hasegawaさん、炎の短編集。   作:hasegawa

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63 座談会その8 ~小説の書き方~

 

 

「さて、そろそろ本格的に時間がエラい事になっているので、これを最後のテーマとする!」

 

 ソフィーの言葉と同時に、この場に大きな拍手が巻き起こる。

 総文字数約7万文字(ラノベの2/3)ほどにも渡った座談会も、ついに最後のお題となったのだ!

 

「最後のテーマはこれだぁぁーー! ジャジャン! “小説の書き方”について!」

 

 ヒューヒューと指笛が鳴らされ、やんややんやと声が上がる。

 ド直球ながら最後に相応しいテーマに、みんなもテンションが上がり気味だ。最後という事もあり、正直な話、がんばって声を出している感もある。

 

「今回の座談会は、以前リクエストを頂いた事がキッカケで行われた物だが……。

 だがせっかくやるのだし、私的な裏テーマとしては【これから小説を書く人へ】という想いがあるのだ。

 決して偉ぶるつもりはないが……小説を書いた事が無い、そして書いてみたいと思っている方々に、ふつつかながら私が普段どのように書いているか、というのをここでお伝えしたい」

 

 ソフィーはいつの間にか掛けていたメガネをくいっと上げ、さながら美人金髪教師という装いだ。まぁ来ているのは白い清楚なドレスで、それもグギグギグの合成防具だが。

 

「これは言うまでも無い事だが……書き方は人それぞれ、しかも私のようなバカ小説作者のやり方など、参考にはならないかもしれない……。

 しかしこれを読んで、少しでも“小説作り”のイメージを掴んで頂けたらば幸いだ。

 そして、何かのきっかけになればと思う」

 

 ホワイトボードを背にし、ソフィーはペンを手に取る。

 その姿を一同は、ワクワクしながら見守っている。

 

「ではまず、小説制作における手順にそって順に話していこう!

 まず最初はこれだッ! どーん!」

 

 

 

・小説制作その1 【書きたい物を見つける】

 

 

「これは一番大切な事であり、また全て(・・)とも言っても過言じゃない。

 これが無ければ何も始まらないのだ」

 

「これは書く物のテーマであったり、題材だね。

 それと“こういうお話を書きたい”という漠然としたイメージかな?」

 

「その通りだガチャピン。例えば私のような二次小説の書き手ならば……『何と何をクロスさせようかな~?』とかを決めたり、『あのキャラがコレやってたら面白いな~』いうのを見つける作業だな」

 

 ガチャピンに頷きを返しながら、ソフィーがキュッキュっとペンを走らせる。

 

「ちなみにだが……私は個人的に、これが“一番むずかしい”と思っているよ。

 素晴らしいアイディア、斬新な発想、魅力的な設定。……そんな物、考えようと思っても、そうそう転がっている物じゃない。

 簡単に見つかるような物でも無いんだよ……」

 

「え!? じゃあそもそも書けないじゃないっ!

 最初の一歩目なのに、それが出来ないなら、小説なんか書けないって事?!」

 

「こればっかりはな……。もうどうしようも無いんだよハルヒ。

 アイディアなんてう〇こと同じで、出そうと思って出せる物でも無いんだよ。

 ある意味これは、授かり物(・・・・)だ。

 ある日、ふとした瞬間に、突然頭に浮かぶような……まるで降りてくるような……。

 そういう類の物でもあるからね」

 

「じゃあそういう時はどうするの?

 書きたい書きたいぃ~! でも何を書いていいか分からない~!

 ぎぶみーアイディアーって時!」

 

「それはもう、待つしかないよ。ただじっと、アイディアが浮かぶのを待つしかない。

 私の場合、時にはそれが2日後だったり、はたまた2か月後だったりもするから、もうただただ祈るしかないんだ。

 ……ただコツとしては、普段の日常生活の中で、意識的に【アンテナを張っておく】というのがとても大事だよ?

