hasegawaさん、炎の短編集。   作:hasegawa

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57 座談会その2 ~自己紹介~

 

 

「アスパラです。アスパラベーコンを頼むのです。

 親の仇の如く、この世からベーコンを殲滅するかの如く、アスパラベーコンです」

 

 セイバーがメニュー表を片手に熱弁を振るう。

 あまり日本的な文化に馴染みが無いハイジ、アンパンマン、ソフィーらの面子に対し、ここで頼むべきメニューをレクチャーしていく。

 

「迷ったらホッケです。ホッケにしておけば間違いありません。

 味、ボリューム、値段、どれを取っても非の打ち所がない。

 英霊で言えばヘラクレス並のスペックを誇る、正に至高の存在だ」

 

 ――――なんて頼りになるんだ。彼女はいったい何者なんだ。

 三人はセイバーに尊敬の眼差しを向ける。

 きっと彼女はグルメ小説の主人公で、あらゆる料理に精通しているに違いない。それほどの情熱を感じる。

 

「いや……セイバーさんってボーイミーツガール物のヒロインなんだけどなぁ。

 士郎くんがとっても料理上手だし、きっと食べるのが大好きになっちゃったんだね」

 

「あはは」

 

 シンジくんは原作の世代が近いので、セイバーさんの事をよく知っている。もちろんFate/stay nightも大好きだ。

 まぁシンジくんは14才なので、元のパソコン版ではなくPS2版でプレイしていたのだが。

 

 みほの方もシンジくんの隣で、楽しそうにニコニコと話を聞いている。

 彼女は高校生なので、初めて来た居酒屋という物に新鮮さを感じ、この場の雰囲気を楽しんでいるようだ。

 

「あ、唐揚げは? セイバーさんあたし唐揚げ食べたい! 大好きなのよっ!」

 

「あ、それならなんこつ唐揚げも! セイバーさん頼んでいい?」

 

「うッ?!」

 

 ハルヒとまる子の言葉に、何故かセイバーが息を詰まらせる。

 

「と……鶏肉、ですか……?

 構いませんよハルヒ、まる子。好きな物を頼むと良い。

 ……けれど私は諸事情がありまして、食べるのは遠慮しておきます……」

 

「?」

 

 なにやら歯を食いしばりながら耐えている様子のセイバー。何があったのだろうか?

 

「ぼくはサラダをたべよう。恐竜だけどサラダをたべよう。

 この意識が大切なんだ」

 

「エライなガチャピン。子供達の模範となるべき存在だもんな。

 じゃあ俺もサラダ食おっと。エビの入ったヤツ」

 

 ガチャピンとふじおも、なにやらよく分からない話題で盛り上がっている。

 初対面の面子も多いし、中には人見知りな者もいるけれど、みんな緊張する事無く和気あいあいと楽しんでいるのが見て取れる。

 登場する作品は違えども、彼らは一緒にがんばってきた仲間なのだ。そんなシンパシーを感じるのかもしれない。

 

 やがてそれぞれが注文した料理が届き、テーブルに色鮮やかな沢山の料理が並んだ。

 それを楽しそうに摘まみつつ、みんなはおしゃべりに花を咲かせていく。

 

「さて、料理も来た事だし、まずはみんなで自己紹介をしようか?

 顔見知りもいるが、今日が初のメンバーもいるしな。

 軽くで良いから、順番に自己紹介をしていって貰えるだろうか?」

 

 ソフィーの提案に「ヒューヒュー♪」と声を上げる一同。

 オフ会でも合コンでもそうだが、まずは自己紹介というイベントを入れておく事は大切だろう。これから会話をするための土台にもなるし、一度みんなの前で喋る事によって緊張もほぐれる。

 まぁこの場の者達は、オフ会や合コンに行った事なんかないけれども。

 

「と……とりあえず言い出しっぺの法則で、私からいこう、(ガクガク膝を震わせながら)

