デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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ミト視点です。

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SS:記憶の向こう側

先輩達に合流しないと…何かをやらかす前に…逸る気持ちを抑えて、確実に進む。割りとサクサク進軍出来ている。リザ達がやたらに強い。そこにフィフィ、ルスス、リーンの勇者の従者が加わり、ゼナ達もいるし。結構な火力があると言える。

 

更に、私と兄ぃのチーターコンビもいるし…

 

そして、48階層で、他のパーティーと遭遇した。相手のリーダーはレベル53の魔法剣士で、称号は「勇者の従者」と表示された。相手のリーダーは結構年季の入った女性であった。どこの勇者の従者だ?年齢的に、私の知り合いの予感がするんだけど…

 

そのパーティーは、デミオーガ軍団との戦闘中で、たった今重騎士が1名屠られたようだ。

 

「ザーナ、ジェフは後衛を守りつつ、撤退!」

 

「わかった!」

 

「ブルーメ婆さんも早く!」

 

「誰が婆さんだ!」

 

ブルーメ?はて?記憶を遡って想い出す。誰だっけ?

 

「トリンとシルジェはあたしと斧猿の相手だよ」

 

「マジかよ」

 

「貧乏くじだぜ」

 

「一匹倒すたびに金貨を一袋付けてやるから、気合を入れな!」

 

彼らは劣勢のようだ。

 

「取り敢えず、倒して来て」

 

と、仲間達に指示を出した。

 

「お前達、何者だ…え?瞬殺?」

 

私の仲間達の戦闘力に驚きの声を上げるブルーメ。マップで詳細情報を見た。シガ八剣筆頭のゼフ・ジュレバーグ氏の母親のブルーメ・ジュレバーグだ。あぁ…歳取ると、こんなになるんだ…彼女の老齢化にショックを受けた私。

 

「まさか…ミト様ですか…いや、王祖ヤマト様…」

 

「やぁ、相変わらず、元気そうだなブルーメ♪」

 

私に泣いて縋って来たブルーメ。

 

「ズルいですよ~、あの当時のままだなんて…」

 

チーターですから♪

 

「彼女達は、ミト様の眷属ですか?」

 

「いや、私の腹心の眷属だよ」

 

「あいつらを瞬殺って、どんだけ強い腹心なんですか?」

 

「魔王を瞬殺するくらいだよ」

 

唖然とするブルーメ。先輩の仲間達、ほぼ全員がドヤ顔だ。

 

「勇者ですか?」

 

「勇者では無い。だけど、敵にしちゃダメなレベルにいるよ」

 

「そんなに…その腹心の方は?」

 

「先遣隊として、魔王をボコりに行っているよ」

 

ボコるだけで済めば良いけど…

 

「ブルーメ婆さん、キールとゴッツはダメだった」

 

「そうかい……二人とも良い大盾使いだったんだけどねぇ」

 

死亡した仲間を確認して戻って来たブルーメの斥候の者。

 

「盾役がいないんじゃ、『迷宮の主』に挑むのは無理だ」

 

「そうだな、ブルーメ婆さんがいくら強くても――」

 

「ザーナ、『帰還転移』の巻物を使って皆を連れて戻れ」

 

賢明な判断をしている仲間達に、指示を出すブルーメ。

 

「ミト様の腹心の者が、魔王を倒しに行ったという。あたしは、ミト様に同行するからね」

 

え?付いて来るの?逢わせられる姿かな…先輩は…不安である。あの姿では、倒すと言いかねないブルーメ。

 

「あの頃より強くなりましたよ。剣はシガ八剣並み、雷魔法はセーリュー伯爵んトコの雷爺にだって負けない。おまけに神聖魔法だって中級まで使えるんですから」

 

「神聖魔法は、最上位まで使える者がいるから…」

 

「なんですって?」

 

ブルーメが驚いている。神聖魔法を使える者って、数が少ない上、上級以上は滅多にいないし。

 

「リリーの弟子のセーラよ」

 

セーラを紹介した。

 

「私は上級までです。最上級が使えるのは、私の主様です」

 

って、セーラが説明をした。

 

「ミト様の腹心って、聖職者ですか?」

 

笑って誤魔化す私。聖なる不死王だって、言えないよな…

 

「ご主人様は、ジュレバーク殿を2,3回殺しています」

 

自慢げにリザが言った。おい!ソイツの母親だぞ…

 

「何?私の息子を2,3回殺しただと…」

 

ブルーメが、ジュレバークの母親って事実に驚くみんな。

 

「え?ジュレちゃんのママ?」

 

タマが失礼な言い方を…

 

「ジュレちゃん?アイツ、そんな風に言われているのか?ばしっと躾けないとダメだわねぇ」

 

嘆いているブルーメ。

 

