デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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2章
月からの帰還


ここはどこだ?森の中にいる俺。見た事の無い木々や植物がうっそうと生える森の中に、一人佇んでいる。探索スキルを使うと、パリオン神国と表示された。おかしい。あそこは塩塗れの砂漠地帯である。こんな鬱蒼とした森では無いのだが。

 

地面を調べて見ると、固い。一部ガラス質に変化している。高熱に晒されたのか?生えている木も調べるが、もの凄く固い木である。品種は不明と出た。これは一体?途方に暮れて佇んでいると、マップに青い点が3つ現れ、俺を目指して近づいて来た。赤い点は敵、黄色い点は注意人物、青は中立で、緑が仲間だと、ヒントが表示された。なので、近づいて来る物達は、敵では無いようだ。

 

接近してきたのは、犬を2匹連れて歩く男性だった。見た事の無い人物である。歳は俺より若そうに見えるのだが…

 

「君がアールだね?俺は大樹…代羽大樹っていいます。これは番犬のクロとユキです」

 

飼い犬と自分の名を名乗った男。種族はUNKNOWNと表示されている。つまりは神に近い者なのだろう。犬は、インフェルノウルフとコキュートスウルフと表示されている。番犬では無くて、狼のようだ。

 

「ここで立ち話はなんだから、俺の家においでよ」

 

家?この森に家があるのか?

 

「君の疑問に答えてあげるよ。大雑把に言えるのは、君がザイクーオンと戦ってから3000年ほど経っているんだよ」

 

え?あれから既に3000年も経っているのか?ちょっと月に行った感じなんだけど…俺は、色々知りたいので、大樹の後を付いていった。

 

 

鬱蒼とした森の中に、5階建てのログハウスが建っていた。家の前には犬小屋もあるし…家の中は、入って直ぐにテーブルがあり、そこの椅子に座った俺達。

 

「そうだ。君のシステムをアップデートしておこう」

 

大樹が俺の頭に手を翳すと、パリオン神国と表示されていた地名が、死の森と表示された。

 

「ここは、今、死の森を呼ばれている場所だ。四方八方を山々に囲まれているのさぁ。パリオン神国はザイクーオンにより、大きなクレーターにされたんだよ」

 

クレーターに?巨大隕石でもぶつけたのか?パリオンへの仕返しに?

 

「その通りだよ」

 

相変わらず、この世界でも、俺の心は読まれている。

 

「あの黄ばんだクソ神は、塩化攻撃で住民と建造物を塩像にした後、衛星軌道上にあったハイエルフの間などを、パリオン神国へたたき落としたのさ」

 

え…それじゃ…アーゼは?大樹は答えをためらっている。それって…

 

「君の娘二人は天寿を全うして、次世代へハイエルフの血をつなげている」

 

双子の娘達は、もういないのか。そんな…娘…そうだ、リザやポチ、タマ、アリサ…セーラ、リーン…仲間達の、いや家族に近い関係の者達の名前が浮かび上がっていく。

 

「無事だよ。孤島宮殿にいた為に、難を逃れている。だけど、すぐに再会は出来ない。あのクソ神が理をいくつも破壊した為に、他の異世界へ影響が出ているんだよ。なので、修復が終わるまで、この世界へ呼び出せない。少し待ってくれ」

 

大樹は、俺が最後に願いを託した神のサイドなのかもしれない。

 

「そうだよ。君の願いは俺の祖父ちゃんが受け付けた。最初の方だけね。君の安らかな死は認められないそうだ。だって、不死王だろ?君は死ねない。それを叶える近い方法は、存在をロストさせるだけだ」

 

俺の願い方が間違っていたようだ。そうか、安らかなロストをって、願えば良かったのか。

 

「クソ神のザイクーオンは始末した。パリオンと魔神には罰を与えた。連帯責任ではあるが、情状酌量を付与してあげた。カグヤ達は今も二つの月として存在している」

 

「カグラは?」

 

「始祖龍として天寿を全うして、この星の星霊に戻っているよ。彼ら星霊達は、星の生存を優先し、星の生存のことしか関与出来無い。地上での事には手を出せないんだ」

 

