冒険者証にはFランクと描かれていた。最低のランクのようだけど…
「シガ王国の冒険者はレベルに関係なくFスタートだそうだよ」
って、ミト。
「ふん、Fランクか。一階のゴブリン程度で止めておけ。五階から下はゴブリンメイジやゴブリンライダーが出る。絶対に近寄るなよ、死ぬぞ?」
横柄な門番の忠告。
「ありがとうございます♪」
営業スマイルを振りまくミト。そして、迷宮へ足を踏み入れた。
「小鬼迷宮って、迷宮のようだよ」
って、ミト。
「魔物配置の探査が終わりました。」
って、アーシア。
「ここって、迷宮核が一度壊されたの。だから、遺跡扱いらしいわ」
って、アリサ。うん?じゃ、誰が契約者だ?迷宮核を復活させて、契約したってことだよな?
「マスターズルームに魔王を発見!」
おい、契約者は魔王か?厄介だな。
「魔王の傍に中級魔族を発見!」
更に厄介な情報だ。
「下級魔族を10階と30階の管理室で発見!」
ミト達はアーシアの報告に耳を傾けている。
「先輩は、マスターズルームをお願い。私達で、残りは倒す!」
「俺とアーシアだけでいいか?」
「人選は任せるよ♪」
じゃ、転移するか…
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俺達を見て、怯える魔王…
「勇者…来るなぁぁぁぁあ~!」
「俺は勇者じゃないよ♪」
「そうなのか?」
一瞬出来た隙、『強奪』で魂をむしり取った。どうだ?
「契約を更新しました。所有権はマスターに移りました」
「アーシア、迷宮核の修復って、出来るか?」
「やってみます。源泉のマナを使っても良いですか?」
「あぁ、枯渇しない程度にな」
「了解です」
アーシアが、マナの供給経路を作り始めた。
「ここは任せていいか?」
「受諾します」
俺は、アリサの元へ転移した。
「コイツは何者だ?!」
知らない老婆がいた。ミトの関係者か?スルーだな。
「アリサとルル、セーラ、一緒に来てくれ。準備は出来た」
「ありがとう…」
「ありがとうございます」
アリサとルルが泣きすがってきた。4人で目的地へ転移をした。そこはミイラ状態のリビングデッドが多数いるモンスターハウスだ。
「久しぶり…父さん、お兄ちゃん達、母さんもいるのかな…遅くなってごめんね…」
アリサがミイラ達に声を掛けた。ミイラ達はアリサの方へと振り向いた。
「セーラ、鎮魂をしてくれ…」
「はい♪」
セーラは神聖魔法である鎮魂を唱え始めた。ルルとアリサはミイラ達に跪き、祈りを捧げている。セーラが唱え終わると、部屋全体が青い光に包まれていき、ミイラ達が黄金色の砂となり崩れていく。
『アリサ…ルル…』
「「お父さん(様)」」
ミイラの最後の声だろうか…姉妹が同時に反応をした。アリサの回りを黄金色の珠が幾つも廻っている。ルルとアリサの周囲を大きめの珠が周回をして、光の粒子へと珠が霧散していく。
霧散した光の粒子はスクリーン状態となり、そこには生前の幸せだった頃の彼らの姿が映し出されていく。
アリサに似た王妃、王子達がアリサに手を振っている。アリサとルルに面影が似ている王様は透けていく手で、アリサの頭を撫で、ルルの頭も…
そして、「娘達を頼む」と俺に頭を下げて消えていった。
「成仏したかな?」
「したと思います…」
アリサの不安をルルが一掃した。俺とセーラで、二人を優しく見守る。
アリサとセーラをミトに預け、ルルと共に、共同墓地に転移した。ここに、ルルの母親が眠っているそうだ。アリサとルルは腹違いの姉妹である。ルルの母親は王家の者では無いので、共同墓地に埋葬されたそうだ、
共同墓地…小さめの石が置いてあるだけである。ここに死体を集めて埋めたそうだ。酷い事を…ルルが、道ばたで花を摘み、石に添えた。
「花束でなくていいのか?」
「そんな大きな物では、墓石が埋もれてしまいます…ダメですよ。お願いです、戻って来てください。私を一人にしないで…」
俺は俺で無くなって行く…マズい…ルルをアリサの元へ強制転移…
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ルルとアリサに地獄の切符を発券した奴らに躾をしている。躾をジャマする奴らは容赦なく血の海に沈めていく。
「なぁ、征服した国の城跡を、冒険者に踏み荒らさせるって、どんな気分だ?」
グシャ!
「あぁぁぁぁぁ~!」
あぁ、潰しちゃった。まぁ、まだ腕が一本、足が二本あるからいいかな?