 私の名はソフィー。ガンランサーだ。

 匿名設定にはなるが、モンスターハンターの二次小説【ガンランスの話をしよう。】で、いちおう主人公をやらせてもらっている」

 

 背中にあるガンランスを取り出し、高く掲げて見せる。

 重厚で、それでいて美しさや機能美を感じる鉄の塊。

 初めてガンランスを見た一同は、ほぅと感嘆の声を出す。とってもカッコいいのだ。

 

「この作品の内容としては、『ガンランスという物が嫌悪されている世界で、ガンサーの私がみんなにゴミ屑のように蔑まれながらも、モグラのようにコソコソ生き抜いていく』という感じの……」

 

「ソフィーさん?」

 

 一同はキョトンとした顔。ソフィーは口から血を吐きながら白目を剥いている。

 

「ま……まぁ大筋はそんな感じなんだ。ホントなんだ。

 相棒である少年との出会いから、私を取り巻く状況も少しづつ変わっていくし、沢山コメディタッチなエピソードもあるにはあるのだが……。

 それでも基本的には、結構ツライ描写のある物語(・・・・・・・・・・・・)だと思う。

 たいだいコメディと鬱エピソードが半々の割合で、それがなんの脈絡も無く突然切り替わり、交互に襲い掛かってくるみたいな……。

 そんな一粒で二度おいしい“どんぐりガム”みたいなお得な物語で……」

 

「そんなどんぐりガムやだよ。甘いのが良いよ」

 

 まる子にツッコミを入れられつつも、何とか作品の概要を説明し終えるソフィー。

 

「と……とりあえず今は自己紹介として、軽い説明だけにしておく。

 詳しい事は後で話す機会もあるだろう。……これ以上は私の心がもたないしな」

 

「「「…………」」」

 

「では時計回りという事で、次はアンパンマンから自己紹介してもらえるだろうか?

 今は軽くで構わないよ」

 

「分かりました。ぼくいきますね♪」

 

 なんか微妙な雰囲気でパチパチと拍手を貰った後、「……はぁぁ~!」という心底疲れたような声を出して、ソフィーが着席する。

 そして代わりにアンパンマンが立ち上がり、みんなに向かって元気に自己紹介を始めた。

 

「ぼくアンパンマンです♪

 作者さんの処女作【身体はパンで出来ている。】や、短編になるけど【アンパンマンと〇〇ちゃんシリーズ】、そしてパスワード限定投稿の【アンパンマン vs ガチャピン】に出ているよ♪

 みんな初めまして♪ よろしくね♪」

 

 先ほどの微妙な拍手ではなく、今度は大きな拍手が贈られる。アンパンマンのテレテレと嬉しそうだ。

 

「アンパンマンのヤツが作者さんの処女作なのね!

 確かこの作品には、セイバーも出てたんだったかしら?」

 

「その通りですハルヒ。

 私達二人がサーヴァントとして士郎に仕え、共に聖杯戦争を戦ったのです。

 ……まぁあの作品においては、私の活躍は若干アレでしたが……」

 

「?」

 

 はてな? という感じのハルヒを余所に、セイバーがその場から立ち上がる。

 自己紹介を終えたアンパンマンに代わり、背筋を真っすぐ伸ばしてみんなに向き直った。

 

「我が名はアルトリア・ペンドラゴン。セイバーとしてこの世界に現界しています。

 登場作品は【あなたトトロって言うのね / stay night】。

 そして主演である【一か月一万円で生活するアルトリア・ペンドラゴン】などがあります。

 こういった場は不慣れではありますが、精一杯励むつもりです。どうぞよしなに」

 

 セイバーにも大きな拍手が贈られ、彼女はニコニコと満足気に着席した。

 

「あなたトトロ~と、一か月一万円~は、作者の作品の中でも特に読まれているな。

 アクセス数が全てではないが、こと“人気”という点では突出しているように思う」

 

