ガニーカ領での一件が終わり、ミト達と別れて行動する俺。ミト達はオーユゴック公爵領の公都を目指し、ボルエハルト自治領へ至り、ムーノ男爵領へ向かうのだが、俺は直接ムーノ男爵領へと向かう。オーユゴック公爵領の公都で、問題が起きていた。先乗りした先輩を、ムーノ男爵領の領主とするように、トルマが運動をしているようだ。勿論、俺のことは、相変わらずペテン師だと公言しているそうだ。
なので、俺が行くと収集が着かなくなるので、行くのを断念した。公爵様に会えないのは残念だが、ミトの公務のジャマは出来ない。
真っ直ぐニナの元へ向かった俺。ニナは笑顔で自分の部屋へ連れ込み、2時間ほど休憩をして、二人で公務へ戻った。ちなみに、ニナがムーノ男爵としての爵位を、ミトから貰っている。
「問題は起きていないか?」
「実は…」
問題は起きていた。太守を任せられる者が見付からないので、住民に任せたらしいのだが、
「領内には都市が4つ、街が7つあるのですが、都市1つと街2つしか支配していなくて、街3つが地元の豪族達、残りは魔物や蛮族に占拠されているんです」
それって、半分以上が占領されているのか…赤字の訳だ。人口推移は、ニナが領主代行、太守代行をしてから、市内の人口は5割増し、領内の人口が2割増しにっていて、領軍兵士の数も120人だけだったのが、今や2000人近くいるらしい。
「それは、早急に手を打たないとダメだな。ニナが支配していない地域は税も払っていないんだろ?」
「はい…」
ニナに任せっきりにした俺の責任だな。
「すまない…ニナ」
「やめてください。これは私が、もっと早く報告をすれば良かったんですから」
「いや、俺の責任だ。早急に手を打つよ」
俺は現在へ転移した。まず魔物達だな。シガ八剣と一緒に鍛錬していたリザ達をジュレちゃん達ごと連れて行った。
ヒュドラやキメラ達をまかえ、俺はアンデッド系を眷属にしていく。不死王に逆らうアンデッドはいないようだ。軍隊がまた増えた♪
で、都市2つ街2つを返して貰い、街を1つアンデッド達に自治区として、使うことの許可を出した。条件は兵役の義務と自治区から出るなの2点。それで納得してくれたようだ。
「アンデッド自治区ですか…発想が斜め上ですね」
レイちゃんが苦笑いしている。
「退かせば、別の場所に移るだけでしょ?ならば、自治区を設定して、他に迷惑を掛けないのが、上に立つ者の努めだと思うけど」
「ご主人様らしいです」
って、メリー。メリー達を借りたので、ミトにはゼナ達がガードに入ってくれている。
で、次は豪族退治。いや、退治では無くて下僕化だ。シズカの能力で下僕化し、蓄えを没収して、太守代行として雇う旨を徹底させた。反乱したら、アンデッド軍が襲うことも宣言しておいた。実際はゴキ軍団投入の方がインパクト有りそうだけど…
「戦力あまり使わずに、こんなにあっさりと?」
ジュレちゃんが呆気に取られている。まぁ、俺らしくがテーマだからね♪
ジュレちゃん達を送り届けて戻ると、ニナがまだ問題があると言うのだ。
「後は何かな?」
あぁ、豪族達の支配地は、税率は普通にしてある。前領主が税を取っていなかったらしいから。これで、ニナの管轄は黒字確定である。
「廃坑都市のコボルト達が、北東のクハノウ伯爵領にある銀山に手を出し始めているんです」
大きな区割りでは、どちらも俺の領地らしいが、地図上では…それはダメだな。現地調査をする為に転移をした。
まず鉱山手前の森の中から、近づいて行く。いきなり鉱山へ転移だと戦闘になりそうだし。森の中では、魔物が何かを追いかけていた。
「私が行ってくるよ♪」
テンちゃんが現れて、魔物達をフルボッコしている。俺も後から付いていくが、テンちゃんも俺の心が見えているのではって、疑惑が湧く。このタイミングで転移って…
テンちゃんが助けたのは、コボルドの族長の娘と従者である男女2名だった。この世界のコボルドは犬頭と言う帽子というか兜というか、まぁ、そんな物を被っている。ソレをはずせば、長めの犬歯と尖った耳以外は人間と同じ姿である。あとは、肌が青味がかっているくらいか。自治区を与えてもいいな。話が着けばだけど。
「……ん? キャンか?」
意識が戻った少女がそう言葉を発した。彼女はシガ国語を話している。話が出来そうで安心だ。
「――違う、誰だ?」
少女が警戒心をもって、俺達を見ている。
「くっ、拙の仲間はどこ――まさかっ」
助けた男女2名を指差した俺。従者2名は怪我をしていたので、治癒はしてある。
