銘菓グルリアンを買って来た。想像通りの物だった。ついでに、材料も買ってきて、エチゴヤ経由で手に入れている小豆、砂糖、餅米と比べてみた。
「遜色は無いかな?」
「砂糖が高いなぁ…う~ん、小豆の皮も固めかぁ」
テイストをしたが、甘みが少ない。砂糖が高いせいかな。
「砂糖の精製が荒いってことは?」
って、アリサ。それはあるかもしれない。ストレージから、水ようかんを作った時に余った餡子を取りだし、蒸した餅米を粗挽きにして、包んでみた。
「うん?美味しい…」
って、アリサ。原価計算をする俺。
「ここよりも安く売れるが…手間賃をどこまで圧縮するかだな」
蒸し上がったばかりの熱い餅米を、粗挽きにする手間、いや火傷のリスクが問題である。
「そうなると、ここのように、粗挽きにしないで、冷めてから丸めるかねぇ」
って、ミト。
「アール、水ようかんは作れるか?期間限定で、売り出してみようと思うんだ」
って、先輩。
「ルルとゼナとセーラが作れます。材料の手配をお願いします」
「わかった」
奇跡の料理人一行が来て、料理をしないと怪しまれるらしい。
「ナマコ酢とカマキリ揚げは?」
「収穫してきますよ。調理はルルができますから」
「じゃ、頼む」
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参加費銅貨30枚の大会があるようだ。何の大会なのかよくわからない。シガ八剣と遊ぶ機会がある俺達には関係ないことだが…
肉好き娘達と街のB級グルメを探訪した。焼き鳥、魚のすり身を棒に付けて焼いた練り物…これって、ちくわか?いや、すり身が手に入るのか。後、鶏肉か…果実水って言うのもある。食材は豊富のようだ。
そうか、港があるのか…海産物の市場へ足を運び、貿易関連のお店も廻る。そして、住処へ戻った。
「どうでした?」
アリサが真っ先に寄って来た。
「するめいか…」
「うっ♪ゴロ焼きですね~」
喜ぶアリサ。食材と共に厨房へと向かう。厨房にはルル、セーラ、ゼナがいて、水ようかんと、ナマコ酢を作っていた。カマキリ揚げは食べる直前に調理しないと、ベタしっとりしてしまう。
俺はスルメイカを捌き始めた。メリーとティファが俺の作業を見つめていた。
「いいか?キモを傷つけずに取り出すのがポイントだよ」
二人に説明しながら、実演していく。取り出したキモは塩に漬けて、余分な水分を抜いていく。そして、一番新鮮そうなイカを千切りにして、イカそうめんにして、二人の前に出した。
「食べてみな」
恐る恐る食べる二人。
「甘い…」
「噛むほどにおいしいです」
「醤油を付けて、ワサビを載せてみな」
「甘さが引き立つ…」
「美味しいです」
二人の声を聞き、ルル達やアリサ達も試食に来た。そんなに無いんだけど…
「時々、奇跡の料理人を超えますよね、ご主人様は♪」
って、ルル。俺は邪道な料理人でいいんだよ。
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『先輩、魔物!』
ミトからメッセージ。俺は現場へ転移した。そこに魔物では無く魔族がいた。そして、カリナが戦っていた。あれ?先輩はどうした?
「カリナ、下がれ!」
俺を認識したカリナが下がってきた。カリナの撤退行動を、ミトが援護する。俺は、不死王にチェンジした。
「貴様!何者だ?」
魔族に訊かれた。
「名乗る程の者では無い!」
速効で『ウルティマウエポン』を発動、灰になっていく魔族。長引くと不利だから。公爵にチェンジした。小まめなチェンジもマナ不足の予防になるらしい。マナ不足によるマインドロストは、俺を熟睡という沼に沈めるらしく、起こすのが大変らしいのだ。なので、マインドロスト対策を徹底するように、ミトに言われていた。
魔核を探している最中に、灰の中から赤い角を見つけた。マップ情報によると、『短角:現地の知的生物を魔族に変換する』物らしい。侵略者サイドのアイテムか?
