魔族化したシーナ・アシネンの前で、どうするかを考えて居る。う~ん…相手からの攻撃はフルカウンターで返して行く。考える時間を稼ぐ為である。
身体の構成は魔族になっているようで、もう人間の身体には戻せないようだ。あくまで、俺の能力では。
「ソーナは戻せるのか?」
「ごめんなさい…無理です。この局面で、私を亀甲縛りにする妄想は、どうかと思いますよ」
「頭に休息を与えることも大事♪」
『アフォかぁぁぁ~!』
って、ミトからお叱りが…スルーする。どうするよ、これ…
「あっ!なぁ、ソーナ。魂は人間か?」
「魂までは変異出来ないはずです。そこまで、私達には権限が無い…まさか…ダメですよ。ねぇ、それはダメだって…」
俺の考えを理解してくれたソーナ。これしかないだろう。もう一人にもしないとダメだし。
「ソーナ、会えて嬉しかったよ♪アーシア、俺とこの魔族もどきの3名で、下層へ転移だ♪」
「…」
アーシアも拒否のようだ。
「アーシア…また、会おう…」
俺は、魔族もどきと、バンの元へ転移した。
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難色を示すバン。魔族を吸血鬼に出来る物なのかが、わからないと言う。
「なんだよ、出来ないのか?」
「う~ん…血がないから…」
問題はそこか…う~ん…
バンとの話し合いはスグに終わった。バンの要求は召使い出来る人材の確保だった。なので、犯罪奴隷をプレゼントすることで、攫った者は返してくれた。こちらとしても、犯罪奴隷が減ることは良いことだし。ウィンウィンの解決だと思う。
で、問題は、この魔族もどきである。
「なんか方法は無いのか?」
「このまま、殺すと魂は金色でなく紫色になるはず」
じゃ、ダメじゃん…って、いうか、ソーナの情報は間違っているんでは無いか。再会できたら、折檻決定だな。
いや、待てよ。核からマナを直接送り込めば、どうなる?
「バン、また来る♪」
「次回はお土産を期待しているぞ」
って、欲しい物リストを渡された。俺を含めた3名で、アーシアの迷宮へ向かった。二人を拘束して、マスターズルームへ向かい、装置を設定していく。
「マスター…命じて下さい」
アーシアがソーナと共に転移してきた。
「帰れよ!賛同できないんだろ?」
「出来ません。でも、マスターの傍にいたい…」
俺に抱きついて来たアーシア。こんなことは初めてだ。ナナが母性本能に目覚めたように、アーシアは恋愛に目覚めたのか?
「それはファザコンだと思うよ」
って、ミトも転移してきた。
「あっちは片付いたよ」
後はここだけか…
「アーシア、手順を丸投げした。後は頼む」
「頼まれました、マスター」
俺は、二人の元へ転移した。そして、魔族もどきに迷宮核からマナを流し込んだ。魔族成分が燃えていき、人間の魂となった処で、強奪して保護した。
次に吸血鬼になった王女を、俺の手で殺し、二つ目の人間の魂を手にした。そして、手に入れた魂2つに『蘇生コンポ』を発動した。淡い緑色の光が魂を覆っていく。それと共に、薄れていく俺の意識…生き返れ、俺の代わりに…
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パシッ!
「痛い…ごめんなさい…」
パシッ!
「痛いよ~ごめんなさい…」
パリオン神が、カグヤに鞭で打たれていた。
「ねぇ、どうして、役立てないの?ヤル気ないの?」
パシッ!
「痛いって…ごめんなさい」
パシッ!
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「お~い、起きろよ~」
後輩氏の声だ。
「今回はダメかな…」
後輩氏の声は哀しそうだ。声を掛けないと…
「後…10分…」
振り絞るように出した声…
「大丈夫なのか…そうか…良かった…」
有り得ない刺激…これって、ミトの身体…ミトが俺と…
「ミト…」
「しょうがないだろ…ここには私しかいないんだ」
吸い付くような肌…あの時以来かな…
「ここは?」
「パリオン神殿の祭壇にある棺の中だ」
だから、あんな夢を見たのか…
「ソーナの中の人が、ここへ連れて来てくれたんだよ。ここの元巫女のオーナが祈りを捧げてくれている。セーラも一緒にだ」
状況が見えないんだけど…
「魔に傾き過ぎた先輩の魔を和らげている処だよ。私は先輩を起こす係だ。入社以来ずっと…」
そうだった…
ゴトッ!
棺の蓋が開いてようだ。
「ごめんなさい…」
ソーナが声を掛けてきた。
「えっ!生き返ったのか…名誉祭司様は…」
それはテニオン神殿での二つ名では?
