「あー駄目だぁ! ぜんっぜん上手くいかねぇってばよ!」
これは、ナルトがまだ子供の頃。忍者学校を卒業して下忍となる前の頃。
ひとり里の外れの林で、分身の術の練習をしていた時の事であった。
「うむむ~! 俺ってば才能ねぇのかなぁ?
……いや、そんな事ねぇ。ねぇってば。
俺は将来、ぜったい火影になるんだってばよ!」
ナルトはこれまでに3度も忍者学校の卒業試験を落ちており、未だに下忍になれずにいる。
どれだけ頑張っても試験を合格出来なくて、まだまだ忍術も下手くそで、いつも仲間達から笑われてしまっていた。
けれど生来頑張り屋なナルトは、どれだけ失敗しようとも笑われようとも、へこたれたりなんかしない。
いつか必ず火影になって、みんなを見返してやるんだ。すげぇ忍者になるんだ――――
その夢だけを真っすぐに見つめ、今日も元気に忍術の修行をしていたのであった。
「なっ……ナルトくんっ……!」
「ん? なんだお前、ヒナタか?」
そんな時、突然この場にヒナタが現れた。
彼女は同じ忍者学校の生徒であり、普段あまり喋る事はないものの、ナルトとは顔見知りだ。
彼から見て、ヒナタはいつもモジモジとしていて、とても引っ込み思案な女の子だ。
声も小さくてボソボソしているから、たまに何を言っているのか聞き取れなかったりもする。
いつも活発で元気な性格であるナルトからしたら「もっと堂々としてたらいいのに。変なヤツだなぁ」という印象であった。
「どうしたんだってばよ。こんなトコで。
お前もここに修行しにきたのか?」
「い……いえ! あのっ……あのねっ?」
腰をくねらせてモジモジ。人差し指をチョンチョン合わせてモジモジ。
いつもなら「なんだコイツ?」とイライラしてしまう所なのだが、ナルトはふと彼女がいつもと違い、なにやら真剣に何かを言おうとしている雰囲気を感じ取った。
なのでここは、親身になって聞いてやる事とする。
「落ち着けヒナタ、ゆっくりでいいってばよ。
俺ちゃんと聞いてっからな。どしたんだ?」
「う……うん! あのねナルトくん……わたしね?」
コクコク頷き、大きく深呼吸。その姿はどこか小動物のようで微笑ましい。
普段は悪戯小僧な所があるナルトではあるが、女の子に対しては決して強い態度を取ったりはしないのだ。
いま目の前にいる気弱な女の子は、明らかに自分よりも弱い、守ってやるべき存在である。ゆえに彼はヒナタを気遣い、優しく接していった。
「あのね……? わたしナルトくんに、おねがいがあってね……?
だからね……?」
「んあ? それでここに来たのか?
いいぞいいぞ、何でも言ってみろってばよ! 俺にまかせとけヒナタ!」
元気よくドンと胸を叩き、ヒナタを安心させてやる。
やがて彼女の方も意を決したのか、スーハーと何度か深呼吸をした後、ようやく勇気を出して要件を切り出した。
「あのねナルトくん……! わたしとお友達になって、くださいっ……!」
ピヨピヨ……ピヨピヨ……と、暫く鳥の鳴き声だけが辺りに響いた。
「……ん?」
ナルトはキョトンとした顔。いまヒナタに言われた事を理解できず、暫く呆けるばかり。
「えっとね? えっとね!
わ……わたしナルトくんと、お友達になりたいのっ……!
お友達になって……くれますか……?」
精一杯の大きな声で良い終わり、ヒナタはギュッと目を瞑って下を向く。まるで裁判の結果を聞くのを怖がっている罪人のように。
一方ナルトは未だにキョトンとしたまま。ヒナタの振り絞るように懸命な気持ちを聞いて、ただただ呆けてしまっていた。
「いや……あの、俺の事はヒナタも知ってるだろ?
俺ってば、この里ではよ?」
「そ……そんな事かんけいないのっ……!
わたしナルトくんとお友達になりたいのっ……! だ……ダメ……?」
ヒナタはウルウルと瞳を潤ませ、上目遣いでこちらを見ている。
その必死さと懸命な姿に、ナルトはタジタジになってしまった。
今のナルトには深い事までは分からないものの、「どうやらこの里では、自分は嫌われ者らしい」という漠然とした雰囲気はちゃんと理解している。
現に自分は身寄りも無くずっと一人暮らしをしていたし、里の子供たちからも何故か仲間外れにされる事も多い。
ゆえに今のナルトは、驚きと共にすごく戸惑ってしまっているのだ。
「べ、別に駄目じゃねぇけどよ?