「俺はアール・アルジェント、ここの領主だ。彼女はテンちゃんだよ」
「せ、拙は今は亡きボルエフロスを祖とするコボルト、ピァーゼ・ボルエフロスと申します。アルジェント殿、拙と仲間達の助命を感謝いたします。そして、その恩を返す前に願い事をする非礼をお許し下さい」
少女が言うには、コボルト達の鉱山が枯れ、彼らの繁殖に必要な青晶と呼ばれる宝石が入手できなくなったので、その青晶を分けて欲しいとの事だった。青晶かぁ、そうなると…
「コボルト達がクハノウ伯爵領の銀山を、襲っているのは、その青晶の為か?」
「そうだ。旅の魔法使いが教えてくれたのだ」
旅の魔法使い?怪しい…
『ダーリン♪ミスリル鉱脈の深い所で採れたはず。太い竜脈沿いのミスリル鉱脈を捜せば見付かると思うわよ』
って、早速アーゼから情報が入った。
『黒竜ヘイロンの山にあるミスリル鉱脈に有るぞ』
って、先輩。みんな暇なのか?俺の心をモニタリングしすぎる。
『あ~、アーゼに負けたのか~。先輩、山岳地帯の街の地下1000メートル地点にあるわよ』
って、ミト。負けず嫌いだな、あいつ…
「そこには無いぞ。埋蔵場所の採掘権を与えても良いが、条件は出す。どうする?」
「あそこには無いの…」
「あぁ、それは罠だと思う。コボルトと人間を、戦わせる為のな」
「そんな…」
泣きそうな顔の少女。
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コボルト達が攻める銀山近くにある、クハノウ伯爵領の第二の都市セダムの太守に、面会をしに行った。
「この忙しいときに面会だと?!断れ!」
断るのか?待合室まで聞こえる太守の声。
「何?!ムーノ男爵の家臣か!この状況で恩着せがましい事を言いよったら、即刻、首を叩き斬ってくれるわ!」
う~ん…どうしたものかな?トルマ臭を感じる太守。家臣では無いのだが…思い込みは恐い。
しばらくすると兵士がやって来て、俺とテンちゃんを案内してくれた。武器類は持っていないので、会ってくれるらしい。
「キサマがムーノ男爵の家臣か?小姓に女性とは趣味が悪いな!」
家臣では無いのだが…
『いつでもいいぞ♪』
テンちゃんはバトルモードでスタンバイである。
「お初にお目に掛かります、太守様。クハノウ卿を困らせているコボルト達の事で、お話があります」
「ふん!キサマが鎧袖一触で始末するとでも、言うつもりか?」
殺すのが前提か?
「ご許可戴ければ、すぐにでも、退かしますよ」
話の流れに合わせる。
「半刻だけ時間をやろう。その間になんとかしてみせたなら、キサマらに感謝してやろう」
不可能だと思っているのか、殴りたいような下品な笑みを浮かべている。ここは抑えて、
「それはありがとうございます。テンちゃん、頼むよ」
テンちゃんは空を飛び、コボルト達の前に立ちはだかった。彼らを護る為だ。俺は、アーシアを経由して、彼女と共にいるコボルトの少女へ伝えてもらった。『撤収してくれ』と。コボルト達は撤収していった。事前にコボルトと、話は着けてあったのだ。
採掘権と自治権を与える代わりに、採掘技術、精錬技術の提供を求めると、コボルトの族長に伝え、快諾されていた。
太守が期限としていた半刻の期限を殆ど残して、制圧作業という名の脱出作戦が完了した。逃げる時に狙われ易いから。トルマ臭のする人間は要注意である。
ここの拷問部屋に捕虜のコボルトたちが数名いるらしい。強制転移で、森まで転移させている。戦場で動けないコボルト達もだ。
「太守様、終わりましたけど…」
「何…まさか…あんな短時間でか…」
目が点になっている太守。うちの領民は殺させないよ♪
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森から採掘権と自治権を与えた街に、コボルト達と転移してきた。ちょうど、魔物を掃除した後なので、未だ人間のいない街「ターゲンコウミィの街」にだ。
「ここの地下1000メートルに、あるらしいんだよ」
「どこの情報だ?」
「ボルエナンの里のハイエルフの情報だ。太い竜脈沿いのミスリル鉱脈を捜せば見付かるらしい。禁書庫の情報と竜脈の流れを調査すると、ここの地下に、ミスリル鉱脈があるらしいんだ」
ミトの情報だが、アーゼの情報にした。人間の情報は信じないだろうから。
「ハイエルフ様か…あんた、知り合いなのか?」
「この人、ハイエルフの旦那だよ♪」
って、テンちゃん。ばらすなよ~!
