hasegawaさん、炎の短編集。   作:hasegawa

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今回は、セリフオンリーで書いてみました。







10、過保護なセコンド陣で、あしたのジョー。

 

 

\ カーン♪ /

 

『おーっと! ここで第一ラウンド終了のゴング! 矢吹優勢!

 チャンピオン“ウルフ金串“を相手に、堂々たる戦いぶりを見せました!』

 

\ ワーワー! /

 

 

「…………へへっ、どーだいおっつぁん。いい感じだろ? 俺もよ?」

 

「あぁ~! まったくてぇしたモンだぁ~! おめぇ~は~!」

 

「ホンマやでジョー! チャンピオン相手に圧倒的やないか!」

 

「へへ、よせやぃ西。……まぁ次のラウンドあたり、やっこさんも出てくるだろうぜ。

 こっからがようやく本番ってトコよ」

 

「そぉ~だぁ~! 気ぃ抜くんじゃねぇぞぉ~ジョ~!

 ……おい西ぃ! ほれ、あれ飲ましてやれぇ」

 

「おぉそうやそうや! ほれジョー。これワイが作ってきた“レモネード“や」

 

「……何でレモネード作って来てんだよおめぇ!!

 欧米か!! 飲めねぇよバカ!! 腹殴られて吐いちまうだろうがよ!!」

 

「えっ!? ボクシングの試合に、レモネード持ってきたらアカンかったんか!?

 はちみつレモンやでジョー!?」

 

「そんな事言わずにぃ~、飲んでやれぇ~ジョ~!

 これは西が、朝の5時に起きて作って来たんだぁ~!」

 

「1分くらいで作れんだろうがよレモネードは!!

 何はちみつレモン作んのに早起きしてんだよ! 不器用ちゃんかおめぇは!!」

 

 

\ セコンドアウト! セコンドアウト! /

 

 

「……ちっ、もう時間かよオイ」

 

「勘弁してやってくれぇ~ジョ~! 西もお前の事を思ってぇ~、

 がんばってレモネード作ってきたんじゃぁ~!」

 

「もういいってんだよそれは!

 行ってくるぜぇ西! おっつぁん! ぶちのめして来らぁ!!」

 

 

\ ワーワー! /

 

 

………………………………………………

 

 

\ カーン♪ /

 

『ここで第二ラウンド終了のゴング! 挑戦者矢吹、このラウンドも優勢です!

 まさに圧巻のボディ攻め!! 悠々とコーナーに下がって行きます!』

 

\ ワーワー! /

 

 

「……けっ! やっこさん随分と粘りやがる……。

 まぁこの調子でいきゃー、次のラウンドあたりでででデデデデ……!!??」ゴゴゴゴ!

 

「どうだぁジョ~! 試しに椅子を、電動の“マッサージチェア“ってヤツに

 変えてみたんだぁ~!! 気持ちよかろぉ~?」 

 

「なんでボクシングの試合にマッサージチェアもってくるんだよ!!

 揺れてんだろうがよコレ! うまく喋れねぇってんだよ!!」

 

「ジョー! これおっちゃんがジョーの為にぃ~言うて、買うて来たんやで!! 

 凄いやろジョー! これホンマ王様のイスやで! こんなん使うてるヤツおらんで!!」

 

「いねぇーーんだよボクシングで持って来るヤツぁーーーッ!!

 マッサージじゃねぇんだよ今は!! おっつぁんが家で使ってりゃあ良いんだよ!!」

 

「勘弁してくれぇ~ジョ~!! ワシャーなぁ~! ワシャー……!

 おめぇの疲れがぁ~、ちぃとでも取れるようにと思ってぇ~!!」

 

「ありがてぇよッ!! いつも感謝してんだよおっつぁん!!

 でも試合では止めてくれよコレ! 今は作戦とかも相談しなきゃなんねぇd………

 

 

\ セコンドアウト! セコンドアウト! /

 

 

「……ちっ! もうそんな時間かよよよヨヨヨヨ……」ゴゴゴゴ!

 

「すまねぇ~ジョ~! 踏ん張ってくれぇ~!!

 ワシャー、こっから祈る事しか出来ねぇ~!!」

 

「そんな心配すんなっておっつぁん! ちゃんとやっこさん、ぶちのめしてくっからよ!