「そうですね、ここハーメルンにおいては『Fate人気が凄まじい』という事もあり、過去作のステイナイト設定であるにも関わらず、沢山の方々に読んで頂けたという印象があります。

 作者はよくFateの二次小説を書いていますし、その印象も強いのではないかと思う。

 実際に作者は愛称として“トトロの人”と呼ばれる事も多いですし、この作品が代表作と言っても過言では無いのではないでしょうか?」

 

「うん、やっぱFate小説って強いわよ。良いと思うわ。

 こういうのはアレかもだけど……アタシん所の“160倍以上”のアクセス数なのよ?

 多くの人達に楽しんで貰えたって意味で、やっぱ代表作なんじゃないかしら」

 

 ソフィーの言葉に淡々と答えるセイバー。そしてハルヒ。

 一か月一万円に関しては主演だが、あなたトトロに関してはセイバーは演者の一人でしか無いので、どこか謙虚さを感じさせる佇まいである。

 

「とりあえず発言のついでに、次はあたしが行こうかしらね。

 北高1年、涼宮ハルヒ。SOS団の団長をやってるわ。

 出演作は【涼宮ハルヒのドキュメンタル】、そして【スゥイートホーム ―涼宮ハルヒの慟哭―】の二つね。

 メタい事いうけど……どちらも匿名設定での投稿だから、読む時は“小説検索”からタイトルを入力してね」

 

 むーんと腕を組み、自信たっぷりに発言する。その堂々とした佇まいに一同は大きな拍手を贈った。

 

「まぁさっきもちょっと出た通り、ホントはこんなこと言いたかないけど……アクセス数で言えばもう散々たる物だわ。

 これだけが作品の良し悪しの全てじゃないとはいえ、実はちょっと悔しい想いもあるの。もっとやれたんじゃないか~って。

 まぁもう完結しちゃってるし、今更なんだけどね」

 

「フォローするワケでは無いが“今の時代における作品人気”という物は、どうしてもアクセス数に直結してくるからな。

 流行から外れていたり、少しマイナーな原作で書いた場合、どうしてもこういった事はあるよ。

 ただひとつだけ言えるのは、“作者は毎回全力で書いています!”という事だ。

 かかった手間も情熱も、そしてクォリティで見ても、それは決して多く読まれた作品に劣る物では無いよ」

 

 もう「自分で自分を慰める」みたいで、書いていて嫌になるのだが……本当にこれはよくある事なのだ。仕方ないのだ。

 だからハーメルンに投稿している全ての作者は、特に人気作ではない原作で二次小説をやると決めたら「もう人気とか気にせず、自分の好きな物をおもいっきり書くぞ!」という情熱ひとつを持って、ネットという大海原に飛び出していくのだ!

 

 もちろん“本当におもしろい物”を書けたなら、読んでくれる人は読んでくれるし、もしかしたら高い評価を頂いてランキングに乗っちゃう事だってあるかもしれない。

 人気作となる可能性はいつだって、どの作品にだって十分にあるのだ。

 

 だから諦めず、勇気をもって、自分の好きな原作で二次小説を書こうじゃないか!

 もし原作愛のみで、好きだって気持ちだけで書いた物がランキングに乗ったら、もうめっちゃくちゃ気持ちいいぞ!

 本当の意味で「やったった!」って気分になれるぞ!(経験者談)

 

「じゃあ次はぼくですね。……上手く話せるかなぁ?

