デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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SS:その時 ミト

悪夢の時とは違い、この場にアリサとリザがいないことに、心が少し軽くなっていた。だけど、目の前には、悪夢で見たのと同じ、黄色い光で輝く巨大な人らしき者がいた。

 

先輩のパンチがまるで効いていない。あれが神なのか?

 

<<<神罰>>>

 

と、脳裏に表示された気がする。

 

『全員離脱しろ!塩化攻撃を開始したぞ!』

 

先輩からの指示だ。先輩の方を見ると、この局面でサガ帝国の勇者の乗ったと思われる空飛ぶ戦艦が、背後から先輩に襲い掛かっていた。勇者達は、先輩を敵として認識しているようだ。先輩の近くまで塩化の波が迫っている。

 

先輩は砲撃をフルカウンターして、戦艦の腹部に穴を開け、そこに塩化の波を誘導しているようだ。

 

『お~い!それはダメだよ!』

 

咄嗟にメッセージを送った。それは被害がデカく成りすぎるし。勇者以外は、真面な神経の者達だと思いたいし。

 

『あのバカ女が乗っているんだよ!』

 

先輩の指差す先には、勇者メイコが仁王立ちして、先輩にガンを飛ばしていた。

 

『あぁ、あのバカ女か。じゃ、あのバカ女だけ、恥ずかしい姿にしなさい』

 

被害を最小にしたいので、そうメッセージを飛ばした。勇者メイコなら死んでも、後悔する者は少ないだろう。自国の皇女であるメリーに斬りつけたバカ勇者であるし。

 

『全員、避難させたぞ!』

 

イチロー兄ぃからメッセージが入った。この短時間に国内の総ての人達を避難させたのか。さすがは兄ぃである。

 

 

国境線辺りまで後退し、巨人の動向を見つめている。塩化の波はここまでは届いていないが、首都辺りは、塩塗れである。テンちゃんと先輩は孤島宮殿に戻り、まったりしているかな?兄ぃは情報収集で飛び廻っているのか。なんのメッセージも届かない。

 

事態は沈静化していくと思っていたのだが、いきなり上空に7つの玉が現れ、同一の円周上に並び回転し始めた。あれって、神全員による天罰か?これはマズイだろう。塩化では無く、白光津波のようだ。威力、速度共に、先ほどよりも強力である。これって、国境線を越える波になりそうだよ。急いで先輩と兄ぃへ連絡をした。

 

『先輩、急いで戻って!白光津波を撃ち込んで来たみたい』

 

先輩が転移してきて、魔神へとチェンジしたようだ。禍々しさというよりも、畏怖を感じるオーラに変質していたからだ。それに伴い、玉の1つの動きがぎこちなくなっていく。あれって、パリオンか?

 

白光津波が地面に触れるギリギリのタイミングで、先輩のフルカウンターが間に合ったようで、6つの玉が塩化していくようだ。更に、天空から稲光が落ち、パリオンらしき玉以外に撃ち込まれた。7つの玉は、空間の裂け目へと逃げ込んで行った。

 

これで終わりかと思った瞬間、空気が鳴動し、空間が割れ次元潜行船が現れた。また、サガの勇者か?

 

「俺様参上!貴様のした悪事に対して、天誅を下す!」

 

ロリ勇者が先輩に剣先を向けている。先輩は功労者だと思うのだが、サガ帝国は先輩がジャマなのか?次々に勇者を先輩に差し向けているし。

 

しかし、ロリ勇者は舌戦をし始めた。戦っても勝て無いことが分かっているようだ。

 

「ヒカル、アールをデジマ島へ呼んでくれ」

 

兄ぃから念話が届いた。それを先輩へ伝言すると、転移をしていった。さてと、私も帰るかな。後の処理は勇者がどうにかするだろうし。

 

 

兄ぃは戻って来たが、先輩は戻ってこなかった。先輩の心をモニタリングしようとするが、出来無い。アーゼの処か?あそこしかフィルタリング出来無いし。兄ぃが様子を見に行ってくれた。

 

しばらくすると、顔面蒼白になって兄ぃが戻って来た。

 

「どうしたの?」

 

兄ぃにしては、ショック状態のようだ。何が遭ったんだ?

 

「ねぇ、どうしたのよ~」

 

アリサが兄ぃに縋り付き、身体を揺すった。

 

「あぁ…衛星軌道上にあったハイエルフ達の設備が、パリオン神国に落下したみたいだよ」

 

孤島宮殿にいた者総てが、兄ぃを注目したと思う。まさか、先輩は巻き込まれたのか?

 

「パリオン神国は塩塗れの大きなクレーターになっていた」

 

それはパリオン神国にも天罰が下ったということだ。なんで…パリオンはどうしているの?先輩は?

 

 

いつの間にか意識を失っていたらしい。ベッドに横になっていた。ベッドサイドにはセーラとオーナが心配そうに、私を見守ってくれていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

セーラに訊かれた。

 

「先輩は?」

 

私の問い掛けに首を横に振る二人。それは、まだ帰って来ていないってこと?

 

「ヒカル、目覚めたか?なぁ、二人でアールを探しに行こうぜ」

 

私の意識が戻ったことを知った兄ぃが、私にそう言った。兄ぃの顔色は良いみたいだ。

 

「そうだね。探しに行こう。アーシアとナナも探さないとね」

 

残りの者は、ここ、孤島宮殿に避難して無事である。

 

「アイツは不死王だ。死ねないんだよ。やらかす前に接触しないと、世界が終わっちゃいそうだ」

 

笑顔の兄ぃ。確かに…いや、アーゼを探しているのかもしれない。アーゼと一緒だといいなぁ。

 

「落下の原因は?」

 

「あの黄色の巨人…ザイクーオンが、何かをやらかしたのだろう」

 

天罰のレベルでは無い。ハイエルフを襲ったのか?

 

兄ぃとパリオン神国のあった場所に転移をした。そこは、周囲を山で囲まれた窪地の様に、成り変わっていた。砂漠だった面影はまったくない。

 

「イタチ帝国の国民全員を、ここへ退避させたのが、行けなかったのかな」

 

兄ぃがボソッとつぶやいた。その目は哀しみで満ちあふれているようだ。兄ぃを優しく抱きしめた私。

 

 

 

その日…その夜…私と兄ぃは初めて…結ばれた…

 

 

 

 

 

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