

「おい!来るんじゃない!この化け物がぁぁぁぁぁ~!」

 

「後なんだっけ…お前の能力は…」

 

「頼む…見逃してくれ…」

 

泣き叫ぶ黄金の猪王。見逃す?何でよ~。殺し合おうぜ♪

 

「欲しい物はなんでもヤル」

 

「リリーを元に戻せ!」

 

「それは無理だ。俺にその能力は無い…なぁ、止めろよ…」

 

『お兄ちゃんを怒らせたの?馬鹿なイノシシだね。うふふふ』

 

俺の隣に現れたカグヤ。

 

「お前…月の女神…お前が化け物を召喚したのか…」

 

『お兄ちゃんは化け物じゃないわよ。うふふふ』

 

「うぉぉぉぉぉぉ~」

 

影に飲み込まれて行く魔王。なまじ倒すから復活するんだ。闇の牢獄に閉じ込めておけば、復活の心配は無い。

 

『お兄ちゃん…怒りに飲み込まれたお兄ちゃんは痛々しいわ。元に戻してあげる。また、夢の中で遊んでね♪』

 

もちろんだ。

 

---------

 

血の海で目覚めた。何が遭ったんだ?記憶が曖昧である。俺は俺で無くなった気がした。戦闘ログをチェックしてみたが、魔王黄金の猪王を倒したとしか、出ていない。倒すことは出来たようだ。まぁ、いいか…アーシアが、リリーの遺骸を護ってくれている。

 

「アーシア、ありがとう」

 

「いえ…命令ですから」

 

アーシアにお礼の口付けを…一瞬、嬉しそうな表情を見せたアーシア。俺はリリーの蘇生を始めた。このまま蘇生では老衰が近い上、芸が無い気がする。どうするか…そうだ!閃きの神様が降臨してくれた。聖杯の力で、若返らせるかな?

 

って、若返らせる加減を間違えて、幼子になってしまった。マズいかな?アリサくらいには見えるけど…これでは抱け無い…

 

『ドジ♪』

 

あの女の子の声がした。そうだな、ドジったよ。凹む俺。

 

「アーシア、リリーを抱いてくれ。帰るよ」

 

「了解です」

 

-------

 

みんなの元へ3人で転移した。

 

「先輩ですよね…」

 

ミトが恐る恐る訊いてきた。

 

「何を言っているんだ?俺が俺でなかったら、なんだと言うんだ?」

 

「その子は?」

 

アーシアの抱いている子を指差すミト。

 

「あぁ、聖杯で20代くらいにしようとして…失敗しちゃった…」

 

「まさか…リリー?」

 

明後日の方を見る俺。

 

「そう言えば、出逢った頃も、これくらいかな…」

 

アーシアがミトにリリーを渡した。

 

「どうするの?こんなに幼くしちゃって…」

 

「10年も経てば、喰えるかな?」

 

バキっ!

 

セーラに叩かれた。こんなことをする子ではないはずだ。

 

「私がいるのに、リリー様を抱くんですか?」

 

泣き笑い顔のセーラが、俺に抱きついて来た。

 

「う~ん…」

 

「で、魔王はどうしたの?」

 

ミトに訊かれた。

 

「黄金の猪王ってヤツを倒したよ」

 

「それ、ミトと一緒に倒したヤツじゃん」

 

って、テンちゃん。そうなのか?そうなるとミトは66年も寝ていたのか?

 

「おい!そこ!歳の計算をするなぁ~!」

 

俺を指差し警告を発したミト。

 

「あれを一人で倒したのか…」

 

「なぁ、俺は俺でなくなっていたのか?」

 

俺の中でくすぶる疑問を、訊いてみた。皆、一瞬であったが、顔が強張った気がした。

 

「き、き、気にするな。こうして、帰ってきたんだし」

 

ミトの動揺が激しい。コイツが動揺するって、大変なことが起きたのだろう。

 

「セーラ、本当の事を教えてくれ。俺は何になったんだ?」

 

「ソレは…」

 

俺から離れようとするセーラ。そんな存在になったのか…俺は…

 

「もう…一緒には住めないかな…」

 

「そんなことは無い!考えるなよ!」

 

リーンが遠くから言う。近寄れない程の存在になったのか…俺は…

 

「わかった。俺は去るよ!」

 

俺は転移をした。

 

-------

 

一人で転移をした筈だったが、リザ、タマ、ポチ、アリサ、ルル、ナナ、アーシアが一緒にいた。

 

「どうして?」

 

「ご主人様…私はいつまでも一緒にいます。そう決めています。奴隷から解放してくださった。あの時から」

 

リザ…

 

「私が私でいられるのは、ご主人様のお陰だよ」

 

アリサ…

 

「行く宛ては無いよ…」

 

「迷宮で暮らせます」

 

って、アーシア。あぁ、迷宮核があるもんな。迷宮内に部屋を作るなんて、造作も無いことか。

 

「じゃ、迷宮核を集めるか…」

 

「それもいいわねぇ♪」

 

って、アリサ。

 

-------

 

アリサが行きたい迷宮があるというので、そこへ向かっている。行ったことが無い場所なので、陸路で…馬車を手に入れ、てくてくと…

 

心配そうに俺を見るアリサ。

 

「大丈夫だよ。心配するな」

 

「でも…」

 

「俺を頼ってくれるヤツがいる限り、ソイツの為に出来る事はする」

 

アルジェント卿と名乗ると、ミト達に見付かるので、ムーン卿と名乗っている。ニナに便宜を図ってもらい、ムーン士爵という身分証を作ってもらったのだ。

 

「路銀の心配はしないでください。私が工面しますから」

 

って、ニナが応援してくれた。アーゼもこっそりと支援をしてくれている。二人共俺が何かをやらかして、ミトから逃げていると思っている。

 

「後少し…」

 

アリサとルルが遠くを見つめている。う~ん、ワイバーンの縄張りに入ったようだ。若い血の気の多いワイバーンが威嚇をしている。どうするかな?