 みなさんこんにちは、ぼくは碇シンジと言います。

 出演作は短編集にある【新世紀だけど、エヴァ作れませんでした!】

 そして連載物では【子ぎつねヘレン ~レイとヘレンの物語~】にも出ています。

 よろしくお願いしますね」

 

 ニコニコと微笑みながら、シンジくんがはっきりとした声で自己紹介を終える。

 好感の持てるしっかりとした自己紹介に、一同も褒めたたえるように拍手を贈る。

 

「なんか……シンジくんって“原作のシンジくん”とだいぶ印象が違う気がする……。

 こんな明るい子じゃなかったような気がするんだけど……」

 

「あ、ぼく内気でもなんでもないです。

 ぼくらの作品って、なんか“大人たちが本当に頼りない”ので、子供がしっかりしなきゃいけないんですよ。

 あはは……なんだかすいません」

 

 疑問の声をあげるガチャピンに、申し訳なさそうなシンジくん。

 このシンジくんが登場する作品達において、基本的に大人たちはクソだ。……別に悪人ではないのだけれど、全般的に無茶苦茶だったり頼りにならなかったりする。

 そういう世界の中で生きてきたシンジくんは、もう人格形成バッチリという、まごう事無き好青年に育っている。

 アレか、反面教師というヤツなのか。

 

「じゃあ次は私ですね。こんにちは、西住みほですっ。

 短編集にある【とても嫌なチーム名で、ガールズ&パンツァー】という作品に登場してます♪」

 

 花の咲いたような可憐な笑顔。女の子らしい可愛らしい仕草。

 この場にはシンジくん&ふじおの二人しかいないが、もし男性が沢山いたなら、きっと熱狂的な歓声をもって迎えられていた事だろう。

 だが沢山の拍手はもらえたものの……なにやらこの場の面子の頭には「?」のマークが浮かんでしまっていた。

 

「……あの、西住のねーちゃん?

 そのさ……“とても嫌なチーム名”って、なんだい?」

 

「あ、これは原作の物とは違って、なんかすごく嫌な名前のチームばっかりで、全国大会を勝ち上がっていくお話なんですっ。

 カバさんチームとかじゃなく、たとえば“日雇い労働者さんチーム”とか、“腐ったミカンさんチーム”とかで、黒森峰と戦うんですっ!」

 

「……」

 

 元気よく笑顔で説明してくれるものの、それを受けたふじおはピキーンと固まってしまう。他のメンバーたちも同様だ。

 まぁ後で詳しく聞く機会もあるだろうし、なんか深く突っ込むのが怖いので……とりあえず次の人に順番を回す事にした。

 

「じゃああたしの番ね!

 こんにちはみんな! あたしハイジっていうのっ! アルムの山に住んでるわ!

 出てるのは【あまりに立とうとしないクララにハイジがブチギレるお話】っていうヤツよ!」

 

「「「タイトルながっ!!」」」

 

 思わず突っ込む一同。だがその後は気を取り直し、パチパチと拍手を贈る。

 

「えっとね? これ私が主役の二次小説じゃなくて、“世界名作劇場の二次小説”なのね?

 だからアルプスの少女ハイジだけじゃなくて、フランダースの犬とか、母をたずねて三千里とか、赤毛のアンとか、いろんな短編があるわ!

 世界名作劇場にある作品の二次小説を集めた短編集、って感じなの!

 まぁかなり昔の作品が多いし、もしかしたら観たこと無いヤツが多いかもしれないけど!

 よかったら読んでみてね! ぜんぶコメディよ♪」

 

「あ、ごめんハイジちゃん? あたしゃちょっと質問があるんだけどさ?」

 

 まる子はスッと手を上げて、恐る恐るハイジに疑問を投げる。

 

「あたしアレ読んだけど、クララって明らかに立てるよね(・・・・・・・・・・・・・・)

 なんか物凄い身体能力だしさ……。

 なんであの子、頑なに立とうとしないの?」

 

「さぁ? 知らないわ?

