デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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07/03 辻褄の合わない箇所を修正


王立学院

今後の方針を決める会議中だ。まぁ参加者は俺、先輩、ミト、メリー、ゼナ、リーン、アリサなので、寝たい時に寝られるので、苦痛ではない。新年の会議地獄…あれは、たぶん俺にとっての一番の苦痛であると思う。

 

「情報屋からの話なので、まぁ、信憑性は実際に見て確認だと思うが、パリオン神国と隣接する三国が連合して、パリオン神国に攻め入ったらしいのだけど、パリオン神国の『神の軍勢』という兵士達に蹂躙されて、追い返されたらしい」

 

全員羽川姿なのだろうか…それはそれで壮絶な絵面になりそうだ。

 

「攻め込んだ理由は、パリオン神国のザーザリス法皇が魔王だと主張したとか」

 

神はここにいるから、神無し国状態である。魔王がいたとしても可笑しくは無い。

 

「あと、サガ帝国との緩衝地帯にあるヨウォーク王国の迷宮内で魔族の目撃情報があったそうだが、国営の冒険者ギルドが情報を握り潰したらしい」

 

迷宮核の所有者として、こういう情報は握り潰して、速効で狩るのが一番である。

 

「でも、そこって、アリサが代行している領地だよね?」

 

既に迷宮核は俺の所有である。魔王も既に…

 

「あぁ、確かに」

 

って、ミトが俺を見て笑みを漏らす。

 

「あと、大陸東方のイタチ人族の帝国と、シガ王国の緩衝地帯にある小国群での噂ですが、イタチ人族の帝国に滅ぼされた虎人と蜥蜴人族の王国の残党が、流民となり、小国群を占領しているらしい」

 

占領するなら、プタの街に移民してくれれば良いのに…

 

「後は、ザイクーオン神の使徒と名乗る人物が、侵略者達を塩に変えたらしいぞ」

 

塩に変えてどうするんだ?魂はどうなるんだ?罰だから、魂にもそれなりにペナが無いと、安楽死に近いよな。

 

「まぁ、使徒は問題外ね。うちには神がいるし」

 

羽川似ですね。その羽川をいたぶる姉妹もいるし。問題無いでしょ。

 

『お前が言うな!』

 

って、ミト。あぁ、そうだった。俺は不死王だ。

 

「そうなると、魔王疑惑法皇の調査が先かな」

 

方針は決まったようだ。

 

-------

 

翌日、各々で新年を楽しむ。先輩は高級娼館経由で高級奴隷商館へ行くそうだ。趣味と実益を兼ねているらしく、楽しそうである。

 

俺は、メリー、ティファ、リーナ、アリサ、ミーア、タマ、ポチ、シロ、クロウと王立学院って学校へ。他の学校の見学である。アリサ以下は学生として体験で、俺達は視察になる。

 

「初めましてアルジェント公爵。私が王立学院の学院長リトゥーマイヤーです」

 

凜とした老女である。同じ老女でもリリアンより品がある。彼女が執務机の向こうから挨拶をしてきた。

 

「当学院に体験入学したいとの事ですが、後ろの子供達でしょうか?」

 

アリサ達の顔を一人ずつ見て、彼女はミーアを見て驚いたらしい。

 

「えっ!エルフ様…ま、まさかボルエナンの森のエルフ様ですか?」

 

「ん、ミーア」

 

名前を名乗って頷くミーア。

 

「ご主人様は、ボルエナンの森のハイエルフ様が、正妻なんですよ」

 

メリーが誇らしげに言う。

 

「ハイエルフ様が正妻…あなた!何者なの…」

 

メリーの言葉は逆効果であった。俺に恐怖を感じた学院長。

 

「しがない公爵ですが…何か?」

 

俺に恐怖を感じつつ、王様からの一筆を受け取り、体験入学オーケーにしてくれた。クラスはアリサ、ミーアが魔法学舎、ポチタマコンビは騎士学舎、シロクロウコンビは幼年学舎になったようだ。

 

「しっかり、勉強して来いよ」

 

「もちろんですわ、ご主人様♪」

 

学校に通えるのが嬉しそうなアリサ。ミーアは何時も通りで、残りの4名が楽しそうだ。

 

「へぇ~、領地経営や帝王学もあるんだ」

 

「興味がお有りですか?」

 

「興味はある。仲間に学ばせないとね」

 

「仲間に?領地経営をですか?」

 