「やめろ!この化け物め!」
大きなオノが俺を襲った。だけど効かない。フルカウンターで返す。真っ二つになり、血の海に沈む重騎士。
王子らしき者が逃げようとするが、
「逃がさないわよ。お兄ちゃんが許さないもん♪」
カグヤが王子を俺の前に投げた。
「なぁ、助けてくれ~!」
「お兄ちゃん、そいつがルルちゃんを陵辱したんだよ」
コイツがか。ぐしゃ…イチモツも潰してやると、白目を剥き、意識を飛ばしたようだ。
「飽きてきた。帰ろう…」
「うん、お兄ちゃん♪」
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うぅぅぅ~
ここはどこだ…アーシアが添い寝をしている。って、ことはマスターズルームかな?
「アーシア、作業は終わったのか?」
「都市核との契約も終えました。今、迷宮核の復旧待ちです」
そうか…順調である。が、ルルと別れた後の記憶がまるで無い。ログを精査するが、何も表示されない。また、俺は俺で無くなったのか…
ゴンゴン!
重い扉をノックする音、扉を開けるとミト達がいた。
「おぉ、いらっしゃいませ♪」
「どう?」
「迷宮核の復旧待ちだよ。まだ、掛かるみたいだ。先に上がっていていいよ。俺はアーシアの傍にいるから」
スゴく哀しそうに俺を見るミト。俺は何をしたんだ。訊くのが恐い…でも、
「なぁ、俺は何をしたんだ?」
「先輩は気にしなくていいよ。うん…ルルの悔しさに触れただけだ。もし、ボクだったら、同じことをしたと思う…許せないもんね」
涙を浮かべた顔で、無理に笑顔を作ったミト。
「俺は、何かをやらかしたのか?」
「いや…問題無いよ。こうして、戻って来てくれた。それだけで良いんだ。じゃ、先にあがっているよ」
ミト達は地上へと戻っていく。
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3日後、迷宮核が修復出来て、迷宮の設定をしてから、地上へと戻った。だけど、潜る前と様子が変わっていた。
「ここは立ち入り禁止エリアにしたわ」
って、ミト。
「どうして?迷宮は機能しているぞ」
「ここを霊園にするのよ。今、手分けして作業をしているわ」
ミトによると、共同墓地に埋められた遺体を一体ずつ棺にいれて、ここへ埋葬するそうだ。
「どうしてって、訊かないでね。先輩の意志を先取りしたのよ。先輩だったら、こうしただろうなって…」
確かに…そう思ったけど…あの墓石では不憫すぎる。
「リーンが言ったでしょ?先輩が何者であろうと先輩だって。だから、深く考えるなよ~」
まぁ、深く考えても記憶は甦らないし…
「って、いうか、ミト。これって内政干渉じゃないのか?観光名所を霊園にってさぁ」
浮かんだ疑問をミトに突きつけた。
「あ…そうか…記憶が無いんだったなぁ…」
うん?記憶の無い時に、俺はやらかしたのか?
「俺は何をやらかしたんだ?」
「この国を乗っ取った…この国にある都市核、迷宮核を手にした。だから、ここはもう王国では無い。アルジェント侯爵領の一部だ」
それは、俺が王を手に掛けたってことか…
「王は生きている。王子もだ。都市核を差し出して、命は見逃してもらったらしい」
そうなのか…
「俺は悪党なんだな」
「違う!」
アリサが叫んだ。
「悪党じゃない!ご主人様は…私のナイトだよ♪」
「そうです。私達のナイトですよ」
って、ルルが便乗しているし。
「死者を冒涜する行為は許せません」
って、セーラ。
「それに、彼女達のお父様に言われたじゃないですか♪」
あぁ、よろしくされたような…
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霊園が完成して、公都へと戻った。
「おかえりなさい♪」
リリーが巫女見習いとして、俺達を出迎えてくれた。
「こんな若返らせてくれるなんて…感謝です」
俺に跪き祈りを捧げるリリー。すると、巫女達が全員、同じように俺に祈りを捧げ始めた。
「まるで、生き仏のような…」
「おいおい、神殿で仏様は無いでしょ?」
って、ミトからの突っ込み。
「今日はゆっくりしておいで♪」
ミトが俺を送り出した。どこに?セーラとリーンが同行し、公爵様の家に…
「君の家と思って、寛いでくれ」
って、言われても…
「じゃ、お風呂でリラックスしてください」
と、セーラ。お風呂場に入ると、全裸のセーラとリーンが入って来た。
「お身体を洗います」
「マッサージをしますよ」
って、至れり尽くせりのダブル奉仕…極楽だ♪
「もう…一人で無茶しないでください」
「そうだぞ。私達を置き去りにするな!」
って、言われても…記憶に無いんだよ~。
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公都で武術大会って物が開催されるらしい。
「開会の挨拶の時、舞台に上がるんですよ」
「誰が?」
「アール様♪」
俺?