「私の主様を、この神殿の名誉祭司に認めて貰えますか?」
オーナの声が神殿中に響いている。
「勿論だよ、オーナよ」
知らない男性の声。
「神殿長様…」
「彼の御業は、テニオン神殿の神殿長を通じて聞いている。神の呪いを受けてもなお、奇跡を起こされるのであれば、彼に対する呪いの進行は、いつでも和らげて差し上げるから、いつでも頼りなさい、オーナよ」
何か俺の知らない俺の話をしているようだ。要約すると、手助けをしてくれるってことかな?
「女性運は良いよね、先輩♪」
そうなるのか…
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10日振りに家へ戻ると、みんな抱きついて来た。タマ、ポチクラスは良いのだが、リーン、ルススクラスは熱苦しいぞ~!
「で、結局どうなったの?」
マインドロストした後のことを訊いた。
「二人共人間に戻ったわ」
って、ミト。それは良かった。
「魔族化した者で人間に戻れたのは、シーナだけだったこともあって、アシネン夫人が、先輩に感謝の意をってことで、先輩の配下に入るってよ」
何かメリットあるのか?仕事が増えるのは、カンベンだよ。
「アシネン侯爵家は、アルジェント公爵の一門ってこと。例えば、先輩が営業部長なら、アシネン侯爵家は営業部の社員って感じで、アシネン侯爵は営業部の課長って感じになるの」
仕事が減りそうだね。ならいいか…
「後、王女の方は?」
「ラヴナが話をつけてくれて、アルジェント公爵の従者ってことになったわ。吸血鬼になったことで、継承権も無いしねぇ」
ソレは血が汚れたってことか?
「そういうこと。今は言葉遣いを矯正中よ、のじゃ言葉遣いの王女だったらしくて、もう王女で無いから、標準語に調教中よ♪」
ムチ打ちだろうか?
「ラヴナとリュラは教師枠を了承してくれている。ミーティアは診療所枠で了承させたわ」
まぁ、当分、俺は休養だな。ラヴナのテクニックで…
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アシネン侯爵家が、経済的な援助してくれ始めた。少し、財政が黒字へ向かうが、まだまだ赤字の俺の領内。
迷賊対策は進んだ。迷宮村と下層の吸血鬼城が、迷賊を見つけたら、吸血鬼の下僕にしていってくれている。こうして、極悪な犯罪者達は、バンに従順な不死者になっていった。ウィンウィンな関係を築けたおかげか、俺とバンと迷宮村とは、友好条約を締結してある。
当面の問題は税収アップとストリートチルドレンだ。奴隷市は当面黙認である。貴重な財源を産んでくれるから♪しかし、売上を強奪しまくっているのに、奴隷商人がまるで減らない。どういう仕組みなんだろうか?
リザ達が学校の講師に招かれた。マグロの手早い解体の仕方講座だそうだ。前日に大量に魚を狩って来ているので、生徒達総出で解体を学んでいる。迷宮の魔物達は、学校の給食で、貴重なタンパク源の1つであるから。
「リザ先生…早過ぎます…」
目にも止まらぬ早業で、マグロを解体していくリザ。彼女の尻尾は嬉しそうに踊っているし。コイツは講師向きでは無いなぁ。寧ろ、タマ、ポチが教え上手であった。二人はリザに鍛えられているので、習い上手である分、教え上手なのかも知れない。
「よぉ!アール。寒天が手に入ったぞ」
って、先輩。それは、アレが作れるでは無いですか…早速、作り始める俺。興味深そうに見つめる生徒達。
「ご主人様…これって、水ようかんですか?」
アリサが見抜いた。まぁ、寒天と餡子があれば…
「後、ミルクかんも作るよ」
「うぉぉぉぉ~♪」
喜ぶアリサ。生徒達はぽっか~んと、アリサを見て居る。この世界には無いのかな?
寒天が冷えて固まるまで、魔物の解体をする生徒と、仲間達。これだけ解体しても10日分程度にしかならない。養殖とか考えないとダメかな?
