旧・東方神零録   作:異山 糸師

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やばい…眠い……そして頭痛い。


バレなきゃ犯罪じゃないんですよ……

目を開けるとそこには俺が見たことがないような世界が広がっていた。

 

………高度5000mという、まだ見ぬ世界が。

 

ちょっ、まっ、此処思いっきり空じゃん!

 

『ごめんごめん。間違えちった』

 

「てめぇ!ミスりすぎだろうが!覚えてろよ!絶対泣かせてやるからな!!」

 

ヤバいヤバいヤバいよこれは!!地面が目の前にあるよ!

 

「くっそ!こうなったら!」

 

なんとか脚を下にして、着地の瞬間に衝撃を『消した』。

 

「し、死ぬかと思った……」

 

音もなく着地した俺は、疲れきって地面に倒れ込んだ。

 

まったく、何でいきなり疲れてるんだか………

 

この間に能力の確認をしておく。【無限にする程度の能力】は、霊力・体力・生命力を常時無限にしているらしい。所謂不老ですねわかります。あとは増やしたいもの、金や所持品なんかも含めていろんなものを増やしたいだけ増やせると。【消す程度の能力】は文字通り、消したいものを何でも消せる。後々確認していこう。

 

 

「さて、そろそろ動きますか」

 

起き上がってあたりを見渡す。まあ周りは木しかないけど。

 

「糞神~?」

 

『なんじゃ~?というか糞神て……』

 

「今いつの時代?」

 

『今か?今は八意永琳が月に行く10年位前かの』

 

「へぇ~………昔過ぎじゃね?」

 

『まあ不老なんじゃから』

 

そうだけどもさ………

 

『これからどうするのじゃ?』

 

「ん~……まあ適当にぶらつくよ。どうせ村とかそんなのも出来てないくらい昔だし。永琳達以外人間居ないんだろうしね」

 

『そうかの。一応近くに送っておいたから見つかるじゃろう』

 

早く見つかればいいなぁ……などと思いながら歩き出した。

 

 

◇◇◇

 

 

いやぁ………なんだ?此処。

 

 

今、俺の目の前には異様な光景がある。

遙か昔なだけに美しい自然、綺麗な水が流れる川、美味しいと感じることができる澄んだ空気が周りにはある。

あるんだが、その中に明らかに不自然なものが存在していた。

自己主張の激しい壁は何かを物語っているね。何かは知らないが………

 

「とりあえず入るか」

 

『どうやってじゃ?』

 

「まあ任せなさい」

 

そういって能力を使う。

 

此方の空間と壁の向こうの空間の境界を『消す』。なんかどこぞのスキマ妖怪みたいになったが境界を操るのではなく、消すといった一方通行なのでパクりでは断じて無い!

 

「お邪魔しま~す」

 

『神は見た。犯罪を犯した瞬間を!』

 

ハハハ、ナニヲイッテイルノダイ?キミハ。

 

「神よ……バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

 

『儂にバレておるじゃろう』

 

「あ~、一人で話すとか悲しいことはもう止めよっと!!」

 

『ぬあっ!?卑怯な!!』

 

聞こえない聞こえな~い。

よくわからん老人は放っておいて中にはいると―――

 

「なんだ?これ……」

 

中もなかで凄かった。

言うなれば、ドラ〇もんの未来都市?俺がいた世界ではあり得ないようなものがわんさかあった。

 

「兎に角、見て回りますか!!」

 

道路の端を目立たないように歩きながら見て回る。ステータス画面みたいなものが出てたり、バケツ型のロボットが街を徘徊してたりした。某禁書目録の学園都市にあるやつに、顔と武器を搭載したやつ。

 

 

 

 

しばらくの間、目をキラキラさせながら歩き回っていたんだが、どうしてか研究所みたいなとこの前を通り過ぎたあたりから街に戻ってきた今まで、なぜか誰かにつけられている。まだ金は持ってないからあげられませんよー。あきらめて下さーい。

 

馬鹿なことを考えながらも誰かを確認する。近くの窓ガラスやロボットの目のレンズなんかに写っている姿をちらちらと確認した。

 

そしてストーカーが誰かが分かったのでお教えしよう。

 

なんと! かの有名な永琳さんではありませんか!

