hasegawaさん、炎の短編集。   作:hasegawa

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60 座談会その5 ~失敗、やらかした事~

 

 

「ではテンポ良く行くぞ皆の衆! 突撃じゃあ~~ッ!

 次のテーマは……これだぁぁーーー!!」

 

 ソフィーが三度(みたび)ガサゴソし、\ババーン!/とばかりに発表する。

 

「――――ジャン! “失敗談、やらかした事ベスト3”!!

 これについて話し合っていこう!」

 

 会場から「おー!」「やんややんや!」と声が上がる。お題も3つ目となったが、まだまだ元気な一同だ。

 

「私がここで小説投稿を始めて約2年半ほどとなるが……言うまでも無く、今まで数多くの失敗を経験して来ている。

 ちょっとした誤字のような小さな物から、最悪作品自体を削除せざるを得なくなるような物まで、それこそ数え上げればキリがない程だ。

 そんな苦い思い出ながら、今は笑って話せる感じの失敗談を、お聞かせ願いたく思うぞ」

 

「自ら恥を晒していくスタイルだな。

 俺ぁそういうの、嫌いじゃないぜ?」

 

「人の失敗は蜜の味です! これは人の業なんです!」

 

 なにやらふじおと西住さんがおかしな事になっているが、みんなも似たような物だ。

 ここまで来たら恥なんか無い。全てをさらけ出していく所存である。

 

「――――失敗と言えば私だ。

 ソフィー、一番槍を務めても構いませんか?」

 

「セイバー!?!?」

 

 高く積みあがったお皿を「よいしょ」と端へどけて、セイバーがひょこっと姿を現す。

 これだけ食べても口元は綺麗なまま、少しも服やテーブルを汚していないのは流石と言えた。

 

「これはまさに、私の為にあるような議題だ。

 我が出演作であるFateの二次小説では、それこそ数えきれないほどの失敗談があります」

 

「ふむ……そこまで言うならば……。

 例えばだが、印象に残っている“やらかし”はあるか?」

 

「はい。まずパッと思いつくのは、【一か月一万円】の第11話におけるやらかしです。

 有り体に申し上げて、あの話を投稿したその日、作品の感想欄には20を超えるご批判コメントが届き、作品評価の数字は一気にグィーンと下がりました」

 

「「「?!?!?!」」」

 

「何したのよアンタ?! そんな怒られるような事したの?!」

 

 ハルヒの絶叫のような問い詰めを受け、冷や汗を流しながらセイバーが語る。

 

「原典である番組に【ハマグチェ氏が敵チームの家に勝手に忍び込み、家を荒らしたり、お味噌汁を鍋から直飲みしたりする】という、とても酷いエピソードがあるのですが……。

 それを私ことセイバーでやったのです。再現したのです。

 私は切嗣&アイリの愛の巣を蹂躙し、お鍋に顔を突っ込んでお味噌汁を飲み干しました」

 

「「「?!?!」」」

 

「当然ながら、『セイバーがそんな事するか!』とコメント欄は大荒れ。お気に入りの数も急降下。低評価爆撃の嵐。

 ありとあらゆる形のご批判を頂きました」

 

「えっと……なんでそんな事したの?

 セイバーさんって清廉潔白なイメージあるし……窃盗とか盗み食いなんてしないよね?」

 

「純粋に、あの原典のエピソードが好きだったのですよ、シンジ。

 たしかにハマグチェ氏のあの暴挙はルール違反ですし、決して褒められた行為ではありません。

 ですが純粋にバラエティー番組として見た場合、あのエピソードは素晴らしく面白かったし、私も当時は大笑いして観ていた記憶があるのです。

 原典の番組で大好きな話だったので、どうしてもそれを作品に入れたかったのだ……」

 

「それで見事にキャラ崩壊……という事か。

 セイバーの人柄からしたらあり得ない行動、あり得ない暴挙。

 それがFateファンの方々の逆鱗に触れた、というワケだな」

 

「その通りです。あの盗み食いの暴挙については、一応は作品内で理由付けをしていたのですが……いま思えばそれも充分ではなかったように思います。

 そもそも私が悪事を働くという時点で、Fateファンからしたらアウトでしょう。

 あの無茶に関しては“コメディだから”などという言い訳は、通用しなかったのだ……!」

 

 ガックリと項垂れるセイバー。

 たとえ本人は面白いと思って書いていても、それで読んでいる方々の気分を害してしまうならば、意味など無い。

 この作品はコメディで、みんなに笑って貰ったり楽しんでもらう為にこそ、書いているのだから。本末転倒である。

 