「ミト様、2、3回死んだってことは、腹心の方は、蘇生術が使えるのですか?」

 

「えぇ。でも彼への負担は大きいようですよ」

 

気軽に使われるとダメだと思うので、予防線は張っておく。

 

「私は魔王に殺されましたが、主様に蘇生して頂きました」

 

って、セーラ。固まるブルーメ。まぁ、レアケースであると思う。

 

「ミト様の腹心って、何者ですか?」

 

「仲間想いの優しい男だよ。キレると危険が一杯だけど…」

 

こんなところで、長話している暇は無い。先を急がないと…先輩が先輩であるうちに、合流はしたい。

 

先を急ぐと、先輩が先輩の姿で転移してきた。

 

「コイツは何者だ?!」

 

いきなりの転移で、ブルーメが驚いたが、先輩はスルーした。急ぎの用だな。

 

「アリサとルル、セーラ、一緒に来てくれ。準備は出来た」

 

「ありがとう…」

 

「ありがとうございます」

 

アリサとルルが、先輩に感謝の言葉を述べ、セーラを含む4人で転移していった。そうなると、迷宮核の契約更新は終わったのか。

 

この迷宮へ来た目的…アリサの家族と、アリサとルルの父親の鎮魂だと言う。ここの上にあった城は、アリサの家であったから。隣国が攻め込みほぼ全員が死に、捕らえたアリサとルルを、奴隷にして売り払ったそうだ。売り払う前に、敵の王子により、ルルは酷い目に遭ったらしい。お子ちゃま体型であったアリサは、難を逃れたようだけど。

 

しばらくすると、先輩達が転移してきて、セーラとアリサを置いて、またどこかへと転移していった。

 

「どうだった?」

 

アリサに訊いた。

 

「成仏してくれたと思います♪」

 

満足そうなアリサ。

 

 

 

だけど、事態は危険な香りを漂わせ始めた。突然、ルルだけが転移してきた。ルルは半狂乱だし。

 

「ごめんなさい…私が嫌なことを想い出したから…ご主人様が…ごめんなさい」

 

私に泣いて縋るルル。マズい事態だ。兄ぃが、転移した。様子を見に行ったようだ。

 

 

 

顔面蒼白で兄ぃが戻って来た。無表情スキルを使っているようだけど、物凄く切なそうな瞳である。涙か?瞳が潤んでいるように見える。

 

「どうだった?」

 

「アリサの国を襲った奴らは始末された。ルルに手を掛けたヤツは、二度と女を抱け無い身体にした。王は都市核と引き換えに、命を助けて貰ったそうだ」

 

端的な話だ。きっと、凄惨な現場なんだろう。ルルは泣き叫び、アリサは哀しそうな顔で固まっていた。

 

「我慢できなかったんだと思います。彼は優しいから…」

 

セーラが呟いた。そんなことは、みんな分かっている。だけど…

 

 

---------

 

で、ようやく、マスターズルームへ着いた。目の前に重そうな扉があった。扉をノックすると、扉が開き、先輩の顔が出て来た。戻れたようだな。一安心である。

 

「おぉ、いらっしゃいませ♪」

 

何事も無かったように、応対する先輩。きっと、記憶に無いんだろう。

 

「どう?」

 

「迷宮核の復旧待ちだよ。まだ、掛かるみたいだ。先に上がっていていいよ。俺はアーシアの傍にいるから」

 

普段と変わらない先輩。不憫に思えて来た。マズい、ここは無表情スキルを使おう。でも、表情筋がうまく機能しない。

 

「俺は、何かをやらかしたのか?」

 

私の不自然な表情で、記憶喪失時のことを訊いて来た。

 

「いや…問題無いよ。こうして、戻って来てくれた。それだけで良いんだ。じゃ、先にあがっているよ」

 

これ以上、先輩の前にいるとマズい。泣き崩れそうだよ。不憫過ぎる。セーラを助けただけなのに…なんで?…ルルのように泣き叫びたい気持ちを抑え、先輩に背を向け、地上を目指した。

 

-------

 

地上に戻りメリーに、この国をアルジェント侯爵領へ編入する手続きをしてもらった。都市核は契約更新済みなので、割りと簡単に変更できた。

 

次に、城跡を立ち入り禁止地域に指定して、ここへ霊園を作る事にした。ルルと共同墓地に行き、なんらかの理不尽さに爆発した先輩。それは、纏めて埋めて、あんなちっぽけな墓石1つで済ませた、王国への怒りだろうと推測出来る。だから、共同墓地に埋まってた死体を丁寧に掘り起こし、一体ずつ棺に納め、ここへ埋めていく作業を、兄ぃを中心に急ピッチで進めた。

 

今の私達に出来ることをしていく。先輩が地上へ戻ってくる日までに…これ以上、先輩を壊さない為に…

 

 

 

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