「大丈夫か、アール!」
先輩がやって来た。先輩は怪我人をガレキから救っていたらしい。しばらくすると、セーラ、オーナがやって来て、救命作業を開始してくれた。俺は、先輩とミトに拾った短角を見せた。
「これが原因か…そうなると、この世界に持ち込んだのは神々だなぁ…」
って、ミト。
魔族のバックには神々がいるって証拠である。そうなると魔族の王である魔王も、神々がバックだってことにもなる。何の為に?
「信仰心を煽るためだよ。人々の信仰心は神々の糧になり、エネルギーになるからね」
なるほど…碌な物では無いなぁ。
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パシッ!
「痛い…私はやっていないよ~」
カグラ、カグヤ姉妹に、ムチ打ちの刑をあたえられているパリオン神。
「誰がやったのかな?」
パシッ!
「痛いよ~、私以外だよ~」
泣いているパリオン神。
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「おい…いつまで寝ているんだ?」
後輩氏の声…戦闘の翌日はダルい…マナ不足か?ナナとアーシアへのマナ供給は自動化された。俺が都市核とリンクしたメリットらしく、都市からマナを供給されているらしい。なのに、俺には供給されないらしい。理由は、俺が俺でなくなる危険があるそうだから。
「う~ん…」
後輩氏のスキンシップか♪
「起きないとしないよ♪」
何?焦らし作戦か…こしゃくな…
「後、10分…」
「おい!お前がヤレ!」
え?誰に命じたんだ?ラヴナか♪ワクワクする俺。だけど…誰だ、これ?いつもと違う感触だ。懐かしいような、そうでもないような…
瞼を開けて確認した。はぁ?そこには、某ゴーストハンター系アニメの主人公である美神令子がいた。
「どう?ソーナ似ではなくて、美神令子似になってもらったのよ」
って、ミト…ストライクゾーンから外れている…そんな…萎えていくアレ…
「え?そんな…私のせい?」
口ではなく谷間で…いや、そうじゃないんだ…デカ過ぎるんだよ~!
「は?ねぇ、彼の好みじゃ無いみたいだよ」
頷く俺。
「じゃ、先輩!誰似がいいのかな?」
うっ!ストライクゾーンはダメだと思う。塔城 小猫とか、シャルロット・イゾアールとか…
「では、由良翼紗似で…」
美神令子似のパリオン神が光に包まれ、光が霧散すると…「つばさ」違いなんだけど…微妙にストライクゾーンな感じの羽川翼似のパリオン神がいた。
「由良ちゃんはダメだよ~」
って、ミト。え?大きいはずだ。
「はぁ?!誰と比べてだ?」
ミトの視線…恐い…逆らうなと、俺の心が叫んでいる。
「いえ、羽川で良いです」
『お兄ちゃん、ごめんね!ソーナだと虐めるのが可哀想だから…』
って、カグヤ。羽川なら、いいのか?
『うん♪』
そうなのか…こうして、パリオン神は羽川翼似姿になった。
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「市内を襲撃した魔族を倒した功を称え、グルリアン市の太守より、これらの勲章を授与するものである」
って、俺は勲章を貰った。若い太守の横に立つハゲ頭の文官が、目録を読み揚げている。ここは、グルリアン市の城にある謁見の間である。王城よりも当然ながら狭い。
謁見の間には、俺の他には、俺の片腕のメリーがいる。こういう場合のマナーを耳打ちしてくれていた。
「この度は大儀であった」
と、太守が口を開いた。う~ん、愛想が無いなぁ、左遷させるかな…
『ダメだって!』
って、ミト。そうなのか…
太守様との謁見が終わり、メイドさんに先程のハゲ頭の文官の部屋へ案内をされた。彼が、この街の執政官だそうだ。
「ムーン卿、此度の貴殿の助力には感謝の言葉もない。よくぞ加勢してくださった」
「私も末席とはいえ、シガ王家の一員ですから。義務を果たしたまでの事ですよ」
一応、システィーナの婚約者ってことに、なっているので、王家の一員と名乗った。だけど、執務官は聞き逃したのか、スルーした。ツッコミ所だと思うのだが。
オーユゴックの義父さん経由で、公都での出来事を耳にしていたようだ。
「あの魔族の狙いは、何だと思うかね?」
「なんでしょうね?自分のような身分の低い者にはわかりません」
「それでだ、君の主のペンドラゴン卿に、晩餐会の料理を依頼したいのだよ」
それが、本題か…
「一応、話はしておきます」
「頼むぞ!下がって良い」
う~ん…俺はパシリか?
