デスマーチからはじまる異世界マン遊   作:もっち~!

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アーゼ復活

久しぶりに晴れて、ティアが空を飛び、見回りに出た。クロとユキは俺と狩りへ、ルーは大樹と共に書庫で勉強しているようだ。久しぶりの狩り。戦いの感覚を取り戻していく。まぁ、危ないと思ったらフルカウンターで逃げる。しかし、クロとユキのおかげで、そうそう危険な局面にはならない。

 

「今日は少し多めに狩ろう。吹雪くと狩りに行けないからな」

 

クロとユキはうなずき、次の獲物を探してくれる。ユキのお腹は大きくなっている。身ごもっているようだが、狩りを一緒にしてくれていた。

 

「ユキ、お腹が大きいから、警戒だけしてくれればいいんだぞ」

 

「野生種である私達は動ける限り、家族と狩りをするんです。だから、本当にダメな時は参加しません」

 

楽しそうに狩りをしているユキ。本人が良いなら良いか。この世界のクマ、グラップラーベアは高値で売れる部位が多い。クロ達は内臓が好きなようだ。だけど、クセがあるため、味噌仕立ての鍋にして食べている俺達。

 

この世界には発酵食品が無いんか、ルーが味噌に興味を持ち、発酵食品の研究をし出したのだ。今、書庫で、醤油、味噌の製造方法を勉強している。一方大樹は、下水処理の勉強中だ。俺と大樹は食っても出ないが、ルーとティアはそうもいかない。喰えば、出る物は出る。それはクロもユキも同じである。それらをリサイクルして、土の栄養素にしたり、川を汚染しないような新たなスキルを考案するそうだ。

 

スキルが新たに作れるって、初めて知った。『術式プログラミング』ってスキルがあると、新たに作れるそうだ。因みに『精肉』は大樹が作ったそうだ。

 

クマを『精肉』で処理をして、アイテムボックスへ収納し、次はウサギ狙いに切り替えた。ウサギは食う場所が少ないが、クセが無く旨い。ゲートボアと呼ばれるイノシシも捨てがたいが、現在のユキの状態を考えると、遭遇はしたくない。お腹にドンされれば、お腹の中の子供達が危険であるからだ。ヤツの突進力は簡単に止められないからね。

 

「そろそろ、お昼だぞ」

 

クロが知らせてくれた。では、家に戻るか。家に戻ると、ハイエルフが7名いた。どうしたんだ?

 

 

ティアが見回り中に、移動中のハイエルフの群れを見つけ、ここに連れ込んだそうだ。リア、リース、リリ、リーフ、リコット、リゼ、リタが彼女達の名前だと言う。

 

「リーダーのリアです」

 

「アールだ。よろしくなぁ。で、ムーンとアースっていうハイエルフを知らないか?」

 

娘達の事を一応訊いておく。娘達の名前を訊いて、何か驚いているリア達。

 

「知っています。私達の始祖です」

 

始祖?始まりのハイエルフになったのか?そうなると、他のハイエルフは全滅したんだな。

 

「じゃ、アーゼって言うハイエルフは?」

 

更に動揺しているリア達。

 

「始祖様の母上様です。なんで、その名前を知っているんですか?ハイエルフ一族に伝わる伝承ですよ」

 

「俺の娘だからだ。アイツら双子だったろ?」

 

リアが頷いた。

 

「始祖様の父上様なんですか?どうして、生きて居られるのですか?」

 

俺は、俺に起こった事を話した。ティアとルーには少し話していたけど、今回は、アーゼ達のことを詳しく話した。

 

「過去から飛ばされたのですか…残念ながら、始祖様姉妹は、天寿を全うしました」

 

そうなのか…逢えないのか。成長した姿を見たかったけど…

 

「アーゼ様は、消息不明だと始祖様はおっしゃっていたそうです。私は始祖様達には、直接会ったことが無いんですけど」

 

「アール、アーゼを蘇らせたいか?」

 

大樹がルーと共に話を聞いていたようだ。

 

「出来るのか?」

 

「供物が目の前に、大量にあるじゃないか」

 

7名のハイエルフを供物にするのか?コイツ、さすがに鬼だな。

 

「祖父ちゃん!アールの願いを叶えてあげて!」

 

大樹が跪き、祈りを捧げていく。すると、ハイエルフ達が喘ぎだし、もだえ、恍惚な表情を浮かべて果てていく。そんな彼女達の前に緑の光に包まれた物体が現れ、徐々に人の形に変化していく。

 

『人体創造』『招魂』『入魂』『起動』

 

脳裏に響く声…目の前では、全裸のアーゼが横たわっており、胸が上下動し始めた。なんて、チートなスキルだ。じゃ、娘達もお願いします。

 

『理により、天寿を全うした者と自殺した者は蘇生出来無いんだよ。すまん』

 

娘達は無理なようだ。理を曲げてまで蘇生することはタブーであるそうだ。大樹にそう習った。輪廻転生という理…魂のリサイクルと呼ばれているそうが、その星における魂の絶対数は決まっており、新たな魂は、想いが残っていない魂を再生利用するそうで、天寿を全うした者は、やり遂げた感で想いが残っていないので、リサイクル向きらしい。自殺した魂は、想いが色濃く残るが、罰としてリサイクルへと回されるそうだ。

 

大樹の祖父、エロ賢者様は、元々魂を扱うネクロマンサーだった為、魂関連に詳しいらしい。

 

「あれ?ダーリン…どうして?」

 

アーゼが目覚めたようだ。彼女を起こして、優しく抱きしめる。

 

「ここは?ねぇ、アースとムーンは?」

 

アーゼに事実を告げられない俺。代わりにティアがアーゼに話してくれた。

 

 

同じハイエルフってことで、アーゼとリア達が打ち解けるのは早かった。まぁ、アーゼが始祖の母親であることも、親しみ易い理由かもしれない。

 

「そうか、あの子達は、始祖様って呼ばれているのか。なんか羨ましいなぁ」

 

アーゼは俺にべったりである。その事をとやかく言う者は、ここにいないのが救いか?