 支配階級の小娘の考える事なんて、あたしにわかるハズないもの。

 きっと金持ちの道楽なんじゃないかしら? クソッタレよね」

 

 もう本気で聞くのが怖くなったので「次だ次!」という風に順番が回される。ハイジの次はまる子が自己紹介するようだ。

 

「さくらももこだよ。小学三年生で、たまちゃんっていう子と仲良しなの。

 出てるのは匿名設定でやってる【まる子、戦争にいく。】っていうヤツ。

 ……ほんと救いようの無いお話だから、別に読まなくてもいいと思うよ……」

 

 なにやら「どよーん」みたいな影を落としながら、まる子が自己紹介を終える。一同も彼女を気遣うように、「元気だして!」とばかりに拍手を贈った。

 

「もうほんと、散々な目に合ったよ。

 みんなはコメディとかでキャッキャしてるのに、なんであたしだけシリアス物?

 あたしゃ誰かから恨みを買った覚えは、ないんだけどねぇ……」

 

「ど、ドンマイだよまる子ちゃん!

 ぼくらも結構な酷い目に合ってるし! 仲間だよ!」

 

 肩を落とすまるちゃんを、必死で慰める一同。特にガチャピン&アンパンマンは物凄く気持ちが分かるらしく、心から彼女に同情していた。

 

「まぁしっかり完結してるし、なんかすごく思入れのある作品らしいから、別に良いけどさ?

 出来たらちゃんと、コメディの方で出してほしい……。

 もう人殺しとか戦争とか、あたしゃもう沢山だよ……。あたし小学生の女の子だもん……」

 

「次! 次はぼくが行くね?!

 ほらっ! まる子ちゃん座って座って! ジュースあるよ?!」

 

 まるちゃんにアセロラドリンクを持たせてやり、ガチャピンが意気揚々と立ち上がる。

 実は彼もけっこうひどい目に合わされているのだが、子供の手前そんな事は言ってられないのだ。

 

「ぼくガチャピン!

 アンパンマンとダブル主演した【アンパンマン vs ガチャピン】や、短編集にある【ブラック鎮守府の新提督】にもちょっとだけ出演しているよ♪

 あとこれ内緒なんだけど……実はもうひとつだけ、ぼく主演の作品があったりするんだ。

 これ匿名設定のヤツだし、内容がアレだからここではタイトル言わないけど……、もし興味がある人はがんばって探してね!

 きっと読んだら後悔すると思うケド!」

 

 両手を上げて、元気よく挨拶。一同もさっきまでの陰気を振り払うが如く、精一杯声援を贈る。

 

「ちなみにぼくの出演作って、パスワード限定だったり、短編集のヤツだったり、匿名設定の投稿だったりするから、もう全部ハルヒちゃんの比じゃない位の不人気作品!

 もう“不人気無双”と言っても過言じゃないよ♪ みんなドンマイ♪」

 

「「「ガチャピン?!?!」」」

 

 大きな眼からポロポロと涙が零れていく。

 だが泣く事はない! 読まれないからなんだと言うのだ!

 むしろ「誰にも読まれない小説を一生懸命に書ける事」こそが、私たち二次小説投稿者にとって一番必要な資質なのではないだろうか?! 私はそう思うぞ!

 

 人気が何だ! 人気なんて無い方が“自分の好きなように書ける”のだ!

 涙をこらえてキーボードを叩く。それが男の修行なのである!

 

「……ガチャピンがぶっ壊れちまったから、とりあえず俺いくよ。

 おっほん! 俺の名はふじお。小学6年だ!

 みんな聞き覚えの無い名前だろうけど、そりゃ当然。なんたって俺は、数少ないオリジナル作品の主人公様だからなぁ!

 出てるのは短編集の一番先頭にある【FREEDOM ~月に叢雲花に風~】だ!

 いくつかあるオリジナル作品の主人公を代表して、ここへやってきたぜッ!」

 

 ベースボールキャップに、横線の入ったYシャツ、黒いズボン。

 まるで某ブタゴリラ君をスリムにして、そこはかとなくイケメンにしたような見た目の少年に向かい、皆がパチパチと声援を贈る。

 作者の数少ない、貴重なオリジナル作品の主人公である。

 

「ちなみにこの小説は、作者がここハーメルンで活動する前、ブログでせこせこと日記を書いていた時期に、お遊びで書いてみた物が元となってる! 約10年前の物だ!

