デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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飛竜の王国

「次の国は龍の国よ」

 

って、ミト。ドラゴンライダーがパトカーの様に巡回しているので、職質を受けても大丈夫なように、飛行艇にいることを義務付けられた。

 

「大丈夫よ。兄ぃが酔い止めの薬を完成させるそうだから」

 

不安だ…一度服薬して、ゲロゲロが加速したことがあったし…

 

「そうそう、先輩の部屋に嘔吐専用の水回り設備と、臭い消し設備を入れたから、耐えてね」

 

それは、ゲロゲロ対策ですよね?酔い止め効果は考慮してませんよね…

 

「気を紛らわせるのも手だから、セーラとオーナは常駐で、相手をしてもらっていいから」

 

行為中にゲロゲロになったらどうするんだ。トラウマになる自信があるぞ!

 

そして今、飛行艇の中でゲロゲロ状態である…

 

 

窓からワイバーンの群れが見える。東方諸国から飛竜の王国とも呼ばれるスィルガ王国の領空に入ったってことだ。ワイバーンの背には兵士が乗っている。この国の主戦力であるワイバーン・ライダーと呼ばれる飛竜騎士達である。

 

よく酔わずにいられるなぁ。さすが、プロだな。

 

『先輩は成れない職業ですね~』

 

って、ミト。その通りである。ゲロゲロ体質の僕を乗せてくれるドラゴンはテンちゃんとヘイロンくらいだよ。

 

『ポチとタマとリザがヨダレを垂らしてみているよ~』

 

って、アリサ。あぁ、ワイバーンの肉は、ドラゴン種では旨いものランキングで上位だとリザが言っていたし。

 

『狩りに行かせるなよ。外交問題になるから』

 

って、ミト。

 

「シガ王国の飛空艇!何用で我が国に訪れられたか!」

 

あぁ、大空での臨検のようだ。酔いそうだよ…いや、既にゲロゲロ状態である。

 

「シガ王国公爵であるミト・ミツクニだ。旅行に来た。後、スィルガ王城への表敬訪問を希望する」

 

ミトが代表として、返答している。

 

「陛下への表敬訪問の件は承った。先触れを出す」

 

飛行艇を囲む様にして飛行しているワイバーン。自由に航路は選べないのだろうか?誘導され、徐々に高度が降りていく。

 

ん、あれは?視界の彼方、雲の隙間に小さな影が見えた。乱気流の予感がする。

 

『ミト!乱気流が来る!』

 

悲鳴にも似たメッセージを出した。

 

『確認した。ノラのドラゴンが接近中よ』

 

ミトからのメッセージを読んでいる時に、乱気流に襲われた。これは確実に…嘔吐用の水回りに急ぐ。部屋の中でぶちまけたら、トラウマになりそうだ。

 

ダメだ…間に合わない。『強制転移』で、胃袋からの上昇物を下水タンクへ転移させていく。

 

「主様!」

 

セーラの声が遠くで聞こえる。床に崩れるようにして倒れた僕。僕が僕で無くなって行く感覚…

 

「きゃ~!」

 

オーナの悲鳴が聞こえた。乱気流の原因にもの申したい。それだけだ。甲板に上がっていく。

 

「え?先輩!キレましたか…」

 

僕を見たミトの顔から血の気が引いているようだ。下級竜は船の前方で翼を大きく広げて威嚇している。下級竜の咆哮により、船が揺れる。ふざけるな!お前のせいで…『精肉』

と唱えると、甲板には、部位ごとに下級竜が精肉されて、置かれている。これで、揺れないだろう…僕の意識は消えていく。

 

 

目覚めると、セーラとオーナが添い寝をしてくれていた。

 

「僕はどうなったんだ?」

 

『どんまい♪』

 

アーゼから励ましのメッセージ。記憶がない。僕が僕でなくなったってことか…

 

「ここは?」

 

「孤島宮殿の主様の部屋ですよ」

 

って、セーラ。3人で飛行艇へ転移した。そこは、丁度着陸を終えたばかりの飛行艇だった。

 

「もう大丈夫なの?」

 

ミトが心配そうに走り寄って来た。

 

「なんとか…怠い…」

 

「無理しないでいいからね」

 

