灰色の岩が立ち並ぶ幻の街に来た。周囲を濃い霧で囲まれていた。囲まれているエリアは、そんなに広くは無いが、岩を削ってビルやアスファルト風の地面が再現されていた。
街を探索すると、半分石になったマンガ本が沢山転がっていたり、出来損ないのフィギュアが山のように積み重なっている。
「これって、石を物質変換したみたい」
って、パリオン。物質変換の能力者が、作った産物なのか。産まれ育った世界を懐かしんで…
壁には筆で書き殴ったような文字が描かれていた。
『カエリタイ』
と…その後も探索したのだが、元の世界へと通じるゲートは、なかった。この能力者が欲しい…
「アーシア!探してくれ!」
「了解です」
ここの迷宮核ともリンク済みの彼女が、目的の人物を探査してくれている。
◇
「エロい…」
先日遭遇した宮廷騎士の女性が目の前にいる。鎧や衣服が乱れた上に、白濁した粘液に塗れた女騎士は、18禁な世界の住人に見えてしまう。だけど、俺の触手は動かない。ナナの分析能力に寄り、白濁粘液の正体は、火魔法で加熱されて変質したスライムの残骸だからだ。彼女以外に生きていそうな者はいない。ほぼ閉鎖空間である場所で、スライムに火を放ったバカがいたようで、彼女以外の者は炭にになっていた。
「たぶん、スライムに取り込まれて助かったのかもね」
って、パリオン。回復コンポは掛けてあるので、メリーが留守番をしてくれている宿の部屋へ転移させた。
「で、見付からないのか?」
アーシアに訊いた。
「探索中です」
物質変換の能力者を探索中に、あの18禁の女体が発見されたのだった。
◇
勇者一行の使っている中継基地に来た。吸血鬼の一団がポーター達を手に掛けていたのを、探索中に見つけてしまったのだった。見過ごすことは、出来ないよな。俺達は現場へ転移をして、吸血鬼達を血祭りに上げていく。
更に、「擬態」の種族固有能力を持つ擬態火蜥蜴と「光学迷彩」という種族固有能力を持つイリュージョニー・ゴーレム、レベル60の溶岩ゴーレムが潜んでいた。
魔神にジョブチェンジをした。横にパリオンがいて、ナナはアーシアを護る盾になった。
勝負は一瞬で着いた。パリオンの天罰と俺の天罰を喰らい、まだ見つけていないヤツも含めて、この場にいる魔物総てを塩に替えた。つまらない戦闘だな。
「パリオンって、攻撃って、それしか無いの?」
「うん…こんなものだよ、神って…」
あぁジョブを戻さないと。って、戻した処で、不死王になるだけだが。ジョブチェンジを終えると、新たな敵が襲い掛かって来た。今度は?だ。
「これは何?」
「ドッペルゲンガーです」
って、アーシア。魔物のようだ。魔剣を手にして、切り裂いて行く。斬り裂くとドロリとした乳白色の液体に変異して消えていく。
しばらくすると、ロリ勇者達が戻って来た。
「なんで、貴様がここに…」
「取り立てに来ました。装備のレンタル代を払え!」
「これは、元々、俺の物だ」
「メリーが交渉して、この迷宮でのお宝は俺の物にしたはずだ。おい、稼ぎを出せ!」
いきなり聖剣アロンダイトを振り抜き、『閃光延烈斬』を、俺に放ってきた。なんだ、コイツ!
その剣撃を拳で弾いたテンちゃん。あれ?いつの間に来たんだ?