 なにか面白い物は無いかな? 何か自分の琴線に触れるような言葉は無いかな?

 常にそういった物を探す“意識”を持っておく事が、なによりも大事だ。頭の中にね。

 ……そうしていれば、きっといつか面白い事が見つかるよ。日常の何気ない瞬間に、ふとアイディアが浮かぶようになる」

 

 アイディアが浮かぶようにする――――

 面白い事を発見し、それを決して見逃さないようにする――――

 常に頭をそういう状態にしておく事。そういう意識の“スイッチ”を、自分の中に作る事。これがアイディアを出すコツだ。

 そしてこの“スイッチの有無”こそが、漫画家や小説家などの物書きと、そうでない人の違いである。

 

「後はね? もう“ひたすら一つの事を考え続けてみる”というのも手だよ?

 例えばコカ・コーラという言葉があるとして、これを元にひたすら考えてみるんだよ。

 もう意地でもコーラでひとネタ作ってやる! ぜったいコーラで一本小説を書く!

 一体どうしたらコーラを面白く出来るだろうか?! うむむ! むむむ!

 ……と、そんな感じで、とことん一つのテーマについて、何十分もかけて考えてみるんだよ。

 これは発想力を養う訓練にもなるし、大喜利みたいで楽しいよ?」

 

「そして“考える力”という物を養っていけば、ストーリーを練る時にも機転を利かせられるようになるし、アドリブで物を書いたりも出来るようになる。

 アイディアの出し方のひとつとして、憶えておいて損は無いよ?」

 

 

 

・小説の書き方その2 【構想を練ろう!】

 

 

「正直……私はこれ、やったりやらなかったりするから……。

 だから参考程度に聴いて欲しいんだが、ようは“プロット”みたいなのを書いてみる事だ」

 

「ちょっと、大丈夫なのかぃソフィーさん? なんか自信なさそーだけどさ」

 

「さっきもあった通り、私ってひとつアイディアを思い付いたら、もうそのままぐぅあ~っと書いてしまう事も多いんだよ……。

 やりたい事、書きたいエピソードを2つ3つだけ決めて、後はもう全部書きながら考える!

 ……という風なやり方をする事が、とても多いんだな……」

 

「ありゃまあ。そりゃ説明のしようが無いってもんだねぇ~」

 

「ただまぁ、一応これをする事をオススメしておくよ。

 別にプロの作家さんみたいに、物語の1から10までの展開を書く必要は無い。

 プロットと呼ばれるような、専門的な難しい事をやれというワケじゃないんだ。

 ただ何かのアイディアや、自分の琴線に触れた言葉なんかを見つけた時は……それをメモ帳やテキストエディタなんかに書きとめておくと良い」

 

「なんか思いついたら、その都度メモしていくって事だね?

 思い付いたセリフや、クロスオーバーの組み合わせ、そして面白そうなエピソードなんかをさ?」

 

「そうだまる子。

 メモして残しておくのももちろんだが、頭に浮かんだ物を実際に書いてみる事で……いわば一度“形にしてみる”ことで、その見え方が変わってくる事があるんだよ。

 実際に文字として目で読んでいると、そこから更にアイディアが湧いてきたり、どんどん膨らんでいったりする事も多々ある。一度形にしてみる事が大事なんだ。

 だから何か良いアイディアを思い付いたら、とりあえずメモ帳なりなんなりを開き、常に書きとめていく癖を持っておくと良いよ」

 

 

 

・小説の書き方その3 【とりあえず書いてみる!】

 

 

「なんか……すごくいきなりな気がしますケド。

 ソフィーさん、これは……?」

 

「あぁ、これはもう、とにかくやってみようって事だよ。

 いつまでもウジウジ悩んでても仕方ない! そんな事してたって小説は出来上がらないし、とにかく走り出すしかないぞ! ……という意味なんだ」

 

