朝の日課…アリサとルルを彼女達の祖国へ連れて行く。夕方まで執務を二人で熟してくれる。アリサが太守代理で、ルルが太守補佐である。アリサは農地担当、ルルは霊園の担当でそれぞれを管理、運営してくれている。
まぁ、年の瀬でもその日課は変わらない。
「なぁ、ミト。新年を迎えるってことは、魔王の季節は終わるのか?」
66年周期で季節がヤッテ来るって言われたし。
「終わるかもしれないし、終わらないかもしれない。あくまでも、魔王の発生率が高くなる年ってことなのよ」
なるほど…魔王は一体では無いし、復活してくるヤツもいるし、確率の問題ってことか。
「魔王が出ても、先輩がいれば問題ないしねぇ♪」
期待されても困る。
新年に向けて、王都へ向かう準備をする。向かうと言っても転移術である。人数が多いため、効率的であり、旅費の節約にもなる。緊縮財政は変わらない。俺は貧乏領主であるのだ。
「貧乏?端から見たら、ハーレム生活を優雅に送っている公爵様に見えたり」
それは否定しない。何故、女性の仲間が増えていくんだ?
「先輩は一緒にいたいってタイプで無くて、一緒にいないとってタイプだからじゃない」
それは、一人にしておくと、危険ってことか?
『危険だよ♪』
って、カグヤ。そうなのか…
「悩むなよ。似合わないぞ」
ミトが笑って、言い放った。まぁ、そうかもな。俺が悩んでも何も変わらないか。
ゼナ、セーラ、ティファ、リーナを先に王都のミツクニ邸へ送り届けた。所謂、お掃除部隊である。メリーは執務があるので最後の組で、徐々に送り届けていく。
先輩達は既に王都のエチゴヤへ転移したようだ。
「アリサ達も年末年始も仕事?」
「そうだね。作物に休日は無いし、霊園は年末年始に訪れる人が多いらしいから」
ルーニャも休まず、仕事だそうだ。亜人には盆暮れ正月が無いらしい。ルーニャのような王族にはあるらしいが、今の仕事が楽しいので、休まずに営業だという。
あぁ、ニナを連れて行かないと…ニナを王都へ送り届ける。後、誰だっけ?
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王都に着いて、アーシアと共に、迷宮の制御室へ。異常な発生が無いか、変な異物が混入していないかをチェックしていく。ここを王家直轄の迷宮にしたいらしい。なので、賃貸契約を結ぶ事になっている。契約自体はニナとメリーにお任せしている。俺とアーシアがすることは。低層を初級者から中級者が楽しめる難易度にして。中層は上級者、下層は勇者クラスって感じである。テストはリザ達、うちのメンバーが担当することになっている。
「リザから肉の獲れる魔物をリクエストされています」
って、アーシア。肉かぁ~、牛さんかな?中層に置くか。兎さんも中層に…狩りは中層にするか。揺り篭から、カマキリ、ゴキブリを少しだけ上層に撒いておく。
「アーシア、瘴気が溜まり過ぎないように」
「了解です。設定値を超えた物は、セリビーラの迷宮へ流します」
瘴気が溜まり過ぎると良く無いらしい。魔物を作る際に必要であるが、ここのようにまだ営業前の迷宮では注意がいるようだ。アーシアの迷宮は、魔物創造しているので、規定値を超える事は無いそうだ。迷宮核の管理、運営って結構大変である。
設定を終えて、ミツクニ邸へ帰還した。新年を迎えると、無理難題が山積みされる爵位会議かぁ。気分はダークになっていく。
「そうだ。王様が新年の挨拶のあと、料理フェスティバルをしたいって」
ミトが嬉しそうに言う。俺には関係無いのでスルーだな。
「奇跡の料理人のリベンジなるか?ってサブタイトルらしいよ♪」
うん?それって、俺が調理するのか?
「うんうん♪」
嬉しそうに頷くミト。
『今度こそ、勝とうかな~』
って、先輩。勝つ気ないだろ…
「テーマは新年に相応しい物だって」
新年に相応しい?俺も持っている食材には無いぞ…どうする。
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暮れ…俺の代わりにみんなが手分けをして、挨拶回りをしてくれている。俺は、メニュー作り…
紅白だよな…すいとんにするかな…ニンジンを添えれば、紅白だし…小麦粉なら有るし。安直な俺。ニンジンもそこそこ収穫できていたはず。荒れた大地に根菜で挑んでみたのだが、地面が固いせいで、真っ直ぐに生育出来た物は少なかった。千切りにすれば、見てくれはクリアかな?
