hasegawaさん、炎の短編集。   作:hasegawa

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11、過保護なセコンド陣で、あしたのジョー。2

 

 

「――――いらっしゃい矢吹くん、丹下会長。ようこそ白木ジムへ」

 

「おぉ~! 本日はお招き下さりぃ~!

 ありがとうございますぅ~白木のお嬢さん~!」

 

「よっ! 来たぜ葉子、小遣い稼ぎによ。

 んでどこに居んだい? そのベネズエラの大将ってのはよ」

 

「――――カーロスなら、今リングを使っているわ。

 貴方が来るまでに、身体を温めておくと言ってね」

 

「おーそうかぃそうかぃ! よぉーカーロスの大将!

 今日はスパーよろしくなぁ!」

 

「Ohヤブキィー! ヨロシクおねがいしまース!

 レッツファイトねー!!」

 

「ほぉ~! あっれがベネズエラのカーロスリベラかぁ~!

 なぁるほどぉ~! 良い動きしてやがんなぁジョ~!」

 

「……まぁ、よくもこんなアロエだらけのジムで

 練習出来るもんだとは思うけどよ。文句も言わずによ……」

 

「――――矢吹くん、さっそくスパーリングの準備を。更衣室はあちらよ」

 

「……スルーかよ葉子。まぁいいけどよ。

 んじゃあチャッチャと着替えてくらぁ!」

 

 

………………………………………………

 

 

「…………んで、葉子よ? とりあえず、着替えてはみたけどよ?

 ちょっと……色々と言いたい事があってよ?」

 

「? ――――なにかしら矢吹くん?」

 

「…………えっと、まずよ? 何だいこのグローブは?

 これ更衣室に置いてあったんだけどよ?」

 

「――――今日のスパーリングで使うグローブよ。

 お互い危険の無いよう、“160オンス“のグローブで戦って貰います」

 

「 デケェんだよコレ! 俺こんなグローブ見た事ねぇよ!!

  何だコレ! お前が作ったんか!? 売っちゃいねぇだろうがよコレ!! 」

 

「おぉ~! こりゃ立派なグローブじゃねぇかぁ~ジョ~!!

 なんかジョ~の手がぁ~、でっかくみえてくらぁな~!」

 

「実際デケェんだよ!! 南米のスイカでもこんなデカくねぇよッ!!」

 

「――――矢吹くん、試合用の8オンスは危険だわ。それをお使いなさい」

 

「危険どころか、ボクシングが出来ねぇーよ!!

 重てぇんだよコレ! 腕上がんねぇんだよ今!!

 つか引きずってここまで来たからな俺!? ボクシングになんねぇよ!!」 

 

「OKジョー! レッツファイトねー!」ズルズル……

 

「 おめぇーーもハメてんじゃねーよ!! なに装着してんだよ!! 」

 

「さっすがぁベネズエラのカーロスだぁ~!

 立ち姿もなんかぁ~、風格あんじゃねぇかぁ~!!」

 

「デケェからだよ! グローブでけぇからそう見えてんだよ!!

 どうすんだよ二人してこれハメて!

 何すんだ!? リングん中をウロチョロ歩くんか!?」

 

「ヤッパリ日本、豊かな国デース!

 グローブも、ベネズエラと全然ちがいマース!!」ズルズル……

 

「違うんだよ! このグローブの方が違うんだよ!!

 おかしいと思ったらちゃんと言った方がいいぞお前!!

 コイツら無茶苦茶するからな!? 殺されちまうぞ!!」

 

 

………………………………………………

 

 

「すんません~お嬢さん~! ジョ~のヤツがぁ~!

 どぉ~しても出来ねぇってぇ~、言うもんだからぁ~!」

 

「――――困ったものね矢吹くん。これでは練習が出来ないわ」

 

「だから普通ので良いんだよ普通ので!! あんじゃねぇかそこに沢山!

 8オンスのが置いてあんだろうがよ! それ使わせてくれよ!」

 

「――――冗談言わないで矢吹くん。あんな危険な物、見たくもないわ」

 

「なんでボクシングジムやってんだよお前! なめてんのか!」

 

「すんません~お嬢さん~! 勘弁してくだせぇ~!