「そんな強引な……。

 まだまだアイディアも、書きたい話もしっかり固まってないのに……良いんですか?」

 

「良いんだよ。とにかくやってみる事が大事なんだ。

 それにこれは経験則なんだけどね? いつまでもウジウジと考えてしまうと、それだけでもうなんか疲れてしまって、小説を書く気力を失ってしまう事があるんだよ。

 良い物が出来るかどうかは、いつも不安だ。

 でも不安だからといって、いつまでもプロットや構想を練っている内に……最悪の場合『それで満足しちゃって書く気が無くなる』という事も、きっとあると思うんだ」

 

「はぁ……確かに考え事をするのって、すごく疲れちゃいますけど」

 

「それにね? よく中二病の人の話に、ひたすらカッコいい言葉や、魔法の名前、キャラ設定をノート一冊分も書くという、いわゆる黒歴史ノートみたいなのがあるだろう?

 恐らくだが……そういう人ってきっと、その設定で実際に小説を書く所までは行かないんだよ。

 ……ただただ、そういった“設定を考えるのが好き”みたいになってね?

 それだけでもう満足してしまう。良い気分になって、“書いた気”になってしまうんだよ」

 

「うっ……! なんかちょっと、ぼく耳が痛いかも。

 ぼくも第三新東京市に来る前は、ノートにそういうの書いてた事が……」

 

「いやいやシンジくん、別にプロットを書くなとも、設定を練るなとも言わないけどね?

 ただ最初からそんな難しい事を考えてやるのは……きっとよく無いよ。

 もしその設定が上手に作れなくて、しっくり来なかったとしよう。

 じゃあどうする? もういつまで経っても、走り出す事が出来なくないかい?

 ……そもそも、最初からプロットだの設定だのという、難しい物を作るのは無理だよ。

 最悪の場合、上手く構想がまとまらないっていうのが『出来ない理由』になってしまって、もう書く事そのものを止めてしまいかねないと思うんだよ。

 すごく便利な、“やらない理由”になってしまうんだ」

 

 ソフィーがいま、カメラに向かって「カッ!」と目を見開く。

 

「――――だから、とりあえずやってみよう!

 最初はみんな初心者! 難しい事は考えず、とにかく一歩踏み出してみるんだ! 書きたい物が決まったなら、とにかくそれを文章にしてみよう!

 腕は後からついてくるし、修正なんて後からいくらでも出来る。いくらでも手直し出来る。

 もっと言えば……やらなければ作品は出来上がらないし、書かなければいつまでたっても上手くならないよ?

 最初から上手に作ろうとするんじゃなく、数をこなして経験を積んで上手くなるんだ。

 やらずにウジウジしているのが、一番いけないんだ――――」

 

 

 

 

・小説の書き方その4 【行間を空けろ! 句読点を入れろ!】

 

 

「例えばなのだけど……次の文章を読んでみて欲しい」

 

 

 

………………………………………………………………

【例文1】

 

『いいかい静香よくお聞き?』

 あれはまだ私が幼かった時の事。お父さんが遠くに行ってしまう前に最後に私に微笑みかけてくれた時の記憶だ。

『これからパパは遠くに行くしもう静香とは会えなくなるけれど。けれど決してパパは悪い事をしたワケじゃないんだ』

 ポツポツと穴の開いた透明なガラスの壁。それに仕切られた向こう側にお父さんが座っていた。

『パパは決して痴漢なんかじゃない。電車で女子高生のお尻を触ってなんかいない』

 あの時のお父さんは必死に私に訴えかけるように真剣な顔をしてた。

『……確かにちょっとだけ手が当たってしまったかもしれないけど。確かにその態勢のままもったいないからしばらく楽しんでたけど。でも違うんだ静香。違うんだよ。パパは決して痴漢なんかじゃない。変態なんかじゃない』