鼻で笑った気がする学院長。

 

「今の態度、失礼では無いですか!」

 

あぁ、メリーが気づいちゃったよ。こういうマナーに、うるさいから。

 

「我々のご主人様は、私達眷属に、太守代行や太守補佐をまかせたいと思っているのですよ。それを鼻で笑うとは、失礼では無いですか」

 

「ご自分でせずに、任すのでしょ?それは、おかしいでしょ。太守が執務に専念するべきです」

 

まぁ、確かに…領地が1つならばね…

 

「一人では全ての領地に目を配らせることは難しいです」

 

「全ての領地?」

 

「えぇ、ご主人様、複数の領地をお持ちです。うち3箇所は代行が執務をしております」

 

「それは4箇所以上、お持ちってことですか?」

 

「王立学院のトップが、知らないとは…あなたこそ、勉強が必要では無いですか?」

 

メリーに口で勝てる者は少ないと思う。あのロリ勇者の下で従者をしていたくらいだから、根性は座っていると思う。

 

「アナタは何者ですか?失礼でしょ?その言い方は?仮にも私は王立学院の長なんですからね」

 

立ち位置勝負だと、メリーの右に出るのは難しいと思う。

 

「申し遅れました。アール・アルジェント公爵様の情報分析官をしております、メリーエスト・サガです」

 

メリーの名前を聞いて、顔から血の気が失せていく学院長。まさか、相手がサガ帝国の王女って…立ち位置はメリーの方が上である。

 

「サガ帝国の王女様ですか…どうして…」

 

どうして、正妻にならないのか、ってことか?

 

「どうして?ご主人様の正妻はボルエナンの森のハイエルフ様ですよ。一介の帝国の王女が、正妻に立候補なんか出来ませぬ。それに、私はご主人様の片腕として、働きたいのです。伴侶としてではなくね」

 

メリー…かっこいいなぁ。メリーの堂々として話し方をマジマジと見ているティファとリーナ。あぁ、なりたいんだろうな。

 

「ご無礼を…」

 

学院長は席を立ち、俺達に深々と頭を下げた。

 

その後、学院長計らいの下、メリー達に学校の運営方法を説明してくれた学院のスタッフ達。俺達の学校のシステムを紹介し、より良くすべきポイントのアドバイスを聞き入っていた。

 

-------

 

訓練場に向かう俺。一人の少年が、ポチ、タマにケンカを売っているようだ。

 

「さぁ、来い!二人一緒でも良いぞ」

 

ポチ、タマは困っていた。人間相手に戦ってはダメって言ってあるから。

 

「そのケンカ、俺が買う。俺の娘達に剣先を向けるって、どういうことだ?うん?教師は見てみない振りか?」

 

「ご主人様?」

 

「ご主人様なのです」

 

俺に飛びつく、娘枠達。

 

「なんだと?亜人が娘だと?お前、頭が可笑しいのか?」

 

鼻で笑う教師。教師が言って良い言葉では無い。

 

「ダメ?」

 

「ダメなのです」

 

俺の変異に二人が気づき、俺を制止しようとする。でも、ゴメン、俺はコイツが許せない。コイツらが許せない!教師に瞬動術で近寄ると、目の前に先輩とミトが転移してきた。

 

「ダメ!やめなさい。このクズ教師には、私から詫びをさせる」

 

ミトが俺に抱きつき止めた。

 

「俺のかわいい後輩を、キレさせた罪は重いぞ」

 

娼館若しくは商館から呼び出された先輩は、俺より怒りを纏っていた。

 

「なんだ、貴様ら~!おい、衛兵!」

 

教師は衛兵を呼び出した。俺達に剣を向ける衛兵。

 

「どうしたんだ!」

 

はぁ?ジュレちゃんがノシノシと近づいて来た。アイツなら殺していいかな?