 わしゃー、ジョ~の嫌がる事ってぇのはぁ~、

 出来るだけさせたくはねぇんですぅ~!!」

 

「止めろッ! 恥ずかしいだろうがよおっつぁん!

 いつも感謝してんだよ俺ぁよ! わーったからよ!」 

 

「とりあえずどーしますカー? ワタシ、ヤブキと戦いたいデース!」

 

「なぁカーロスもこう言ってんじゃねぇかよ。

 なんとかしてくれよおっつぁん……。ベネズエラから来てくれてんだよ」

 

「お嬢さん~! もうこ~なったらボクシングとかじゃなくぅ~!

 “お互いの良い所をひとつづつ言い合う“みたいな勝負で、

 ジョ~とカーロスを~」

 

「 何なんだよソレ!! 何しに来たんだよ俺ぁ!! 」

 

「――――良いですね丹下会長。ぜひそうしましょう」

 

「おめぇーーも乗っかってんじゃねぇよおめぇ!

 なんだよその平和なヤツ!! それで良いんかお前!! つか初対面だよ俺達!!」

 

「ヤブキは~、そんな髪型なのにちゃんとボクシングが出来て、すごいデース!」

 

「おめぇーもさっそく始めてんじゃねーよッ!!

 あとそれ悪口だからなお前!? 褒めてねぇからな!?」

 

「そーだぞぉ~カーロスぅ! ジョ~はすげぇヤツなんだぁ~!

 髪型さえまともなら、今頃ベルトの2,3本……」

 

「そんな風に思ってたのかおっつぁん!!

 毎日リンスとかしてんだよ俺ぁ! ほっといてくれよ!!」

 

「――――矢吹くんは、帰ってきたらちゃんとウガイをするから偉いわ」

 

「お前も何参戦してんだよ! 嬉しくねぇよそんなの褒められてもぉ!

 つか何で知ってんだよそれ!!!!」

 

「ジョーは買い物ん時、ちゃんとエコバック持って行きよるで!!」

 

「おめぇはいつ来たんだよ西!!

 いいんだよ付いて来なくてもよ! 帰れよ!!」

 

 

………………………………………………

 

 

「……ったく、最初からこうしてりゃ良いんだよまったく。

 16オンス使わされてる上に、なんか西洋甲冑みたいな防具

 まで着せられてるけどよ……」

 

「頑張れぇ~ジョ~! くれぐれもぉ~、無理だけはするんじゃねぇぞぉ~!」

 

「あいよっ、心配すんなっておっつぁん!

 いっちょぶちかましてくらぁな。そこでしっかり見てなよ」

 

「――――では両者、リングの中央へ」

 

「 おめぇがレフリーすんのかよオイ!

  なに白黒の服着てんだよ! 準備してたんかお前!! 」

 

「…………って、そもそもスパーにレフリーはいらねぇーよ!

 何はりきってリング上がってんだよ! ライセンス持ってんのかテメェ!!」

 

「――――大丈夫よ矢吹くん。ちゃんとはじめの一歩も全巻持っているもの」

 

「それだけでレフリーは出来ねぇよ!

 しちゃ駄目だよ! ボクサーの命を預かってんだよ!!」

 

「――――肘打ち、ローブロー、バッティングに気を付けて。

 もし矢吹くんを怪我させたら、カーロスは国外追放します」

 

「重てぇんだよ罰が!!

 何だそのルール! レフリーにそんな権限はねぇよ!!」

 

「――――二度と日本の土を、踏めないようにします」

 

「怖ぇんだよお前! なまじ金あるから出来そうなんだよお前!!」

 

「大丈夫ヨー! 葉子サーン!

 たとえ選手生命を断たれても、ヤブキを殴ったりしまセーン!!」

 

「何しに日本に来たんだよおめぇは! やれねぇよ! 殴れねぇよ俺ぁ!!」

 

「――――止めるの矢吹くん? それが良いわ。ボクシングなんて」

 

「お前ほんといい加減にしとけよ!?

 ノリちゃんみてぇな事言うんじゃねぇよ!!」

 

「やぁ矢吹くん! やっとボクサーを引退し、葉子に婿入りする決心を……」

 

「アンタいつ来たんだよ白木の叔父さん!

 しねぇよ婿入りは! ボクサー続けんだよ俺ぁよ!!」

 

「――――矢吹くん、ボクサーは西洋甲冑を着たりなんかしないわ」(笑)

 

「おめぇーーが着せたんだろうがよコレぁよ!!