 そんじゃあ行ってくらぁ!!」

 

「ファイトやぁージョー!! いったれぇーー!!」

 

 

\ ワーワー! /

 

 

………………………………………………

 

 

\ カーン♪ /

 

『ここで第三ラウンド終了のゴングです! 挑戦者の矢吹、ここで少し勢いが

 止まってきたかっ!? 動きに精彩を欠いているようであります!』

 

\ ワーワー! /

 

 

「……ったくウルフの野郎。……オイおっつぁん、マウスピース洗ってくれよ」

 

「おぉ~! そうじゃなぁ~ジョ~!

 ほれ、この新しいマウスピースを使うとえぇ~!!」

 

「サンキューおっつぁん! ……モゴモゴ……って、何だぁこのマウスピースはぁ!?」

 

「ジョー! これおっちゃんが新しく開発した、

 “イチゴ味のマウスピース“やで! 甘いやろ?」

 

「何でマウスピース甘くしてんだよ!! いーんだよ甘くしなくてよぉ!!」

 

「だっておめぇ~? いつもマウスピース口に入れるとき、

 なんか『オエッ!』ってなってるじゃねぇかぁ~?

 ワシャー、おめぇがコレ苦手なんじゃねぇかってぇ~!

 だからなんか、『甘くした方が良いのかな?』と思ってぇよぉ~!!」

 

「せやでジョー! お前さん、イチゴ大好きやないか!

 いっつもうまそうに食うとるやないか!」

 

「そーゆうアレでもねーんだよマウスピースは!!

 歯を衝撃から守れりゃ良いんだよ! 歯磨き粉じゃねーんだよ!!」

 

「でもおめぇよぉ~? こーやってマウスピース甘くしときゃー、

 試合中にペロペロできてぇ~、なんか元気出んじゃねーかぁ~!

 オヤツ感覚でいけんじゃね~かと思ってよぉ~!!」

 

「アメじゃねーんだよマウスピースは!! いらねーんだよそういうのはお前ッ!!」

 

 

\ セコンドアウト! セコンドアウト! /

 

 

「うるっせぇよお前もよぉ!! わかってんだよぉー! もぉぉぉーー!!」

 

「ジョー! 怒ったらアカンで! クレバーやで!!」

 

「そうじゃあジョー! 落ち着けぇ~!

 マウスピースをペロペロして落ち着けぇ~!」

 

「わかってるよぉチキショウ! あぁもう甘ぇなコレ!?

 なんか和んじまって闘志わかねーよコレ!!」

 

 

\ ワーワー! /

 

 

………………………………………………

 

 

『矢吹ダウーン!! チャンピオン、ウルフ金串の右が炸裂ぅー!!

 挑戦者矢吹、マットに崩れ落ちたぁーー!!』

 

\ ワーワー! /

 

 

(…………ちっ、解説者の野郎……大げさに騒ぎ立てやがって。

 あいよっと。いま立ちますよっと。

 …………って、いけねぇなコリャ。なにやら目が霞んで来やがった)

 

《――――よう矢吹ぃ。どぉしたぁい?》

 

(おぉ、なんだ力石じゃねーか……。お前、死んでからチョイチョイこーやって

 出てくっけど、ちゃんと成仏はしてんのかぃ……)

 

《――――――――よう矢吹ぃ。どぉしたぁい?》

 

(……スルーかよ力石。……まぁいいけどよ。

 そんでお前……、なんか出てくる度に、ちょっとふっくらしてきてねぇか?

 あっちではちゃんと飯食えてんだなオイ……。ホントよかったよオイ……)

 

 

『おーっと矢吹立ち上がった! カウント8で立ち上がりました! 試合続行です!!』

 

\ ワーワー! /

 

 

(拳キチの野郎……。もうリングサイドで泣いてやがるよオイ……。

 そんな心配すんなっておっつぁん……。それとお経唱えんのは、

 なんか縁起わりーから止めてくれよおっつぁん……)

 

 

………………………………………………

 

 

\ カーン♪ /

 

『ここで第四ラウンド終了です! 挑戦者の矢吹、ダウンこそ取られましたが

 まだまだ元気! 凄まじいパンチの連打を見舞っていきました!!』

 

\ ワーワー! /

 

 

「…………ったくよぉ。あー疲れた疲れたっと」

 

「大丈夫かぁ~ジョ~!! ワシャー……! ワシャーもう駄目かと思ってぇ~!!」

 

「んな心配しなさんなって。次で倒してくらぁな。

 おっつぁんは安心して、こっから見てりゃ…………

 

「――――丹下会長? もう試合を止めるべきです。

 これ以上は、矢吹くんの選手生命を縮めるだけですわ」

 

「……!? テメェ葉子!! 何しにきやがった!!」

 

「お~! こりゃあ白木のお嬢さんじゃねぇですかぁ~。

 そんな事言うモンじゃねぇぞぉジョ~? 白木のお嬢さんはな?