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「はぁ?兄ぃに、料理を頼んでくれてって?勲章を授けた相手に?失礼な奴らだな」
ミトも怒りを纏っている。
「街を救った英雄に、依頼することでは無い!先輩の左遷案は検討しよう♪」
「俺は調理することには、抵抗は無い。ヒカル、どうする?」
「そうだね…晩餐会で暴れるのもいいなぁ♪」
暴れるのか?印籠を出して、相手を凹ませるのか?はぁ~、疲れそうだ。俺は眠いんだけど…
「晩餐会には爵位持ちの家系の者、王家の者は参加だからね。リザ達は悪いけど留守番だ。嫌な思いはさせたくない」
って、ミト。リザ達もその辺のことは、納得しているので頷いた。その代わり、晩餐会に負けないくらいの食事を強請られた。晩餐会直前まで、セーラ、ゼナ、ルルと共に調理する俺。
「太守の奥方がねぇ、『能力鑑定』スキル持ちなんだって♪」
って、嬉しそうなミト。太守は奥方経由で、俺達の正体を知ることになるんだな。
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太守の館の控え室で待つ俺達。先輩とルルは厨房である。ゼナ、セーラは来賓扱いなので、手伝えない。
そこに、俺に客が来たと、館のメイドが知らせて来た。はて?誰だろう?メイドに案内されてきたのは、桃色髪の少女だった。胸の大きさはストライクゾーンのCもしくはDだと思う。
「ムーン士爵の眷属の皆様に、この度は助けて頂き、感謝しています」
と、メネア・ルモォークという小国の王女が、謝意を伝えにきた。うちの回復チームに、怪我を治してもらったそうだ。
「困っている者を助けるのが、上に立つ者の務めです。気にしないでください」
一瞬、怪訝な顔をした王女。
「上に立つ者とは、どういうことですか?」
やらかしたのか…俺はペーペーの士爵ってことに、してあったんだな…しまった…
「そういうことですよ」
メリーが介入してくれた。
「あなたは?」
「メリーエスト・サガ。主様の情報分析担当をしております」
「え…まさか、サガ帝国の王女様ですか…」
「えぇ、そうですよ。主様の言葉の意味は、そういうことです」
「なんで、そんなエライ方が…」
「主様はエライ人なのじゃ」
今度は、のじゃ王女、ミーティア・ノロォークが介入した。
「ミーティア…ミーティアの主様なの?」
ミーティアの知り合いなのか?
「うむ。妾…じゃない、私の命の恩人なのじゃ」
「ムーン士爵様…あなたは一体…」
「さぁ、お帰りください」
正体を隠しておきたい意向を理解しているリーンが、メネアを退出させた。
「少し寝ていい?」
「ダメだよ。起こすのが大変だから」
って、ミト。
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そして、晩餐会…俺達を視界に捕らえた太守夫人の顔から、みるみる血の気が失せていく。俺達の正体に気づいたようだ。お忍びなのになぁ。
俺達は下流貴族達のフロアに案内されて…下品な下流貴族達が、お供の者達をナンパしまくっている。
ドン!
尻をなで回されたリーンがキレて、相手の男を突き倒した。
「私はそんな安い女では無い!主様以外、手を触れることは許さない」
「なんだと?士爵の愛人風情が、戯言を言うな!」
パシュ!
