完結していない原作なので、独自解釈に基づくオリジナル設定です(^^;
「あの…さん…起きて下さい…」
今朝は誰だ?声が震えているので、誰かの判別が出来ない。俺の専任の後輩氏はどうした?
「お、お、お、お父様…あっはっ♪」
ドンドンドンドン!
道路工事のような振動音…どう考えても、この小刻みで力強いスタンピングは、リザだろう。朝から、どうした?
「あっ!お、お、お目覚めですね♪」
真っ赤な顔のリザ…尻尾は元気良く、床を叩いている。
「どうした?」
「いえ…わ、わ、私なんか…娘で…いいんですか?」
あぁ、その件で嬉しさ爆発か?朝からハイテンションだな~。羨ましい。
「言っただろ?リザとタマとポチは娘枠だって」
「お父さん?」
「お父さんなのです♪」
タマポチが天井近くまでジャンプして、俺に急降下してきた。こいつら、嬉しさの表現が過激だ…家が壊れないか心配である。
「起床係のミトはどうした?」
後輩氏のことが心配な俺。俺を起こすのは、入社以来、アイツの役目だろうに…
「部屋からまだ、出て来ないよ」
って、リーン。何か遭ったのか?ミトの部屋へ向かった。
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ベッドにまだ寝ているミト。
「どうした?俺より寝坊って、この世の終わりか?」
「終わらないよ。これくらいじゃあね…」
どこか、元気の無いミト。
「何が遭ったんだ?」
「それは、こっちのセリフだよ。妹のボーイフレンドだなんて、知らなかったよ」
うん?
「ミトに妹っていたのか?」
「えっ!そこから、認識がズレていたのか…結構、顔は似ているんだけど…」
顔が似ている?はて…あれ?えぇぇぇぇ~?まさか…そう言えば、ミトの実家って…うげっ…
「理解してくれて、嬉しいよ。同じ家の娘だったら、普通は姉妹だとわかると思うけど」
「わからないって、オタケと出逢ったのは小学生の時だし、後輩氏と出会ったのは就職してからだぞ」
どんだけ、タイムラグがあると思っているんだ。
「えっ?知らないで、私を好きになったの?」
何が言いたいんだ?まぁ、肯定なので、頷く俺。
「おいおい…私の考えすぎかよ~。まったく、先輩ときたら…」
ブツブツと言っているミト。俺が悪いのか?朝から、何を言いたいのだ?
「で、何が言いたいんだ?」
俺の言葉に呆気に取られているミト。俺、何か変な事を言ったか?
「それすら、気づいていないのか…あぁ、私が愚かだったよ。そうだ、先輩は何時だって…」
顔が真っ赤になっていくミト。
「おい?変な物でも食ったのか?」
「あぁ、田中一郎っていうゲテモノをねぇ…はぁ~」
俺を食っても、美味しく無いと思うに一票だ。
「不死者なんか、食うなよ」
「あぁぁぁぁぁ~!そういうことじゃ無いんだよぉぉぉぉぉぉ~!まったく、先輩ときたら…うぅぅぅぅぅ~」
今度は泣いてしまった。どうしたんだ?こういう時は先輩を…『強奪』して呼び出した。
「おい!こんなシーンに呼び出されても困る」
呼び出した先輩に、泣き付くミト。アレの日か?
バキッ!
ミトの後回しけりで、なぎ倒された俺。なんで?
「今のは、アールが悪い」
って、先輩。そうなのか…今度は俺がブツブツ言いたくなった。
「ヒカルに妹って、初耳だぞ」
って、先輩。「えっ!」って表情のミト。
「妹がいたのか…どんな妹?」
「一卵双生児だよ」
「じゃ、会っても判断は難しいのか」
そう思う。
「それより、オタケに姉がいたことに驚きだよ」
「はぁ?」って表情のミト。二人一緒の時には会っていないはずだ。
「竹子がいなくなったのは、いつ知ったの?」
泣き止んだミトに訊かれた。
「満月の夜…いきなり神楽が聞こえてきて…月に向かう黒い点が見えたから…」
「あの日に…なんで、確かめに来なかったの?」
不思議そうな顔のミト。
「だって、あの日以降も会っていたし…」
「え?いなくなった後も?」
「うん、時間になると鳥居から出て来たんだよ。で、いつか、時が来たら、一緒に生きられるって、喜んでいたし」
正直に答えているのに、ミトの表情は冴えない。
「どうして、言ってくれなかったのよ~!」
千日手の予感。
「だから、ミトの存在は知らなかったし、オタケの居場所を、オジサンもオバサンも知っていたから」
「え…お父さんとお母さんは知っていたの?」
何を驚いているんだ?それは、家族の問題で有り、俺の問題では無い。
「知っていたよ。君にはあの子が見えるのって、訊かれたもの」
何かショックを受けているミト。
「だって、おかしいでしょ?私達は双子だよ。なのに、一人はカグヤって…」
「ミトは、カグラじゃないか。何を言っているんだ?」
ミトの目が点になったように、驚いている。
「今…なんて言った?」
「何を言っているんだ?」
「違うって!その前だよ~」