 パパは遠くへ行っちゃうの。もう会えなくなるから最後にご挨拶なさい。そうお母さんに言われ連れてこられた見知らぬ大きな建物の一室で私はお父さんとお話をした。頭を坊主に丸めてシンプルな作業着姿のお父さんはなんだかとてもやつれていた記憶がある。後ろの方にはこちらを監視している刑務官さんの姿もあった。なぜお父さんはガラスの向こう側にいるんだろう? なぜお父さんともう会えなくなるんだろう? 当時の幼かった私には知る由も無かった。

 

………………………………………………………………………………………………

 

 

「これは私の短編集に収録されている、【炎の団地妻、源しずか! ~奥さん今どんなパンツ履いてます?~】にある文章なのだが……」

 

「ちょっと待って下さい。なぜその作品を例文に?」

 

 セイバーの問いかけを軽くスルーして、ソフィーが言葉を続ける。

 

「正直な話……これってすごく読みづらくなかったかい?

 もう目を皿のようにしてマジマジ読まないと、読むことが出来なかったんじゃないか?

 きっと、途中で読むのを止めてしまった人も、いると思うんだ」

 

 ハイジとふじおがドキリとし、小さく身体が跳ねた。

 

「もうギッシリ文字が詰まっていて、画面が真っ黒に見える――――

 どこか画面から威圧感を感じ、目にした瞬間にギョッと身構えてしまう。

 うわーいっぱい詰まってるな~、最後まで読むのしんどそうだな~って、もう読む気が無くなってしまうような文章だよ」

 

 そう告げて、ソフィーが新しいプリントをみんなに配布する。

 

「そしてこれは、例文その2だ。さっきのと見比べてみてくれないか?」

 

 

………………………………………………………………………………………………

 

【例文その2】

 

 

『いいかい静香、よくお聞き?』

 

 あれは、まだ私が幼かった時の事。

 お父さんが遠くに行ってしまう前、最後に私に微笑みかけてくれた時の記憶だ。

 

『これからパパは遠くに行くけど、もう静香とは会えなくなるけれど……。

 けれどね? 決してパパは、悪い事をしたワケじゃないんだ』

 

 ポツポツと穴の開いた、透明なガラスの壁。それに仕切られた向こう側に、お父さんが座っていた。

 

『パパは決して痴漢なんかじゃない。

 電車で女子高生のお尻を、触ってなんかいない』

 

 あの時のお父さんは、必死に私に訴えかけるように、真剣な顔をしてた。

 

『……確かにちょっとだけ、手が当たってしまったかもしれないけど。

 確かにその態勢のまま、もったいないからしばらく楽しんでたけど……。

 でも違うんだ静香。違うんだよ。

 パパは決して痴漢なんかじゃない。変態なんかじゃない』

 

 パパは遠くへ行っちゃうの。もう会えなくなるから、最後にご挨拶なさい――――

 そうお母さんに言われ、連れてこられた見知らぬ大きな建物の一室で、私はお父さんとお話をした。

 頭を坊主に丸め、シンプルな作業着姿のお父さんは、なんだかとてもやつれていた記憶がある。

 後ろの方には、こちらを監視している刑務官さんの姿もあった。

 

 なぜお父さんはガラスの向こう側にいるんだろう?

 なぜお父さんと、もう会えなくなるんだろう?

 当時の幼かった私には、知る由も無かった。

 

………………………………………………………………………………………………

 

 

「ふむ、全体的にスッキリしていますね。

 文章の合間に行間が入り、しっかり句読点も使われているようだ」

 

「そうだな。そして言うまでもないけれど、これらは全く同じ内容の物だ。

 だが書き方ひとつで、ここまで印象が変わるんだよ」

 

「俺はこっちの方が良いな! さっきのは読みにくかったよ!

 それにダダダーで文字が連なってて、なんか早口みたいな印象も受けるしな!

 正直、読む気が失せちまったぜ!」

 

「好みはあると思うが、きっとふじおのような人も多いと思うよ?

