ゼナ視点です。
「見つけた!」
漸く見つけた…彼を…だけど、彼の後方には3名の奴隷と思しき少女達がいた。どこかで買ったのか?少女達を奴隷って…そんな人だったのか…
いや、何か理由があるのかもしれない。早合点は良く無い。
私の声で、私を見た彼。うん?私を覚えていないのか。あまり興味を示す顔では無い。
「なんで、お礼をしようと思っているのに、立ち去るんですか?」
私の言葉で、私を思い出したような彼…そんなに印象が薄いのかな?少し凹んだ私。
「大勢の女性は苦手なんだよ~」
妙なことを言う彼。じゃ、後の子達は何?
「えっ?3名も女の子を連れているのに?」
「えっ?」
驚いた顔で、後を振り向いた彼。彼の奴隷では無いのか…少し安心したわ。でも、あの少女達はアールさんの纏うオーラに怯えているようだけど、尻尾は嬉しそうに踊っていた。
「お前達は、もう自由だ。お前達は好きに生きろ!俺はどこかで死ぬ!」
えっ?死ぬ?なんでよ~!思わず彼の腕を掴んだ。
「何で、死んじゃうんですか?お礼をしたいのに…」
死ぬなら、彼氏になって欲しい。たくさん尽くしますから、死なないで…
「お礼はいいよ。もう、うんざりだよ。人生、うまく行かないなぁ」
何かに絶望している彼。彼の力になってあげたい。
「今度は私がアールさんの役に立ちます。だから、死なないでください」
必死に懇願する私。
「あの…ご主人様…私達も…一緒に…」
一番年長の少女が、震える声で彼に心を伝えた。
「俺が恐いんだろ?だから、付いて来ないで良い。好きに生きてくれ」
その纏うオーラは恐いよなぁ…私も恐いし…だけど…
「そうもいきません。奴隷から解放してくれたのに…」
えっ!彼に抱きついて少女達。私の抱きつくスペースは無い…出遅れた…
「こんな少女達を残して死ぬんですか!生きて下さい!できる限りの支援はしますから…お願いします」
凹んだ心を引き締めて、彼に言葉を掛けた。掴んだ彼の腕を引っ張って、家まで連れて行き、応接間に入ってもらった。
「ここで、お待ちください」
彼らの部屋を用意する。広めの客間にベッドを4つ設置して、少女達の服も用意する。奴隷ってわかる服装ではかわいそうである。彼は恐いけど、良い人なんだと思う。彼女達を奴隷から解放したって…解放した手段は…考えるのは止めよう。あのオーラだし…
私のお古の服で、新しめの服を3人分用意していく。サイズは、私の見た目で用意するしかない上、私の過去のサイズの物しか無いのが難点である。
で、用意し終わると、彼の元に戻ると、雰囲気がまるで違った。
「お待たせしました…あれ?アールさん、雰囲気が変わりましたねぇ」
戦場でのオーラがクールダウンしたのかな?これが本来の彼なんだろう♪
用意した部屋へ彼らを、お連れした、
「ここをお使いください。食事は…う~ん…一緒には無理ですが…」
この街は亜人への差別が有る。なので、彼の連れは…私は大丈夫だけど、使用人達の一部が、問題有る行動に出るかもしれない。
宿なんかでも、大金をいくら積んでも、亜人は部屋には泊めない、徹底ぶりである。我が家の使用人に注意しようものなら、働き手はいなくなるので、父も迂闊に注意が出来ないそうだ。
「寝る場所があればいいです。食事はどこかでします」
彼は、そんな差別が有るのを知っているのか、気にしていないようだ。良かった。減点対象になる気がしていたから。あっ!大切な事を忘れていた。何をしているんだ、私は…
「あぁ、コレを渡さないと…」
危ない、危ない。本題を忘れる処だった。
「所属が士爵になっていますが…」
身分証を見て、彼が指摘してきた。乗り切れるかな。この試練…
「あぁ、形式上のものです。私の命の恩人って父に話したら、このような身分証を作ってくれました」
受け取ってくれるかな?運命の第一関門である。内心ドキドキの私。
「わかりました。頂きます」
第一関門は突破できたようだ。あとは、徐々に心の距離を♪