その前?なんだっけ?はて?…しばし考える…あぁぁ、そうだった。
「一人はカグヤで、もう一人はカグラだ。オバサンが言うには、二人が一つの篭に入っていて、名前が既についていたって。で、双生児の実子として戸籍を登録したって」
「初耳なんですけど…なんで、先輩が知っているの?私が知らないのに…」
そんなことを言われても…それこそ、家族の問題であって、俺の問題では無い。
「う~ん…そこだな、問題は。なんで、オジサン達はヒカルには言わなかったのかだ」
先輩が顎を撫でながら、問題を提起してきた。
「知られたくなかったんだろ?本人が知れば、神様が見つけちゃうから…オタケのように…」
顔から血の気が引いていくミト。今朝のミトは変幻自在だな♪
「私が…竜の伝説を知ったから…竜の姫と私を重ねたから、私はここに神様に連れて来られたのか…」
ミトが凹んでいく。
「それは知らない。そもそも、竜の伝説を俺が知らないからな」
「ごめん…兄ぃ…兄ぃを呼び込んだのは、私のせいかもしれない」
先輩に、再び泣きすがるミト。二人にしてやるのが、粋ってもんだと思い、部屋に先輩とミトだけを残して、部屋を出た。
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朝から一悶着があったので、今日は潜らずに、昨日の魔核をギルドへ売りに行った。転移したもんで、出口を通っていないし。まぁ、状況はアルちゃんが説明してくれたので、お咎めは無しだが…
「こんなに狩ったんですか?アルエトン将軍から、有り得ない狩りだったと聞いていましたが…」
買い取り担当官の顔色は悪い。まぁ、『強奪』で区画の主を呼べるだけ呼んで狩ったし…
「で、下層へ行ってもいい?」
「ギルド長と相談させてください。侯爵様は、乱獲しすぎですよ…」
担当官に耳打ちで、ここの迷宮核を所持していることを伝えると、さらに顔色は青白くなっていく。
「いつの間に…契約されたんですか?所有者が見付からずに、困っていたのに…」
元の所有者は賢者トーヤだった。死人だから、見付からないのは当然だ。で、偽核なので、所有者が死んでも、結界に護られて、設定通りに動いていただけである。
「まぁ、色々と…だから、その分のマナは源泉から供給するようにしているから、資源は目減りしないよ♪」
源泉はマナを発生、備蓄し、迷宮は多少のマナを発生し、マナを消費して、魔物を作りだしている。なので、乱獲すると、減った分の魔物を作る為のマナが不足となり、迷宮が枯れていくらしい。なので、アーシアに頼んで、乱獲分を自前で補填しているのだった。
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買い取り額査定は、後程ってことで家に戻り、昨日の獲物達を仲間総出で、喰える部分に解体し、珍味料理のテストをしていく。
「カツオの叩き…旨い」
って、リーンが、がっつり食っている。実際はカツオ似の魔物であるけど。
「ナマコの酢醤油和え…軟骨感があっていいなぁ」
って、ルスス…だが、そのナマコ似の魔物のエサを知ったら、食えなくなるに一票だ。冒険者の死体を食っていたんだが…これは内緒にしておくか…
意外だったのは、ミーアが迷宮蜂の子供のハチミツ漬けに、はまったことか。材料の正体を知ったアリサは引いていた。だけど、ポチ、タマは、ミーアと一緒に食っている。どうもミーアは肉はダメだが、昆虫系はセーフらしい。
「今日は料理教室か?」
って、先輩。ミトは立ち直ったようだ。先輩の隣に、目を腫らして立っている。衣服に乱れがまったく無いのが、不自然ではあるが。
『ヒカルに手は出さないよ』
って、先輩からメッセージ。
『弱り切った乙女に、手を出せないんだよ、兄ぃは!』
って、ミト。まぁ、俺だったら、ミトを押し倒すのに…
バキッ!
しまった!心が丸見えだった…ミトの鉄拳制裁が、俺に炸裂した。みんな、よくある風景ってことで、誰も動じていないし…とほほ…
「先輩!竹子と私、どっちが好きなんだよ~!」
殴っておいて、その質問って…卑怯だ…俺の目の前で、拳骨をちらつかしているし…
「身体はミト、心はオタケかな?」
バキッ!
正直な俺の答えは、ミトの拳骨で沈んだ…
「お前…私の身体目当てか?」
「はぁ?そもそも、オタケとはそういう関係に無い。そもそも、顔の見た目は同じ二人だし、どう優劣を付けろと?胸の大きさも、俺にとっては誤差の範囲のストライクゾーンだし。敢えて、答えを出すと、食ったことのあるミトは身体で、食ったことの無いオタケは心になるんだよ」
たぶん男として、最低な言い訳を熱弁する俺。なぜか熟れたトマトのように、真っ赤な顔になったミト。
「そうだね…先輩の言う通り…ゴメン…殴って…」
ミトをスルーして、先輩に、ここまでの成果を味見して貰った。
バキッ!