 

「大樹、他の仲間達は逢えないかな?」

 

ダメ元で訊いてみた。

 

「ダメでは無いけど、孤島宮殿にいる者達は、まだ無理だよ。あのクソ神の影響で、あの異世界とはコネクト出来無いんだよ。サトゥーとミトのコンビは漫遊中だから、その内、ここへ来るはずだよ。後、アーシアとナナだっけ?居場所が不明なので、連れ戻しに行けないし」

 

探しに行けば良いのか?

 

「一緒に探しに行ける仲間が揃うまで、ダメだよ。社会情勢が、以前とは違うんだからな」

 

この世界の魔王は、魔法使いの王ってことらしい。種族は魔族で、悪魔では無いそうだ。

 

「いつの時代でも、一番注意すべきは、人間の悪意だ。それに比べれば、魔王の方が優しいかもな」

 

大樹の基準は怪しい。エロ賢者様の影響が大だからなぁ。

 

「社会情勢が違うって、どの程度違うんだ?」

 

「ここは魔王の治める国なんだが、亜人、人間、魔族が平和に共存している。一方、人間の国は複数あるが、亜人虐待、魔族は敵視って感じだよ。」

 

以前と、そんなには違わない。人間には、亜人差別主義者が多かったもんな。そういう教育だった街もあったし。

 

「魔王の治める国って、税金とかあるのか?」

 

「有るだろうけど、収入が無いし、住民登録もしていないよ。払えって言われるまで、払わないよ」

 

まぁ、確かに。細々と暮らして居るだけだし。

 

「力尽くて来たら、戦うまでだ。負ける気はしないし」

 

不死王と存在しちゃいけない者だしなぁ。負ける要素は無いか。

 

「仮に負けそうだったとして、その場合、祖父ちゃんが嬉しそうに降臨するだけだよ」

 

戦闘狂なのか?英雄、色を好む系かもしれないなぁ。

 

「大樹の戦力ってどの位だ?」

 

俺はフルカウンター程度しか攻撃力無い気がする。

 

「案件をまかされる者は、最低一人で魔王を瞬殺出来るレベルなんだよ」

 

魔王を瞬殺出来るレベルなのか。ならば、負けは無いなぁ。

 

「それよりも、トイレ問題を早く解決しないと。住民が増えたしなぁ」

 

魔王をどうするかより、トイレの方が優先な大樹。やはり、大樹の基準は常人では無いようだ。

 

「それなら、スライムを使えば、手軽に浄化出来るわよ」

 

と、ティア。この世界のスライムは、あの世界のナマコ以上に浄化能力が高いようだ。不純物、汚物を食べて、純水を排出するそうだ。

 

「どこに、いるんだ?」

 

「汚物溜まりとか、トイレの中とか」

 

早速、大樹が動いた。スライムを捕獲しに行ったようだ。この家のトイレは、温水洗浄便座付きの水洗トイレである。この事に、この世界の住民から感動の声が上がっていた。更に、トイレットペーパーを装備しているし。この世界では、お尻を拭くのに草を使っているそうで、トイレットペーパーの拭き心地に感動していた。

 

こんな生活を体験すると、旅になんか行けないだろうな…

 

 

大樹が数匹のスライムを捕獲し、下水処理タンクへと入れた。引き続き、下水処理のスキルの研究はするようだけど。

 

「そうだ。この世界の人って、カニとウニを食わないんだな。捨て値で売られていたから、大人買いしてきたよ」

 

外に置かれたケースには大量のカニとウニが入っていた。

 

「これってダンジョンで取れるのか?」

 

「海産物だよ」

 

そうなると、ダンジョンにいたヤツラが、海に達して生き延び、繁殖か?

 

「ナマコは無かったよ。アールのいた世界と、地形も海岸線を変わっているから、漁場が違うのかもな」

 

「あの頃の面影のあるのは?」

 

「ここだよ。パリオン神国の国境線伝いに、山脈が連なっているからね」

 

なるほど…確かに地下にはお宝が埋まっていたしなぁ。

 

「シガ王国はどの辺りになるんだ?」

 

「たぶん、魔王領がそうなんじゃ無いのかな?地形変動があったから、一概には言え無いけどね」

 

じゃ、王都は王都のまま、残ったのか?うん?地形変動?そうなると、違う可能性もあるのか。

 

「確かな事は言え無いよ。文献が残っていないし」

 

「リア達の集落って、娘達がいた場所になるのか?」

 

リアに話を振った。

 

「元々の集落はそうだけど、人間達に追われて、転々としたそうですので、はっきりとした場所はわかりません」

 

その元々の場所がボルエナンの森ぽいなぁ。大樹の買い出しに行く街は、迷宮都市に当たるのかもしれないなあ。

 

「大樹の買い出しに行く街の名前って?」

 

「う~ん、たしか…シャシャートだったかな?」

 

う~ん…ダメだぁ。推理ミスかぁ~。困ったなぁ。

 

 

 

 

 

 

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