ミトが妙に優しい。僕はどんな酷いことをしたんだ?飛行艇を降りると、歓迎式典は無いようようだ。妙な視線が多い。あぁ、リザをセックスシンボルとして見ているようだ。リザは有り得ない視線に晒されて、警戒心を強化しているし。蜥蜴人が多いの原因か。同系種族であるリザはピチピチなギャルに見えるのだろう。

 

この国の国王は血統による世襲ではなく、竜に選ばれた英雄がなるお国柄だそうだ。戦士優遇国家か。世襲で無い分、代代わりの際に、外交的な取り決めが反故にされることが多いらしい。

 

リザと街中を散策に出た。ミトが公式な行事は出ないでいいって。なんかやらかしたみたいだ。記憶にないけど…

 

「主様、大丈夫ですか?」

 

「怠い…」

 

「肩をお貸しします。辛くなったら申してください」

 

「あぁ」

 

屋台が出ているが、胃袋が受け付けない予感がする。

 

 

竜神殿という建物の前に来た。白いコンクリート造り風の神殿である。見た目が小さいけど…

 

『――竜よ!わ、我が名は、獅子人族のバル、バウト!いざ、尋常に、勝負しろ!』

 

神殿の方から声が漏れてきた。王様を決める大会か?声の主は神殿の裏にある陸上競技場くらいの広さの円形闘技場に立っていた。三方を崖で囲まれており、崖の上の方には下級竜達がまったりとしている。神殿の裏手と競技場の間には深い谷があり、1本の吊り橋で接続されていた。逃げ場が無い戦い場か。ドラゴンは上に逃げられるけど…

 

リザと神殿に入った。入ると直ぐに

 

「異国の貴人様、宜しければ喜捨をお願い致します」

 

と、寄付を求める巫女がお盆を持って寄って来た。その盆へ寄付を載せろと?シガ国銀貨を10枚ほど載せた。

 

「ありがとうございます」

 

この神殿は竜神を祀ったものでは無いようで、竜を信仰の対処にしているようだ。見るべき物が無いので帰ろうとした時、竜神殿の入り口の方から参拝者のざわめきと甲冑の音が聞こえてきた。

 

「おい、あれ――五鱗家の方じゃないか?」

 

「ああ、たぶん、『挑竜の儀』に挑まれるのだろう」

 

豪奢な鎧を身に帯びた大柄な蜥蜴人の戦士が入って来た。鎧の中身はマッチョなボディが入っている。鍛えてはいるようだ。

 

「――ほう?娘よ、我が妻となれ」

 

リザの前に来て、リザにプロポーズな命令をしている。

 

「お断りします。私は主様に仕える身。他の男性には興味がございません」

 

即答拒否のリザ。

 

「――ふははははは。面白い、この俺を振る女がいるとは思わなかったぞ。まぁ、いい。お前の方から妻になりたいと言わせてやる」

 

「おい!貴様、リザに近寄るな!」

 

リザとマッチョの間に入った僕。

 

「主様、ダメですよ!」

 

「はぁ?お前が主人か?ふん、弱々し人間では無いか」

 

「お前…殺そうか?」

 

「殺せるものなら殺して…」

 

望み通り殺してやった。その場で、崩れるマッチョ。

 

「リザ、帰るぞ!」

 

「え?はい!」

 

神殿を出るとすぐに孤島神殿へと転移した。

 

 

「はぁ?殺した?五鱗家の若様をか?」

 

ミトが驚きの声をあげている。

 

「あいつは、リザに対して失礼なマネをした。それに殺せるものなら殺してみろって、挑発をしてきた」

 

「う~ん…蘇生させてくれない?外交問題になるよ」

 

困った顔のミト。だけど、今回は折れる訳にいかない。リザに対して命令をした。初対面なのに…それが許せない。

 

「街はそのことで持ちきりだよ」

 

って、先輩。

 

「ミト…事情を話して、謝罪をさせろ。それが得策だ」

 

先輩がミトにアドバイスを送った。それが得策だ。

 

「拒否したら、どうするんだよ」

 

「ヘイロンとテンちゃんを引き連れて、パリオンと共に、この国を奪う」

 

「侵略者じゃん…う~ん。わかったよ。交渉してくるよ」

 

ミトが転移していった。

 

そして、戻って来た。

 

