デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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迷宮デビュー

迷宮都市に着いた翌日、潜りに行こうとすると、止められた。

 

「今日はダメだよ。歓迎レセプションがあるんだから」

 

それは先輩の料理目当てでは無いのか?

 

「そうだよ。だけど…先輩もいてよね!」

 

涙目で俺を見るミト。しょうが無いなぁ…

 

「爵位家の令嬢達も、それなりに着飾ってね♪」

 

ゼナとセーラとリーンとメリー辺りか?いや、アリサもだ。ルルは先輩の助手として、もう、下準備に向かった。リザ、タマ、ポチは、尻尾が踊っている。ミーアも令嬢に仕立てるかな…アリサと一緒の方が、ミーアも安心だろう。

 

って、アーゼも参加らしい…令嬢では無いと思うが…

 

パーティー会場はこの街の太守の家で、行われるそうだ。えぇ~っとアシネン公爵だっけ?そして、慣れない正装をして、パーティー会場へ…リザ達にもそれなりのドレスを用意してくれた先輩。

 

「恥ずかしいです…」

 

リザが恥ずかしそうで、初々しい♪エスコートしようとすると、ミトにストップって言われた。

 

「アーゼをエスコートしなさい!正妻候補でしょ?もう片手は、メリーにしなさい」

 

え?セーラでは無いの?

 

「こういうのは、好きな順では無くて、格位順なの。わかった?」

 

ミトに念を押された。なんか、メンドーなんだけど…

 

馬車からミトが降り、続いて俺達が降りて、続く。なんか形式って、苦手である。先輩とルルはいいなぁ、いつも通りで…

 

『士爵の特権だよ、侯爵様♪』

 

って、先輩からメッセージ。おい!こんな時も心を読んでいるのか…

 

そして、来賓の席に座るミトと俺達。

 

「では。ミト・ミツクニ公爵様の来訪を記念して、懇親パーティーを開催したします。今日の料理は、ミツクニ公爵付きの士爵である、奇跡の料理人ペンドラゴン卿が担当してくださっています。どうぞ、舌で堪能してください」

 

って、司会の人。俺はいないくても、良いんじゃ無いの?有名人では無いし。

 

「ご歓談の途中ですが…ミツクニ公爵様の腹心である、アール・アルジェント侯爵をご紹介いたします」

 

って、いきなり俺が話題の中心に…なんでよ~。

 

「アルジェント侯爵は、あまり有名ではありませんが、ミツクニ公爵様の影の懐刀とも言われている、キレ者だそうです」

 

誰だ?そんな物騒な事を言うのは…

 

「その功績は、所有する都市核が4、迷宮核5、源泉1、討伐した魔王3だそうです」

 

響めく会場、俺を指差す貴族達。何の虐めだ?

 

「そんな彼の周囲を彩る者達を、ご紹介します。まず正妻ですが…えっ?これって本当?」

 

司会者が誰かに確認をしている。ちらっと、頷いているリリアンが見えた。ロクでもないことを言わせるんだろうな、あの老女は…

 

「あ、失礼しました。正妻として婚約をされているボルエナンの森のハイエルフ、アイアリーゼ・ボルエナン様」

 

アーゼが立ち上がり、会釈をして着席した。更に響めく会場。

 

「後の方々は側室として婚約を予定されている方々になります…」

 

また、確認をしている司会者。

 

「え~っと…サガ帝国第21皇女メリーエスト・サガ様」

 

21って、そんなに娘がいるのか?サガの帝王って…

 

「オーユゴック侯爵の娘であるセーラ・オーユゴック様、リーングランデ・オーユゴック様、マリエンテール士爵の娘であるゼナ・マリエンテール様、今は亡き故クボォーク国のアリサ元王女様…です…」

 

名前を呼ばれたアリサが戸惑いながら、立ち上がり会釈をして着席をした。ミーアは爵位持ちとは見なされなかったようだ。

 

で、俺の婚約者の紹介が有り、俺の元には誰も寄り付かなかった。いや、リリアンが寄り付いて、誰も近寄れなかったが正解かもしれない。

 