 実を言えば私も、例文1のような小説は、目が疲れるから最後まで読めないよ……」

 

 セイバー&ふじおに頷きを返し、ソフィーが改めてみんなに向き直る。

 

「えっと、さっきも少しあったのだが、商業誌とネット小説では、基本的な書き方が違うんだ。

 普通の本は“縦書き”、そしてネット小説は“横書き”の形式で書かれている。

 これは知っているね?」

 

「はい。そして人間の目は縦には強いけど、横の動きは苦手です。

 だから横書き小説で、ギッチギチに文字を詰めてしまうと、とても読みにくい文章になってしまう……でしたよね?」

 

「そうだ。横書き小説を書く時は、ある程度の工夫をする必要がある。

 例文2のように、セリフと地の文の間にはひとつ行間を空けたり。

 また同じ地の文であっても、内容がひと段落ついた時には、行間を空けて二つに分けてみたりね」

 

「行間も句読点も、文字の間にスペースを空けて、読みやすくする為にあるんですね。

 文字をギチギチに詰めすぎると、ゴチャゴチャしてしまって、今どこを読んでいるのか分からなくなる。次に読む文字を見失ってしまう。

 そうならないように、少し間隔を空けてあげるんです」

 

「みほの言う通りだよ。

 ……たまに文学作品やラノベを参考にし、『これが基本だ! 正しい書き方だ!』と言い張って、頑ななまでに行間ギチギチの書き方をなさる方々もいる。

 それに関しては好みの問題でもあるし……ちゃんと芯を持って物作りをなさってるのだから、私からどうこう言える問題じゃないよ。

 私の書き方だって、自分なりの物だ。別にこれが正しいってワケじゃないからね。

 ……ただ何度も言うように、縦書きと横書きは違う、という事。

 そして何より、【読みやすさを意識して書く事】、これが何よりも大切なんだ」

 

 文法や、言い回し、語呂。

 文章の技術には色々あるが、最初からそういう物を全てこなすのは無理だろう。

 ただ書く時に「読者の人達が読みやすいように」と意識して書く事は出来る。

 これは文才ではなく、意識の問題。読み手の立場に立って、読んでくれる人の事を考えるという、気持ちの問題だからだ。

 

「あとさっきふじおが言った通り、句読点の無いギチギチの文章は、目がスーッと早く動くので、早口のような印象を受ける。

 だが句読点をしっかり入れれば、その度にいったん目が止まるから、声で言えばとても聞き取りやすい声になるんだ。

 アナウンサーの人がやるような、ゆっくりとした、とても理解しやすい言葉になる。

 句読点でも、行間でも、こういった読み手の“間”を考えて書く事は、とても重要だよ。

 読んでいる人の目線が、どんな速度で動くのか。それを常に考え、文章の間を意識してみてくれ」

 

 ソフィーは言い聞かせるように優しい顔。……だが次の瞬間、とても真面目な表情に変わった。

 

 

「ハッキリ言うよ――――どんな面白い小説も、読んで貰えなければ意味がない。

 ページを開いた瞬間に『うわっ、読みづらッ!!』と思われ、そこでブラウザバックされてしまうような……。

 そんな読み手の事を全く考えてない文章は、ぜったいに駄目だ」

 

「たとえどんな感動ストーリーを書いても、それが読みづらかったり、ちゃんと理解されなかったりしたら、せっかく考えた話の面白さも激減する。

 うむむ……と文字に目を凝らさせている時点で、もうアウトなんだよ。

 小説の内容よりも、他の事に意識を取らせてしまってる、という事だからね」

 

「書いている方は良いんだよ。最初から全部、内容を理解してるんだから。

 自分で書いた文章って、スラスラ読めてしまう物だろう?