 

「ダメだって!先輩、落ち着いて!」

 

「えっ!お前達…何していんだ…剣を降ろせ。殺されるぞ…」

 

顔面蒼白になっていくジュレちゃん。

 

「どうした、ジュレバーグ…」

 

レイラスがやって来て、俺と目が合い固まった。

 

「アルジェント卿…これは…お前ら、無礼なことをしたのかぁ!」

 

レイラスが俺の代わりに、怒りを爆発させた。普段、温厚な人格者である、彼の怒りは、より一層の恐怖心を煽っていく。

 

「レイラス様、あのイカレた奴は何者ですか?」

 

教師がレイラスに訊いた。

 

「アール・アルジェント卿だ。この国一番の猛者だ」

 

更に恐怖心を煽るレイラス。

 

「はぁ?シガ八剣よりもですか?」

 

「俺達じゃ、止められない…」

 

ジュレちゃんは、完全に戦意喪失状態だ。ミトがいなかったら、この場の人間全てを殲滅したかもしれない。それ程の怒りを俺は纏っていた。

 

「アルジェント卿、何を言われたのですか…」

 

レイラスに訊かれた。

 

「タマとポチは娘だと言ったら、頭がおかしいんだろうって…亜人を娘にしちゃダメなのか、この国は…それならば、こんな国は…」

 

アーシア、ナナ、テンちゃんがやって来て、俺の隣に立ち、俺同様にプレッシャをかけていく。

 

「愚かなことを…」

 

羽川がそう人間達に呟き、俺に抱きついて、ミトと共に俺の怒りをクールダウンさせようとしている。

 

「ご主人様…ダメだよ~」

 

背中にアリサが抱きついた。

 

「私をおいていかないで…私を看取ってください。最後の時まで…」

 

アリサの心が、俺の魂を鎮魂していく。それに伴い、俺の怒りはクールダウンしていく。

 

『さすが、最強の魔王♪』

 

カグヤの声…アリサってそうなのか…

 

「アルジェント卿…この国を代表して謝罪します。ですから、この場は我ら、シガ八剣に任せてもらえませんか?」

 

レイラスが俺の前で、頭を深々と下げた。

 

「わかった。レイちゃんとジュレちゃんに預ける」

 

「ありがとうございます。おい!お前!教師として失格だ。亜人差別は無くす方向だと、王様もおっしゃていただろうに!」

 

レイラスが烈火の如く、教師陣に斬り込んでいった。

 

------

 

ミツクニ邸に収容された俺。ミトと羽川が添い寝をして、俺の上に洋服を着たアリサが抱きついて居る。三人で俺のささくれた心をクールダウンさせてくれている。

 

「あの学院長もそうですが、プライドが高いのがネックですね。なので、どこの馬の骨かわからない者は、下に見てしまうのでしょう」

 

メリーが分析結果を口にした。セーラ、オーナが、俺の為に鎮魂の呪文を唱えている。魂が怒りに染まっているって、羽川が言ったからだ。まぁ。そうなんだろう。まだ、ブチ切れそうだ。

 

「魔神が人間を虐めたって伝承…魔神には魔神なりの理由があったのよ。私は彼をあれ以上傷つけたく無いから、竜神に召喚の秘術を習ったの。心を癒やす者を呼べれば良いと思ってね」

 

羽川が誰かに聞かせる為に、独り言を言っている。

 

「だけど、他の神は、そうじゃなかった。勇者に成りうる者、魔王に成り得る者達を呼び出して、この世界を混沌にしていったの。自作自演をする為の道具としてしてね」

 

羽川はアリサの頭を優しく撫でている。アリサの行く末が見えるのか。

 

「ご主人様、ケルテン卿がお見えです。いかがされますか?」

 

リーナが俺の返事を待っている。

 

「だいぶ、落ち着いた。今行く。応接室にお連れして…」

 

「わかりました」

 

俺は、皆にお礼を言い、身支度を済ませていく。そして、ミトとセーラの肩を借り、応接室にへと向かった。

 

「すまない…王立学院でのことを聞いた。本当にすまない…」

 

ケルテン卿が俺に頭を下げている。リーナは何かをいいたげであるが、黙ってメイドとして、秘書としての仕事を全うしている。

 

「もう、いいですよ。この街は、住みにくいってことです」

 

ミトは反論しなかった。俺の怒りの源に共感してくれているようだ。

 

「王の言葉は下々の者達へ届かないようだ。一度出来た枠は、壊れない。いや、壊さないようにしているのかもな」

 

亜人という枠は、この街では別枠なのだろう。いや、セーリュー市だって、そうだった。問題は、この国の根本なのかもしれない。

 

『ごめん…王祖として謝るよ、先輩』

 

ミトからのメッセージ。俺はミトを責めてはいない。

 

「エルテリーナが生き生きと生きている。その恩を仇で返してしまったようで…」

 

「お祖父様…」

 

リーナが職務放棄して、ケルテン卿に抱きついた。

 