「キャラ崩壊については、私も思う所があります。

 以前あるガルパンの二次小説を読んでいたんですが……その中にあった私のお姉ちゃん“西住まほ”のセリフに『お前には二度と戦車に乗ってほしく無いだけだ』という物があったんです。

 これは原作にもあった、私とお姉ちゃんが喫茶店で偶然会ったシーンでの物だったんですが……」

 

 西住さんは「うむむ……」と困った顔。

 どう言えば良い物か、考え込んでいるようだ。

 

「はっきり言ってしまうと……私はそのセリフを目にした瞬間、“その作品を読むのを止めた”。

 これはあまりにも酷いと感じて、もう読む気を無くしてしまったんです」

 

「断言出来ます。私のお姉ちゃんは、ぜったいそんな事言いません(・・・・・・・・・・・・・)

 お姉ちゃんは確かにぶっきらぼうだけど、心の底では本当に私の事を想ってくれているんです。

 西住流の立場と、私の姉という立場、その板挟みで苦しんでいる……。そして転校していった私の事をとても心配し、とても大事に思ってくれている人なんです。

 ……だから私に対して『お前には二度と戦車に乗ってほしく無い』なんてセリフを、西住まほというキャラクターが言うワケが無い――――

 そもそもお姉ちゃんは、私が戦車道を止めざるをえなかった原因の出来事を、自分のせいだとすら感じて苦しんでるんです。

 そのセリフを言ってしまうのなら、もう名前が一緒なだけの“全く別のキャラクター”になってしまうんです」

 

「恐らくなんですけど……あの作者の方は、原作を最後まで観ていないのでは無いかと、そう思うんです。

 例えば他の人の二次小説とか、どこかで見聞きした“ぶっきらぼうな西住まほ”というイメージだけを持って、小説を書いてしまっていたのでは無いかと思うんです……。

 きっとその喫茶店のエピソードがある部分だけは事前に観て、後は持っていたイメージだけでお姉ちゃんというキャラを書いてしまっていたんでしょう。

 ガルパンが人気作だったからなのか、軽い気持ちからだったのかは、分かりません……。

 けれどひとつ言えるのは、その人は“原作愛”の無いままで二次小説を書いてしまっている、という事なんです」

 

 みほがしっかりと顔を上げて、まっすぐみんなの方を見る。

 

「キツイ事を言うようですけど、これは“絶対にやってはいけない事”だと思います。

 二次小説を読みに来てくれるのは、心から原作を愛する人達です。大好きだからこそ二次小説を読みに来てくれてるんです。

 良く知りもしない作品で二次小説を書くと、大切な読者の方々を裏切る事になります。

 そして何より、原作に対しても凄く失礼な行為です。侮辱してるのと同じです。

 愛も無いのに二次創作をしてはいけないんです。

 これは私たちが、最低限守るべきルールなんです――――」

 

「だから“キャラ崩壊”については、作者は本当に細心の注意を払わなければいけないと思います。

 ちゃんとタグにキャラ崩壊と付けているから……なんて言い訳は通用しないんです。

 それは何の免罪符にもならないし、好き勝手に書いて良い事にはなりません」

 

「何よりもまず、設定やお名前をお借りしている原作という物には、私達は最大の敬意を払わなくてはいけないんです。

 そして忘れてはいけないのは……『この作品を読んでくれている人たちは、心から原作を愛してる人達なんだ』という意識。

 二次小説という物をやる以上、これはぜったいに無くしてはいけないんです」

 

 みほの言葉を受け、セイバーが静かにうなずく。

 

「正直な話、なぜ原作愛も無いのに二次小説を書くのか……私にはまったく理解出来ないのだ。

 そんな事をしても、結局痛い目を見るのは自分だと、ハッキリお伝えしておきます。

 人気のある原作を選んで書き、例え一時の人気を得たとしても、すぐに化けの皮という物は剥がれてしまいますから」

 

 そう言い放つセイバーは、なにやら「フフン♪」と得意げな顔だ。

 

「それは我が身を持って、すでに経験済みだ。だから間違いない。

 実は私はステイナイトやホロウ、そしてゼロなどは大好きですが……今の主流であるFate Goについては未プレイなのです。全く触った事がありません。

 だからいつもステイナイト設定で書いているのですが……にも関わらず、よく頂いた感想コメントの中でFate Goの話題が出るのです」

 

「えっ? はっきりとステイナイト設定で書いているんだろう?