 ただ読み手にとって“文章を読む”という行為は、とても疲れる物なんだというのを、決して忘れてはいけない」

 

「だから、あらゆる意味で【読みやすさを意識する】という事は、非常に大切なんだ。

 文章の基本や、いかに読みやすくするかという工夫は、まっすぐ言葉を伝えるための技術。

 それはダイレクトに、作品の面白さに関わってくるぞ!」

 

 

↓私が以前サラッと読んだ物 【小説の書き方入門 カクヨムhttps://kakuyomu.jp/works/4852201425154938510

 

 

 

・小説の書き方その5 【タイトルを考えよう!】

 

 

「私が何よりも大切だと思っているのは、さっき言った“読みやすさ”だよ。

 ……でも最後のテーマとなるコレは、きっとネット小説という物にとって、ある意味では一番大切なのかもしれない……」

 

 ソフィーはぐむむと眉を寄せて、何かを考えこむような仕草。

 どう言って伝えたら良い物かと、悩んでいるのが見て取れる。

 

「これはあくまで私の経験則。今まで何年かやってきて実感した事だ。

 正直な話なんだが……この【タイトルがどうか?】で、作品のアクセス数という物は、本当に違ってくると思うよ?

 どれだけ人の目を引くタイトルに出来るか? 興味を持ってもらえるか?

 また、そのタイトルだけでフワッと内容が想像できるような、期待を持ってもらえる物に出来るかに、全てがかかっていると思う」

 

「これは……センスが問われるね。

 タイトルなんて作品の顔だし、一番大事な物なのかも」

 

「そう、ガチャピンが言うように、これは本当に大切なんだよ……。

 ぶっちゃけた話、ただタイトルが魅力的であれば、それだけで第一話は読んでもらえる(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 ……本文の内容は関係なく、タイトルが魅力的であるというそれだけで、アクセス数は激増する物なんだよ。

 具体的に言えば、普通のタイトルである【子ぎつねヘレン】の初日アクセス数は300位。

 だが何気なく付けたものの、少し面白そうなタイトルである【身体はパンで出来ている】の初日アクセス数にいたっては――――5000(・・・・)だ!!」

 

「!?!?」

 

「!?!?!?」

 

「これはあくまで私が経験した一例だし、中には初日の第一話でランキング入りしちゃうような、とても魅力的なタイトルの作品もある。

 ようは、これだけ違うんだよ、という事を覚えておいてもらいたいんだ……」

 

 アーティストであったり、芸人さんであったりも、その名前が体を表すような見事なものであれば、それだけで人の興味を引くだろう。さらに魅力的に映る事だろう。

 こういった人気商売では、「いかに人の興味を引けるか?」というのが、とても重要になってくるのだ。

 

「正直……私ってすんごい下手っぴだったのに、処女作である身体パンの時は、もう連日のように日間ランキング入りをしてたんだ。

 これはもっとタイトルが良かった【あなたトトロ】や、【エヴァ作れませんでした】でもね。

 ……でもその後、ある程度上手になってから書いたハズの物には、何度かランクインはするけど全然アクセス数は無い~なんて作品が、もう山のようにあるんだよ……」

 

 ソフィーが再びカメラ目線になり、「カッ!」と目を見開く。

 

 

「だから――――もしたくさん読んで貰いたいのなら、タイトルだけは死ぬ気で考えよう!

 いかに斬新で! いかに興味を引き! いかに響きが良いかを!

 そしてタイトルを目にしただけで、作品の内容がフワッと想像できる物が、今の主流だ!

 ――――探せ! この世の全てをそこに置いてきたッ!!

 自分だけの! 至高の作品タイトルを! 探し出せ!!!!

 作品の評価は、内容で決まる!

 しかしアクセス数は内容でも文才でもない! タイトルで決まるのだ!!」

 

 

 そう熱っぽく言い放ってから、ソフィーはぜーぜーと息を整えて着席する。

 言いたいことを全て言い終えたのか、その顔には安堵が浮かんでいる。

 

「……ねぇねぇソフィーさん?