そして、お披露目…
「美味しいのです♪」
「あんこ?」
「う♪」
「これこれ♪」
リザを除く娘枠には好評である。リザは甘い物より、肉だからなぁ~。
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中層の広めの区画で、ナマコ似の魔物の養殖を始めた。こいつらは何でも食べて、糞の代わりに砂を出してくれる。エサは死体や残飯、解体後のゴミなど何でも好き嫌い無く食ってくれる。生きている生ゴミ処理場である。
大きめな固体を採取して、その場で捌いて、食えない上にグロい絵面の内臓は共食いさせていく。効率は良い。だけど、子供達のウケは良く無い。飲んべぇ~達には好評なのだけど…乾燥ナマコとして、エチゴヤで売りさばくか。
迷宮の厄介者である迷宮ゴキブリは、試行錯誤の結果、カマキリ似の魔物が食うことが判明した。カマキリの揺り篭へ、見つけ次第、強制転移させていく。カマキリの子供は、揚げると川海老ちっくな風合いで、これも飲んべぇ~向けに販売していく。カマキリは子だくさんなので、絶滅の心配も無いし…
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「先輩…お仕事よ♪」
って、ミト…
「なんの?」
「内偵よ。グルリアン市って街よ」
オーユゴック公爵領にある街のようだ。そうなると、領地視察だな…
「あぁ、そうだね。先輩の領地だね♪」
しまった…愚痴を心で漏らすと、ミトに筒抜けだった。凹む俺…
「例の魔族にするアイテムの流通が、確認されたみたいなの。ソレの調査よ」
あぁ、あれは厄介だよな。都市核の防御機能をすり抜けるし。
「馬車で入市するわ。公都までは転移でもいいけど」
「人員は?」
「兄ぃ達は先乗りしている。先輩は…」
そこまで言ってミトが固まった。俺の仲間達が、ミトに視線を送っている。人選から漏れないように…
「全員連れ歩くかな」
そうなりそうだ。現地では自由行動でもいいけど、迷宮都市に留守番は嫌なのだろう。そうなると、学校は補習だな。給食は生徒に自主運営、診療所は休診にしないと。
馬車は5台…大名行列か?一応、商人のキャラバンを装ってはいるけど…元勇者、不死王、女神、迷宮核2のパーティーにケンカ売るヤツっているのかが、問題ではあるが。
「規格外の上、想定外だよね」
って、アリサ。まぁ、他に同じようなパーティーがいたら、会いたくはない。通常火力も半端ない。勇者の従者が3人もいるし、魔法分隊、そしてリザ達シガ八剣クラスもいる。軍隊でもケンカを売らない火力だと思う。
「先輩、グルリアン銘菓のグルリアンが興味あるなぁ」
ってミト。観光案内とか旅のガイドなどを読み漁っていた。
「白い粒々で作った本体に、黒くて甘い粒々で作った皮が、ぐるりと巻いているのか?これってアレでは無いのか…」
日本人のソウルフードの1つだ。
「たぶん…」
「私は水ようかんの方が好き♪」
って、アリサ。まぁ、俺もこしあんの方が好きだし。
「でも、これが、想像通りの物であれば、今後の材料調達は楽になりそうだな」
領内の農地でソバ、ゴマの他、大豆、小豆も検討していた。あぁ、あとサトウキビだな。
「一個で大銅貨1枚って…高いなぁ」
って、リーン。確かに…この人数で食うには大金が必要だ。
「試しに1つ買って、自分で作るか…」
ミーアが頷いている。クロウとシロも…
街へ繋がる門の前には大行列…関所だな。設けるだけ無駄に思える。こんなに検査しても、禁制品が素通りしているし。システムを考え無いとダメだな。メリーに今後の課題として、メモしてもらう。
「グルリアン市を訪れた商人達よ! 我等は魔剣を欲している。我らに魔剣提供した者には将来、御用商人として引き立てる事を約束しよう!」
って、声が聞こえて来た。スルーだな。身分が明らかで無い物に渡せる物では無いから。
「これより、馬車を調べる。隠し立てはするな!」
強制調査?
「お前ら、何者だ?何の権利があるんだ?」
俺は馬車から降りた。
「商人風情が生意気だぞ!」
ドサ!
魔剣を手にして、首を斬り落としてやった。
「生意気だから何?やるんなら、お前ら、生きて帰れると思うなよ」
って、言い終わる前に、殲滅…俺一人でやろうと思ったのに…リーン、ルスス、フィフィが片付けてしまった。
「魔剣を扱えるほどの腕は無いようだな」
って、リーン。
「身の程知らずだ」
って、ルスス。
「じゃ、先を急ぐぞ!」
馬車に戻ったみんな。あぁ、死体は金品、アイテム類を強奪し、、ナマコのエサとして強制転移させた。
「どっちが追いはぎなんだかなぁ♪」
って、ミト。人間では無い俺に訊かないで欲しい。
貴族用の関所から街へ入った。ペンドラゴン卿配下の士爵ムーン一行として潜入した。奇跡の料理人の配下である。女性が多くても問題は無い。メイドとか調理助手とか、身分は幾らでも偽れる。
「どのような目的ですか?」
役人に簡単な質問をされた。
「食材の調査です。主様は、先に来られていると思います。今後の料理に使う食材の調査を依頼されました」
と、言って、何事も無く街の中へ…予め、先輩が用意してくれた賃貸契約の一軒家へ。
「どう?」
入ってすぐにミトが、先輩に塩梅を訊いた。
「うさんくさい連中が多い。今の所、侵入した魔族はいないようだ」
アーシアに都市核とリンクしてもらい、警戒をし始めた俺達。