「武力を誇示するのであれば、ドラゴンを倒してみろって…はぁ~」

 

「わかった。明日闘技場で皆殺しにする。ふふふ♪」

 

「キレているよ…」

 

いや、キレていないつもりであるけど…

 

 

翌日、闘技場に降り立った僕。

 

「おい!一番強い奴!出て来いよ」

 

下級竜と上級竜が僕に向かってきた。罠だよ、前口上は♪『ドラゴンイーター』を唱えたリッチな僕。ドラゴンの魂を一気にむしり取っていく。僕の目の前に次々、ドラゴンが落下していく。

 

「おい!ミツクニ卿にドラゴンを全滅させろって言ったヤツ、出て来いよ。約束通り、全滅させたぞ。ここで謝罪しろ!」

 

誰も出て来ない。

 

「そうか。約束を反故にするんだな。ここにいる観客をドラゴンのエサにするぞ『甦れ<<死霊竜>>』」

 

目の前でスケルトンドラゴンとして甦った下級竜達。観客達をついばみ始めた。

 

「先輩…もう、これ以上はダメだよ!ねぇ、分かっている?」

 

「分かったよ。じゃ、帰るか」

 

ジョブを士爵に戻して、ミトと共に孤島宮殿へ帰った。

 

 

翌日、謁見に応じるとの連絡が、ホテルに宿泊中の先輩の元へ届いたそうだ。王城へ向かう準備をする。僕とミト。同行者は先輩、システィ、メリー、アーシアだ。まぁ、後は必要に応じて、召喚すればいいし。

 

王城に着くと、出向かいの執事が声を掛けてきた。

 

「ミト・ミツクニ卿、こちらです」

 

何故か、先輩に言葉を伝えている。

 

「ミツクニ卿は、彼女です。私は士爵のサトゥー・ペンドラゴンです」

 

「えっ!あの方がミツクニ卿ですか?侍女では無く…」

 

「えぇ、そうです」

 

ミトがヒートアップしている。まぁ、侍女に間違われることは度々だしなぁ。執事の案内で、謁見の間へ通される。

 

「シガ王国公爵、ミト・ミツクニ卿」

 

入り口付近にいる赤鱗族の騎士が大声で叫んだ。呼ばれた者だけが、謁見出来るらしい。

 

「同じく士爵、サトゥー・ペンドラゴン卿」

 

「同じく王女、システィーナ様」

 

ここで、扉は閉められた。僕達は護衛と思われたようだ。まぁ、いいけどね。

 

 

 

---ミト---

 

何?先輩が謁見を許されないって…有り得ない。

 

「さて、謝罪の件だが、謝罪の意を伝える。そっそく、蘇生をしてくれ」

 

って…。当事者の前しろよ!それにその謝罪では、先輩は受け付けないぞ!

 

「申し訳ございませんが、当事者がいない時に、謝罪をされても困ります」

 

「ミツクニ卿の下僕がしたんだろ?なら、主に謝罪が常識だ」

 

こいつ、脳筋系か?

 

「申し訳ございません。私の方が立場は下なもので…」

 

廊下で戦闘音がしている。私達から引き離してリンチか?知らないぞ…先輩はキレているし。

 

ズドーン!

 

王城が揺れた。先輩が完全にキレたようだ。いや既に、キレていたけど…

 

「どうした?!」

 

「あの男が暴れています。精鋭部隊が全滅です」

 

精鋭部隊でリンチか?先輩の戦力を見誤りすぎだ。切っ掛け待ちだった先輩。一応、私の立場を考えて、正当防衛待ちだったし…

 

「あぁ、もう謝罪程度では収まらないですよ。ペンドラゴン卿、私達もヤルよ!」

 

「あぁ、そうだな。コイツら失礼にも程があるよな。アイツで無くても、キレると思う程度だ」

 

私と兄ぃは聖剣を手にして、廊下へ向かっていく。だけど…扉の外は外だった。廊下から向こうをガレキの山にしていた。危うく墜落死になるところだった。

 

「あぁ、リッチになっているよ。制空権も奪ったようだ。テンちゃんとヘイロンがいるし」

 

兄ぃが状況を確認していた。

 

「あなた方は怒らしてはいけない者を怒らせました。その愚かさを身に刻むべきですね」

 