 だから本当の意味で“作者の処女作”と言える小説なのかもしれない!

 大したモノでもないのに、わざわざ短編集の一番先頭に置いてあんのは、そういう意味もあるぜ!

 ……まぁこれがあるせいで、ふとこの短編集を覗きに来た人達が『うわっ、なんだコレ!?』ってなって、みんな速攻でブラウザバックしちゃうんだろうな!

 いまのところ、その説が非常に濃厚だと思ってる!」

 

 もう悪びれずにはっきりと言ってのける彼に、逆に感心してしまう一同。大きな拍手が巻き起こる。

 まぁこの短編集は“チラシの裏設定”だし、ランキングも人気も関係ない。そんな本当の意味で趣味でやっている作品だから、別に構いはしないのだ!

 

 まぁハーメルンでの処女作は、アンパンマン主演の【身体はパンで~】だし、ちゃんと小説という物に向き合ったのは、それが初めての事だ。

 まぁそれ自体も、二年前のゴールデンウイークの真っただ中、二日間不眠という妙なテンションの中で、『いまの状態で私が小説を書いてみたらどんな物になるんだろう?』と思い立ち、全てアドリブで書き上げたという小説もどきではあるのだが……今はそれは置いておこう。

 

 ふじおは自己紹介を終えて、よっこいせと座り直す。

 それを見てから、司会であるソフィーが改めて起立し、みんなに向かい直った。

 

「うむ、みんなありがとう。これで全員の自己紹介が済んだな。

 後はいつくかのテーマを設けて、それについてみんなで語り合っていけたらと思っているよ。

 みんな気を楽にして、料理を食べながら楽しんでくれたら嬉しい」

 

 改めてソフィーに歓声が贈られ、彼女はテレテレと嬉しそうにクネクネする。

 今日は声を掛けてくれてありがとう、幹事さんお疲れ様の感謝を込めて、みんながソフィーに拍手をする。

 

「これは報告だけになるのだが……実はね、今日は残念ながら来られなかったのだけれど、他にも幾人かの人たちに声を掛けていたんだ。

 たとえば匿名設定で投稿している【かわいそうなZOU】の主演、ぞうさん。

 同じく匿名設定の【この戦争は負ける! 俺にはわかる!】のノリコさん。

 そして【愛する者よ、死に候らえんな。】のオ・ボーロ様などだな。

 ノリコさんは女王陛下ゆえの多忙……というか戦争に負けそうな情勢の為。

 オ・ボーロさまは新婚旅行の為。

 そしてぞうさんは、実は来てくれようとはしていたのだけれど……前日になって車に撥ねられるという不幸があってね?」

 

 思わず息を呑む一同。しかしソフィーの柔らかな笑顔を見て、彼に大事が無い事を悟る。

 

「うん、大丈夫だよ。

 別に大した怪我はないし、奥様もちゃんと付き添っているので安心してくれ。

 だが一応今日は、大事をとって辞退するという連絡があったんだ。

 後で私の方から、今日の座談会の様子や報告を伝えておくから、彼らの分まで楽しんでくれると嬉しい」

 

 一瞬張り詰めた空気が弛緩していく。そしてみんなが心から安心した声を出す。

 

「それじゃあ、さっそく私達による座談会を始めていこうか。

 まずは、最初のテーマだが――――」

 

 

 もう緊張は無い。誰もがこの打ち解けた雰囲気の中、ワクワクとソフィーの次の言葉を待っている。

 

 史上初、そして今後二度と開かれない(需要が無い)であろう、hasegawa作品の主人公達による座談会が、ついに始まった。

 

 

 

 

――つづく!――

 

 

 






 自己紹介だけで8400文字……だと……?


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