防げなかったのか。

 

「都市核と迷宮核は廃止になった。その代わりに、地上の魔素の管理を魔神が行っていたんだけど…ヘマをしてね。余剰魔素が地上に漏れて、魔獣や魔物を多数生み出してしまったんだ」

 

だから、知らない種族がいるのか。インフェルノウルフとコキュートスウルフって、居なかったもんなぁ。

 

「なので今、パリオンも魔神も堕ち神として、地上にいる。いずれ、出会えるはずだ」

 

「アーシアとかナナは?」

 

「ホムンクルムは不老不死だよ。ただ、供給魔素不足で、活動を停止しているかと思う」

 

無事なようで、無事では無いのか。

 

「アールが落ち着いて生活出来るまで、俺がナビゲーションピクシー代わりになる」

 

「そうだ!先輩とミトは?」

 

「夫婦として、諸国を漫遊しているはずだ。あの二人も、不老不死に近いし」

 

子供は?

 

「いない。だって、サトゥーの好みは巨乳だろ?」

 

相変わらず、娼館通いなのか。

 

「君の生存を知らせてあるので、いつか、ここに来るだろう」

 

大樹がコーヒーを淹れてくれ、マグカップを俺の前に置いた。懐かしい香りである。味わって飲み、お替わりを何倍もした。

 

 

大樹は屋根裏に家蜘蛛を大量に飼っていた。この辺りの虫は昆虫では無く魔物系で危険な為、家蜘蛛に護って貰っているそうだ。

 

「コイツらの親は座布団くらいの大きさで、ザブトンって名前なんだ。普段はこの裏の大きな木の上で暮らして居るんだよ」

 

って、俺にザブトンを紹介してくれた。その際、大樹からこの世界の初心者パックを貰い、彼らの言葉も習得した。このパックのパッチ当てで、ザブトン、クロ、ユキとも会話可能になったようだ。

 

「当面、クロ達と、この辺りの魔物を狩って、食料と戦闘技能を得て欲しい」

 

この世界でも、魔物も魔獣も食えるらしい。その上、高級食材であり、高値で売れるそうだ。

 

大樹に『精肉』スキルをもらった。獲物に、このスキルを掛けると、食える部分と食えない部分に解体出来る優れものなスキルであった。解体を任せていたリザ達がいない今、このスキル無しでは狩りは難しいのが現状である。

 

俺が狩りをしている間、大樹は付近を探索して、近場の街まで転移出来る様にしていた。食いきれない食材を売り、必要な物を買う金を工面する為である。腹黒いヤツからは、持ち金を『強奪』しているらしいけど。俺と似た思考なので、大樹と方針の衝突は少ない。ここより南の山を越え、鉄の森と呼ばれる森を越えると街があるそうだ。

 

「クマの毛皮を売ってきたよ。そのお金で奴隷でも買おうと思ったら、王都に行かないと奴隷屋が無いそうだ」

 

大樹はこの世界での奴隷の実態を調査しようとしていた。この世界でも奴隷は存在するそうだ。時代が変わっても、奴隷は無くならないようだ。

 

「性奴隷は要らないけど、家事をしてくれる奴隷は欲しいよね?生活に彩りと言うか」

 

幸い、俺も大樹も性欲は大人しい草食性ではあるが、時々人肌が恋しくなる時もある。性行為はしなくても、添い寝がしたいって感じである。

 

「あぁ、そうだ。賞金首の情報は得てきたよ。吸血鬼でルールーシーって女子だそうだ。貴族相手になんかやらかして、賞金が掛かっていたんだ」

 

大樹の目が怪しく輝いている。奴隷では無く、その賞金首を捕まえて、添い寝要員にするのか?

 

「吸血鬼なら、俺もアールも問題無いし」

 

不死王である俺は、血が流れているかも怪しい。一方大樹は、ニトロブラッドと呼ばれる血液持ちだそうで、吸血されると、吸血した相手が爆発するらしい。或る意味、存在がバンパイアキラーらしいのだ。

 

「一応、吸血鬼用のエサも用意してあるよ」

 

輸血用の血液パックの入った箱を、空間から取り出した大樹。箱に赤十字って書いてあるが、現代日本から持ち込んだのか?