 

あんたさ、有名人なんだから気をつけなよ。周りの人が八意様だ。とか言ってるのが聞こえてくる訳よ。気づいてるんだか気づいてないんだか………。

 

仕方ないので人通りの少ない道を行き、人がいないのを見計らい俺はその場から消えた。

 

今回は能力じゃなくてただの身体能力だけで。だけどまだ鍛えてないから霊力で肉体強化しながらだ。

 

一瞬で永琳の背後に回り込むと永琳が俺を見失いきょろきょろしだした。そろそろ気づかせてあげよう。さすが俺。優しいね。

 

「どうしたの?こんな暗いなか女性一人は危ないぞ?きょろきょろして、迷子?それとも………誰か人を捜しているのかな?」

 

さて、反応はいかに?

 

 

◇◇◇

 

side永琳

 

 

私はいつものように仕事を終わらせて帰ろうとしたけど今日はいつもと違った。

帰り道、ふと目にした一人の男に目を奪われた。少し長めの黒髪と整った顔立ちに黒のYシャツとズボンの姿。その人から目が離せない。気付くとその人のことを追っていた。

 

なにかが他の人と違う…ここの人間じゃない……そんなことを私の感が告げていた。

 

その人は暫くいろんなところを珍しそうに見て回り、最後に人通りの少ない道に入っていったので私も後を追った……次の瞬間、その人は目の前から消えてしまった。

 

訳が分からない…一体どこへ消えたのかしら?

 

きょろきょろとあたりを見渡していた次の瞬間、後ろから誰かに(・・・)話しかけられた。

 

急いで後ろを振り向くと、目の前で消えたはずの彼がいた。

 

なんで?何時の間に?どうやって?

 

そんな疑問ばかりが頭の中で浮かんでは消えていく。しかし、表面上は冷静にして対応する。

 

「ごめんなさい。あなたも分かっている通り尾行していたのは私よ」

 

「ふ~ん、なんで?」

 

「それはあなたのことが少し気になって……」

 

「ふ~ん、なんで?」

 

「………よく分からないのだけれど、あなたは他の人と違う雰囲気がするのよ」

 

「ふ~ん、なんで?」

 

…………馬鹿にしてるのかしら?

 

「………もういいわ。あなた何者なの?」

 

「ふ~ん、なn………って、これはもう良いか。答えるならば…ただのしがない旅人さ」

 

「嘘。霊力が一般人位しかないのに外で生き残れるわけ無いじゃない」

 

私より少ないのに……絶対に妖怪にやられるわよ。

 

「あ~……これでいい?」

 

「ッ!?」

 

彼が少し考えたあと、私は何か大きな力に当てられて気を失った。やはり彼は思った通り異質であった。そんな彼に興味を持ったとこで……意識を闇に落とした。

 

side out

 

 

◇◇◇

 

 

永琳と出会って質問責めを質問で返して遊んでいた。

段々不機嫌になっていくが、そんな顔も中々可愛いじゃないか。

 

「嘘。霊力が一般人位しかないのに外で生き残れるわけ無いじゃない」

 

この質問で俺はあることを思い出した。

 

俺はこの体の中にあり得ないほどの量の霊力が渦巻いている。さすがにそんなものを常時出しておくと大変なので、此処にくる途中に抑えることを一生懸命したわけだ。糞神のアドバイスもあり、今では一般人レベルまで抑えれる。やろうと思えばすべて遮断する事だって出来るし。

 

「あ~……これでいい?」

 

「ッ!?」

 

あっ!やばっ!少し出し過ぎて永琳が倒れた!

