新たな産業…俺の能力無しで…う~ん…
プタの街に、みんなで訪れている。街の周囲の魔物が増えてきた為、食材探しを兼ねて、皆で狩りに来たのだ。その傍らで、新たな産業について、ミトとあれこれと考えて居る。
港はある。海がある。そうなると造船業か?周囲には森もあり、木材も確保し易い。
「動力はどうする?」
って、ミト。人力で漕ぐか、帆船が主流である。大型船はちょっと港の規模的に無理そうだし。ナマコは名産品になりつつある。住民達の間にも浸透したようだ。乾燥ナマコの戻し具合で、肉の食感が味わえることにきづいたようだった。
「まぁ、ナマコは、庶民の間で流行しているから、産業にはなるけど…」
エサが問題になる。領内で出たゴミを収集して来ているが、ゴミの街と言われているし。そのイメージは払拭したい。
「カニの養殖は?」
エサが問題である。イマイチ、エサが分からないのだった。迷宮内でしか取れない何かの可能性がある。
「考えたんだけど、塩はどうかな?」
「塩?」
「実験をしてみたんだ。濁った水にナマコを入れると、水と塩と砂にしてくれるんだよ」
なにげなく、水槽で飼っていたのだが、このナマコは綺麗な水だと生きられないようだった。むしろ汚れた水で無いと生きられないというか。そこで、排泄物を調べてみたら、塩は消化も吸収もせずに排泄されていた。他の成分は、金属類以外は消化、吸収されて、砂になっていた。
「取り出した砂を水で溶かして、上澄みを蒸発させると、純粋な塩が取れるんだよ」
「製塩業か…そうなるとボイラーよね。燃料はどうする?」
「炭かな?石炭があれば、石炭でもいいけど」
先輩にボイラーを創造してもらい、製塩設備を作っていく。住民達は興味深そうに、建設現場を見ていた。新しい働き場所、新しい物作り、新しい稼ぎ場所…色々な目で見ているのかもしれない。
海の水を巨大水槽に入れ、ナマコを数匹投入した。綺麗な水になるとナマコが逃げ始める。それが浄化出来た証である。ナマコ達は次の現場へ向かわせ、水槽の中身を攪拌して、水分だけを、製塩装置へ入れて、水分を飛ばしていく。その時に出来た水蒸気は冷やして、飲み水に回し、塩を取り出す。
「リサイクルと言えばリサイクルよね…」
って、ミト。新しい産業に喜ぶルーニャ。
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久しぶりにリリアンに呼び出された。
「何?」
「フロアボスを倒したそうだな」
「って、何時の話だ?」
「ジュレバーグの小僧から聞いたんだが…」
「随分前だな」
「祝賀祭をしようと思ってな」
「祭りの名目だろ?」
忌々しそうな顔のリリアン。
「やれば、いいじゃん。俺は忙しいからこれで…」
「お前、主役だぞ!」
「興味無いよ。財政の再建が俺にとっての一番の問題だ。その祭りの費用は、街からの持ち出しだろ?」
はっとして、俺が素っ気ない素振りの意味を理解したリリアン。
「そういうことか…」
「そうだよ。ここの黒字分で、他の赤字を埋めているんだよ。無駄は出費は控えないとダメだ」
「だが、しきたりだ」
「そうなのか…じゃ、ペンドラゴン卿と相談してくれ。ミツクニ卿の金庫番だから」
っと、先輩に振った俺。
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だけど、火の粉は俺に降りかかる。
「料理フェスティバル?」
先輩が妙な企画を持ち出して来た。
「他の街から観光客を呼んで、祭りに掛かる費用を浮かせようと思うんだよ」
奇跡の料理人VS邪道の料理人第2幕らしい。前回のコンクールでは俺が勝ったらしいから…
「勿論、協力はするよな!太守だもんな♪」
結局、関わることになってしまった。プタの街の再開発が…
「で、どうするんですか?料理のテーマは?」
って、ルル。
「俺はシガの名産品で勝負する」
って、先輩。オーミィ牛か…
「俺は迷宮料理か…そうなると…」
魔物料理に走る俺。
「じゃ、王宮料理VS迷宮料理でいいかな?」
って、ミト。頷く俺達。その日から、迷宮での狩りを再開した。俺のストレージは水産物塗れになっていく。ウニ、カニ、マグロ、カツオ…に、似た魔物達…フロアボスとして出て来た大王イカ似の魔物とかも…フロアボスって、倒すと数年出ないはずだが、『強奪』で強制的に呼び出せた。
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そして、祭りの前日…街に入る門の前には行列が並ぶ。入市税が入る♪少し潤う財政…学校の生徒達、教師陣達をボランティアにして、お客様達のガイド役を頼んだ。