「どうやって、こんなに良家のお嬢様方を揃えたんだい?」

 

この老女、ヨッパのようだ。アルコール臭のブレス攻撃を食らっている俺。

 

「えぇ?どうなんだよ~!」

 

苦笑いしているミト。

 

「おぉ~!いたいた!」

 

うっ、また苦手なヤツが来た。ブルーメである。リリアンが呼んだのか?ジュレちゃん付きだよ…

 

「おい!お前!息子と勝負しなさい!」

 

また、無理なことを…ジュレちゃんが申し訳なさそうに俺を見ている。

 

「俺も見てみたいな」

 

って、コイツは誰だっけ?

 

『迷宮方面軍将軍でアルエトン・エルタール名誉伯爵よ』

 

って、ミトからメッセージが届いた。

 

ガチガチの軍人か…

 

「簡単にいうなよ、相手はシガ八剣筆頭のジュレちゃんだぞ!」

 

アルエトンが目を見開いて、ジュレちゃんを見た。

 

「これは、ジュレバーグ様…では、こちらのご婦人は?」

 

「ジュレちゃんの母親のブルーメだよ。あぁ、そこのヨッパのリリアンの友人だ」

 

「ジュレちゃん…お前、無礼だろう!その言い方は!」

 

アルエトンの怒声。みんなこっちへ振り向いている。

 

「あぁ、将軍、いいんだよ、彼は」

 

って、ジュレちゃん。

 

「もう何度も、負けているから…」

 

ジュレちゃんは苦笑いしている。

 

「ならば、私と勝負しなさい!」

 

って、ブルーメが息巻く。デコピン一発でくたばりそうですが…

 

「ご主人様、僭越ながら、私がお相手をします。許可をいただきたいです」

 

って、リザ。得物を既に手にしているし…

 

「何!聖槍ロンギヌスだと…」

 

アルエトンは目利きか?一目で見抜いたようだ。

 

「面白い、小娘が!来なよ!」

 

挑発するブルーメ。だけど、

 

「リザ!旨い物でも食って来い!」

 

「しかし、ご主人様!」

 

「二度言わせる気か?」

 

「いえ、すみませんでした」

 

俺に頭を下げて、後にさがるリザ。俺は立ち上がり、得物を手にした。

 

「なんだって…聖剣エクスカリバーだと…」

 

アルエトンに見抜かれたが、スルーだ。

 

「俺の仲間に何をやらせるんだ?」

 

聖剣の放つ光の色が、青から紫へと変化していく。

 

「まさか…聖魔剣か…そこまでエクスカリバーを昇華させたのか…」

 

装備類に詳しそうなアルエトン。今度、色々話を訊きたいなぁ。

 

「ブルーメ、来いよ!」

 

しかし、ブルーメは動けなかった。聖魔剣の放つ異様なオーラに、飲み込まれたようだ。聖魔剣の良い処、抜いただけで、相手を制圧出来る点である。対魔王兵器である。人間では、この剣のオーラにより、恐怖へ陥れることが可能なようだった。

 

で、こっそり、ブルーメの意識を『強奪』した。その場に崩れるようにして、倒れたブルーメ。俺は剣を鞘に戻し、ストレージに戻した。

 

「なんだ、あの剣…戦わずして勝てるのか…」

 

アルエトンが腰を抜かしている。ジュレちゃんは慣れているので、膝が笑う程度であったけど。

 

「おい!アルジェント卿へケンカを売るな!もし、売ったら、俺達シガ八剣が買い取る」

 

レイちゃんこと、レイラスも来ていた。聖盾使いの老騎士で人格者である。ナナに防御術を教えて貰っている。

 

「レイちゃんも来ていたのか?」

 

「えぇ、ジュレバーグ親子だけでは不安ですからね♪」

 

って、俺の前で跪いて、話さないでぇぇぇぇぇ~。

 

「良いか!アルジェント卿は、我らシガ八剣と懇意にしており、我らの恩人である」

 

レイちゃんが俺を持ち上げている。どこで落とすんだ?