 

「いや、この地下から強奪してみた」

 

あぁ、そういえば、レトルトカレーを強奪したこともあったなぁ。死の森って言うより、俺達『強奪』持ちにとっては、宝の森のように感じる。

 

 

冬になる少し前の明け方…外が騒がしい。少女の泣く声が聞こえる。俺と大樹で外に出ると、ザブトンの糸に縛られ、クロとユキにボロボロにされている少女がいた。種族は吸血鬼、名前はルールーシーって表示されていた。

 

「探しても見つからないのに、獲物から来てくれるってラッキーだな」

 

まぁ、冬を肉布団で迎えられるのか。それは、ラッキーである。

 

「お願い…助けて…」

 

完全に怯えている賞金首。

 

「なんで、デーモンスパイダーと、インフェルノウルフとコキュートスウルフが集団で狩りをしているのよ~!」

 

俺達にとっての常識は、吸血鬼にとって非常識のようだ。大樹は、クロとユキを褒めるように、頭を撫でている。俺もザブトンを撫でてあげていた。

 

「まさか…あなた達…飼っているの?」

 

恐怖で血の気が失せている吸血鬼。吸血鬼でも恐怖を感じるのか。

 

「なぁ、お前、ルールーシーだよな?俺達の抱き枕になってくれないか?」

 

糸を解きながら大樹が、ルールーシーに訊いた。

 

「因みに、拒否したら、どうなるの?」

 

「ペットのエサにするか、奴隷紋を刻んで性奴隷に堕とすのも有りかな」

 

「あなた達…何者?」

 

「俺は大樹、相棒はアールだ」

 

種族は答えられないってことかな。

 

「なんで、吸血鬼の私よりも恐怖を纏っているの?」

 

ルールーシーの声は震えていた。

 

「俺はニトロブラッド持ち、アールは不死王だからかな?」

 

「ニトロブラッド…お前、まさかあの最凶なる者か?」

 

「それは祖父ちゃんだよ。俺は温厚だよ。女性の敵では無いし」

 

大樹の祖父は女性の敵らしい。何をやらかしたんだ?怖くて訊けないけど。大樹にニトロブラッド持ちの特性を訊いたことがある。魔法攻撃は一斉効かない。寧ろ撃ち込まれた魔法の魔力をドレイン出来、好都合らしい。一方物理攻撃はダメージを受けるが、超再生能力で死ぬことは無いらしい。で、問題の大樹の祖父は鍛錬により、その上、透過能力を得た為、あらゆる攻撃が効かないバケモノらしい。

 

「で、どうする。エサになる?奴隷がいい?抱き枕かな?」

 

救いの無い3択を提示しているような。鬼のような大樹。因みに大樹の祖父は鬼のハーフなので、鬼の血を受け次いでおり、鬼って言われるのは、褒め言葉だと言う。

 

「抱き枕でお願いします」

 

「アール、風呂にいれてやれよ。アール好みだし」

 

あぁ、巨乳では無いのか。全裸のルールーシーを抱えて、風呂場に持ち込み、早速抱き枕にして…

 

 

ルールーシーはルーと呼んでくれと言う。で、留守番をしながら、家事をして貰い、この世界のことを訊き出していく。家の2階にコタツがあり、ミカンと緑茶を手にして、ルーの話を聞く俺達。因みに、ミカンと緑茶は、大樹の祖父の家から持ち込んだそうだ。この家の2階には、亜空間転移陣の描かれた部屋があり、必要な物が送られてくるそうだ。なので、この世界には無い、味噌、醤油、納豆などの発酵食品が常備されている。

 

「大戦の前の時代から来たの?」

 

俺達の事を話したら、ルーが驚いて居た。あのザイクーオンの乱は大戦として、歴史に刻まれているそうだ。

 

「そうか、この死の森が大戦の舞台だったのね」

 