「アルジェント卿、大丈夫か?」
ミトとリザ、リーンもいた。
「メリーから連絡があって、来てみたのよ」
あぁ、女騎士の件か…剣がぶつかり合う音がしている。勇者と先輩がヤリ合っていた。
「一人で、アレコレするな!心配をさせるなよ、先輩…」
ミトが俺に抱きついた。心配してくれたんだ。
「で、迷宮核は?」
「ゲットした。今、アーシアに探索して貰っているんだ。物質変異能力者をね」
「そんな能力者がいるの?わかった。みんな、アーシアをガードして」
「にん」
「にんにんなのです」
タマとポチも来ていた。
「何をしているんです!」
メリー達もミトが連れて来ていた。エロ勇者対策だな。
「メリーエスト様?いや、偽物だな!」
メリー達を襲うサガの黒騎士達。俺はメリー達を助けに入る。黒騎士達の首から血柱が上がっていく。
「アール様…ルスス、フィフィ、アール様にもう…背負わせないで!」
「「御意!」」
ルススとフィフィが黒騎士達に対峙した。
「主様、もう血塗れにならないでください」
メリーに抱きつかれた。あぁ、また殺戮をしそうだったな。
「ロレイヤ、何をしているのだ!」
「え…パリオン神様…どうして、ここへ…」
「私の主と共に来たのだが、どうして私達を攻撃するのだ?」
ロレイヤとは、エロ勇者の従属でパリオン神官な為、パリオンを認識できるらしい。
「ハヤト様、この方達は、本物です!」
その声で、剣戟の音が止んだ。
「セイナ…おい!大丈夫か?」
リーンが重体な女性に声をかけていた。彼女もロリ勇者の従属なのか?
「主様…」
リーンにお願いされた気がした。なので、回復コンポを掛けて上げた。淡い緑色の光に包まれ、光が霧散すると、軽傷程度になっていた。
「あぁ、リーングランデ様…ここは天国?」
あ、彼女達の記憶ではリーンは死んだことになっていたはず。
「生きているよ、セイナ!」
セイナに抱きついたリーン。
◇
「何故、パリオン神様が一緒にいるんだ?」
「ロリ勇者は、パリオンに惚れたのか?」
現状のパリオンの姿は、ロリ勇者のストライクゾーンである。
「神様に?滅相も無い」
って、ロリ勇者はパリオンに見とれている。一方オッパイ聖人である先輩は、ゆるふわタイプの巨乳美女のロレイヤをロックオンしていた。
「で、ゲートはあったのか?」
って、ミトに訊かれた。
「無いよ」
見て来たことを話した。
「岩や石を削って作ったのか…」
「そうみたいだ。だから、それを作ったヤツを、アーシアに探索して貰っているんだ」
しかし、アーシアの探索でヒットしなかった。すでに死んでいるのか?
「サトゥー、頼みがある」
「なんでしょか?」
共闘の申し込みのようだ。俺にでなく、先輩にだ。
「じゃ、俺は俺のしたいようにする。また、みんなを呼ぶかもしれない」
「いつでもお呼びください」
と、リザ達が俺に跪いた。それを見たロリ勇者は、顔が引き攣っている。先輩の戦力は、先輩以外だと、カリナとシスティだけだし…
僕の仲間達は孤島宮殿へ転移していった。残ったのは、ミトとメリー、ルスス、フィフィ、リーンと、アーシア、ナナ、パリオンである。
「あれ…?サトゥー…お前の従属で無いのか…」
「俺は士爵ですよ。従属を大量に持てないけど」
宛てが外れたロリ勇者。まぁ、アッチはアッチでどうにかなるだろう。
「で、どうするの?」
ミトに訊かれた。
「魔王をロリ勇者よりも先に倒すか」
って、向こうは倒しに行く戦力がいない気がする。前衛はロリ勇者とカリナだけで、先輩はサポート系だろうし。
「メリーエスト、リーングランデ、フィフィ、ルスス…なぁ、戻って来てくれないか?」
ロリ勇者が、目の前でスカウトを始めた。
「お断りします。私達は、主様に不満がございませんから」
って、メリーがきっぱりと拒否した。
「そんなことを言うな。頼む」
って、メリーに土下座した勇者。頼む相手が違うだろうに。