前回と同じで、ルルが先輩の助手、セーラが俺の助手となり、調理をし始めた。俺のメニューは、ナマコの酢和え、マグロの漬け、イカそうめん、カツオの叩き、生ウニのせのカニグラタン。この世界では邪道な料理である。全て迷宮で取った魔物だし…
先輩はオーミィ牛のステーキ…王道過ぎる…それ一品って…
うちの肉食娘達は全員、先輩に一票を入れたそうだ。って、いうかうちの者達全員が先輩に一票を投じた。やはり、オーミィ牛に勝る食材は無い。いや、俺の素材の出処を知っていることもあるが。
だけど、来客者には、産地は分からない。単純な料理対決のようだ。
で、結果は、俺の勝利…全然悔しがらない先輩…負ける気でやっていたのか…俺は全力で調理したのに~、凹む俺。
「いや~、発想力の勝利ですねぇ~、アルジェント卿」
って、笑顔で俺を讃える先輩…負けた気がするんですが…
その負けた気を引き摺って、フロアボス討伐を讃えた授与式…本来は太守が授ける物なのだが、副太守のアシネン卿が苦笑い気味で、太守の俺に授与してきた。まぁ、貰える物は貰っておく。副賞は色々読み上げているが、その分の資金はプタの街で使う。
「アルジェント卿、カニはどこで獲れるのだ」
って、オーユゴック卿。
「迷宮ですが…」
「迷宮?まさか…魔物なのか…」
力無く頷く俺。
「魔物って、うまいのか…」
「物によります。カニは旨い部類です」
「流通は出来ないか?」
気に入ってもらえたようだ。だけど…
「難しいです。巨大なので、解体して地上へ持ち出すのですが、日持ちがしませんから」
チート能力無しでは、持ち出せないのだ。
「そうか…」
残念そうなオーユゴック卿。
「お祖父様、また、食べに来て下さいね♪」
って、セーラ。
「ここの名物にしますから」
って、リーン。あぁ、その手があったか…予約制で、食べて貰えるようにすれば、ここの名物にはなりそうである。
「そうじゃな。セーラ、リーングランデ、お前達の元気な姿も見られるしな」
って、元気を取り戻してくれたオーユゴック卿。
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テンちゃんに跨がり、山々を探査している。炭鉱探しである。ボイラーの燃料を探していた。ミトが言うには、古い山の地下にあるというので、飛べない俺はテンちゃんに跨がり、ドラゴン酔いに耐えて、炭鉱を探していた。
そして日が暮れると、ミトのいた神殿で、夜明けを待つ。テンちゃんと、あんなこと、こんなことをしながら…そして、朝日が昇り始めると、探索を開始する。
「無いねぇ…」
「無いなぁ…」
もう1週間である。テンちゃんだけでは、飽きてきた。テンちゃんは悪くないんだけど…淡泊すぎる…神殿にはアレコレする道具も皆無だし…
「あれは?」
地層が黒っぽい。着地して貰って、確かめる。炭である。だけど、ここってどこ?マップ検索をしてみた。マップ表示されない。未開の地のようだ。なんか、ワサワサと魔物?現地人が湧き出て来た。ゴブリンだ…
「あれって、現地人かな、テンちゃん?」
「亜人でなくて、魔物だよ。どうする?」
殺さないように、倒していく。労働力になれば、使いたいから。でも、魔物である。異物である俺達を排除の方向のようで…俺とテンちゃんで、ゴブリンを殲滅した。
「ここから一番近い街ってどこ?」
「どこだろうね」
って、テンちゃんも、わからないらしい。そうだ、広域マップ検索してみた。う~ん…アーゼの森の奥の山を2つばかり超えた辺りのようだ。これって、道が無いのか…って、アーゼの森を突っ切る訳に行かないし。別ルートを探る。山を4つくらい越えれば海…海路でプタの街か?
「この辺りは魔物の巣窟が多いみたいだよ。開発向きでは無いかな」
開発向きでは無いから、手つかずの資源があるのでは無いか?
「チート持ちしか来られないよ」
そんな気がする。ミトからの指令は、チート能力無しでの産業の育成ではあるが…
「どうするかな?まぁ、ここはキープかな」
炭鉱辺りの土地をどう抑えればいいんだ?どこの領地でも無いし。
『大丈夫、そこはダーリンの土地にする』
って、アーゼの声。アーゼの森に隣接した未開の地は、アーゼの領域であるらしい。文明との緩衝エリアになるそうだ。そんな場所は開発出来ないじゃん。
『ダーリンなら、許可します♪』
って、アーゼ。うん?もしかして、俺の心をモニタ出来るのか?