地質学的に、この死の森だけ、地質がおかしいそうだ。異常に固い地表に、異常に固い木々が生えている上、死を感じる魔物が多く生息しているそうだ。なので、ルーは追っ手が来ないと思い、この森に逃げ込んできたそうだ。

 

異常に固い地表の下には、稀少価値の高い岩塩を含む地層があるそうだ。稀少性は、異常に固い地表を掘る困難さと、魔物の襲撃により、手に入れるのには命がけで、取れる量が少ない為だそうだ。その岩塩が人塩が熟成した物だと話すと、絶句したルー。

 

「あの塩って、元々、人間だったの…大戦前の神様は、恐ろしかったのね」

 

いや、ロクでも無いんだと思う。

 

「そうなると、ここで作物を育てるには、色々手を入れないとダメなのか」

 

頭を抱える大樹。この死の森を普通の森にすることも、大樹の役割の1つらしい。

 

「アールの養殖していたナマコがあれば、処理は可能か?」

 

何でも食べ、塩と砂だけを排出するから、分離できれば可能であるが、砂では作物は育てられない。ミミズも必要だな。ここでの俺の役割は、大樹の仕事のサポートらしい。大樹の祖父に見いだされ、大樹と共に送り込まれた感じもするし。まぁ、俺の仲間を助けてくれるらしいので、協力はする。いや、敵に回したらマズイんだと思う。そういう存在の予感がする大樹の祖父。

 

「この上に土を撒くと排水性に問題あるよな?」

 

「いや、水は吸い込むよ。排水は問題ないけど、根がはれない無いかもね」

 

唸る大樹。大樹のチート性でどうにかなるらしいが、地質改良はなるべく大樹のチート無しでと指示されているそうだ。

 

「取り敢えず、ボーリング調査でもするか。降雪する前に、出来る事はして、春からどうにかしたい」

 

協力はしたいが、俺の能力は数が少ないからな。

 

 

本格的な冬を前にして、ザブトンとクロ達が、今度は天使を捕まえてきた。ルーと同い年くらいに見える天使。その顔は恐怖で歪み、固まっているようだ。

 

「あっ!」

 

その天使を見て、ルーが声を上げた。知り合いらしい。

 

「殲滅天使のティアよ。一応…私の宿敵と言うか…」

 

殲滅天使?天使が殲滅戦をしていいのか、この世界は?

 

「じゃ、ルー。あの3択を伝えて、選ばせろ」

 

って、大樹。抱き枕が増えそうな予感…で、抱き枕になった天使のティア。ルーと1日おきで俺の抱き枕になっている。大樹はいいのか?

 

「俺は、拷問ではするけど、仲間には出来無い。万が一があると、母体が危険だからな」

 

ニトロブラッド持ちの子供は、ドラゴン、女神以外の種族が出産するときに、母子共に爆死することが多々有るそうだ。大樹の祖父が傍に居れば、受精卵を別腹に転移させることが出来るらしいが、大樹にはそのチートな能力が無く、胎児まで成長してしまうと臍の緒の問題で、転移すらさせられない為、堕胎の道しか無いそうだ。それは、大樹の信仰する宗教の教えに反するため、出産というバクチをしないとダメになるらしい。

 

「じゃ、大樹さんはドラゴンか女神としか出来無いの?」

 

心配そうにティアが訊いた。

 

「基本はそうなる。俺の場合、母の知らない内に祖父が、受精卵の俺を別腹に託してくれたおかげで、生まれることが出来たらしい。その代わり、実の両親に会えたのは、ついこの間だけど…まぁ、祖父が傍にいれば、問題は無いけど、違う問題が生じるでしょ?」

 

添い寝をしている時にティアから聞いた。大樹の祖父は、エロ賢者と言われる程の女体好きらしい。その性癖は破綻しまくり、ドS拷問プレイが好きらしい。蘇生能力持ちな為、一旦腹上死させ、屍姦した後に蘇生させたり…女の敵…わかるような気がする。

 

「まぁ、俺の祖父は、性癖以外は真面だよ。仲間になって、気に入られなければ、問題は少ないかな」

 

祖父の話になると苦笑いが多くなる大樹。

 

 