あー、その……なんだぁ~」
けれど、胸に嬉しさがこみ上げる。暖かな感情が溢れ出すのを感じる。
今までは、唯一忍者学校の教師であるイルカ先生くらいにしか親身にされた事はなかったし、心を開けた人はいなかったと思う。
だからこうして誰かに真っすぐ好意を向けられる事も、ましてや友達になりたいなんて頼まれた事も、一度だって無かったのだ。
少し里の人間達に対して警戒心を持っているナルトは、一瞬だけ「もしかしたら誰かにイジメられていて、何かの罰ゲームで俺に言い寄って来たのか?」と疑りもしたのだが、今のヒナタの必死な姿を見れば、それが見当違いである事などすぐ分かる。
彼女は本気で、勇気を振り絞って自分と友達になりたいと言ってくれている事が、ヒシヒシと分かるから。
「ま、まぁ俺も暇じゃねぇし?
修行とかもあるから、あんまり遊んだりは出来ねぇかもしんねぇけどよ?
それでもよけりゃ……友達になっても、いいぞ?」
「……っ!?」
そう言った途端、ヒナタがパっと表情を輝かせた事が分かり、ナルトは思わずプイッと顔を背けてしまう。
もうなにやら嬉しくて、テレてしまって何を言えば良いのかも分からない。どんな顔をして良いのかも分からない。
先ほどまでヒナタの事を「モジモジしてるなぁ」と感じていたものだが、今この場にはモジモジしている二人が嬉しそうに並んでいる姿がある。ナルトも人の事は言えなくなってしまった。
「ほ……ほんとっ!? ほんとにいいのっ……!? ナルトくんっ……!」
「お、おう! 別に構わねぇってばよ!
なんだったら一緒に修行とかも出来て、俺達もっと強くなれるかもしんねぇし!
一石二鳥だってばよ!」
ヒナタは両手をギュッと口元で握り、キラキラと目を輝かせている。
そんな嬉しそうな姿に、ナルトの方も照れ臭そうに頭をポリポリ。顔を赤くしている。
もし見ている者が居たなら、これはとても微笑ましい光景だった事だろう。まごう事無き青春の一ページであった。ガイ先生あたりが喜びそうだ。
「ほんじゃ、これからよろしくなヒナタ! なかよくやろうぜ!」
「……う、うん! ナルトくんっ……!」
友情の証として、ナルトが右手を差し出す。
これから友達として一緒にやっていく、一番最初の儀式の為に。
そしてヒナタも瞳を潤ませながら、嬉しそうに一歩を踏み出した。
「それじゃあいくね……? ナルトくん……」
未だテレテレしているナルトの手を、ヒナタの差し出す手がスッとすり抜ける。
そして、次の瞬間――――
「えーいっ!
「――――ぬぅおぁぁぁぁあああああっっっっ!!」
ギュッと目を瞑るヒナタが、ナルトのズボンのふくらみにペトッと触れたのであった。
………………
………………………………
「……ヒナタよ? ちょっとここ座りな?」
「?」
ヒナタはコテンと愛らしく首を傾げ、テテテとナルトの傍に歩いて行く。
そして彼の指示通り、ペタンと地面に女の子座りした。
「なぁヒナタ? あの、さっきのは何だ?」
「?」
先ほど、ナルトの絶叫が木の葉の里に響き渡った後……ようやく落ち着きを取り戻した彼が、ヒナタと共に向かい合って座る。
「なんだよ、“ともだちんこ”ってのは……。
俺たしかに友達はいねぇけど、木の葉にそんな文化があるなんて、聞いた事ねぇってばよ」
「?」
ヒナタは今も、愛らしく小首を傾げている。
子供らしい純粋な瞳で、まっすぐにナルトを見つめていた。
「なんでやったんだよ。なんで俺のチンコさわったんだよ。
女の子がそんな事しちゃ駄目だろ?」
「えっ」
ここで初めて、ヒナタが驚いたような表情を見せる。
今のいままで、自分の行為の正しさを微塵も疑っていなかった様子が見て取れた。
「えっじゃねぇよ。なんで驚いてんだよヒナタ。
女の子がチンコさわったら駄目なんだってばよ。わかるだろ?」
「えっ。でもお友達になるときは……こうするものだって……」
「誰に教わったソレ? 誰が言ってた?