「なんで?」
「将来の孫達の婿殿ですぞ♪」
公爵様の素敵な笑顔…う~ん、結婚するのかな?不安になる俺。
そして、開会式。オーユゴック公爵一家として、俺も壇上にいる。いいの?場違いすぎる。
「レセプション会場では、奇跡の料理人であるペンドラゴン士爵が腕をふるっています。あぁ、我が家の新しい家族を紹介します。アルジェント侯爵です」
俺が立ち上がり、頭を下げた。リーンとセーラは死んだ事になっているので、俺の隣にいない。こんな状況で俺はここにいていいのか?
「彼に、私は多大な恩義を受けました。将来的に家督は息子に、都市核は彼に譲ろうとおもっています」
へ?聞いていないぞ。どうしてそうなる?
壇上を降りると、セーラとリーンが笑顔で迎えてくれた。
「あれ、どういうこと?」
「娘婿なんだもの。貰える物はもらってくださいね♪」
って、ことらしい。はて?
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武術大会には、リザ、フィフィ、ルルスが出場した。ポチタマコンビは、アリサ、ミーアと共に、甘味コーナーに群がっていた。ルルは奇跡の料理人の助手として、調理している。
ミト、セーラ達は神殿にいる。俺はゼナと街を散策していた。
「なんか、デートみたい…」
「え?デートでは無いの?」
「あぁ、なんか…なんだろうなぁ…あの時はごめんなさい」
って、俺とゼナの間には、プロポーズの一件という、わだかまりがあるようだった。
「いや、突然のプロポーズで、すまなかった」
「本音を言うと嬉しかったんですよ。ただ、スピード出世していたアールさんに恐怖を感じたというか…今、一緒に行動していて、スピード出世の秘密を知って…心の整理が付いたら、私の方から…プロポーズ…します♪」
してくれるの?それは、俺の方からはしちゃダメってことかな?などと考えていたら、突然、空気が鳴動した。なんだ?空気はドンヨリしない。ってことは、あのバカが来たのか?競技場の方を見ると、空間の裂け目から巨大な飛行船が出て来た。
『俺様、参上♪』
あのバカ勇者が、とんでもない方法でやって来た。
『メリーエスト、リーングランデ、フィフィ、ルスス、タマ、ポチ、そして俺様のマイ・ハニーのアリサ姫を返せぇぇぇぇえぇ~!』
なんか、返還要求が拡大していないか?いつ、タマポチが、お前の陣営にいたんだ?
飛行船の後にいる飛行艇から、空挺部隊が落下してきた。武力行使か?おいおい…勇者でなくて、侵略者になるぞ!
ドン!
また空気が揺らいだ。今度は空気が変質した。魔族か悪魔と手を組んだのか?あのロリ好き勇者は?
「アレは?」
ゼナが指差す方向に、空を飛ぶ巨大な鯨が7匹もいる。なんてヤツを引き連れてきたんだ?
『なんだ?あれ?』
へ?勇者も驚いている。引き連れてきたんでは無いのか?呼び込んだのか?!
『先輩、兄ぃ!迎撃をして…』
ミトからメッセージが届いた。
「ゼナ、リリオ達と合流して、セーラを護れ!」
「わかりました」
神殿の方へ走っていくゼナ。
『アーシア、都市の防御レベルをあげろ。その後、合流してくれ』
アーシアへメッセージを送った。
尖塔の上に銀色の仮面の戦士が現れた。最近噂の勇者ナナシこと、先輩である。
「お~い!乗れよ~」
って、天竜が話し掛けてきた。
「知らないヤツは信用出来ない」
「テンちゃんの中の竜だよ~」
知っているよ。天竜の背中に載った俺。だけど、後悔した。ジェットコースター感覚であった。マズい、ドラゴン酔いだ…
『鯨はまかせろ♪』
先輩からメッセージ。さすが料理人だな。食材はまかせろとは…
「じゃ、バカ勇者か?」
「たぶん…リザが向かった気がする」
飛行船が地面に落下した。闘技場が破壊されて行く。その飛行船にリザの姿があった。聖槍の刃先は紫色の光を纏っている。
「じゃ、誰を相手に?」
「この高度を維持してくれ。来るぞ!」
空間が割れ始めた。何かが出てくる。月が出ていないので、アレは使えない。じゃ、これは?割れ目に向かって、俺はジャンプした。そして、ジョブチェンジ…
「なんなんデス?」
魔族のようだ。
「リッチだよ♪」
俺は空間の切れ目の中で魔族と交戦。これで、俺は消えることが出来る…切れ目が閉じていくのを見ながら、魔族をボコる。全力でボコる。
そして、魔族を屠った頃、俺は空間の裏側にいた。これで、迷惑を掛けずに済む…