 

『落とさないよ』

 

って、ミトからメッセージ。

 

こうして、波乱の祝賀会は幕を閉じた。

 

-------

 

翌日…なんか嫌な予感を感じつつ目が醒めた。なんだ、この感触は…

 

「おぉ♪今朝は、手間掛からず起きたようだねぇ~」

 

って、後輩氏の声…横を見て固まった俺…ブルーメとリリアンが添い寝をしていた。どうしてだぁ~!!

 

「火照った身体には、気持ち良いそうだよ」

 

まぁ、死体だからね…二人を起こさないように、ベッドを抜け出し、棺桶に入ろうとした俺。

 

「ダメだよ。起きたんだから、起きなさい!」

 

って、ミトのダメ出し…二度寝したい気分なんですけど…セーラとゼナに両腕を抱かれて、食卓へ補導されていく。

 

「今日は潜ってきていいから♪」

 

「二度寝は?」

 

「ダメだって、言ったでしょ?」

 

そんな…

 

「私とゼナ隊、ペンドラゴン卿とカリナは、残りますので、残りの者で行ってきてね」

 

って…え?ゼナは居残り?

 

『私のガードとして雇ったのよ』

 

って、ミトからメッセージ。そうだけど…

 

食後、各々が準備をしていく。そして、馬車に乗り、迷宮の入り口前にある、冒険者ギルドの支店のような建物の駐車場に着いた。ここは治安が良いので、馬車を置いても安全らしい。

 

いざ、迷宮へ…って、迷宮までが遠い…迷宮の入り口から長い廊下を進むと、冒険者の受付があり、さまざまな露天が並んでいる。う~ん、タマ、ポチが買い喰いに行きたいらしい。これは罠か?

 

メリーとリーンで受け付け作業を熟して貰い、ポチ、タマは抱き抱えて、迷宮への扉を開けた。

 

「魔物の配置を探査します」

 

アーシアが迷宮核とリンクしてくれた。これでイレギュラーにも対処できるだろう。

 

「上層、中層は探査を終えましたが、下層は遮断されました」

 

それは、下層に何かあるのか、偽核では下層までは制御出来ないかだ。行かないとダメだろうな。危険な物は排除しないと、仲間達が危険である。

 

「抜け駆けはダメですよ」

 

って、セーラが俺の腕を抱いている。これでは、転移出来ない。セーラを巻き込んでしまうから。

 

で、上層を進んでいく。順路通りに…

 

「敵がいませんね」

 

って、リザ。いや、魔核が拾えているので、敵と認識しないで、排除しているだけでは無いのか?タマのブーメランが飛んでいる虫を次々に屠っているし。

 

「トレインを検知しました前方300メートルです」

 

アーシアが警告を発した。

 

「どうします?」

 

メリーに訊かれた。

 

「このままの陣形で進む。平常心でいこう」

 

ダメなら、俺が出る♪

 

「あぁ、抜け駆けを考えましたね」

 

俺の腕を抱く力が増したセーラ。あれ?なんでバレたんだ…

 

「迷宮蟻(メイズ・アント)の大群を検知しました。総数は1000くらいです」

 

アーシアが情報を的確に伝えてきた。そうなると次の角を曲がると?

 

「お~い、逃げろ~!」

 

遠くから叫び声。無言で二人の男が逃げていく。

 

角を曲がると、左に大きくカーブしていて、先が見えない。

 

「助けて~!」

 

女性のか細い声だ。俺が飛び出ようとすると、セーラに止められ、俺の代わりに、リザ達が飛び出して行った。ズルい…

 

「ご主人様は、安全な場所で、どっしり構えてね♪」

 

て、アリサ。暫くすると、リーンとルススが女性を一人ずつ抱えて戻って来た。一人は足が食われて重症である。

 

「セーラ、そっちはまかせる」

 

「わかりました」

 

俺とセーラで、怪我人を回復術で治癒させていく。

 

「え?神聖魔法…それも二人も…」

 

怪我人のチームの者か?回復術使いが二人いることに驚いている。

 

「残り500です」

 

アーシアからの報告。もう半分も屠ったのか…俺の出番は?