 なのに別作品のGoの話題を振られるのか?」

 

「その通り。読者の方々から見たら、私という人間が『二次小説を書く程にFateに詳しい人だ』と見えているに相違ありません。

 だから例えステイナイトで書いていようとも、当然Fate Goにも詳しいハズだ――――

 そう見られてしまうのです」

 

「「「!!!???」」」

 

「来ますよ……容赦なくGoの話題が。たくさん沢山。

 私やった事すら無いのに。全然知らないのに……もう毎回のように話を振られます。

 当然だ。読者の人から見たら、私がまるでfate博士のように見えているのだから」

 

「そうか……読者からは“こっちの事は見えない”んだ。

 判断材料は書いている作品のみで、彼らが作者本人の事なんて知るワケが無い……。

 無理もない事だよ……」

 

「そうです。これは仕方のない事やもしれません。

 そしてさっきもあった通り、二次小説を読みに来る方々は、まごう事無く原作の大ファン。

 コアな話題、設定についての質問、疑問、ツッコミ……たくさんコメントで言われますよ?

 ――――その時、困るのは自分なのです。

 返信に困り、コアなファンを相手に無知を晒し、そして恥をかくのは……にわか知識で愛も無く二次小説を書いた作者自身なのです。

 これはまったくの自業自得と言えるでしょう。

 ……ついでに言えば『それって〇〇だと思うけど……』という、ちょっといやらしい感じのツッコミコメントを沢山いただいてしまいますよ?」

 

 愛がなければ、書いてはいけない――――

 これはあらゆる意味で真理なのだ、そうニヤリと笑うセイバーは引き続き「次は何を頼もうかな~」とメニューとにらめっこに入った。

 まだ食うのか君は。

 

 

………………………………

………………………………………………………………

 

 

「では話を元に戻そう。

 セイバーは他に失敗談はあるか?」

 

「はい。実は【一か月一万円】の完結後のオマケとして、Fateとは縁もゆかりも無い“ドラゴンボールの天津飯”を出してやった事があるのです。

 それで読者の方々が全くついて来てくれなかった、という事がありますね」

 

「「「…………」」」

 

 一同絶句。セイバーの方はのほほんとしたものだが。

 

「えっと……参考までに聞くが、なぜFate作品で天津飯氏を……?」

 

「書きたかったのです(キッパリ)

 本編は既に完結してるのだし、オマケだし別に何しても良いかな~とか思ったのですが、案の定やらかしてしまいました。

 感想欄にはただ一言『ぜんぜん意味が分かりません』というコメントもありましたよ?

 おそらくこれに関しては、感想の言いようが無かったのでしょう。

 面白いとも、つまらないとも、書かれてはいませんでした」

 

「「「…………」」」

 

「正直な話、私あの当時は、すごく心がすさんでいたのです(キッパリ)

 もう一生懸命がんばって完結まで書いたというのに……感想欄には『続き書け、続編を書け』というコメントのオンパレード……。

 ちなみに感想欄で“更新を催促する行為”は、ハーメルンの利用規約違反となります。

 それがあまりに多かった為に、少し腹が立っていたのかもしれません。

 ……だから『そんなに読みたいなら書いてやるよぉーー!』とばかりに天津飯で一か月一万円を書いてやったのですが、はっきり言って、やらかしてしまいました――――

 今は反省しています。すいませんでした皆さん」

 

 いくらオマケとはいえ、やって良い事と悪い事がある――――

 それを強く実感したセイバーなのだった。

 

「あれはほのぼの系コメディだと思っていたが、あの作品の闇を垣間見た気がするな……。

 では他のメンバー達は、何かあるかい?」

 

「あ、ぼく良いかな? これ別にぼくの作品じゃないんだけど……」

 

 ガチャピンそぉ~っと手をあげて、その後なんか言いにくそうにモジモジする。

 

「ぶっちゃけた話……そもそも“これを書いてはいけなかった”っていう作品、たくさんあるよね?

 言っちゃえばもう、その作品自体がやらかしだ(・・・・・・・・・・・・)っていう」

 

「「「…………」」」

 

「たとえばなんだけど【最終兵器アナゴ】とか。

 ぞうさんには悪いけど【かわいそうなZOU】とか……。

 あれってもう……書いちゃいけないレベルのやらかしだったよね?」

 

「「「…………」」」

 

 口をひらく事が出来ない。誰一人として、ガチャピンへ反論する者はいなかった。

 

「アナゴについては、まだ分かる気はするんだ……。

 あれってきっと、純粋に“作者の技量が追い付いてなかった”って感じだし。

 作品の題材に技量が追いつかなくて、途中で空中分解しちゃったって印象だもの。

 アナゴさん自体は、もうほんと素晴らしいキャラクターだと思うから。

 それに“奇をてらえば良いってモンじゃない”っていう、良い教訓にもなったし」

 

「う……うむ」

 

「でもさ? かわいそうなZOUに関しては……アレ本気で書いちゃいけなかったよね?