「どう?」
ミトがやって来て、俺のメニュー表を見て固まった。
「すいとん?」
「うん」
「夢が無いなぁ…って、王道過ぎるだろ?」
えっ!邪道だろ?すいとんだぞ。
「もっと、攻めた料理がいいなぁ~」
どう攻めろというんだ?後、手持ちの材料は米粉とそば粉か…エチゴヤの倉庫へ向かう。手持ちの材料だけでは無理な気がしたから。倉庫を見回して、目が合った食材…テングサかぁ。寒天…すいとんの用のグルテンを発酵させて、くず餅…米粉で白玉…そば粉だとガレットか…甘味に走るか…黒蜜を探し始めた俺。
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大晦日、俺はソバを2人前持って、月が見える場所へ…
「ありがとう…お兄ちゃん♪」
笑顔のカグヤが舞い降りて来た。二人で並んで、そばをすする。
「いつまでも一緒だよ、おにいちゃん」
ソバを完食するとカグヤは帰って行った。次の予定があることを知っているから。俺は、次の予定に場所、アーゼの部屋へ転移した。新年を祝う舞いが披露されるのだ。
アーゼ達の新年の舞いを見て、ミツクニ邸に戻った。お節料理を目に焼き付けて、俺はミトと共に会議の場へ…
領地の収支報告をして、王様に赤字補填を訴えた。
「う~む、そうじゃな。アルジェント卿のがんばりは知っている。少しずつだが、寄付金も集めている。今年からは、迷宮の使用料も払えると思う」
迷宮の入場料の10%と、魔核の買い取り価格から10%が、迷宮の収入となるらしい。メリーとニナが交渉したんだから、問題は無いはずだ。
「アルジェント卿には、周囲の国々の視察も頼みたい。いいですかな、ミツクニ卿」
「喜んで♪」
俺が頼まれたのに、なぜかミトの承認を得る王様。それを嬉しそうに受諾するミト。俺の仕事が増えた気がする。
「で、ですね。権限をもう少しもらえませんか?王様の代理とか…」
ミト…やめろ。俺の責任が増すではないか。
「そうですね。それで良いと思います。全て、ミツクニ卿へ委ねます」
王様よりエライミト。で、俺に丸投げするミト…こいつ、悪女系?
『魔性の女と呼んでくれ』
って、お返事が来た。マゾの間違えではないのか?
『おい!』
今夜は寝かさないからな~
『え?!』
俺を涙目で見るミト。嬉し泣きか?
「次の議題は…」
延々と会議は続いた。
夜、ヘロヘロになってからの帰宅。ミトが俺の代わりに、アリサ達を迎えに行ってくれた。そして、久しぶりな食事。お雑煮とお節を満喫…せずに、おかもちに二人分入れて、カグヤの元へ…そして、二人で満喫し、朝を迎えた。
俺が睡眠が出来たのは3日目の夜だった。
「お~い、起きろ~。会議に遅刻するぞ~」
後輩氏の声が遠い…疲れが溜まっているんだと思う。働き過ぎだな…
「しょうが無いなぁ…」
うん?懐かしい人肌…誰だっけ?相手の背中に腕を回し、抱き締めて、胸の感触を味わう。この胸は…ミト…だ。
「おい!満喫して、また寝るなよ~。もぉ!」
唇に誰かの唇…これはミトでは無い…誰だ?目を開く、笑顔のリザがいた…
「起きたようだな。さすがはリザだ」
「お父様…起きて下さい」
リザが俺の耳をハムハムしている。誰だ、こんなプレイを教えたのは…俺にVサインを送る全裸のミト…
会議は5日目で終わった。仲間が増えた分、友好都市が増えている。メリーのサガ帝国、
ルネアのルモォーク王国、のじゃ姫のノロォーク王国などだ。後、リーナの祖父であるケルテン侯爵が、俺の一門に入ったらしい。まぁ、一門の爵位持ちが後盾になってくれるので、楽と言えば楽にはなるのかな?
「では、明日は新年の挨拶をし、その後は料理フェスティバルなどなどじゃな」
そうだ。それがあったんだ。俺の気分はダークになっていく。
「アルジェント卿」
会議室を出ようとすると、ケルテン侯爵が声を掛けてきた。
「若い自身過剰な戦士達が、アルジェント卿と試合をしたいと、私に言って来ていましてね」
「俺は戦いませんよ」
「そこをなんとか…」
って、言っても…ミトを見ると、オーケーサイン…戦えと?