「エルテリーナ…職務を全うしなさい。私は客人だ。主の許可無く、抱きつくな…」

 

そういいながらリーナを優しく抱くケルテン卿。

 

「リーナ、ケルテン卿を家までお送りしろ」

 

「えっ!」

 

俺の指示に驚くリーナ。

 

「リーン、ルスス、フィフィ、ガードで付いていってくれ」

 

「御意!」

 

三人が部屋に入って来て、俺に跪いた。

 

-------

 

翌日、学院にはアリサとミーアだけを送り出した。シロとクロウも差別対象なので、ナナに保育を頼んだ。その指示に喜ぶ、ナナ。

 

午後、アリサとミーアが小さい女の子をお持ち帰りした。誰?この子は?

 

「チーナ?」

 

リーナが声を掛けた。彼女の知り合いのようだ。

 

「エルテリーナおばさん?死んだのでは…」

 

奴隷堕ちした貴族は、死んだ事になるのか。

 

「誰?」

 

「ケルテン卿の曾孫です」

 

「で?」

 

「あぁ、あの…シロとクロウが学校に来なかったから…心配で…」

 

あの二人の友達なのか…。リーナにナナの元へ連れて行くように指示を出した。

 

-------

 

夜会に招待された。気分的に乗り気ではなかったけど、オーユゴック卿からの誘いは断る訳にいかない。セーラとリーンの祖父でもあるし、俺の祖父のような存在でもある。

 

大所帯での参加…オーユゴック卿は、イヤな顔をせずに、招き入れてくれた。両腕にはリーンとセーラが抱きついている。

 

「王立学院の件は聞いたよ。すまない、我が国の暗部を見せてしまったようで」

 

オーユゴック卿までも俺に頭を下げてきた。

 

「頭をお上げください。俺は大丈夫です。亜人を娘にしちゃダメなんですかね」

 

「私は問題無いと思います」

 

って、セーラ。

 

「差別の無い国作り、悪くないと思うよ」

 

って、リーン。

 

「孫達が応援しているのであれば、私も応援します」

 

今度、カニをプレゼントしないと…応援に見合うかな?

 

「なんで、死んだ者がこんなにいるんだ!」

 

大きな声…この空気の読めなさ…声の主を見ると、トルマだった。

 

「おじさん、なんでセーラもリーンも死んだはずでしょ?エルテリーナも死んだと聞いたが、どうしてだ?おい!ペテン師、この街で何をやらかすつもりだ!」

 

コイツ、キラい。俺の馬車を…あぁ、また怒りが再燃中…

 

「ダメっ!」

 

俺の変異に気づいたセーラが、谷間で腕を抱き締めて来た。その柔らかさの衝撃で、クールダウンしていく俺の怒りのレベル。

 

「おい!失礼だぞ、トルマ!」

 

「おじさん、騙されているんだ!このペテン師ヤローに!おい、衛兵、このペテン師をつまみ出せ!」

 

だけど、衛兵は動けなかった。夜会には、うちの全軍が参加していたから。

 

「ご主人様に刃だと!」

 

リザ、メリー、ルスス、フィフィが俺の前に立ちはだかった。

 

「おい!何をしている。ペテン師集団だぞ!」

 

「お前が消えろ!」

 

ズゴッ!

 

トルマの腹部に強烈な拳骨一発。ジュレちゃんだった。その場に倒れるトルマ。

 

「おい、コイツを牢に入れておけ。アルジェント卿は、我らシガ八剣のガード対象の者だ!」

 

「はっ!」

 

衛兵達が、トルマを片付けていく。

 

「だが、オーユゴック卿よ、孫二名の件は、この場で話して貰いますよ」

 

って、ジュレちゃん。まぁ、何時までも隠しては置けないよな。オーユゴック卿から語られた真実。俺は恥ずかしさの余り、逃走しようとするが、セーラとリーンに阻まれた。

 

「私達にもう一度、生の時間をくださったご主人様と、私達姉妹は添い遂げる覚悟です。ですから、ご主人様のことは悪く言わないでください」

 

リーナも自らの身に起きたことを話し、死亡疑惑を払拭させた。だけど…奴隷堕ちの過去は消えない。

 

「奴隷堕ちしましたが、私に生きる希望を与えてくださった、ご主人様に一生涯付いていく覚悟ですので、暖かい目で見守ってください」

 

と締めくくっていた。俺と一緒にいても良いことは無いよ。貧乏クジばかりだし…

 

 

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