ヒナタ、お前騙されてんぞ。お前を陥れようとしたヤツがいるってばよ」
見つけだしてブン殴ってやる。ナルトは今後ヒナタを守っていく決意を固める。
もしかしたらヒナタには箱入り娘的な所があるのかもしれない。自分が守ってやらなければ。
「誰が言ってたんだ? 教えてくれヒナタ、大丈夫だからよ」
「おとうさん……だよ?」
「 お父さん!?!? 」
ナルトの絶叫により、また森から鳥たちがパタパタと飛び立っていった。
「うん……なんか昔の書物を読んてたら、そういう記述があったって……」
「載ってたのか、ともだちんこ。親父さんそれ読んでヒナタに言ったのか」
「わたしがね……? 『おともだちがほしいです』っておとうさんに相談したら、
なら友達になりたい男の子に、おちんちんを触らせてもらいなさいって……」
「 なんでだよ親父さん!? なんでそんな書物を真に受けんだよ!?
娘がチンコ触るの、何とも思わなねぇのかよ!! 」
「だからヒナタも、ナルトくんにおちんちん触らせてもらいなさいって……。
そしてこれからも、たくさんおちんちんを触らせてもらえる女の子になりなさいって……」
「 どういう教育だよそれ!? 俺そんな教育方針きいた事ねぇってばよ!!
日向の家ってどうなってんだよ?!?! 」
大丈夫かヒナタ!? お前の家族はどうかしてるんじゃないのか!?
ナルトはそう心配になるも、ヒナタの言葉は止めどなく続いていく。もうタジタジだ。
「つかヒナタ? お前さっき“たくさん”って言ってたけどよ……?
それって、これからも俺のチンコ触るって事なのか?」
「うん……これはね? 友達とのあいさつでする物だから……。
だからこれから、ナルトくんに会うたびに『ともだちんこ』って……さわるよ……?」
「触るのか!? 会う度にやるのかソレ!?
つか何でお前、そんな嬉しそうなんだよ!? なにテレテレしてんだってばよ!?」
愛らしくはにかみながら「えへへ♪」と笑うヒナタ。友達が出来た事が嬉しいのだろうが、ナルトはもう叫び過ぎて頭がクラクラしてくる。
「ほ、ほんとはね……? ナルトくんから触らせなきゃいけないの……。
グイッと手を取って、無理やりわたしに触らせるの……。
それが本に書いてある正式なやり方なの……。
だからナルトくん……これからわたしを見つけたら『ようヒナタ! ともだちんこ!』って言って、おちんちん触らせて……?」
「やだよ!! そんな事してたら、ぜったいイルカ先生にブン殴られるよ!
学校追い出されるよ俺!」
「わっ……わたしもがんばるよっ……?
とっても恥ずかしいけど、わたしがんばって、ナルトくんのおちんちん触るからっ……!」
「頑張らなくていいよ! そこ頑張る所じゃねぇんだってばよ!!
お前がんばり屋だし、俺と友達になってくれんのはすんげぇ嬉しいけども!!
なんが違うんだってばよ!!」
「こう……ギュッってさわるのがいいかな……?
それともヘニャって、やさしくさわる方がいい……?
な、ナルトくんは……どっちが好き……?」
「 どっちが好きとか訊くなよッ!! どっちも好きじゃねぇよ多分ッ!!
俺チンコ触られてんだってばよ!! 」
真っ赤な顔でモジモジしながら「どっちが好き?」(はぁと)と尋ねられ、ナルトの血管はもう切れてしまいそうだ。
ようやく手にした新しい友達に「おちんちんさわらせて」と頼まれる。これは彼にとって理解し難い出来事であった。
これをしなくちゃ友達って出来ないのか。これが友情の対価なのか。うんうん頭を悩ませる。
「つかよ、あんまチンコチンコ言ってたら、良くないってばよ。
ここ忍びの里だし、誰が聞いてるか分かったもんじゃねぇしさ?」
「えっ……どうしよう……? なにか別の言葉に言い換える……?
じゃあ便宜上、ここではナルトくんのおちんちんを“火影”って呼ぶね……?」
「やだよ! 俺のチンコを火影にすんなよ!! 俺の夢なんだよ!!」
「でもでもっ……いつもナルトくん、火影火影~って言ってるから……。
わたしもナルトくんといっしょに、火影が好きになれるように……がんばるね……?」
「 やめろよ! なんか別の意味に聞こえてくるよ!
