hasegawaさん、炎の短編集。   作:hasegawa

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短編です。前作との繋がりはありません。
軽くコメディなどをっ。








18、ライダーと!!

 

 

「ライダー……。それはいったい何なのです?」

 

 

 ここは衛宮家の居間。現在ライダーさんは、新しく買ってみた健康グッズのお試し中であった。グィングィンという機械音が鳴る。

 

「おぉ……。おぉ~……。 あ、セイバー。おはようございます」

 

「おはようございますライダー。それで、貴方はいったい何を?」

 

 ライダーさんは現在、あの有名なダイエットグッズ、“乗馬マシン“というヤツに跨っている最中だ。バイト代が出たので買ってみたのだ。前から欲しかったのだ。

 

「これは、部屋に居ながらにして乗馬が楽しめるという、素敵なマシンなのです」

 

 セイバーにはわからないし、ライダーも気が付いてはいないのだが……、ただいまライダーさんのお姿は、それはもうえっちぃ事になっている。

 スタイルの良いライダーさんの身体が、縦に横にとグネングネン揺れる。時たま漏らす吐息も官能的だ。

 

「ほう、これが例の乗馬マシン……。しかしライダー?

 私にはこのマシンは必要のない物に思える。貴方は大変にスタイルが良いではないですか」

 

「?」

 

 はて? とグワングワンなりながらも可愛く首を傾げるライダー。その態勢でも微塵も振り落とされる気配はない。ライダーの騎乗スキルはもうとんでもないのだ。

 

「スタイルと乗馬は、何か関係があるのですか?

 私は楽しそうだと思い立ち、これを購入してみたのですが」

 

「はぁ……。確かにこれは、とても楽しそうだ」

 

 以前雑誌の広告で見かけてから、ライダーはこのマシンに大変興味を惹かれていた。

 絶対買おう! お給料入ったら絶対買おう! そう心に誓い、この日まで生きてきたのだ。

 

「まさかこんなにも楽しい物があるなんて。

 この時代にくる事が出来て、私は幸せです」グィングィン

 

「……そ、そうですか」ソワソワ

 

 引き続きホッコリしながら乗馬マシンを楽しむライダー。それを見て、なにやらソワソワし出すセイバー。

 関係の無い事だが、今ライダーの恰好が私服姿で本当に良かった。いつもの戦闘服姿であれば、もう言い訳の出来ない程にエロい事となっていただろう。眼帯なんかが特に。

 

「……あの、ライダー? 実は貴方に、折り入ってお願いしたい事が……」

 

「? どうかしたのですかセイバー」グィングィン

 

 天馬に騎乗し駆けていくイメージをしながら、ライダーは返事を返す。

 

「実は私も、乗り物がだいすきなのです。騎乗スキルも持っているのです」

 

「ほう、貴方も騎乗スキルを」グィングィン

 

 いじらしく膝元でモジモジしながら、恥ずかしそうにセイバーがお願いする。

 

「ですのでどうか……私にも乗馬マシンを使わせて頂きたいのです。

 私も一度、ウネンウネンしてみたいのです」

 

「なるほど。良いでしょうセイバー」

 

 なんだかんだと争う事はあれど、自分達は同じサーヴァント仲間だ。それに加えて騎乗スキル持ちとなれば、もうライダーさんに拒む理由など無い。ナカーマなのだ。

 

「ならば私の後にお使いなさいセイバー。もう少しで終わる予定ですので」

 

「かたじけないライダー。優しい貴方に感謝を」

 

 両手を祈りの形にし、深々と頭を下げるセイバー。思い切ってお願いしてみて、ほんとうに良かった。

 

「待っている間、そこにある器具を試してみると良いでしょう。

 面白そうでしたので、乗馬マシンと共に買ってきたのです」

 

 ウネンウネンしながらも器用に机の上を指さすライダー。片手放しなど何の問題もない。彼女はバランス感覚のモンスターである。

 

「ほう……、この器具が例の……」

 

「そうです。かの有名な“腹筋ローラー“というヤツです。ぜひ試してみてください」

 

 腹筋ローラーは、ちいさなタイヤに取っ手を付けたような形の運動器具だ。パン生地を捏ねるジャムおじさんの要領で、これを床の上でコロコロすると良い。

 そうする事で君の二の腕や腹筋はシェイプアップ! パーフェクトボディが手に入るのだ!

 

「おぉ! これはっ……!」コロコロ

 

「おぉ~……おぉぉ~……」グィングィン

 

 そして現在衛宮家では、何故か意味も無くシェイプアップ運動に励むサーヴァント達の姿。

 一方はウネンウネンと身体を揺らし、もう一方は床に向かって土下座運動を繰り返す。異様な光景であった。

 

「この時代は素晴らしい物ばかりだ。まさかこんなにも愉快な物があるとは」コロコロ

 

「本当ですねセイバー。サクラやシロウに感謝をしなくては」グィングィン

 

「ライダーは、スカイウォーカーという器具をどう思いますか?」コロコロ

 

「あのスキー板で歩く運動が出来るマシンですね。

 アレもぜひ手に入れたいと思っています」グィングィン

 