そして、本格的な冬。家の周囲には積雪がある。家の裏では、ルーの魔法で雪を融かし、大樹が地質の調査に乗り出していた。

 

「チートな能力よね?」

 

『強奪』スキル、『転移』スキルをチートな能力だと言うルー。俺もそう思う。あの固い表土が、好みの深さで抉れている。

 

「でも、このスキル無しで開拓しないとダメなんだよ。俺やアール以外でも、作業が出来無いと開拓にならない」

 

大樹の言葉に頷く俺達。だけど、これって、どうすれば開拓出来るんだ?仮に表土のガラス化した部分を取り除いても、次にいるのは岩塩化した人塩の地層だし。これらの層も取り除かないと、普通の植物は育たない。

 

「塩害に強い品種を植えるか、どうかだけど、岩塩だと、根が張れないと思うぞ」

 

「そうなんだ。これ、結構厚い層だな。まぁ高値で売れるから、売れるだけ売るか?そうなると製塩設備がいるよな。あぁ、頭が痛いなぁ」

 

『これを使え!』

 

脳裏に響く声。たぶん、大樹の祖父だろう。魔法具の開発をしているそうだし。

 

『豊穣のブレスレットを手に入れました』

 

と目の前に表示された。それを装備すると、右の手首にブレスレットが装備され、目の前に使い方が表示された。そのブレスレットは、念じたツールに変化するようだ。変化出来るツール一覧が表示され、豊穣の鍬を選択し、念じて見た。すると、ブレスレットが鍬に変化した。それで、異常に固い表土に挑んでみると、簡単にサクサク掘り起こすことが出来、掘り起こされた表土は土へと変化していく。

 

「これは、良い土だ」

 

大樹が土の臭いを嗅ぎ、口に入れて味わっている。

 

「これなら、普通の植物が育ちそうだな」

 

喜ぶ大樹は跪き、祈りを捧げている。大樹の信じる神は、アイツの祖父だそうだ。アイツの祖父は神であることを否定して生きているらしい。

 

「あっ!」

 

ティアの声で、みんなでティアを見ると、恍惚な表情を浮かべ、果てて居た。大樹の祖父が、代価を受け取ったようだ。頭を抱える大樹。

 

「すまん、ティア」

 

「いえ…私も楽しめましたし…この程度なら…」

 

大樹はティアを抱えて、家に入っていく。お風呂場に直行だな。

 

 

大樹の祖父からのギフトと、ルーの魔法により、家の周囲に畑を作っていく。岩塩層まで5メートルくらいあるので、問題無く植物が育つであろう。豊穣の鍬で、育てたい植物を念じなから耕すことで、その植物をタネ無しで育てることが出来るらしい。

 

「アール!そのブレスレットの正体が分かったぞ」

 

大樹が家から飛び出してきた。大樹の祖父の研究施設で、どういう仕組みかを確認したそうだ。

 

「豊穣の女神にしたパリオンを封じたこんだ神器だって…」

 

あっ、パリオン…ここにいたのか。

 

「祖父が許すまで、豊穣のブレスレットとして働かないと、実体化が出来無いそうだから、必死らしいぞ」

 

実体化出来無いと、触れ合えないなぁ。それは必死かもしれない。

 

「えっ!豊穣の女神って、魔素を管理する魔神と、神界の魔素倉庫で乳繰り合って、魔素を地上に流出させた女神だよ。そのせいで、地上に魔物や魔獣が生まれたって伝説があるのよ。それが上司の神にバレて、二人は地上に落とされたって…神話にあるわよ」

 

って、ルー。やらかしたんだね、パリオンと魔神が…その罰ってことだな。

 

「その上司の神って…たぶん祖父だと思う」

 

苦笑いしている大樹。固まるルーとティア。ザブトンが祈りを捧げているように見えるが…大樹の祖父は恐怖の対象か?

 

『僕は怖くないよ』

 

脳裏に声が響いた。大樹の祖父だな。って、下界をモニタリングしているのか?孫が心配で…ルーとティアに視線を戻すと、二人も跪き、祈りを捧げていた。

 

 

 

 

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