私には妹がいた。一卵性双生児の妹…いわゆる双子の妹である。私にソックリの顔立ちであるが、妹の方が少しメリハリのある身体付きであった。子供時代、私はやんちゃで、妹は大人しかった。私はイチロー兄ぃというボーイフレンドを作る事が出来たが、妹は引きこもりがちで、私の事を羨ましいって…
だけど、いつしか、妹にもボーイフレンドが出来た。イチローお兄ちゃんって言うらしい。まさか、イチロー兄ぃは、美人姉妹を一人締めか?それとも妹に乗り換えるつもりなのか?疑心暗鬼になっていく私。妹の方が美人で器量があると思ったから。兄ぃを問い質す勇気は無かった。訊けずにいた。その分、妹に負けない位の愛情を兄ぃへと振り撒いていった。
13歳になった誕生日の夜。その日は満月の晩だった。まん丸とした綺麗な満月が、夜空に浮かび、地上を明るく照らしていた。その日、妹は突然いなくなった。
誕生日のお祝い会を終え、それぞれの部屋へ戻った直後、妹の叫ぶような声…
「お兄ちゃんと離れたくないよ~!」
異変を感じた私は、妹の部屋に行くと、妹の姿は既になかった。妹の声を聞いて、1分も経っていなかったのに、妹のいた痕跡が無くなっていた。私の後から、両親がやってきた。血の気の引いた顔で…私は、「どういうこと?」って、父さんに訊くと、
「神様が連れて行ってしまった。人間としての義務教育は終わったからって…」
と…寂しげに答える父さん。母さんは満月を恨むように睨んでいた。
私の家は神社であるけど、神社の娘として、父さんの言葉が理解できなかった。神様が連れ去るって何?妹は死んだってこと?だけど、妹の葬儀は行われなかった。事件、事故による行方不明とされたのだ。
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私は忘れていた。私に妹がいたことを…どうして、こんな大事なことを忘れていたのだ?満月の夜…先輩が失踪した日…全裸のリザが私の元に、突然、強制転移してきた。泣きじゃくるリザ。先輩は何かをやらかしたようだ。
いつものように、先輩の心をモニタリングした時に…私では無い私と会話する先輩が脳裏に見えた。私よりも胸が大きく、締まるところはしまっている。でも、顔立ちは私にソックリだった。
『お兄ちゃん♪酷い姿だよ』
先輩をお兄ちゃんと呼ぶ妹…先輩の本名は…たしか…田中…一郎…あぁぁぁぁぁ~!イチローお兄ちゃん…先輩が、妹のボーイフレンドだったのか…兄ぃ、疑ってごめん…
「どんな姿だ?」
『リビングスケルトンかな?』
先輩は妹に、ここへ呼ばれたのか?一緒にいたいって妹が願っていたから…
「それは、オーバーロードの主人公であるアインズ様のようなのか。なるほど、リッチだものな…」
「アインズ様…あぁ、そういう感じだね」
妹が突然アニメ好きになったのは、先輩のせいなのか?引っ込み思案で、興味を抱く事がないって嘆いていた妹が、お兄ちゃんが出来た頃から、アニメに嵌まっていった覚えがある。
楽しげに会話する先輩と妹…妹が呪文を唱えると、
「月の光に当たるとスケルトンに見えちゃうけど…」
「それは、パイレーツオブカリビアンの呪われた海賊たちでは無いか?」
「まぁ、そんな感じだよ。光が当たらなければ、人間の姿に見えるよ」
先輩の身体半分がスケルトン化していた。月の光が当たっている部分だけ…あっ!『月の女神』…あれって、妹なのか…
「カグヤが消えた。帰っていったようだ。」
そういうと、先輩の意識は砂嵐状態になった。寝落ちしたようだな。カグヤ?妹の名前は、竹子だよ…そう思った瞬間、涙が急に溢れてきた。脳裏に『竹取物語』という文字が浮かんだのだ…まさか、妹は…そうなると、父さんの言った言葉の意味もわかる。
『お姉ちゃん、お兄ちゃんを回収してね♪』
先輩の心にリンクしていたせいか、妹の声が聞こえた。
「竹子なの?」
『うん♪もうしばらくお兄ちゃんをお願いね、お姉ちゃん♪あぁ、お姉ちゃんに、これをあげる。無いと不便だからね』
『転移術をおぼえました』
と、ログ表示がポップアップした。次の瞬間、先輩が寝ている場所に転移していた。先輩を抱えて、先輩の部屋へ転移。
そうか…謎が少し解けたような…先輩は、私に妹の面影を、見ていたのかもしれない。だから、私に恋をしたのか…