 実は士郎にバイクや自転車を買う事を止められているので、間違った方向にお金を使ってしまっているライダー。サーヴァントには筋トレなどは意味が無いのだが、本人達が楽しければそれで良いのかもしれない。

 

 やがてセットしておいたタイマー音がなり、ライダーの乗馬マシンの時間が終わりを告げた。

 それでは交代しましょうという事で、ハイタッチを交わすライダーとセイバー。

 

「おぉぉ! おぉぉ~~!!」グィングィングィン

 

 初めての乗馬(マシン)体験にご満悦のセイバー。片手を放してみたり両手を放してみたりと、キャッキャ言いながら楽しんでいる。

 そんなセイバーを横目に、“二つ目“の腹筋ローラーを取り出すライダーさん。片方を腕で、もう片方を器用に足の指で掴む。

 

「そぉぉ~~れ!!」スゥイーーーッ!!

 

「 !?!? 」

 

 手と足に腹筋ローラーを装備し、壁を蹴って勢いよく床の上を走るライダー。今の彼女は正に、人間バイクともいうべき存在だ。

 

「なっ、なんですかソレは! なんなのですかソレは!!」ソワソワ

 

「そぉぉ~~れ~~~っ!!」スゥイーーーッ!!

 

「ライダー! 私もやらせてください! 私にもソレをやらせて頂きたい!!」ソワソワ

 

 せっかく乗馬マシンに乗せてもらったのに、もう目移りしてしまうセイバー。

 だってそれ、とっても楽しそうなんだもの。ライダーの目がキラキラ輝いているんだもの。

 

「やってみますかセイバー? 難しいですよ。

 私の開発した移動法、“メデューサ流、腹筋ローラー術“は」

 

「なんと! ここにきて新たなスキルを!?」

 

 流石は騎乗兵の英霊だと、心から感服致した次第にござるセイバー。

 乗り物? いや乗り物じゃないだろうこれは。しかしそんなこたぁ、今の二人にはぜんぜん関係ないのだ。

 

「そぉぉ~~r……ぐぅあぁ~~~ッ!!」ガッシャーーン!!

 

「あぁっ! セイバー!!!!」

 

 ダイナミックに転倒し、おもいっきりちゃぶ台に突っ込んでしまうセイバー。

 

「大事ありませんかセイバー? ……やはり貴方にはまだ、

 このメデューサ流、腹筋ローラー術を使いこなす事は……」

 

「何を言う! 練習さえ積めばきっと出来るハズだ!

 私も床の上をスィイーッと滑りたいのです!」  

 

 その後、不屈の闘志によりメデューサ流を見事修得するセイバー。最終的には壁を蹴る方法だけではなく、しゃくとり虫のようにウネンウネンしながら前に進む事も出来るようになった。

 その成長した姿を見て、ライダーもニッコリだ。

 

「セイバー、私は貴方の力を見くびっていたようです。

 今の貴方であれば、私の考案したメデューサ流、乗馬マシン術を使いこなす事も……」

 

「なっ!? それはどういった物なのですライダー!」

 

 物凄い勢いで振り向き、〈カッ!〉っと目を見開いて喰いつくセイバー。

 

「これを乗りこなすには……通常とは比べ物にならない程の能力が

 必要です。しかし今の貴方であれば……あるいは……」

 

「やります! やってみせますライダー!

 ぜひ私にも、そのメデューサ流の乗馬マシン術を!!」

 

 二人笑顔で頷き合い、ガッシリと握手を交わすライダー&セイバー。

 そして二人は肩をいからせ、イソイソと乗馬マシンの方へと向かって行った。

 

 

………………………………………………

 

 

 お風呂の掃除も終わり、セイバーとライダーにオヤツでも用意してあげようと居間に来た士郎。

 そこで彼が見た物は、もうビックリするくらいにウネンウネンしている、二人の女の子の姿だった。

 

「良いですよセイバー! その感覚をキープです!」グィングィン

 

「はいライダー! 何時間でも乗っていてみせます!!」グィングィン

 

 今士郎の目の前には、セイバーを肩車して乗馬マシンに乗っているライダーの姿がある。

 通天閣もかくやというシルエットになった二人。その身体は乗馬マシンによって揺られ、ひと昔前に流行ったダンシングフラワーみたいになっている。

 

 

「……えっと……なんでさ?」

 

 

――――仲は良い。二人の仲が良いのは分かる。

 

 でもちょっと目を離した隙に、こんな風になってなくてもいいじゃないか。

 こんな変なコミュニケーションの仕方で親睦深めなくてもいいじゃないか。俺の家でやんなくたっていいじゃないか。

 

「シロウ! 見て下さい! 私の騎乗スキルを!」

 

 そうキラッキラした表情でセイバーに言われるも、そんなアーサー王の姿、ぶっちゃけ見たくなかった。

 いくら可愛くても、俺にだって夢とか憧れとかあるんだ。英雄に心焦がれたりしてたんだ。

 

 

「ウフフ♪ ウフフフ♪」

 

 

 ……それにしても、ライダーが楽しそうでほんと何よりだと士郎は思う。

 

 普段クールな彼女が、こうも無邪気にニコニコとはしゃいでいる。

 その微笑ましい姿を見て、なんだか怒ろうという気が失せてしまう士郎であった。

 

 

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