「では一人だけですよ」
「分かりました」
一人で終わらない予感…
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で、翌日…王様の長い新年の挨拶…俺はウトウト…システィが肘鉄で起こす。一応俺の婚約者ってことになっているシスティが隣にいる。セーラとリーン、アーゼは公の場に姿を出せない為の処置である。俺的にメリーでも良いのだが、他国の王女な為NGらしい。
で、長い挨拶が終わり、料理フェスティバルを盛り上げる発言をして、お開きになった。今日はアリサ達も休日にして、フェスティバルを楽しみにしているらしい。
料理開始…オープンキッチンで調理を始める先輩と俺。すいとんもくず餅も止めて、違う物を作り出す。カニの身を解して、カニ味噌と和えるだけ…
「何?そう来たのか…」
俺の予想外の品に、先輩が驚いていた。いやいや、もう一品作りますよ。グルテンにイチゴを入れて、茹でていく。米粉、餃子皮にもイチゴを入れる。そして、イチゴソースを掛けて出来上がり…紅白3種盛りである。
「さすが邪道だな~」
って、アリサ。デザートでは無く、カニ味噌をロックオンしているようだ。いや、ウチのメンバー全員がカニ狙いのようだ。
先輩はオーミィ牛のビーフシチューのようだ。あれは、高そうな料理である。オーミィ牛のフォンドボーで仕上げているし。さすが王道の料理人である。貴族的には先輩の料理に軍配だと思う。
料理を作ったし、みんなの目を掠めて、アーゼの元へ行き、二人で添い寝…
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ポカッ!
誰かに殴られて、起きた俺。ふと見ると、ミトがいた。
「先輩…また、審査前にトンズラですか?探しましたよ~」
ミトの目は真っ赤である。どうしたんだ?
「なんで、目が腫れているんだ?」
ポカッ!
また、殴られた。どうして?
「心配したんですよ~。どこ探してもいないし…」
あぁ、そういうことか。本気で心配してくれたようだ。ミトを優しく抱き締めた俺。アーゼが暖かい目で見つめてくれている。
「ミト様、ダーリンは勝ったんですよね。美味しかったもの」
アーゼ達に、デザート系をお土産で持ち込んでいた。
「もちろん♪」
ミトも嬉しいのか、いつも異常に胸を密着してくれている。うん?ノーブラか?
「さぁ、帰るわよ。アーゼ、またね」
「はい♪」
胸を密着されたまま、ミトに連行される俺。帰宅すると、皆口々に心配していたと言いながら、俺の勝利をたたえてくれた。
「勝因は?」
「カニの破壊力ですよ~」
って、アリサ。アレに勝る食い物はそうそう無いからな。
「手軽で美味しいって、良い料理だと思います」
って、ルル。カニファンのオーユゴック卿が、絶賛したのも勝因の1つらしい。
「王様が、カニを王都で販売して欲しいって」
ミトが俺を見つめている。難しい課題である。新鮮さ命のあの食材を王都でか?手は1つあるが…カニを王都へ強制転移させて、王都で捌いて貰うとか。捌くのが一仕事であるから。全身固いので、解体するのが大変なのだ。リザの聖槍でも切れない、刺さらない。カリナの逆関節固めで関節を割って、そこから解体していくのが、ベストである。
「アレを王都に強制転移?王都が壊滅しないか?」
って、先輩。シガ八剣と勇者ナナシの活躍に期待かな?明日の武道会に乱入させるかな?
「明日の?明日も食べられるのね♪」
ミトを始め、皆喜んでいる。
「じゃ、先輩シガ八剣にはそう伝えてください。武道会場に乱入させますから」
「あぁ、わかったよ。アレと戦うのか…楽しみだな」
先輩は乗る気である。剣で戦って勝ったことがないから。いや、剣で勝った者はいない。先輩も理力の見えざる手での力技、俺も見えざる手での力技でしか勝ったことが無い。いや、切ろうと思えば切れるんだが、喰えなくなるのだ。属性攻撃はダメな相手。単純に物理攻撃で仕留めないと、喰える状態で倒せない厄介な魔物である。
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翌日、武道会はパニック状態になっていた。巨大なカニを見つけたので、それを強制転移させたのだけど、ジュレちゃんの一撃が弾かれたとか…
魔法を撃ち込むバカが多数いて、苦労の割りに、喰える部分が少なくなっていた。まぁ、胸肉とカニ味噌は確保が出来たからいいけど。
「なんですか…あれ…」
若手の有望株の戦士達も、戦意喪失するくらいの鉄壁の防御力。最後、ウチのメンバー達が出て、仕留めたけど…強烈はカニパンチにより、折れた剣が多数…あのハサミは脅威だ。剣を当てちゃダメなレベルだよ。固い上に力が半端無いし。
「あんなの相手に鍛錬しているんですか?」
若手の戦士達に訊かれ、Vサインを返すカリナ。