『うん♪』
衝撃的なお返事である。ミト、先輩、カグヤに続いて、4人目の監視者がいた。はぁ、凹む俺…
『ダーリンのがんばりはいつも、見ているからね』
って、励まされた俺。
そして、テンちゃんと、もっと開発しやすい場所を探しに行く。
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プタの街に戻った。開発し易い場所に、無いようだった。いや、開発し易い場所は、既に開発されていた。
「買えばいいんじゃないの?」
って、アリサ。そうだけど、コストが上がってしまう。
「地道に炭焼きだな」
って、ミト。そうだな。伐採木の再利用だな。炭焼き小屋を先輩に創造して貰い、設置した。森での活動メインになるので、猿人族を多めに雇い入れて、炭焼きをスタートさせた。
副産物である木酢液は、エチゴヤが買い取ってくれるようだ。消毒薬、殺菌薬になるらしい。
この頃になると街は4キロ四方程度に広がっていた。迫害や差別から逃れてきた亜人達を受け入れていたから、住民数が増えていたのだ。まぁ、犯罪に走る輩も多いので、迷わず間引いていく。見せしめを兼ねて、犯罪奴隷…それでも改心出来無い者達は、ナマコのエサに…残酷であるが、見せしめ要素である。住民達も納得はしている。街が荒れるのを一番恐れているのは、彼らだからだ。
犯罪奴隷達には、あの炭鉱堀をさせている。道を作らせ、沿岸に近い炭鉱から開発をしていく。犯罪奴隷でも改心をした者は、普通の奴隷、そして労働者と、身分のステップアップをしていく。見せしめの逆側も示すことで、勤労意欲を持って貰う為である。
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プタの街の改善は少しずつであるが、為されていった。塩も『プタの塩』として、エチゴヤで販売できるようになった。これで『プタのナマコ』と合わせて産業は2つだ。
「で、農業はどうする?」
農業担当のアリサからお声が掛かった。だけど、農業はすぐに結果は出ない。米、麦、そば、豆はどうにか収獲できる。セリビーラの試験農園ではトマト、薬草も順調である。
「開墾手段だよな…」
「人手が足りない」
アリアの祖国は戦乱の果てに、荒れ地である。ペンペン草すら生えないし。一旦、掘り返して、土を活性化しないとダメだとアリサは言う。だけど、固い表面…リザ、カリナなど力自慢ですら、根をあげている。人力では無理だ。
「先輩、トラクターきぼんぬ」
「すまん。創造出来ないみたいだ」
神の怒りに触れそうな物は創造できないようだ。今夜、羽川は、あの姉妹にいたぶられそうだ。
「ゴーレムは作れますよね?」
「それは作れる。あぁ、ゴーレムで耕すのか?」
頷く俺。当面の戦力である。次の一手が見付かるまでの…あっ!もっといい戦力を想い出した♪テンちゃんと、とある場所に向かい、スカウトしてきた。黒竜である。コイツの爪で掻いて貰えば一撃の筈である。お代は、1日1回のお手合わせで良いらしい。戦闘狂の黒竜らしい申し出である。
あんなに苦労していた開墾が、1週間で終わった。黒竜は今後の予定地も開墾してくれた。俺と毎日戦いたい為だけに…
次の課題は、土の改良である。腐葉土、培養土を混ぜ込み、土の活性化である。土に保水性が乏しいので、その辺りも改良のポイントになる。
「肥料だよね。土中の微生物を活性化させる感じ」
アリサが、知恵を絞り出す。
「生ゴミはナマコのエサだしねぇ」
それ以外の肥料…排泄物…
「肥だめ?臭いはどうする?まぁ、この辺りは問題はないけど」
アリサの祖国は、あの霊園と迷宮、城跡以外を農園にする予定である。霊園へ来る人が不快に思うか。
「そうか…排泄物を食うヤツを見つけて、その排泄物を使えば、腸内発酵してくれそうだよね?」
「そうだけど、そんな都合の良い生物は…あっ!ミミズ…」
ミミズ…それに似た魔物は見かけていない。見かけていないなら、作れば良いのか?アーシア、ナナと共に、揺り篭の迷宮の迷宮の制御室へ。アーシアに訊きながら、魔物の創造に挑む。色々作り出すが目的のミミズ似の魔物が創造できない。うん?フンコロガシ似の魔物がいるなぁ。これはどうだ?
「効率は悪いけど、まぁ、処理には出来るわね」
アリサが苦い顔である。まぁ、取り敢えず、プランターを作り、処理をさせてみた。それと並行して、魔物創造をしていく。
先輩が地物のミミズを見つけてくれた。だけど、デカい…100メートルはあるのではないか?予定地に放牧してみたが、全身が土に潜る前に干物になっているし…日差し対策もいるのか…コレを入れるプランターってどんな大きさ?
「ミミズは二匹以上一緒にしないと産卵できないわよ」
アリサが更に無理なことを…100メーター級を2匹も飼う場所か…アリサが、図面を書き始めた。上から排泄物を投入して、排気の煙突を立てる。臭いは地面に降りる前に霧散する設計らしい。下の部分には、汚水層と、ミミズの糞である培養土を取り出す扉。汚水層にはナマコを入れて浄水させるそうだ。
この図面を見ながら、先輩が創造能力で、プランターを作り上げて、俺が、ミミズと排泄物を転移させていく。当面はチート能力有りきである。ミミズのサイズが問題であるから。
排泄物は領内から強制転移させていく。いずれ、ミミズの小型化をして、街の下水道の浄化に活用したい。
そんな領地の改善計画そしていた俺達だけど、年末が近づいて来た。王都での新年…憂鬱な季節到来である。人前に出るのは、苦痛であるから。