09/21 誤字を修正
---宰相---
新年の会議以来、レッセウ伯爵が毎日の様に、面会に来ている。
「どうか、復興の為に、魔核を…お願いします」
と。
「爵位会議で決まったことは、反故にはできぬ」
会議で、レッセウ伯爵への魔核の配分は無しになった。
「そこを何とか…」
復興に必要なのは金のはずなのに、魔核にこだわる伯爵。何を画策しているのは見え見えである。それが、配分無しの理由であった。
「そうそう、お前の領地のホセベド村とスイブド村なんだが、魔物に襲われているそうだが、何故領軍を出さぬ?」
「復興するために予算を削っている為です。ですから、魔核をお願いします」
「都市と鉱山の周辺には領軍を展開しているそうだが、おかしくないかね?」
「収入源を護るのは当然でしょ?魔核での支援をお願いします」
「収入の少ない集落は、消えても良いということかね?」
「支援をいただけたら、農村を無くして、税収の見込める都市にします」
農民は魔物に殺されても問題無しなのか…
「なので、ホセベド村とスイブド村は領主を変えた」
「はぁ?何をおっしゃっているんですか?私の領地を誰に?」
領民より、領地が大事か?やはり、彼にすべて託すかな。
「アルジェント公爵が、引き受けてくれた」
「あの新参者ですか?あんな、どこの馬の骨かわからない者に、私の領地を?認め無いです」
随分な言われ方だな。まぁ、新参者であるのは事実である。王祖ヤマト様と同じで、この地に舞い降りた方である。出生は私と王様だけの秘密である。だけど、彼の功績は大きい。公にはしていない為、このような偏見で見られてしまいがちではある。
「もう王様が決裁したことだ。異議があるなら、それなりの処置をする」
「王様に抗議させてください。私の有能さをお伝えします」
有能なら、こんな事態にならないだろうに…
「あの農村部は、アルジェント卿の領地に編入済みで、卿にはお話をしてある。なので、覆ることは無い!」
「アイツ、幾ら裏金を使ったんですか?」
はぁい?裏金とは?もしかして、裏金として魔核を使っていたのか?
「そんな物は使っていない。彼の領地は赤字だからな」
公式な書類上では、アルジェント卿の方が赤字である。彼の爪の垢でも飲ませないとダメか?
「そうか…あの村に資源があるんですね。それを狙って…」
何か悪そうな顔をして、出て行った伯爵。
---レッセウ伯爵---
新参者の侯爵の家へと向かう…が…家の住所が無い。家すら無い貧乏侯爵なのか。それで、資源の埋まっている村を俺から取り上げたのか。くそっ!
オーユゴック公爵様を訪ねて、窮状を訴えることにした。
「はぁ?領地を奪われた?誰にだ?」
「新参者のアルなんとかという侯爵にです」
「う~。そんな侯爵はいないが…新参者なのか。誰の一門なのだ?」
「あの名誉だけの公爵の一門です」
「ミツクニ公爵か…そうなるとアルジェント公爵のことかな?」
「そいつです。奪われた領地を取り戻したいんです。ご助力をお貸しください」
公爵様に頭を下げて、お願いした。しかし…
「彼は奪い取ることはしない。何かの間違いだな」
「何をおっしゃっているんですか?家すらない貧乏侯爵ですぞ。手荒なマネをしたんだと思います」
「貧乏…まぁ、赤字の領地が多いからな、彼は」
えっ?領地が多い?侯爵なのに?何故…
「家は…そうだな。彼の名義の家は無い」
「名義を偽装ですか?それは犯罪です。爵位を取り上げるべきです」
「偽装では無い。同居しているんだ。ミツクニ卿の屋敷にな」
そうなると公爵の名を騙り、悪事をしているのか…
「そんな品位の無い奴は、爵位を剥奪すべきです」
「彼の事を悪く言わないくれ。私の孫娘が世話になっているんだ」
公爵様の孫に手を出したのか…
「打ち首にすべきです!」
「私の孫のような者を打ち首にか?!」
公爵様が俺を睨んでいる。何か地雷を踏んだか?
「おい!コイツをつまみ出せ!」
衛兵達に囲まれて、屋敷から出された。そうか、名誉公爵の館にいるのか。
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家臣を連れて、ミツクニ邸へ討ち入りをした。だが…なんで、コイツがいるんだ?犯罪奴隷に落としたはずのティファリーザが、秘書官のような服装で俺の前に出て来た。
「犯罪奴隷を扱っているのか。おい!犯罪者を連れ出せ!」
「はぁ!」
家臣達が、ティファリーザを捕らえて、連れだそうとした時、
「おい!人さらいか。堂々と家に入っての…」
声の主を見ると、奇跡の料理人として有名なペンドラゴン卿がいた。
「コイツは犯罪奴隷だ。公爵様の家に相応しくないので、捕縛して連行する」
「おい!僕の秘書に何をしているんだ?」
声の主の背後から、少女二人が飛び出して来て、ティファリーザが奪われた。
「ティファ、大丈夫か?」
「はい、ご主人様」
コイツが貧乏侯爵か…
「犯罪奴隷を使って何をするつもりだ?」
「誰が犯罪奴隷だ?この家には奴隷なんかいないぞ」
「はぁ?ソイツは俺が犯罪奴隷にしたんだ」
「そうか、お前がやったのか…セクハラ伯爵よ!」
なんだ…何かをされたようだ。誰にだ?
「お前を犯罪奴隷にした。罪は、俺の秘書を誘拐した罪だな。あと強制セクハラ罪だ!」
はったりだ。言葉だけで、奴隷堕ちにさせることは出来ない。何も知らぬのだな。この新参者は♪
「何の権限があるんだ?侯爵風情のくせに!」
アイツの後から、シガ八剣のジュレバーグ殿が現れた。
「レッセウ伯爵か…いい度胸だな。アルジェント卿の秘書を、屋敷に押し入って誘拐か…重罪決定だぞ。爵位も剥奪だな」
「何をおっしゃっているんですか?その貧乏侯爵が、犯罪奴隷を秘書にしているのが、おかしいでしょ?」
「貧乏侯爵?誰のことだ?」
レイラス殿が更に出て来た。なんだ、この家は…
「レイちゃん、俺のことだろうな。5つも赤字の領地が有るからさぁ」
シガ八剣のレイラス殿をちゃん呼びだと!
「貴様!無礼だろ?シガ八剣のレイラス殿に、腹を斬って謝罪をしろ!」
「なんでだ?」
って、レイラス殿が不思議そうな顔で、俺を見た。
「今、敬称をつけずに、ちゃん呼びですよ!」
「うん?いつもそうだぞ。公式な場でも…」
って、レイラス殿。何?どういう関係だ?俺は、ケンカを売ってはいけない相手に…
「なんか問題でも起きたのか?」
更に奥から王様が出て来た…はぁ?
「レッセウ伯爵では無いか。何用だ?」
「俺がレイちゃんに、腹を斬って詫びろって。意味がわからん」
貧乏侯爵が王様に直訴をした。
「どういう意味だ?アルジェント卿に分かる様に、説明をしろ」
王様まで…味方に付けたのか。コイツは策士か?
「黙りか…おい!衛兵よ、レッセウ伯爵を城まで連行しろ。せっかくの旅の報告会のジャマだ!」
王様の方から報告を訊きに来た?コイツは何様なんだ?俺達は衛兵達により、城へと連行されて行った。