スルーした為に鉄拳が俺を襲う。まぁ、痛く無いし、スルーだな。
「材料を訊くのが恐いが…ハチミツ漬けと酢醤油和えは好きだよ」
そう言ってくれたのに、アリサが先輩の耳元でゴニョゴニョと…その結果、顔色が優れない先輩。
「おい!共食いになるだろ?」
ナマコ似の魔物の件のようだ。
「内臓は抜いてありますよ。だから、セーフかと…」
内臓は、ナマコ似が生息していた辺りに、強制転移で捨ててある。きっと未消化分は、食べてくれるはずだ。
カツオ似やマグロ似の魔物などは、先輩のストレージに移していく。珍味じゃなく、王道料理に使えるから。
そして最後に、問題ある食材を先輩と共に、研究する。見た目クラゲであるが、ホイミスライムにも見えなくも無い。
「これはスライムじゃないか?」
クラゲは食えるが、スライムは喰えない。ここが問題である。実験するにも、危険がある。ホイミ系ならば、軽傷程度で済むとは思うのだが、ベスとか緑のとかの別種だと危険である。
「お前が喰えば、死なないんだし」
って、先輩。
「いや、死なないから、毒性がわからないんですよ」
「なるほど…じゃ、持って帰って、化学分析してみるよ」
ってことで、決着はした。
海藻類も海苔以外は、似た魔物がいたので、採取はしてある。ワカメ、コンブの代用にはなりそうである。
「海苔かぁ…コケみたいなヤツを採取してきてくれ」
あぁ、コケで代用か…その手はあるなぁ。先輩の要望をメリーがメモに書いていく。ゼナとリーン、フィフィが、生息地のマップを書いている。注文の入った食材をいつでも狩りに行けるようにってことらしい。
「問題は迷宮ゴキブリだな。あれ、喰えないもんな…」
喰うところが無い。固いので、装備品の素材向きであるが、一つ一つのパーツが小さいので、作るのも大変である。100匹程度では、1つの装備すら出来ないだろうし。
「まぁ、トレインで出ない限り、スルーでいいんじゃないか?」
って、先輩。そうだけど…たまに間引かないとトレインされたら大惨事になると思える。あいつら、オリハルコンなどの伝説級素材以外、何でも食うし…
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ミトと共にリリアンに呼び出された。
「どういうことだ?」
どの件だ?やらかしたことが多すぎて、わからない。
「何の話でしょうか?」
ミトが訊いてくれた。
「迷宮核の件だ。そもそも、前所有者はどこにいたのだ?」
前所有者の行方が分からず、王都直轄領の迷宮都市でありながら、都市核、迷宮核共に、王都サイドに所有する者がいなかったが、それを隠蔽して今日まで来たらしい。
「都市核も契約したけど…」
「な、な、なんだと…貴様!」
杖を俺に向けたリリアン。しょうがないだろうに、まともに探さない方が悪いだろう。
「なので、ここは俺の領土だ♪」
「貴様…ここは王都直轄領だぞ!」
「だから?契約したのは俺だ。なんか問題でも?」
ミトは苦笑いして見ている。
「没収する」
「ならば、渡す前に、破壊する♪」
「貴様…どこまで、権力を手に入れるつもりだ?」
「権力?興味は無い。政治関係はミトに丸投げだよ」
そんなメンドーなものに興味は無い。
「前所有者はどこにいたんだ?」
「既に故人だよ」
「はぁ?なんで知っているんだ?」
「彼の作った人工迷宮とも契約をしている。俺の仲間には相続人がいる。なんか問題あるか?」
「何…くそっ!」
「税金の一部を、俺の領土に還元してくれ。それで、手を打つ♪」
緊縮財政から脱出出来るかもしれない。
「だから、ここは王都直轄領だと言っているだろ?」
「王都の地下迷宮の核も所有しているんだけど…」
「はぁ?貴様…国賊か…ミト様、どういうことですかぁぁぁぁぁ~!」
あぁ、そんなに興奮すると、血管がぷっちんするぞ♪
「聞いた通りですよ。所有者に所有権があるはずです♪」
「ミト様…」
「だから、今まで通りでいいんですよ。ただ、税収の1%は、アルジェント卿領へ、還元してください。アルジェント卿は、君臨はするけど統治はしませんから♪」
「なんてことを…王都で問題になりますよ!」
「なら、戦うか?」
リリアンの顔から血の気が引いていく。
「俺は構わない。どうする?」
「貴様…卑怯だぞ…武力で物事を決めるなんて…」
はぁ?リリアンがしようとしているのが、それでは無いのか?
「リリアン、あなたの負けよ♪」
ミトが涼しげな顔で、リリアンを見つめると、リリアンは凹んだようだ。
「良かったね~。ニナさんが喜びそうだわ♪」
ミトが喜んでいる。なら、いいか♪