 もう原作“かわいそうなぞう”を読んだ全ての人達に、喧嘩売ってるよね(・・・・・・・・)?」

 

「…………」

 

「それだけじゃないよ。ラノベとか、二次小説評論家マン(笑)とか、某新聞社とか。

 もうそこらじゅうに噛み付いてるよね? まるで狂犬のように。

 ……ねぇ、なんであんなもの書いたの? 何がしたかったのアレ?」

 

 目を逸らすソフィー。容赦なく問い詰めるガチャピン。

 

「ねぇ、はっきり言いなよ。なんであんな事したの?

 書いちゃ駄目だって分かるでしょ? 子供じゃないんだから。もう大人でしょ?」

 

「…………お、思うところがあって」(小声)

 

 すさんでいた――――あの時はどうかしていたのだ。

 こんなの何の言い訳にもならないが、とにかく頂いたご評価&ご意見は全て受け入れるので、どうか勘弁して欲しかった。

 

「と……とにかく! 他には何かあるか?!

 意見のある物は遠慮なく手をあげてくれ!」

 

「後は……どうでしょうか?

 自作品の中で『小麦粉を購入していないのにトンカツを作ってました』というようなミスをやらかし、謝罪文案件になりましたが」

 

「ぼくはうっかり版権物の曲の歌詞を小説内で使っちゃって、読者さんからご指摘を受けた事はあるかな。

 今でこそ大丈夫になってるんだけど、これ当時は立派な規約違反だったし。

 ジャスラ〇クに怒られないように、慌てて修正した覚えがあるよ?」

 

 セイバー、シンジくんが「うむむ」と唸る。

 

「うーん、これは作品での事じゃないんだけど、むしろ“感想欄の返信”で、いつもやらかしちゃってる感じがするよ?

 上手にご返信できなかったり、変な文章になっちゃったり」

 

「ほう、詳しく聞かせてくれるかアンパンマン?」

 

「うん。ようは“文字で相手に気持ちを伝えるのは本当に難しい”って事なんだよ。

 例えば同じ言葉でも『はい』と『はい♪』じゃ、全然受け取り側の印象が違うでしょう?

 このニュアンスの違いで、たまに思わぬトラブルが起こったりしたんだ」

 

「うん、それは分かる。

 これはラインやメールなどの日常生活でもある事だな。

 文章というのは本当に難しい。奥が深いよ」

 

「でしょう? だから同じ意味合いの文章が、受け取る人によっては冷たい物に感じたり、なんかそっけなく感じたりもするんだ。

 ぼくとしては『ご指摘ありがとう、助かりました』って意味で書いたつもりのご返信が、それを見た人にとっては『おおきなお世話だ! 余計な事いうな』みたいな意味に取られちゃったりね。

 それで後で感想欄を見てみると、その人はせっかく書いてくれたコメントを自分で削除しちゃってたという事が、何度かあった。

 時には後でぼく宛てに『すいませんでした。ごめんなさい』ってメッセージをくれたりね」

 

「それはビックリするだろうね。

 そんなつもりじゃないのに、いきなり謝られてしまったり、せっかく頂いた大切なコメントが消えてたりするのだから」

 

「うん。なによりぼくは『本当に申し訳ない』って思ったよ。

 ぼくが何気なく書いた文章が、本来の意図とは違った受け取り方をされてしまって、しかもせっかくコメントをくれた読者さんを傷つけてしまったんだから。

 こういう時に、本当に文章の難しさを実感する。気持ちや感情を文字で伝えるのって、すごく難しい事だよ。

 だからぼくって、何かしらのメッセージを相手に書く時って、『!』とか『♪』とかの感嘆符を過剰に使ってしまう傾向があるんだ。

 もう間違っても変な風に取られないようにって。出来るだけ自分の感情を伝えられるようにって」

 

 

 

 

 

☆やらかしちゃった事ランキング☆

 

 

・第一位 感想欄でのご返信の失敗。

 

・第二位 セイバー味噌汁を直飲み事件。

 

・第三位 【かわいそうなZOU】という作品自体。

 

・番外 自分の技量を超えた題材で書いてしまう。

    小麦粉ないのにトンカツ作り。

    ぜんぜん関係ないのに天津飯を作品に出す。

 

 

 

 

「まぁ小説投稿を続けていく限り、今後も多くのやらかしをしてしまう事だろう。

 その時は素直に『ごめんなさい!』だ。もう床に額を擦り付けて謝罪してやるぞ。

 やらかしを恐れず進もうではないか! 失敗は成功の母なのだ!」

 

「自分で言ってりゃ世話ないねぇまったく。

 あ、ソフィーさん。あたしゃ次いちごパフェね~」

 

 

 

 

――つづく!――

 

 

 

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