「私に頼んでも、どうにもなりませんよ」
って、間違いを指摘するが、メリーに懇願するロリ勇者様。
「まぁ、いいや」
俺は裏方で…
「メリー、貸し賃をきっちり払わせろよ!」
そう言い残し、メリー達をロリ勇者の周辺に置いて行く。
◇
そして、再び、迷宮核の部屋。迷宮の設定を弄る。あのドッペルゲンガーは、紛らわしいので、出さない方向に設定を変えていく。
「おぉ…」
出現可能モンスター欄に、冥界スライムがいた。これは…出現する方向にした。ドッペルゲンガーの代わりに…冥界スライムとは、女性の出す分泌物をエサとする魔物で、分泌を促す液体を注入して、布や糸の類いは溶かす粘液も持っているのだ。
「先輩、何をしているの…はぁ?冥界スライムって…あれだよね?別名エロスライム…」
「そうそう。男性には目をくれないので、男性は安全だと言える」
ちなみに、魔物のメスにも効果があるらしい。
「先輩…鬼でしょ?」
「女体の淫らな姿って、見たいからなぁ~」
男である証拠…いや、まだ人間臭さの残っている証拠だよ~。
ミトは溜息を吐いていた。
◇
先輩に呼び出された。
「勇者達は、魔王退治に行ったんだ。俺たちは魔王の守護者を倒す事になったんだ」
って、先輩の周囲にはカリナとシスティしかいない。メリー達は勇者に付いていったそうだ。
「守護者って?」
「9体いるらしいんだが…」
「ふ~ん…」
「まさか…お前…」
「俺には便利な機能がないから…敵は速やかに消すだけですよ、先輩!」
守護者って表示は俺には出ないし。
「もういないようです」
って、アーシアの声。
「じゃ、残るは、勇者よりも先に、魔王退治だけかな?アーシア、魔王の位置を探査してくれ。見つけたら、そこから出すな」
「了解しました」
「お前…チートな狩りだなぁ~」
って、チートの総合商社に言われたく無い。
◇
魔王…俺とミト、先輩、テンちゃん、アーシアにパリオンの前では、単なる魔物と代わらない。ほぼ瞬殺であった。
「反則に近いだろ?」
って、先輩。う~ん、チータが3名の時点で反則だと思うが、そこに天龍に女神に、迷宮核だろ?反則過ぎる気がする。
絶対防御?天罰による塩化は防げなかった。塩化した部分は、空かさず拳で粉砕していく俺。俺とパリオン以外だと、塩化現象が伝染するらしいので。
まさか、迷宮核の部屋の隣にある迷宮主の部屋に転移してくるとは。それも、鼠の魔王と、イタチの魔王が2体も。飛んで火に入るなんとやらだった。
そして、そのうちの一体から、とあるスキルを『強奪』しておいた。『物品召喚』…これがあれば、欲しい物を召喚出来るようだ。異世界で通販生活が出来るとは…
試しにミトの読みたいコミックを召喚すると、召喚できた。
「すげぇ~!」
って、先輩。先輩には、男性専用の筒型装置をギフトした。
「これって、使うと女性要らずになるヤツだろ?」
「娼館に行けない時に使ってください」
などと会話しながら、逆方向から勇者一行の元へと向かった。
◇
ようやく合流出来た勇者一行はスライムの大群に襲われていた。
「あれって、冥界スライムだよね?」
って、ミト…メリーやリーン達女性陣の18禁的な裸体にロックオンする俺と先輩。既にロリ勇者を含む男性陣は、目の前で繰り広げられるAVさながらな事態に固まっていた。
「これをしたくて、設定したのね」
って、呆れているミト。
「いやいや…ここまでとは…以後、使用は控えます」
って、くらい、壮絶なことになっていた。俺ですら唖然とする事態であった。この世界の冥界スライムは危険だ。
で、ロリ勇者は魔王を倒すことも無く、まだまだ当分、この世界に居残り決定である。
「なるほど…取り立てが終わるまで、元の世界への帰還は許さないのね」
って、ミトが苦笑いしている。えぇ、今回のメリー達のレンタル代も貰わないとねぇ♪