「おい!アイツは何者だ!」

 

「私達の仲間で、パリオン神国の王、アール・ウール・ゴーンです。パリオン神の天罰を受けるといいわ。ペンドラゴン卿、帰るわよ!巻き添えはゴメンだわ」

 

「待て!ミツクニ卿…アイツを止めてくれ…」

 

私に懇願されても…謝罪が先だと思う。だから、脳筋は…

 

「彼の求めに応じなさい。それしか止める手立ては無い」

 

「求めとは?」

 

それすら、わからないのか…ダメだな、コイツらは…やはり王は世襲制の方が、交渉しやすいな。

 

「心の籠もった謝罪よ。あんな言葉だけの謝罪を、受け入れる訳ないでしょ?」

 

うわぁぁぁぁ~!天罰が始まっていた。竜神殿が塩化して崩れていく。相当キレているようだ。

 

『ちょっと待って!』

 

メッセージを飛ばした。

 

『テンカウント?』

 

『はぁ?せめて、5分待って!』

 

先輩にメッセージを送ると、意外に冷静な返答が戻って来た。静かに怒りを爆発中のようだ。一番、危険なパターンだよ。

 

「天罰が始まっていますよ」

 

塩化して崩れていく建物を指差した。

 

「お願いだ。彼を止めてくれ…」

 

これでも、謝罪をしてこない国王…いや、謝罪の仕方すら知らないのかもしれない。謝罪を今までしたことが無いのかもしれない。

 

「彼から伝言です。代が代わっても、彼の領土には侵攻しないと書面で、提出してください。あと、彼の仲間に失礼な行為をした件のお詫びを書面に書きなさい」

 

それに従う国王。塩化を目の当たりにしたら、従うよな。あれって、この世界での最終兵器に近いもんなぁ~。

 

 

謝罪と誓約書とお詫びの件で、都市核を手に入れた先輩。蘇生できる者たちは蘇生した。上級竜とリザに命令した奴と観客の大半だ。スケルトンドラゴンになった下級竜は先輩が引き取り、パリオン神国でガーディアンにするらしい。

 

「なんか世直し旅では無くて、征服旅になっているような…」

 

「そうか?迷惑なら、ミト達と別れて、僕はパリオンとパリオン神国に住もうかな」

 

「うんうん♪」

 

嬉しそうなパリオン神。う~ん、なんか、それは許せない気がする。

 

「ダメだよ。付いて来てね、先輩」

 

「今夜、サービスしてくれる?」

 

「う~ん…わかった。サービスをしよう」

 

私の身体で契約出来るなら、安い買い物だ。

 

「そういや。破壊発動中にアーゼからメッセージが来なかったな。ちょっと、様子を見てくるよ」

 

先輩は転移していった。

 

 

 

---アール---

 

アーゼの部屋に転移した僕は固まった。赤子を二人抱き締めて、授乳作業をしているアーゼが目に入ったから。

 

「あぁ~ダーリン♪双子だよ」

 

嬉しそうなアーゼ。何?双子?名前を2つも考え無いといけないのか?

 

「息子と娘?」

 

「何を言っているの?ハイエルフは女性だけだよ」

 

娘二人…はぁ?咄嗟に思いついた一郎と光子ではダメではないか…

 

「名前は決めてくれたよね?」

 

笑顔で見つめるな…

 

「あぁ、そうだな…セーラとオーナでどうかな?」

 

身近な二人の名前を挙げた。

 

「それ、ダーリンの愛人の名前だよね…」

 

ダメなのか…

 

「じゃ、ムーンとアースは?」

 

月と地球であるが…

 

「う~ん…いいかな。それで…うん♪それにしようっと」

 

次の瞬間…

 

『おめでとう♪』

 

って、メッセージがミト、先輩、アリサ、シズカ、ユイカから送られて来た。しまった。心のフィルターを掛けていなかった…凹む僕。

 

『ふふふ、どんまい♪』

 

って、アーゼからメッセージ。目の前にいるんだぞ!声を掛けろよ。

 

『やっと、初めての爆睡を始めたの♪』

 

赤子がアーゼの乳首を咥えたまま、スヤスヤ状態だし…いいな…それ…俺もしたい…

 

 

 

 

 

 

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