 

『無いですよ』

 

って、アリサからメッセージ。あれ?じゃ、俺の心を読んだのは…

 

『転生者にも読まれるって、チーター失格ですよ♪』

 

って、アリサ…凹む俺は、聖杯の力で欠損部分の修復を始めた。

 

「修復魔法…あなた達は一体…」

 

「残り100です」

 

アーシアからの報告。出番…ダメだ…

 

『あははは♪』

 

アリサからのメッセージが、ダメ出しをしているようだ。

 

「彼女のカウントダウンは何?」

 

逃げてきたチームメンバーがあれこれと訊くが、みんなスルーをしている。

 

「回収作業を始めました」

 

終わったのか…おい…1000匹をそんな短時間で…って、こっちも終了だ。

 

「アリサ、回復薬を念の為に渡してくれ」

 

「了解です。ご主人様♪」

 

「お前が、このパーティーのリーダーか?」

 

20代前半そうな筋肉質でスレンダーな女性探索者に訊かれた。ストライクゾーンかな?

 

「そうだけど、何?」

 

「お前達は何者だ?私は、『麗しの翼』でリーダーをしているイルナだ」

 

「そうか。気を付けて帰れよ♪」

 

「おい!お前達は何者だ?」

 

「名乗れる程の猛者じゃない、気にするな」

 

俺達は、前衛部隊に向かって歩を進めた。だけど、イルナだけが付いて来た。

 

「なんだ?」

 

「お前達に興味がある。怪我人は仲間に託して地上へ向かっている。私だけ、付いて行くぞ」

 

ここの女性って強引だよな。リリアンにしても、ブルーメにしても…前衛部隊は、ドロップ品と魔核を回収していた。

 

「ドロップ品って何?」

 

「ハチミツ?」

 

「ハチミツなのです♪」

 

タマ、ポチが喜んでいる。ミーアが嬉しそうだ。回収してくれた物をストレージへ収納した。うん?999しか入らないので、ハチミツと魔核が1つずつ手元に…

 

「アリサ、頼む。俺の方は999しか入らない」

 

「了解♪」

 

「1000匹倒したの?じゃ、さっきのカウントダウンって…」

 

イルナがアーシアを驚愕な表情で見つめていた。これもみんなスルーである。

 

「アーシア、どこか広めの区画はないか?」

 

「後200メートルです。強敵はいないです」

 

「じゃ、前進してくれ。最初のペースで頼む」

 

頷くリザ達。

 

「どうして、ダンジョンの情報がわかるの?」

 

イルナの疑問に答える者はいない。そして、広めの区画に出た。

 

「じゃ、予定通りに呼び出すぞ♪って、何が出るのかな?」

 

って、イルナ以外が身構えた。俺は『強奪』で近くいる階層主を引き寄せた。マップ情報では『招雷牡鹿(ライトニング・エルダー・スタッグ)』と表示されている。

 

リザが一番槍を突き、ポチ、リーン、ルスス、フィフィが次々に襲い掛かっていく。獲物が逃げようとしたので、俺の『ヘアランス』で、この区画に釘付けにして、ボコっていく。

 

「格上の区画の主を…こんなに簡単に…」

 

イルナが腰を抜かしている。相手が弱いだけでは無いのか。5分程度で決着が着いた。

 

「じゃ、次を呼び出すぞ~♪」

 

「「おぉ~♪」」

 

俺達のパーティーが始まった♪

 

-------

 

まぁ、1日目だ。こんな物だろう。手に入れた魔核を出口の受付に渡した。ローカルルールで、ダンジョン内の魔核は全量買い取りらしい。

 

「ねぇ、次の札にアップされるかな?」

 

受付の女性に訊いた。顔面蒼白の女性…固まっているのか?

 

「お前達…何者だ?」

 

イルナが俺達を見て、怯えている。

 

「だから名乗る程の者では無いよ。木札だし♪」

 

「木札?有り得ない…なんだ、あの戦力は?」

 

「今日はデビュー戦だよ。ビギナーズラックだろ♪」

 

メリーが受け付けで、何かの書類にサインをしてくれた。では、帰るか。俺達は、馬車へ戻って行った。

 

 

 

 

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