「えっ…まさか…ご、ご、ご無礼な事を…次期族長のケィージ・ボルエフロスと申します」
って、頭を下げて来た。
「そうか。俺はここの領主のアール・アルジェントだ。以後、よろしくな」
「はい!」
「採掘権と自治権は与えるが、欲張るなよ。見返りは族長に話したことだが、それとは別に、税金という物を収めてもらう。これは、領内の改善に使う為の費用だ。勿論、自治区で必要な物があれば、申請してくれれば、補助もする。扱いは、領民と同じだ。特別扱いはしない」
「わかりました。次期族長として、肝に銘じておきます」
「次に訪れるときを楽しみにしているよ。コボルトらしい街にしてくれ」
試削ならぬ『強奪』で手に入れた青晶を、彼に手渡した。喜ぶ次期族長君。これで一件落着かな?
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「アンデッド自治区とコボルト自治区ですか。ご主人様らしいですね」
って、ニナ。黒字化は確定だし。鍛冶に必要な技術もコボルトが伝授してくれるらしい。アンデッドの方は、戦闘時にがんばるって言っているし、心強いと思う。パリオン神国で守備をまかしてあるゴキ軍団と組み合わせれば、人間相手に負けることは無いだろうし。後、海底人の海軍もあるか…
「亜人の自治区を増やしていくんですね」
「その方がトラブルが少ないだろ?無理に共存で無くていんだよ」
あとは、アリサの処と葡萄村だな。ミト達が合流するまで、コボルト自治区で、執務を熟す。まだ、青晶のある位置まで到達しないので、必要な分の青晶をヘイロンのところから『強奪』して、手に入れる。そんなこんなで、信頼関係は出来ていった。って、いうか、コイツらは、掘るのが早い。炭鉱掘りを手伝ってくれるかと打診をすると、青晶に到達したらって言われた。まぁ、それはそうだな。
ミト達が来る前に、青晶の鉱脈に届いたらしい。今、坑道の強化を手伝っている。って、いうか、ミト達遅すぎないか?トラブル発生なのか?
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ミトに連絡をすると、トラブっていた。まだ、オーユゴック領の公都だと言う。で、トラブルの原因はトルマらしい。奇跡の料理人のディナーパーティーを半年分ほど企画し、ソールドアウトさせた為、先輩が動けないらしい。
はぁ?半年も…何しているんだ?
ミトはミトで、ムーノ領の件で、連日猛抗議を受けているらしい。行くしか無いか?俺達も公都へ転移した。
公都で見る久しぶりのミトは、やつれていた。
「あぁ、先輩…」
俺の胸に頭をもたげるミト。
「あぁ、先輩の臭い…」
俺の臭い?土を汗の臭いだと思うが…
「で、何だって言うの?」
「カリナの弟を領主にしろって…」
「はぁ?なんで?あいつらがムノーだから、税収が赤字だったんじゃないか!」
「あぁ、報告書は読んだよ。全部の都市と街を支配下に置けたんだよね?そう、あのムーノ一族の怠慢が原因なんだけど、トルマがロイド候、ホーエン伯を巻き込んで、大騒動にしてしまったんだ」
「領地を全て寄こせって?」
「そういうことだ。で、亜人の自治区は認め無いそうだ」
「じゃ、戦争かな♪」
「そうなるな、最後は…」
「この国から出ようかな」
「ダメだって…ねぇ、先輩!」
俺に縋るミト。
「国は2つある。この国の俺の領民を、受け入れる場所はあると思うんだよ」
「あるだろうけど…ねぇ、ちょっと待ってよ!お願いだよ、先輩…くそっ!あのトルマのヤロ~!」
あっ!ミトがキレたようだ!
「ちょっと、王都に行って来る」
って、転移して行ってしまった。