 

「リザ、ワイバーンの肉は旨いのか?」

 

「どうでしょうね?ドラゴン系ですから、食べ応えはあると思います」

 

って、じゃ、一狩りするかな?俺とリザ、タマ、ポチ、ナナで狩りを始めた。狩ったワイバーンは、ルルとアーシアが食べられる部分を肉へと加工していく。

 

「大漁ですね♪」

 

ルルが嬉しそうだ。その夜は、ワイバーンパーティーだ。料理の一部をニナとアーゼへ贈り届けた。支援の見返りって感じである。

 

「これって、竜白石だわ。ご主人様、これ、高く売れますよ」

 

ワイバーンの糞が堆積して、長い年月を掛け変質して、石のような物に変異したようだ。では、ストレージに入るだけ…同じ物は999個まで入るようだ。

 

では、先を急ぐか。追っ手が来るとマズい。

 

-------

 

ようやく目的地であるヨウォーク王国に辿り着いた。ここは、アリサ、ルルの祖国を併合した国である。全マップ探査をしておく。アーシアには、都市核と迷宮核の探査をして貰っている。

 

「都市核が2こ有りますが、契約者がいます。迷宮核が1こありますが、契約者がいます」

 

なるほど、奪うには、契約者を殺さないとダメか。

 

「ねぇ、無益な殺しはダメだよ」

 

アリサがそう言ってきた。

 

「お前達姉妹の仇だろ?」

 

「でもダメ…ねぇ、お願い…」

 

アリサの頭を撫でる、肯定って意味だ。

 

「亜人がほとんどいません」

 

ナナが探査結果を報告してきた。そうなると、リザ達が迫害に遭うか?注意をしながら、ヨウォーク王国の迷宮がある旧クボォーク王城跡地を目指す。

 

「酷い…」

 

アリサ、ルルの目の前に、クボォーク王城だった物がある。酷い有様である。無傷の王城を知るアリサ、ルルで無くても、それは分かる。城本体は無くガレキが転がっている。城を取り込む壁は総て崩され、壁に隣接していた塔のうち3本は倒壊して、残る一本は根元が圧壊していた。人骨が方々に散らばっている。皆殺しに近かったのであろう。

 

「あいつら上級魔族をここへ派遣したのよ…」

 

アリサは涙を溜め込み、怒りに震えていた。敵は魔族と契約したのか…

 

「迷宮内に冒険者が多数。所属は『ヨウォーク王国迷宮局冒険者ギルド』です」

 

アーシアが迷宮核とリンクをして、情報を報告してきた。周囲を見回すと、王城跡に木造の小屋があった。情報を見ると「冒険者ギルド」のようだ。迷宮の入り口では、職員らしき者が身分証のような物をチェックしていた。

 

「観光名所化か…許せないなぁ」

 

「だから、ダメだよ。ねぇ、わかっているよね?」

 

アリサが確認してきた。頭を撫でる俺。俺がまだ俺である証明である。まず、ギルドで登録だな。俺とルルとで登録しに行く。

 

「おい!兄ちゃん、金を置いて行けよ!」

 

はぁ?ゴロツキが3名ほど寄って来た。だけど、ポチタマコンビが音も無く近づき、意識を狩っている。グッドジョブ♪

 

俺とルルは無事に、ギルドの建物に入り、登録をしようとすると、

 

「登録ですね? ではこちらの鑑定板に手を置いて名前を言ってください」

 

ヤマト石か?名前だけ登録ではダメなのか…

 

「あぁ、ソイツらはボクの連れだよ」

 

後から後輩氏の声…

 

「あぁ、ミツクニ卿…そうですか…では、登録の必要はございません」

 

何故、見付かったんだ…

 

-------

 

迷宮の前にテントを張り、その中でミトの長い説教が始まった。

 

「おい!寝るな!」

 

あぁ、長いから、寝ちゃったよ。

 

「なんで、バレたんだ?」

 

「ふふふ♪私の能力を忘れていないか?心が読めるんだよ」

 

あれ?俺の心だけで無いのか?

 

「フィルターを張っている兄ぃを除いて、誰のでも読めるんだよ♪」

 

チートすぎるだろ…その能力は…

 

「ニナの心を読みました♪」

 

くそぅ~!

 

「なんで、逃亡犯のようなことをするんですか?」

 

セーラが言い寄ってきた。

 

「だって…俺は…」

 

「そのことだけど、ミツクニ卿も含め、全員で反省をした。アルジェント卿は、何者になろうと、アルジェント卿であるってね」

 

リーンが悠然と語っている。

 

 

 

 

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