 いっつもおめぇを心配して、ジムにアロエとか届けてくれてんだぞ?」

 

「ありゃてめぇの仕業かオイッ!!!!

 どーすんだよあの大量のアロエ!! 丹下ジムは今、アロエだらけだよ!!

 寝るトコねーんだよ植木鉢だらけで!!」

 

「――――矢吹くん。アロエは身体に良いわ。ぜひお使いなさい」

 

「あんなにはいらねーよ! 良いかもしれねぇけど!!

 一個ありゃー事足りんだろうがよ!?」

 

「ほらジョー見てみ? 白木のお嬢さん、今日もアロエの植木鉢を抱えてはる。

 白い服に、緑のアロエ……。ほんまよぅ映えとるがなアロエが……」

 

「そーいうのは今いいんだよ!!!!

 というかアロエ似合うなアンタ!! そんなキャラ無かったろうがよ!!」

 

 

\ セコンドアウト! セコンドアウト! /

 

 

「――――わたくし、ちょっとレフリーと話をつけてきますわ」イソイソ

 

「上がんじゃねーよリングに!! 上がろうとすんなよ!!

 行くよ俺! やっから!! 試合すんだよ俺ぁよ!!」

 

「――――ではせめて、これを塗ってから」ヌリヌリ

 

「顔にアロエ塗んなよ!! ぬめんだろうがアロエが!!」

 

「行ってこいジョ~! もう一息だぁ~!!

 白木のお嬢さんもぉ、おめぇを応援して下さっとるぞぉ~!!」

 

「せやでジョー! ファイトや! お前やったらいける!!」

 

「――――――好きなのよ矢吹くん、貴方が」

 

「何で今言うんだよソレ!! 今言われてもどうしようもねぇだろうがよ!!

 ホセ戦のトコまで積み重ねてけよ!!」

 

「…………………それとお前ぇ! とにかくアロエどうにかしろよお前ぇ!!

 あれホント迷惑だからな!? まずはそれからだぞ話は!!」

 

 

\ セコンドアウト! セコンドアウト! /

 

 

「うるせぇ!! 行きゃーいいんだろうが行きゃー!! 行ってくらぁおっつぁん!!」

 

「おぉ~行ってこいジョ~!

 帰ってきたら、たらふくアロエ食わせてやるからなぁ~!!」

 

「いらねぇんだよアロエはッ!! それと拳キチてめぇ!

 二度と味噌汁にアロエぶち込むんじゃねぇぞ!! 殺すぞッ!!」

 

 

\ ワーワー! /

 

 

………………………………………………

 

 

『ウルフ金串ダウーーン!! 挑戦者のカウンターの前にマットに沈みましたぁーー!!

 試合終了ぉーーー!!』

 

\ カンカンカーン!! ワーワー! /

 

 

(あぁ……なんとか勝ったけどよ……。なんとかライトクロス入ったけどよ……)

 

(でもこれ……アレか? 顔にアロエ塗られてたから、

 上手い事ヤツの拳がズルッと滑ったのか?

 ……だから俺の拳だけが、バッチリ入ったのか……?)

 

 

「よくやったぁ~ジョ~!! おめぇはワシの誇りだぁ~!!」

 

「――――おめでとう矢吹くん。お疲れ様」ヌリヌリ

 

「いやっ……! ちょっ……! アロエッ……!!

 ……つかもういいよ。わーったよお嬢さん……。ありがとよ……アロエをよ」

 

「? ――――取り合えずこの後、ベネズエラからカーロスリベラが来るわ。

 これから忙しくなるわよ矢吹くん」

 

「……へいへい、わーったよお嬢さん。

 次はベネズエラの大将とやるよ。しっかり見ときなよ」

 

「お嬢さん~。おかげ様で今日もジョ~が勝てましたぁ~!

 これも白木のお嬢さんがくれた、マッサージチェアやマウスピースのお陰でさぁ~!!」

 

「 テメェか葉子!!!! テメェかっ!!!!

  いいかッ!? 今度やったら殺すぞ!! 力石には悪いが殺すぞッ!!!! 」

 

「――――好きなのよ矢吹くん。貴方が」

 

 

 

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