 

急いで近寄り、地面にぶつかる前に抱きかかえる。触れ合う胸の柔らかさにどきどきするが、無理矢理やましい気持ちを消して平常心を回復させる。こんなことにも使える能力に敬礼!

 

しかしどうしようか……永琳の家知らないし、抱えたまま表に出るのはどうかと思うし。

 

とりあえず起きるまで壁にもたれ掛かって座った俺の脚を枕にして寝かせる。

 

あ、勿論地面の汚れやゴミや細菌なんかの類は全て消し去りましたよ?

 

 

―――1時間後―――

 

 

「あ~…ゲームとかの中のキャラに触れられるのは嬉しいが、そろそろ脚が痺れそうだな……」

 

脚の上の頭を何気なしに撫でながら呟く。その髪はさらさらで触っているだけでも気持ちよかった。

 

……ていうか、端から見れば俺変質者じゃね?

 

「う……んぅ……あれ?ここは……?」

 

あ、やっと起きた。

 

「おはよう。早く起きてくれないかな?もう真夜中だよ」

 

「え?あ、ごめんなさい」

 

永琳が起き上がったので俺も立ち上がる。痺れてなくて良かった。

 

「さて、さっきは悪かったね。まさか気絶するとは思わなかったよ」

 

「私の方もごめんなさい。面倒見てくれてたのでしょう?」

 

「まぁ俺のせいだし。さ、そろそろ帰りなよ」

 

「ええ、あなたはどうするの?」

 

そういえばどうしよう。宿は……もう無理だろう。やっぱり野宿かね?

 

「ああ…まあ気にしなくて良いよ。どうにかするさ」

 

少しあたりを見てみると段ボール発見。寒さは凌げるだろう。

 

「それ、どうするの?」

 

段ボールを拾った俺を見て永琳が聞いてきた。

 

「この時間帯は宿なんて無いだろうし……まあ寒さは凌げるだろうから」

 

「と、とりあえず今日は私の家に泊まりなさい。半分私のせいでもあるのだから……」

 

「え?いいのか?」

 

「ええ。どうせ一人暮らしなのだし」

 

よっしゃ!寝床ゲット!

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

そうして永琳について行くと、一つの豪邸に到着した。

 

とりあえず感想。

 

「デカい…………」

 

「此処が私の家よ。一人暮らしだからこんなに大きくてもしょうがないのに…………」

 

中に入っても凄かった。家具はどれも最高級品で部屋の数も半端じゃないくらいあるよ。セキュリティーもバッチリだから、空き巣に入ってきたやつはご愁傷様だね。

 

俺達はリビングと思わしきところでお茶を飲んでいた。美味しいことは美味しいが、入れ方次第では更に美味しくなるんじゃない?さては永琳、料理とか出来ないな?

 

そんなことを考えていたら、永琳に話しかけられた。

 

「自己紹介でもしましょうか。私は八意永琳よ」

 

「天城零だ。零と呼んでくれたらいいよ。よろしくな~」

 

「ええ、よろしく。それで?零は外から来たのでしょう?行く宛はあるの?」

 

行く宛?外は人間がまだいないんでしょ?此処にいるしかないじゃん。

 

「ないな。とりあえず此処にいるかな」

 

「そう。ならこの家に住まない?どうせ私だけだし部屋は沢山あるのだから」

 

「それはかなりうれしいが……なんでだ?」

 

原作キャラと一つ屋根の下で一緒に暮らせるのは嬉しい……けど永琳だ。なにかありそう。

 

「特に理由はないわよ?あなたに興味があるのと気に入ったからかしら」

 

ふーむ……まあそれくらいなら………

 

「じゃあ好意に甘えようかな?暫くお世話になります」

 

「ええ、よろしくね」

 

綺麗な微笑みを見せる永琳を見て、俺も軽く微笑んだ。

 

 

 




次はテスト終わったらかな?
睡魔と闘いながら書いた駄文に付き合っていただいてありがとうございました。

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