相手の男の首を刎ねた俺。
「俺の仲間に失礼なマネをするヤツは、生かしておかぬ」
聖剣を手にして、リーンの前に立つ俺。
「何…聖剣だと…人殺しの分際で…おい!聖剣を取り上げろ!」
リーダー格の下品な男が命じると、衛兵達が出て来た。
「ふん♪面白い。みんな、ヤルからには勝つよ!」
って、ミト。ミトも聖剣を取りだした。俺は仲間達に、得物を渡していく。
「もう、血の気が多いなぁ」
って、聖剣を手にした先輩も参戦している。
勝負にならない…聖剣使いのチーター3名に、分不相応な火力な仲間達…下流貴族のフロアは地獄絵図状態になっていく。
「何事だ…」
執政官がやって来た。聖剣を持つ3名のチーターを前にして、顔が歪む執政官。
「勇者様が3名も…まさか…」
「これは、どんな余興だ?パワハラ、セクハラが渦巻く晩餐会に招待って♪」
ミトは黄門様モードか?助さんと格さんもいるしなぁ。
「ペンドラゴン卿…どういうことですか…」
「あぁ、紹介がまだでしたね。彼女が俺の主のミト・ミツクニ公爵で、アッチが俺の同僚のアール・アルジェント公爵ですよ」
楽しそうな顔の先輩が、俺達を紹介した。
「なんと…ミツクニ卿とアルジェント卿ですって…あ…あぁぁぁ…ご無礼を…」
「で、セクハラの被害にあったのは、王様の外孫ですよ♪」
って、ミト。
執務官の顔に血の気は感じられない。死んだのか?
「なんて事を…」
「アルジェント卿が、即刻死刑に処しました。何か、問題でもありますか?王様の外孫のお尻を撫でるって、この街の貴族は命いらずですねぇ♪」
って、ミト。楽しそうだな。
「みんな、帰るよ♪」
ミトを先頭に引き上げる俺達。
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ティファがメリーの書いたメモを見ながら、今回の報告書を書き上げてくれている。迷宮都市の住処に戻って来た俺達。ここが一番落ち着くかな。
羽川が添い寝をしてくれている。まったりと過ごすのには良いかな。
「主様、お客様がおいでです」
って、メリー。身支度をして、執務室へと向かう。そこには桃色髪の少女がいた。
「あの時は失礼しました。有名なアール・アルジェント公爵とは知らず、無礼なことを…申し訳ありませんでした」
俺って有名なの?なんで、有名なのだろうか?
『ちぃぱい好き♪』
って、ミト。それは否定しない。って、それで有名なのか…
『うそぴょん♪』
脅かすなよ…
「で、用件は?」
「私も…眷属に加えて下さい。お願いします。私も困っている人を救う側に、なりたいんです」
彼女の産まれた国、ルモォーク王国は罪深いことをしたそうだ。異世界の日本から8名もの者を拉致したという。正規な手順での召喚では無く拉致なので、神の祝福が無い為、勇者が持つようなユニークスキルが与えられない上、元の世界へ戻ることも出来ないらしい。
彼女は、祖国の犯した罪を償い、困っている人に手を差し伸べたいようだ。だけども、彼女には後盾も無い上、祖国も強く無いと言う。そこで、俺の眷属になり、後盾として利用したいらしい。
「利用されるのはいやだ」
「利用だなんて…違います。主様の為に、私を捧げます。ですから、末席に加えて下さい」
ミトを見た俺。
「心意気を買ってあげたまえ、アール君」
って、ミトはオーケーらしい。
「俺の主の許可は出た。今日から、働いてもらうからな」
彼女の連れが、その拉致被害者の生き残りらしい。彼らも受け入れた。アオイ・ハルカという少年は『算術』スキル持ちなので、ユイ・アカサキという少女と共に、先輩に預け、メネアは教師枠で、採用した。