ヒナタが俺のチンコ好きみたいに聞こえるってばよ! 」
「火影ってすごく強そうだし……熱そうだし……わたし好きだよ?
ナルトくんが火影になれるように、わたし応援するね……?
ほら、『がんばれ♡ がんばれ♡』って」
「 だから違う意味に聞こえるんだよ!!
なるから! 俺ぜったいなるから! 大丈夫だってばよ!! 」
「あっ……でも別の言葉に言い換えても、あんまり意味は無いかもしれない……。
だってこれからわたしたち、いっぱい“ともだちんこ”の練習しなくちゃいけないし……。
いっぱいちんこって言わなくちゃだから……」
「練習?! 練習すんのかそれ?! 今から?!
つか、ともだちんこに練習なんていんのか?!」
「うん……だってわたし、ナルトくんと一番のともだちになりたいから……。
だからいっぱいともだちんこして、上手にともだちんこ出来るようにならなくっちゃ……」
「チンコ連呼すんなよ! 女の子だろヒナタ! 恥ずかしくねぇのかお前!」
「大丈夫だよ……ナルトくん。
真っすぐ自分の言葉は曲げない――――それが私の忍道だから。えへへ」
「それ俺のヤツだってばよ! そういう風に使わねぇでくれよ! 頼むから!!」
「うん……♪ だからいっぱい、ともだちんこしよう……ね♪
わたしがんばるから、ナルトくんもいっぱい私に……して?」
「~~ッッ!!??」
……………
………………………………
その後の事は、語るまでも無い。
その後ふたりは里外れの林で、日が暮れるまでフニフニフニフニとし、結果としてヒナタとナルトが「とっても仲の良い友達になった」というだけの話だ――――
里の見回りをしていた忍者の数人が、時折やけくそのように「ともだちんこ! ともだちんこ!」と叫ぶ子供の声を聞いたという。
そして言うまでも無い事だが、ナルトは将来その努力が実り、見事に火影となる。
その傍らにはもちろん、妻として支えるヒナタの姿もあった。
後に義父となったヒナタの父によると、例の書物には他にも同系列の物として「おっぱいよー」という挨拶の言葉があるらしいのだが……どちらかというと、あの時これをヒナタが憶えてくれた方が嬉しかったかもしれない。
ちんこ触られるのではなく、おっぱい触らせてもらえたかもしれないのにと、ちょっとだけ残念に思うナルトである。
いま自分は念願の火影となり、実質的に里の最高権力者となっている。
だから別に、まるで握手をするように『いやーどうもどうも』とか言いつつ自由に女性のおっぱいを触っても良いという法律、というのも作れなくもないのだが……そんな事したら自分がどうなるのかなんて(火影だけに)火を見るより明らかなので、ナルトはうむむ……と自重している感じだ。
まぁ少年時代には叶わなかったが、いま自分にはヒナタというとびっきり美人なお嫁さんがいるのだし、お願いすればちゃんと触らせてもらえる感じなので問題は無い。
まだ小学生みたいな歳だったのに女の子にちんこ触られるという経験も、いま思えばけっこう得難い経験だったのかもしれないし。
ナルトのように、毎日女の子にちんこ触られるという少年時代を過ごした者は、きっと里中を探してもなかなか見つからないだろうと思う。貴重な経験だったと思えなくもないのだ。
「あの時……勇気を出して本当によかった……。
だって私は毎日のように、好きな男の子のおちんちんを触らせてもらってたんだもの。
ナルトくんと仲良くなれて、ホントによかった」
時折、妻であるヒナタが昔を懐かしむようにそう語るのだが、その度に何とも言えない気持ちになるナルトである。
確かに引っ込み思案で内気だったヒナタの性格改善には、多大な効果があったのかもしれない。その点で言えば“ともだちんこ”といういにしえの挨拶は、とても偉大な物だったのかもしれない。
しかし今、まるでそれが輝かしい青春の思い出かのように頬を赤らめているヒナタを見ていると、ナルトとしては「いやそれチンコの思い出だからな?」と一言いいたくなっちゃうのである。
良いように言ってるけど、お前チンコ触ってただけだからな? と。
「あ……ナルトくん。
今夜ひさしぶりに……ともだちんこ……する?」
その夜、ナルトは火影になりました(意味深)
ともだちんこ(cv水樹〇々)