 アンタのお孫さんどっかおかしいぞ! どういう教育してきたんだよアンタ!!」

 

 

………………………………………………

 

 

(……ちっきしょう、動きづれぇよコレ。

 もう歩く度に〈ゲッション! ゲッション!〉いいやがるよコレ……。

 ボクシングになんねぇよ……)

 

(何故かカーロスの方は、何にも着てやがんねぇし……

 アイツ「ヒャッハー!」とか言って走りまわってんじゃねぇか今。

 打ってこいよお前……。つか俺も一発も殴れてねぇよ)

 

「――――矢吹くんは、何でも好き嫌いせずに食べるから偉いわ」

 

「ジョ~はぁ~! いっつもワシの肩とか揉んでくれとるんですぅ~!」

 

(……あっちはあっちで、なんか盛り上がってやがるしよ……。

 こっち見ろよお前ら……。何やってんだよ俺いま。何だコレおい)

 

《 よぅ矢吹ぃ、どぉしたぁい? 》

 

(……おぅなんだ力石かよ。

 脱水起こしてんのかな俺……? 頭がボ~っとしてきやがってよ……)

 

《 俺の西洋甲冑ぅ、いい感じだろうがぁ? 》

 

(……あぁ、お前これ着て練習してたんかオイ。

 どうりで痩せるワケだよお前。

 言いたかねぇけど、止めといた方がよかったんじゃねぇのか……?)

 

「今度ぉ、ジョ~が寝てる時ぃ~、ワシがハサミでバッサリと

 切っときますんでぇ~!」

 

「――――それが良いですわ丹下会長。

 あんな前髪じゃ、目を悪くしてしまうもの」

 

(あっちはあっちで、なんか不穏な事言ってやがるしよ……。

 ……おい力石、殴ってきていいか?

 今なら殴れそうな気ぃすんだよ俺ぁよ。女でもよ……)

 

 

……………………

………………………………………………

 

 

「あー疲れた疲れたっとぉ!

 汗をかいた後のシャワーってのは良いねぇーっ!」

 

「……つか結局何しに来たんだよ俺ぁよ。

 何にもせずにスパー終わっちまったよオイ」

 

「――――矢吹くん、タオルを持ってきたわ。着替えもね」ガチャリ

 

「おーすまねぇなぁ葉子ぉ! ……って勝手に入ってくんじゃねーよお前!

 何してんだよお前!!」

 

「――――水に濡れても崩れないのね。凄いわ、矢吹くんの前髪」

 

「冷静に観察してんじゃねーよ! 出てけよお前ッ! 嫁入り前だろうが!!」

 

「? ――――とりあえずは今後、

 金竜飛とのタイトルマッチを用意しているわ。

 辛気臭い男よ矢吹くん。殺しておしまいなさい」

 

「言い過ぎだろうがよお前ッ!!

 アイツも辛い人生おくってきてんだよ! わかってやれよ!!」

 

「おぉジョ~! ワシもお邪魔してきたぞぉ~!

 一緒にシャワーしようやぁ~!」

 

「Heyジョー! ワタシ背中流してあげマース!」

 

「おめぇらシャワーなんか必要ねぇだろ!

 いいんだよ入って来なくてもよ! 娘さんも居んだよ!!」

 

「――――そうですか。では私も水着を」イソイソ

 

「行くなよ! 水着とりに行くなよ!

 ……いやシャワー室からは出てけよ! 居座ろうとすんなよ!!」

 

「お嬢さん~! 今日はほんとありがとうごぜぇましたぁ~!

 ジョ~のやつもぉ~! 良い経験になったんじゃねぇかってぇ~!」

 

「今度ワタシも応援に行きマース!

 ベネズエラからいつでも飛んできマース!」

 

「――――好きなのよ矢吹くん、貴方が」

 

「 だから何で言うんだよそれ!!!!

  俺の裸見ながら言うんじゃねーよ! 別の意味が出てくるぞ!! 」

 

「矢吹くん、これは一体どういう事かね?

 こうなったらもう、葉子を貰ってもらうしか……」

 

「 アンタも何なんだよ一体!!

  腰にタオル巻いて言う事かよ! 出てけよ!!!! 」

 

 

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