 ソフィーさんが今まで考えた中で、一番良いタイトルって……何なのかな?」

 

 恐る恐る、アンパンマンがそう訊ねる。

 それにソフィーはにっこりと笑顔を返し……。

 

 

「それはもちろん【炎の団地妻、源しずか! ~奥さん今どんなパンツ履いてます?~】だぞ。

 もしこれを連載していたら、ランキング一位も確実だったろう」

 

「「「ウソつけぇぇぇええええっっっ!!!!」」」

 

 

 

 ――――ズレてる! この人のセンスずれてる!!

 

 なぜこの人が人気の無い、誰も読まないような作品をいっぱい書いているのか、その理由がちょっと分かった気がした。

 

 

 

………………………………

………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 その後、なんとか終電の時間に間に合わせるように、一同はゾロゾロと居酒屋から出ていった。

 

「今日は楽しかったよみんな。来てくれて嬉しかった――――」

 

 店の前で円を作るように集まる一同。遅い時間なので、ちょっとだけ眠くはあるけれど……みんな心からの笑顔を見せている。

 

「こちらこそ、今日はありがとう。みんなとお話が出来て、ぼくとっても嬉しかった。

 それじゃあみんな、またね」

 

「それじゃあソフィーさん! 元気でねっ!

 あ、向こうにもYOUTUBEってある? ガチャピンちゃんねるをよろしくね♪」

 

 ガチャピンを乗せたアンパンマンがフワッと浮き上がり、そのまま夜の空へと消えていく。

 

「今日は実に有意義でした。

 ……まぁ中には失敗談など、恥を晒す場面も多くありましたが、それはそれだ。

 楽しかったですソフィー。貴方に感謝を」

 

 そして迎えの車に乗り込み、セイバーがフリフリとみんなに手を振る。

 助手席には士郎くんがおり、そして運転席で嫌そうな顔をするセラさんが、車を走らせて行った。

 

「じゃあぼくらも帰りますね。

 今日はありがとうございまいしたソフィーさん。ぼく楽しかったです」

 

「ありがとうございました。

 良かったら、これからも仲良くして下さいね♪」

 

 シンジとみほも歩き出す。

 遠くに見えるネルフの車、そして4号戦車らしき物に向かって、歩みを進めていく。

 

「それじゃあアタシ達も帰るわ!

 ちゃんとこの子達は送ってくから心配しないで! またねソフィーさん♪」

 

「今日はありがとう! あたしとっても楽しかったわ!

 おじいさんにもおみやげありがとう! またね!」

 

「それじゃああたしも帰ろうかねぇ~。

 色々あったけど、なんか胸がスッとした感じがするよ。

 話が出来てうれしかった。ありがとねソフィーさん♪」

 

「んじゃなソフィー! 俺らの作品は完結してるけど、またなんかやれたら良いよな!

 また会おうぜ!!」

 

 ハルヒ、ハイジ、まる子、ふじお。

 ちびっ子たちも仲良く寄り添いながら、元気に歩いて行く。

 向こうの方には、新川さんのだろうか? 黒い車が止まっているのが見えた。

 

 

「さって……私も帰ろうかな。

 みんなのいる、元の慣れ親しんだ世界に――――」

 

 

 よいしょとガンランスを担ぎなおし、ソフィーが歩き出していく。

 今日の暖かな想いを胸に、笑みをたたえた顔で元気に歩いて行った。

 

 やがて進んでいく内に、身体がふわっと浮く感覚を感じた。

 視界が白く染まり、どこかに身体が流されていくのを感じる。

 自分が今、時空を越える為の“門”をくぐったという事が、はっきり知覚出来た――――

 

 

 

「あぁ、迎えに来てくれたのか。それにみんなも。

 ん……私は大丈夫だったぞ? 人見知りなんて、ぜんぜんしなかったとも。

 彼らとたくさん話す事が出来て、すごく嬉しかったんだ。

 聴いてくれるか――――プリティ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~キャラクター座談会 おしまい~

 

 

 

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